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鹿児島地方裁判所 平成10年(行ウ)1号 判決 1999年11月29日

原告

株式会社 第五富士

右代表者代表取締役

山下光雄

右訴訟代理人弁護士

蔵元淳

右同

野村浩志

被告

鹿児島税務署長 山本豊孝

右指定代理人

別紙指定代理人目録記載のとおり

主文

一  原告の請求を棄却する。

二  訴訟費用は原告の負担とする。

事実及び理由

第一原告の請求

被告が平成七年一二月二二日付けでなした原告の平成六年一月一日から同年一二月三一日までの事業年度の法人税の更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分、並びに平成八年八月二六日付けでなした原告の平成七年一月一日から同年一二月三一日までの事業年度の法人税の更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分をいずれも取り消す。

第二事案の概要

一  争いのない事実、証拠によって明らかに認められる事実等

1  本件課税処分の経緯

(一) 原告は、遊技場の経営等を業とする株式会社であり、山下三雄(以下「山下」という。)は同社の代表取締役である。

(二) 原告の確定申告

原告は、平成七年二月二八日、被告に対し、平成六年一月一日から同年一二月三一日までの事業年度(以下「平成六年一二月期」という。)に係る法人税について、所得金額を一四一二万六一七九円、納付すべき税額を一四八万八二〇〇円と記載した確定申告書(乙一)を、平成八年二月二九日、平成七年一月一日から同年一二月三一日までの事業年度(以下「平成七年一二月期」という。)に係る法人税について、所得金額を一億七三二四万六六四六円、納付すべき税額を六六三三万一二〇〇円とした確定申告書(乙二)をそれぞれ提出した。

(三) 被告の処分(本件各処分)

被告は、平成六年一二月期の法人税については、平成七年一二月二二日付けで、所得金額を一億九〇一五万八八二五円、納付すべき税額を六九九一万三〇〇〇円とする更正及び過少申告加算税の額を一〇〇三万六〇〇〇円とする賦課決定(乙三)を、また、平成七年一二月期の法人税については、平成八年八月二六日付けで、所得金額を三億二六九三万三五六五円、納付すべき税額を一億二八五一万三九〇〇円とする更正及び過少申告加算税の額を六二一万八〇〇〇円とする賦課決定(乙四)を行った(以下併せて「本件各処分」という。)。

(四) 再更正

なお、被告は、平成七年一二月期の法人税については、平成九年五月二八日付けで、法人事業税を追認したことにより、(認容額二一一二万三八〇〇円)、所得金額を三億〇五八〇万九七六五円、納付すべき税額を一億一九九六万七一〇〇円とする再更正(減額更正)及び加算税の変更決定(乙五)を行っている。

2  本件各処分の根拠

(一) 原告の申告内容

原告は、平成六年一二月期において、平成六年一月から一一月までの間、各月の前月末の時点における原告の山下に対する貸付金残高に対する受取利息(認定利息)の計算をし、これを帳簿上未収金として、合計一億六一八九万一七一六円を収益に計上するとともに、平成六年一二月分についても、受取利息を一四一四万〇九三〇円と計算をしていた(乙三)。

ところが、原告は、平成六年一二月期の確定決算において、山下が債務超過の状態にあるとし、原告の山下に対する貸付金債権(以下「本件貸付債権」ということもある。)については、法人税基本通達二-一-二五(乙六の2)に該当するとして、平成六年一二月三一日付けで、平成六年一月から同年一二月分までの受取利息の合計額一億七六〇三万二六四六円を受取利息から減算し、所得金額の計算上、これを算入しなかった。

また、原告は、平成七年一二月期においても、山下が前事業年度同様債務超過の状態にあるとして、本件貸付金債権に係る受取利息を収益に計上しなかった。

(二) 本件各処分の根拠

(1) 被告は、山下の平成六年一二月三一日現在における資産・負債の状況は、別表1(代表取締役の資産・負債の状況)のとおり、資産超過額が一〇億八五八二万二八三四円であり、法人税基本通達二-一-二五に定める「債務超過」の状況にあるとは認められないとして、右(一)の受取利息一億七六〇三万二六四六円を平成六年一二月期の収益に加算した(乙三)。

(2) 被告は、山下の平成七年一二月三一日現在の資産・負債の状況についても、地価の下落を考慮しても、前年度と大差ないものとして、平成七年一二月期については、山下に対する貸付金債権に係る受取利息を一億五三六八万六九一九円と算出し(利率は、原告の専務取締役である訴外山下勝司に対する受取利息と同率として計算した。)、これを収益に加算した(乙四)。

