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静岡地方裁判所浜松支部 平成8年(ワ)170号 判決 1997年4月16日

原告

レベッカ・アン・ピケット

訴訟代理人弁護士

藤井繁

石塚徹

被告

学校法人 静岡理工科大学

代表者理事

遠藤芳伸

訴訟代理人弁護士

浅岡省吾

主文

一  原告の請求をいずれも棄却する。

二  訴訟費用は原告の負担とする。

事実

一  当事者の求めた裁判

1  原告

(一)  原告が被告の雇用契約上の権利を有する地位にあることを確認する。

(二)  被告は、原告に対し、平成八年四月以降、毎月二〇日限り、九八万三六一七円の割合による金員を支払え。

(三)  被告は、原告に対し、五〇〇万円及びこれに対する平成九年二月一三日から支払済みまで年五分の割合による金員を支払え。

(四)  訴訟費用は被告の負担とする。

(五)  右(二)(三)について仮執行宣言

2  被告

主文同旨

二  当事者の主張

1  請求原因

(一)  被告は、昭和二七年四月一四日に設立された学校法人であり、平成三年四月一日から、静岡県袋井市に「静岡理工科大学」(以下「被告大学」という)を設置している。

(二)  原告は、平成五年四月一日、被告に雇用されて被告大学に勤務し、理工学部基礎教育室教授として英会話の授業を担当していたところ、被告は、原告に対し、平成七年六月三〇日に到達した同月二七日付け通知書をもって、平成八年四月以降は原告を雇用しない旨の雇い止めの意思表示(以下「本件意思表示」という)をし、原告について、平成八年四月以降は被告の雇用契約上の権利を有する地位にない旨主張している。

(三)  原告の平成八年一月から同年三月まで三か月における毎月の賃金は六八万二一〇〇円であった。また、原告は、六月と一二月に合計五・三五か月分の賞与を支給されており、平成七年には合計三六一万八二〇五円を受け取っている。これを一二か月で割ると三〇万一五一七円である。したがって、原告の一か月当たりの平均賃金は九八万三六一七円である。そして、被告における賃金の支給日は毎月二〇日である。

(四)  原告は、アメリカ合衆国国籍の外国人であり、被告との間で地位確認等の訴訟を行うためには弁護士にこれを委任することが不可欠である。したがって、そのための弁護士費用は、被告の違法な行為の結果生じた損害であり、被告に支払義務がある。右の弁護士費用としては五〇〇万円が相当である。

(五)  よって、原告は、被告との間で、原告が被告の雇用契約上の権利を有する地位にあることの確認を求めるとともに、被告に対し、平成八年四月以降毎月二〇日限り九八万三六一七円の割合による賃金と、弁護士費用五〇〇万円及びそれに対する同請求を記載した平成九年二月七日付け準備書面が被告に到達した翌日である平成九年二月一三日から支払済みまで民法所定の年五分の割合による遅延損害金を支払うことを求める。

2  請求原因に対する被告の答弁

(一)  請求原因(一)(二)は、認める。

(二)  同(三)は、原告の平成八年一月から同年三月まで三か月における毎月の賃金が六八万二一〇〇円であったこと(ただし、うち五八〇〇円は通勤手当である)、原告が合計五・三五か月分の賞与を支給されていたこと、以上の点は認め、その余は否認する。原告の賞与は、基本給六六万三〇〇円に支給率をかけたもので、その年間支給額は三五三万二七一〇円であった。また、「平均賃金」には、労働基準法一二条の定めるように、賞与は算入されない。なお、被告の賃金の支給日は毎月二一日である。

(三)  同(四)は、原告がアメリカ合衆国国籍の外国人であることは認め、その余は否認ないし争う。

3  抗弁

被告は、(1) 平成五年四月一日、雇用期間を同日から平成五年八月三一日までと定めて原告を雇用し、(2) 右の期間満了後について、同年七月五日、雇用期間を同年九月一日から平成七年三月三一日までと定めて改めて原告を雇用し、(3) さらに、右の期間満了後について平成七年二月一四日、雇用期間を同年四月一日から平成八年三月三一日までと定めて改めて原告を雇用した。右各雇用の都度、各雇用期間の明記された雇用契約書が作成されている。本件意思表示は、(3)の雇用契約の雇用期間満了による雇い止めの通知である。したがって、被告と原告との雇用契約は約定の雇用期間の満了によって終了している。

4  抗弁に対する原告の答弁

否認ないし争う。

被告主張の各雇用期間の記載のある雇用契約書が作成されているのはそのとおりであるが、契約書の文言にもかかわらず、被告は、原告を、被告の定めている定年である六八歳まで雇用する約束(終身雇用=パーマネント・ジョブ。以下、この約束を「終身雇用約束」という)で採用したものである、原告が六八歳となり右の定年に達するのは平成一〇年度末である平成一一年三月三一日である。

5  再抗弁

本件雇い止めは、終身雇用約束に違反するだけでなく、実質的には解雇であるところ、それについて正当な理由は存しないから、権利の濫用である。

6  再抗弁に対する被告の答弁

否認ないし争う。

被告ないし大学は、開学以来実施してきた教育の抜本的見直しを行った結果、英語関係のカリキュラムのうちの「英会話」を平成八年度以降は学年進行に従って大幅に減らし、平成一〇年度からは廃止することとした。そのため、「英会話」の専任教員として雇用契約を結んでいた原告については、平成八年度以降再度雇用契約を更新してさらに雇用する必要がなくなったので、3(3)の契約における雇用期間の満了をもって雇用契約を終了させることとし、本件雇い止めの通知をしたものである。

三  証拠関係(略)