(3) なお、被告は、山下の財産状態の認定に当たって、その所有する原告の株式については純資産価額方式で評価した。

(4) 被告は、右(一)、(二)の各更正処分により算定した税額につき、国税通則法六五条一項及び二項の規定に基づいて過少申告加算税の各賦課決定を行った。

二  本件の争点

1  原告の主張

(一) 山下の有する原告の株式(以下「本件株式」という。)は、類似業種比準方式ないし同方式を加味した方法により評価するべきである。

(1) 原告は大会社(財産評価基本通達一七八)であることに加え、本件においては原告の社会実態が問題とされているわけではなく、山下が債務超過にあるか否かが問題とされているのであるから、市場における本件株式の評価が重要であって、純資産価額方式によるより、類似業種比準方式によることの方が妥当である。

(2) 法人税法には、一般に公正妥当と認められる会計処理の基準に従うことが規定(二二条四項)されているが、通達等によるべしとの規定はなく、純資産価額方式に一定の範囲で類似業種比準方式を加味した方法により株式の評価を行うこと(甲二)が、公正妥当と認められる会計処理の基準に合致する。

(二) 純資産価額方式による場合の矛盾点

(1) 本件では本件貸付金債権が不良資産となっているかを判断する前提として原告の会社の純資産が問題とされているのであるから、純資産の範囲として本件貸付金債権は除外して考えるべきである。けだし、純資産に本件貸付金債権を加えるということは、すでに本件貸付金債権を回収可能な正常なものと評価していることとなるからである。

(2) 本件株式の評価において、原告の純資産の範囲から本件貸付金債権を除外するとすれば、本件貸付金債権についてこれを完全な不良債権とする評価を前提とすることとなり適当でないとすれば、本件の場合、本件貸付金債権を純資産の範囲に加えることも、また純資産の範囲から除外することもいずれも不適当ということになり、そもそも本件株式を純資産価額方式により評価すること自体が不合理であることを示すものである。

(三) 財産評価基本通達九-一-一五の適用範囲について

右基本通達は、親会社が子会社の株式について評価損を計上するとき等を想定した規定であり、本件のような場合を予定したものではない。

(四) 純資産価額方式による評価結果の非現実性

本件貸付金債権について、実際の経済的価値に則してこれを評価すべきであり、純資産価額方式による被告の評価額で実際の経済取引上およそ本件株式を買い受ける者があるとは考えられず、被告の主張は実際の経済的状況を無視した議論である。被告が認定した利息金額についても、山下の収入状況からすれば、実際に支払可能と考えることは甚だしく非現実的であり、被告の主張する認定利息金額の非現実性は明らかである。

(五) 清算税の控除

純資産価額方式によるとしても、本件の場合、大株主の保有する株式を評価する場合であるから清算税を控除することが一般的に妥当な評価方式であるというべきである。(甲二・四頁)。

2  被告の主張

(一) 法人税基本通達九-一-一五(乙六の4)では、気配相場のない株式(以下「非上場株式」という。)の価額について、一定の条件を満たすことを前提に財産評価基本通達の規定を用いて評価することも認められており、財産評価基本通達一七八(乙七の1)によれば、原告は、大会社に該当する。大会社の株式の評価については、財産評価基本通達上、類似業種比準方式が採用されているが(同通達一七九(1))、これは、大会社は、事業形態等が上場株式の発行会社に準ずる程度のものであり、企業の実態としては上場会社とそれほど異なるものでないと認められることから、上場会社に準ずるような大会社の株式については、上場会社の平均株価に比準して評価額を求めるこの方式が採られたものと解される。

(二) しかしながら、大会社に該当するからといって、常に類似業種比準方式を採用しなければならないわけではない。法人税基本通達九-一-一五(1)(乙六の4)では、「中心的な同族株主」がいる場合は、財産評価基本通達上の小会社の例によるべき旨を定めている。すなわち、財産評価基本通達上の大会社に該当する場合であっても、当該会社に中心的な同族株主がいる場合は、当該会社の株式について、不特定多数の当事者間における一定の取引市場がない上、取引件数も極めて僅少であり、取引があっても、個々の取引の当事者の主観的特殊事情等によって取引価額の決定が左右されるという特殊性があること、類似会社の選定に著しい困難を伴う場合が多いこと、また、中心的に同族株主がいる場合は、会社財産への支配関係が強くなり、会社財産に対する持分的な性格が強くなることなどから、類似業種比準方式を採用することが合理的であるとはいえず、原則として純資産価額方式により評価することとなる(財産評価基本通達一七八、一七九(3))。

(三) 原告が財産評価基本通達上は形式的に大会社に該当するとしても、原告の代表取締役山下は、原告の中心的な同族株主であるから、原告は、法人税基本通達九-一-一五の適用においては小会社に該当することになり(乙六の4・四四九頁)、したがって、本件株式は、財産評価基本通達の例によるとしても、類似業種比準方式によることはできず、財産評価基本通達一七八及び一七九(3)に基づき、純資産価額方式により評価されるべきことになる。

(四) 類似業種比準方式ないし同方式を加味した評価方法について

(1) 通達は法令ではないから個々の国民を拘束するものではなく、また、個別の財産の評価はその価額に影響を与えるあらゆる事情を考慮して行われるべきであるから、一方において、ある財産の評価が通達と異なる基準で行われたとしてもそれが直ちに違法となるわけではないが、他方において、評価に関する通達の内容が不特定多数の納税者に対する反復・継続的な適用によって行政先例法となっている場合には、特段の事情のない限り、それと異なる評価を行うことは違法になるものと解される(金子宏・租税法第七版三八〇頁)。

この点、本件株式を純資産価額方式で評価する根拠となった法人税基本通達九-一-一五(1)、財産評価基本通達一七八及び同一七九(3)は、いずれも課税実務において、既に合理的なものとして広く定着している上、判例においても、右各通達の合理性を特に否定したものは見あたらないのであって、まさに、「不特定多数の納税者に対する反復・継続的な適用によって行政先例法となっている場合」に該当するものといえる。

(2) 原告は、株式鑑定評価書(甲二)に基づき、本件株式については、同鑑定書に記載されているように、純資産価額方式、類似業種比準方式及び収益還元方式の複合方式により評価するのが合理的であると主張するが、課税実務においては、不特定多数の納税者を対象とする以上、財産の評価を行うに当たっては、納税者間の公平という観点が重視されるべきであって、この観点からすると、あらかじめ通達により定められた評価方式により、画一的に評価するのが最も合理的なのであり、原告の主張するような複合方式は、現行通達が採用していないものであって、課税実務上は認めがたい。

(3) もっとも、通達に定められた評価方式を画一的に適用するという形式的な平等を貫くことによって、かえって実質的な租税負担の公平を著しく害することが明らかな場合には、別の評価方法によることが許されると解すべきであり、評価通達によらないことが相当と認められるような特別の事情がある場合には、他の合理的な時価の評価方式によることが許されるが、本件においては、法人税基本通達九-一-一五(1)、財産評価基本通達一七八及び同一七九(3)により難いとする右特別の事情や実質的な租税負担の公平を著しく害するといった事情は何ら存しない。

(五) 純資産価額方式における本件貸付金債権の評価について

(1) 法人税における利息

法人税法二二条二項は、「当該事業年度の益金の額に算入すべき金額は、別段の定めがあるものを除き、資産の販売、有償又は無償による資産の譲渡又は役務の提供、無償による資産の譲受けその他の取引で資本等取引以外のものに係る当該事業年度の収益の額とする。」として、当該事業年度の益金の額に算入すべき金額について定めるとともに、収益の額については、同条四項で、「一般に公正妥当と認められる会計処理の基準に従って計算されるものとする。」旨を規定している。そして、同条四項の規定を受けて、法人税基本通達二-一-二四では、本文において、貸付金等から生ずる利息の収益の帰属時期について、その計算期間の経過に応じ、当該事業年度に係るものは、当該事業年度の益金の額に算入する旨を規定し、いわゆる発生主義(発生基準)による未収収益の計上を原則とすることが明確にされている。

債務者の状態からみて現実に利息を回収することが困難な場合については、法人税基本通達二-一-二五では、<1>債務者が債務超過に陥っていること、<2>債務者につき債務超過の状態が相当期間継続し、当該貸付金の額の全部又は相当部分について回収が危ぶまれるに至ったこと等、現実に元本及び利息の回収が客観的に見て極めて困難な状況にあって、相当期間、未収が継続している場合には、当該貸付金から生じる利息の益金算入時期を実際に支払を受けた日の属する事業年度として取り扱うことができる旨を定めた。

(2) 金銭債権の評価

貸付金債権のような金銭債権については、それが貸倒れ処理(法人税法二二条三項三号)されることなく、現に存在する以上は、その金額そのものが財産としての価値となるのであって、貸倒れ処理によることなく貸付金債権元本について一定の減額処理をするようなことは認められておらず、ましてや貸付金債権を貸倒れ処理によらないでゼロ評価する(当該債権を純資産から除外することは、当該債権の評価額をゼロと評価することを意味する。)などということは到底許されない。

なお、法人税基本通達九-六-一は、貸金等の全部又は一部の切捨てをした場合の貸倒れについて規定したものであるが、その(4)では「債務者の債務超過の状態が相当期間継続し、その貸金等の弁済を受けることができないと認められる場合において、その債務者に対し書面により明らかにされた債務免除額」については、損金の額に算入することとされている。本件係争年度においては、そもそも原告の山下に対する債務免除の事実自体が不存在である。

また、法人税法上、貸倒引当金の処理が認められているところ、この制度は、貸付金債権等の貸倒れによる損失の見込額として貸倒引当金勘定に繰り入れた金額のうち、その年度の終了時の貸付金等の額を基礎として政令で定めるところにより計算した金額に達するまでの金額を、その年度の損金の額に算入できるというものであるが(乙一〇・二五三頁)、その算入限度額及び算定方法は政令によって定められており(法人税法五二条一項)、かつ、法人にあっては各事業年度における損金経理(同条一項)及び確定申告書にその明細の記載がある場合に限り(同条三項)認められる。

山下に対する貸付金債権につき、法人税法上の貸倒れ処理ないし引当金処理が認められる余地はなく、このような法人税法上の処理によらず、本件貸付金債権を原告の純資産から除外することは到底認められない。

(六) 法人税基本通達九-一-一五の適用範囲について

同通達は、財産評価基本通達に定める非上場株式の評価方式が一つの事実として実務界に定着していると認められることから、たとえ法人税における評価であるとしても、これと著しく異なる評価方式を導入するとすれば執行上混乱を招くのみであるとの趣旨から、いわば一つの割り切りとして、法人が非上場株式の評価損の計上に際し、財産評価基本通達に定める評価方式の例によってその期末時価を計上しているときは、法人税法上も、原則としてこれを是認する方針を明らかにしたものである(乙六の4・四四八頁)。しかも、同通達は、非上場株式について評価損を計上する場合の期末時価の算定という形で定められてはいるが、関係会社間において非上場株式の売買を行う場合の適正取引価格の判定においても準用されるものと解されている(乙六の4・四五一頁)。これからすると、同通達の適用を親会社が子会社の株式について評価損を計上するときに限定すべき理由は全くないというべきである。

(七) 原告の主張(四)に対する反論

原告の主張は山下の支払能力の喪失等による本件貸付金債権の回収不能をいうものであるが、このような事情を言うのであれば、本件貸付金債権については、本来は貸倒処理を行うことによって切り捨てを行うべき問題である。また、仮に貸倒処理されない貸付金債権について認定利息課税がなされ、当該認定利息額が結局は回収できなくなったという場合には、その時点で貸倒処理をして損金計上すれば足りることである。さらに貸付金等の貸倒による損失が見込まれるというのであれば、当該見込額について貸倒引当金勘定に繰り入れることや債権償却特別勘定に繰り入れることにより、当該繰入額を損金に算入できる。貸付金の回収不能若しくはその危険性に対しては、法人税法は、右に述べたような会計処理によることのみを予定しているのであって、このような処理を全く行うことなく貸付金等の回収不能をいったところで、税法上はもちろん企業会計上も現実の会計処理方法を無視した見解であると言わざるを得ない。

(八) 清算税控除について

原告は、純資産価額方式をとるとしても、本件の場合、清算税を控除すべきである旨主張する。これは、本件株式をもって借入金の返済をするとした場合、会社財産の清算が前提となり、その清算に際しては法人税等が課税されるから、当該法人税等を控除した額でもって評価されるべきであるという趣旨である。

しかしながら、純資産価額方式を定めた財産評価基本通達一八五が、評価差額に対する法人税額等に相当する金額の控除を認め、同通達一八六-二が、純資産価額の計算上、会社資産の評価替えに伴って生じる評価差額に相当する部分の金額に対する法人税額等に相当する金額を会社の正味財産価額の計算上控除することとしている趣旨は、小会社の株式といえども株式である以上は、株式の所有を通じて会社の資産を所有することになり、個人事業主がその事業用資産を直接所有するのとは、その所有形態が異なるため、両者の事業用財産の所有形態を経済的に同一の条件のもとに置き換えたうえで評価の均衡を図る必要があることによるものである。すなわち、相続財産の評価差額を法人税法九二条(解散の場合の清算所得に対する法人税の課税標準)の金額とみなし、事業用資産の所有形態を法人所有から個人所有に変更した場合に課税されることとなる清算所得に対する法人税額等に相当する金額を相続税評価額から控除することによって、相続税課税上均衡を図ろうとしているものである(乙一一)。本件株式の評価は、山下の債務超過の有無あるいは同人の返済能力を判断するためのものであって相続税の課税を行う場面ではなく、また、本件においては原告からの借入金返済のために原告会社を解散してその清算益から原告に返済するということ自体がおよそ考えられないことであり、現に原告は継続企業として存続しているのであるから、会社財産の清算を前提とすべき理由もない。

第三当裁判所の判断

一  非上場株式の評価について

1  被告の主張する評価方法(純資産価額方式)について

(一) 本件株式の評価方法について、被告は、法人税基本通達九-一-一五により、「中心的な同族株主」がいる場合は、財産評価基本通達上の小会社の例によるべきであり、財産評価基本通達一七八、一七九(3)により、原則として純資産価額方式により評価すべきであり、かつ、同法人税基本通達、同財産評価基本通達は、不特定多数の納税者に対する反復・継続的な適用によって行政先例法となっているから、特段の事情のない限り、それと異なる評価を行うことは違法になり許されないと主張し、本件株式の評価を純資産価額方式により評価している。

(二) 法人税基本通達九-一-一五の趣旨

(1) 同通達は、法人が、非上場株式について評価損を計上する場合に、期末時価の算定について、財産評価基本通達に定める評価方法の例によってその期末時価を算定しているときは、法人税法上も、同法人税基本通達(1)、(2)の規定によることを条件として、これを認めることとしている。そして、同通達の趣旨については、文献(乙六の4・四四七から四五一頁)によると、次のとおり一般に解されている。

「非上場株式について評価損の計上を行う場合の「期末の時価」については、法人税基本通達九-一-一四においてその基本ルールが定められているが、そこに定められているのは一般抽象的な評価の考え方だけであって、実際問題としてこれだけで具体的に非上場株式の時価を算定することは、多くの場合きわめて困難である。このため、非上場株式の適正時価の見方をめぐって執行上トラブルの絶え間がなく、早急にその算定について具体的な取扱いを定める必要があるという意見が強かった。また、実務界からも、納税者にあらかじめ予測可能性を持たせるために、税務上の取扱いをできるだけ明確にすべきであるという声が多く寄せられていた。しかして、非上場株式の時価の算定方法については、理論的にはいろいろの考え方がありうるのであるが、株式というものの性格上、その価格形成には、きわめて複雑な要素が絡み合うため、実際問題として全ての場合に適合する方式を一律に定めることはきわめて困難である。さりとて、あまりにち密な算定方式を定めることは、いたずらに税務執行を複雑にするだけであって、必ずしも実情に合わないうらみがある。一方、相続税又は贈与税における財産評価については、財産評価基本通達が定められており、その中で非上場株式の評価方法が定められている。むろんここで定められている評価方法は、相続又は贈与というきわめて特殊な環境におけるいわば静的な財産評価に関する取扱いであるから、法人税のように経済取引を前提としたいわば動的な財産評価にそのまま適合するかどうかについては疑問なしとしない。しかしながら、財産評価基本通達に定める非上場株式の評価方法は、一つの事実として実務界に定着していると認められるから、たとえ法人税における評価であるからといって、これと著しく異なる評価方法を導入するとすれば、むしろ執行上混乱を招くのみであろう。そこで本通達においては、いわば一つの割切りとして、法人が、非上場株式の評価損の計上に際し、財産評価基本通達に定める評価方式の例によってその期末時価を算定しているときは、法人税法上も、原則としてこれを是認する方針を明らかにしたものである。」

(2) 以上の本法人税基本通達の趣旨からすると、本通達は、非上場株式の時価評価に関する法人税課税実務の円滑な執行のために、いわば一つの割切りとして、法人(申告者)が、非上場株式の評価損の計上に際し、財産評価基本通達に定める評価方式の例によってその期末時価を算定しているときは、法人税法上も、原則としてこれを是認する方針を明らかにしたものといえる。そうすると、本通達は、あくまでも、法人(申告者)が財産評価基本通達に定める評価方式の例によって非上場株式の時価を算定している場合に、法人税法上も原則としてこれを認めるというに過ぎないものと解されるのであって、法人税の申告者が財産評価基本通達に定める評価方式の例によっていない場合にまで、本通達を根拠にして、非上場株式の時価の評価を財産評価基本通達に定める評価方法に限定する趣旨に出たものとは到底解されない。本通達の解説にも「なお、本通達により、財産評価基本通達の例により非上場株式の評価を行うといっても、これが唯一無二の評価方式ということではなく、あくまでも評価方法の一つに過ぎないことに留意すべきである。」旨、注記されている(乙六の4・四五〇から四五一頁)。

(三) 同法人税基本通達の準用について

(1) 本件で山下が同法人税基本通達(1)にいう原告の「中心的な同族株主」(財産評価基本通達一八八)に該当することについては、当事者間に争いがない(ちなみに、山下は、甲一、二によると、原告の発行済株式の七五パーセントを超える株式を所有する。)から、本件株式の評価について、同法人税基本通達を準用する場合には、同通達(1)に定めるところによることになる。

ところで、同通達(1)は、中心的な同族株主に該当する株主の保有する株式については、純資産価額方式によって評価すべきこととしているが、その趣旨については、次のとおり解される(乙六の4・四四九頁)。

財産評価基本通達(一七八。一七九)によると、当該株式の発行会社が「大会社」であるか「中会社」であるか、又は「小会社」に該当するかによって評価方法が異なることとされており、大会社に該当する限りは、たとえ中心的な同族株主の有する株式といえども、類似業種比準方式を用いて評価することになっている。これに対し、小会社の場合には、中心的な同族株主の有する株式は、原則として純資産価額方式によって評価することになっているが、法人税の立場からすれば、例えば一〇〇パーセント子会社の株式を評価するに当たっては、当該子会社がいかに大会社であろうとも、親会社にとって当該子会社の株式の価値は当該子会社の純資産額と切り離して考えられない。そこで法人税において財産評価基本通達の例によって評価する場合には、中心的な同族株主の有する株式については、たとえ当該株式の発行会社が大会社又は中会社に該当する場合であっても、原則として小会社並みに純資産価額方式により評価することを要求することとした。

(2) このように、中心的な同族株主の有する株式の価値は当該会社の純資産額と切り離しては考えられないので原則として純資産価額方式により評価するべきとする同通達(1)の趣旨は、山下の保有する原告の株式(持株比率七五パーセント超)の価値の評価についても当てはまるものと解され、また、同通達は非上場株式について評価損を計上する場合の期末時価の算定という形で定められているが、関係会社間等において非上場株式の売買を行う場合の適正取引価額の判定に当たっても準用されると解されている(乙六の4・四五一頁)から、本件において、同通達を本件株式の適正時価の評価について準用することは可能である(したがって、同通達の適用範囲に関する原告の主張第二の二の1の(3)は採用できない。)。

(3) しかしながら、同通達(1)によれば、本件株式の評価については、財産評価基本通達一七九(3)の例によることになるところ、同通達(3)によると、昭和五八年の財産評価基本通達の改正後は、小会社の中心的な同族株主についても、純資産価額方式だけでなく、同通達一八三に定めるLの割合を〇・五とする純資産価額方式と類似業種比準方式の併用方式を選択することができることとされている(一七九(3)ただし書)ことからすると、同法人税基本通達に依る本件株式評価についても、右併用方式によることが認められることになると解して差し支えない。

(四) まとめ

したがって、法人税基本通達九-一-一五を根拠に、本件株式については、純資産評価方式による評価のみが適法であり、その他の評価方法をとることはできないとする被告の主張は、この限りで失当であると解される。

2  原告の株式の評価方法

(一) このように、非上場株式(気配相場のない株式)の評価に関しては、法人税基本通達によって、純資産価額方式、あるいは同方式と類似業種比準方式の併用方式等によること、しかも後者の併用方式については、類似業種比準方式の適用割合(Lの割合)を細分化するなどのきめ細かな配慮がなされ、これが法人税課税実務として定着していることがうかがえるのであるが、そもそも法人税法には比上場株式の適正価額に関する規定がないことにかんがみると、右各方式以外の評価方式を一顧だにしない態度は相当とはいえず、右各方式以外でも、個別の事情に即した具体的な根拠(法人税課税実務上における適正価額と認めうる根拠)が存する限り、各種評価方式を採用することは可能であると解される(この意味で、原告の援用する甲二の株式鑑定評価書は、一応検討する余地があるといえる。)。

(二) しかしながら、本件においては、次にみるとおり、右各種評価方式のいずれを採るにしても、本件貸付金に対する受取利息については法人税基本通達二-一-二五の適用がなく、結果的に本件各処分に取消事由は存しないと解せられる。

二  本件における法人税基本通達二-一-二五の適用について

1  法人税基本通達二-一-二五の趣旨

貸付金等に係る利子については、法人税基本通達二-一-二四により、発生基準又は利払期基準により収益計上すべきことになっているが、同基本通達二-一-二五は、債務者の状態からみて現実に利子を回収することが極めて困難であるため、同基本通達二-一-二四により未収利子の計上を要求することが著しく実情に即しないと認められる一定の場合には、実際の利子を回収するまで、その収益計上を見合わせることができる旨を明らかにしている。すなわち、貸付金等に係る利子について収益計上を見合わせることができるのは、次の四つのケースに該当する場合である。

第一は、いわゆる焦付き利子の場合であって、債務者の債務超過その他相当の理由により、支払を督促したにもかかわらず、当該事業年度終了の日一年(以下「直近一年」という。)以内にその支払期が到来したもの(以下「最近発生利子」という。)の全額が当該事業年度終了の時において未収となっており、かつ、直近一年以内に最近発生利子以外の利子について支払を受けた金額が全くないか極めて少額であるというケースである(同通達(1))。この場合の「相当の理由」というのは、債務者が利子を支払えないことについて客観的にやむを得ないと認められる事情があることをいう。

第二は、債務者につき会社更生法の規定による更正手続又は商法の規定による会社の整理その他これに類する法律上の整理手続が開始された場合である(同通達(2))。

第三は、債務者について債務超過の状態が相当期間継続して事業好転の見通しがないとか、債務者が天災事故、経済事情の急変等によって多大の損失を蒙ったことその他これらに類する事由が生じたため、当該貸付金の全部又は相当部分についてその回収が危ぶまれるに至っているという場合である(同通達(3))。

さらに第四は、会社更生法の更生計画の認可決定、債権者集会の協議決定等により当該貸付金の額の全部又は相当部分について相当期間(おおむね二年以上)棚上げさせることとなった場合である。(同通達(4))。

これらのいずれの場合も、要するに元本そのものが不良債権化したということであって、さらに具体的事情によっては元本自体の貸倒処理又は債権償却特別勘定の設定も考慮しなければならないケースであり、このような場合にも法人税基本通達二-一-二四により未収利子の計上を強制するのは著しく実態に合わないことから、利子の未収計上を見合わせることができることとされている。そして、本通達により未収計上を見合わせた貸付金利子については、その後、当該利子につき実際に支払を受けた時点で収益計上すれば足りることとされている(同通達(注))。(乙六の2・六一~六三頁)

2  同通達における債務者の「債務超過」について

原告は、平成六年一二月期及び平成七年一二月期における本件貸付金債権に係る受取利息が法人税基本通達二-一-二五に該当すると主張している。その主張の趣旨からすると、本件では、原告は本件貸付金債権の利息について同通達(1)又は(3)の適用を主張しているものと解される。同通達(1)、(3)は、いずれも債務者の「債務超過」を要件とし、本件訴訟における争点も、山下の債務超過の有無についての認定過程にあるといえる。

そして「債務超過」とは、一般に、債務者の債務の総額が債務者の資産の総額を超える状態をいうが、同通達が相当期間未収が継続した場合等の貸付金利子の帰属時期の特例を認める趣旨は、前述のとおり、同通達(1)ないし(4)に定める場合には、要するに貸付金債権の元本自体が不良債権化し、法人税基本通達二-一-二四により未収利子の計上を強制するのは著しく実態に合わないことから利子の未収計上を見合わせることを許したところにあるとうかがえ、同基本通達二-一-二五における債務者の債務超過とは、要するに、債務者に支払能力の欠如が認められ、一般的かつ継続的に支払ができない客観的状態にある場合の一事例を指すと解される。

3  同通達(1)、(3)の要件

(一) 同通達(1)の要件は次のとおりである。

<1> 利息を支払わない原因について、債務者の債務超過その他相当の理由があること

<2> 支払の督促にかかわらず支払われていないこと

<3> 最近発生利子の全額が当該事業年度終了の時に未収となっていること

<4> 直近一年以内に最近発生利子以外の利子について支払いを受けた金額が全くないか極めて少額であること

(二) 同通達(3)の要件は次のとおりである。

<1> 債務者につき債務超過の状態が相当期間継続し、事業好転の見通しがないこと、当該債務者が天災事故、経済事情の急変等により多大な損害を蒙ったことその他の事由が生じたこと

<2> 当該貸付金の全部又は相当部分についてその回収が危ぶまれるに至ったこと

4  本件貸付金の経緯

証拠(甲一・国税不服審判所の裁決書・一一頁)によると、原告の代表者山下は、国税不服審判所に対し、次のとおり答述していることが認められ、原告は、この答述内容については、本件訴訟において特別争っていないから、本件貸付金の経緯については次のとおりと認められる。

(一) 原告は、山下に対する本件貸付を行うに当たって金銭消費貸借契約書等は作成しておらず、返済時の元本、利息、費用への充当に関する特約もない。また、取締役会等の決議も得ず、担保もとらず、さらに本件利息の棚上げについても取締役会等の決議を得ていないこと。

(二) 本件貸付金に係る貸付利息は、平均利率によっていること。

(三) 原告は、山下に対し、本件貸付金の返済及び本件利息の支払についての督促をしたことはないこと。

(四) 山下は、平成六年中に保有株式の一部を売却し、そのうちから三億三〇六三万〇一六一円を本件貸付金の返済に充てていること。

(五) 本件貸付金の借入れ目的は、山下の個人的な株式投資のためであり、借入金返済及び利息の支払が滞った理由は、主として株価が下がったためであること。

(六) 山下個人は、破産、和議開始、手形取引停止等、法的な整理手続を受けていないこと。

5  債務超過の有無

そこで山下の支払能力につき検討するに、山下の負債はもっぱら原告からの借入金及びその未払利息であり、右借入金については明確な弁済期の定めがあるとは認められず、山下は原告の株式の七五パーセントを超える株式を所有し、かつ原告の代表取締役の地位にあるいわゆるオーナー経営者である上、原告その他の同族会社の株式以外に市場で容易に処分可能な高額の株式(そもそも本件貸付金はこれらの株式投資のために原告から借り入れたものである。)を保有しているほか、土地等の不動産も相当所有し、平成六年から七年には年間約二五〇〇万円の収入を得ていると認められる(甲一・一〇頁)こと等の事情を勘案すると、山下が本件貸付金債権の利息すら支払不能な経済状態にあるとはにわかに認められない。

そうすると、山下が本件貸付金債務の利息を支払わないことについて客観的にやむを得ない事情があるとはいまだ認められず、実質的に、同人が同法人税基本通達の想定する継続的な支払能力欠如の状態にあると認めることはできないというほかない。なお、平成七年一二月期の山下の資産負債の状況についても、平成六年一二月期と大きな変動はないと認められる(甲一・一一頁D)から、右認定は平成七年一二月期においても同様と解せられる。

6  その他の要件について

(一) 同通達(1)は、その他<1>「支払いの督促にかかわらず支払われていないこと」<2>「直近一年以内に最近発生利子以外の利子について支払いを受けた金額が全くないか極めて少額であること」をその適用要件としているところ、右4に認定したとおり、原告は山下に対して支払の督促をしておらず、また、原告は本件貸付金につき平成六年中に三億三〇六三万〇一六一円の返済を受けていることが認められるから、本件ではこれらの適用要件(平成六年一二月期については<1><2>、平成七年一二月期は<1>の要件)も満たしていないことになる。

(二) 同通達(3)は、「当該貸付金の全部又は相当部分についてその回収が危ぶまれるに至ったこと」をその適用要件としているところ、山下の資産負債の状況について、同人が本件貸付金債権について実質的な支払能力がないとは認められないことは、前述したとおりである。したがって、本件貸付金債権の全部又は相当部分についてその回収が危ぶまれるに至っていると認めることはできない。

7  まとめ

以上のとおり、平成六年一二月期及び平成七年一二月期において、山下は同通達(1)、(3)の要件を充足する状態にあったとは認められないから、本件貸付金債権に係る受取利息について法人税基本通達二-一-二五を適用することはできない。

三  結論

1  本件各事業年度の益金の額に算入すべき利息の額

(一) 本件貸付金の内容

本件貸付金の本件各事業年度における金額は、別表2(裁決書(甲一)添付別表3と同じ。)のとおりと認められる(甲一・一〇頁。これは原告の総勘定元帳による集計結果である。)。

(二) 利息の計算方法

平成六年一二月期においては、同年一月から一一月までの各月の利息の金額は本件貸付金の前月末の残高に請求人が役員等に対して資金貸付けを行う場合の貸付利率として市中金利を勘案して定めた年利率(以下「平均利率」という。)六・六パーセントを乗じて計算し、受取利息として未収入金勘定に計上していたが、一二月三一日にその合計金額一億六一八九万二二五八円を振替伝票により減額処理している。同年一二月分については、右同様に計算し、同年一二月三一日に一四一四万〇九三〇円の振替伝票を起票しているが、当該振替伝票を横線で抹消し、総勘定元帳には記載していない。平成七年一二月期については、原告は当初から利息の計算は行わず所得金額の計算上益金の額に算入していなかった。なお、原告は平成七年二月に平均利率の改定を行い、同年三月から年六パーセントとしている。以上の事実は、審査請求の際に当事者間に争いはなく、国税不服審判所の調査結果とも一致しているから、本件訴訟においてもそのとおり認めることができる(甲一・九、一〇頁)。

(三) 受取利息額の計算

各事業年度の益金の額に算入すべき利息の額は、平成六年一二月期については右(二)の利息に従い、平成七年一二月期については、平成六年一二月期の利息の計算方法と同様に計算すべきであると解される。その計算結果は、別表3(裁決書(甲一)添付別表6と同じ。なお、同表中、平成七年一一月の受取利息額「12,123,274」は「12,423,274」と誤記と認め、そのとおり訂正する。)のとおりである。

そうすると、平成六年一二月期は一億七六〇三万二一〇三円となり、本件更正処分における認定額一億七六〇三万二六四六円を五四三円下回るが納付すべき税額は変わらず(国税通則法一一八条一項により、一〇〇〇円未満の端数切捨て)、平成七年一二月期は一億五三六八万六九一九円となり、本件更正処分における認定額と同額となる。

2  本件更正処分について

右1のとおり、原告は平成六年一二月期には一億七六〇三万二一〇三円、平成七年一二月期には一億五三六八万六九一九円の受取利息をそれぞれ益金に算入すべきである(法人税法二二条一項、四項、法人税基本通達二-一-二四)から、平成六年一二月期の法人税について納付すべき税額を六九九一万三〇〇〇円とした本件更正決定、平成七年一二月期の法人税について納付すべき税額を一億二八五一万三九〇〇円とした本件更正決定はいずれも適法である。

3  本件過少申告加算税の賦課決定処分について

本件過少申告加算税の賦課決定処分については、その独自の違法事由についての主張はなく、また右2のとおり、本件更正処分はいずれも適法と認められるから、本件過少申告加算税の賦課決定処分もいずれも適法である(国税通則法六五条一項、二項)。

4  まとめ

よって、原告の請求は理由がないからこれを棄却することとし、訴訟費用の負担については行政事件訴訟法七条、民事訴訟法六一条に基づき、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 榎下義康 裁判官 牧真千子 裁判官 冨田敦史)

指定代理人目録

被告指定代理人 星野敏

右同 下田隆夫

右同 崎山英二

右同 和多範明

右同 唐仁原暢

右同 長尾秀樹

右同 松崎米一

右同 田川博

右同 中島一人

別表1

代表取締役の資産負債の状況(平成6年12月31日現在)

<省略>

別表2

貸付金勘定(山下三雄分)

<省略>

別表3

受取利息額の計算(その1)

<省略>

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