理由

一  請求原因(一)(二)は、当事者間に争いがない。

二  抗弁について判断する。

1  成立に争いのない(書証略)及び弁論の全趣旨によれば、原告の雇用については、被告・原告間において、原告自身の署名のある次の三通の契約書が作成されていることが認められる。すなわち、(1) 雇用期間を平成五年四月一日から同年八月三一日までとする同年四月一日付けのもの、(2) 雇用期間を平成五年九月一日から平成七年三月三一日までとする平成五年七月五日付けのもの、(3) 雇用期間を平成七年四月一日から平成八年三月三一日までとする平成七年二月一四日付けのもの、である。そして、他に原告の雇用に関する契約書は存在しないことが明らかである。

右事実によれば、特段の事情の存しない限り、被告と原告との雇用関係については、雇用期間が全く紛れようもない形で定められており、もとより原告においてもそれを承諾して雇用契約を結んだものと認めるのが相当である。

2  そこで、右の特段の事情の有無について検討する。

(一)  原告は、右各契約書における雇用期間の定めにもかかわらず、被告は、原告を被告の定めている定年である六八歳まで雇用する旨の約束(終身雇用約束)で採用した旨主張する。

(1) まず、原告の陳述書(書証略)及び本人尋問における供述によって、右のように主張する所以として述べるところを、整理・要約すると、次のとおりである。

<1> 友人を通じて大学に終身雇用の職があることを知り、応募し、面接を受け、採用された。大学の採用条件は、六八歳定年までの終身雇用制ということだった。他に職を探すことなく大学で教えようと決心したのは、この退職年齢のことが決定的要素であった。原告が採用された際の英文の募集要項中の「契約期間は二年、相互の同意で更新できる」旨の英文は、終身雇用を意味している。契約書に期限がついていたとしても、契約は自動的に更新される終身雇用ということになる。もっとも、募集要項(書証略)自体は見ていない。

<2> 採用される前に候補者選考委員会の面接を受けた。この面接の中で、終身雇用だというようにいわれた。私も、その場にいるすべての人たちにその質問をした。その答としては、アダムソン教授から、「終身雇用である。必要なときには更新されていくものである」旨を聞いた。私は職がパーマネントであることを確認した。

<3> 一九九三年四月五日、被告の安武理事と話合いをし、被告に採用されることを承諾したが、その際、同理事は、原告の職がパーマネント・ジョブである旨を告げた。

<4> 非常勤契約のサインをしたうえ、同年四月から仕事に就き、同年七月五日には、再び安武理事と会って、同年九月からの勤務について話し合いをし、契約書に署名した。同理事は契約書の内容の説明はしないで退席した。その後で、契約書上、雇用期間が一年七か月となっているのに気づいた。部屋に残って、契約項目の説明をしてくれていた萩原氏(人事関係のマネージャー)にその点を尋ねた。同氏は、そのことは知らないといったが、「一年七か月すると、アダムソン先生とドゥール先生と同時に更新できますね」といい、また、「理事会は全員同時に更新するのでしょう。契約は更新され、二年を二回与え、定年の六八歳までもっていくのでしょう」といった。私は、候補者選考委員会が定年について私に与えた情報、四月五日の話合いの内容が再度確認されたので安心した。契約にも更新条項があったので、理事会側の説明を全く信用した。

<5> 同年一〇月には、もう一人の新任の教員である志村氏とともに本部へ行った際、退職年齢のことが話題になり、日本人教員と全く同じ条件が原告にも当てはめられることが告げられ、原告の退職年齢が六八歳であるとのさらなる確約を貰った。

<6> その後、一九九四年九月二二日付けで、安武理事宛てに、雇用の継続と定年までの継続的雇用を要望する旨の手紙を出したが、それは、終身雇用の約束があることを前提として、その約束が果たされるために契約の延長を求めたものであり、終身雇用の「期待と要望」を書いたものではない。ところが、この手紙を出した後、武内理事が私たちに一年の契約しか与えないといってきた。私たちはパーマネント・ジョブが約束されていると主張したが、同理事はそれに全く耳を貸さなかった。二回目の話合いには安武理事が同席した。同理事はパーマネント・ジョブの約束のあることを否定しなかったが、「理事会は心が変わった」といった。

(2) そして、弁論の全趣旨により成立を認める(書証略)(右各号証及び弁論の全趣旨によれば、いずれも、原告より先に被告大学に雇用されていた英会話担当教授であるチャールス・アダムソン作成の陳述書であることが認められる)中には、原告の供述に沿う部分がある。要約・摘記すると、次のとおりである。

<1> 私は終身雇用の約束で就職した。もし、終身雇用ではなかったら、絶対に就職しなかった。

<2> 原告が応募した際の募集要項の英文は私が書いた。雇用期間を二年としているが、それは、二年間は辞めないでほしいという意味で書いた。二年経過した後は契約更新されると書いてある。これは、よほどの問題が起こらない限り、自動的に更新されることを意味している。したがって、右の要項は、期限付雇用ではなく、終身雇用をいっていることになる。募集のためにあちこちに電話をした。原告が勤めていた慶応大学にも電話をした。それらの電話で、パーマネントであることをいっている。

<3> 原告が応募したときの候補者選考委員会の委員になり、すべての会議、すべての面接に参加した。応募者たちとのすべての会合、すべての面接において、委員会は職が終身雇用の職であると伝えた。職が期間を限られたものであるというような言葉は、まったく聞いていない。

<4> 四月五日と七月五日の二回の話合いの通訳をした。七月の話合いで、理事会側は、主に萩原において契約内容を説明した。同人は、原告に自動更新の話をしていた。

<5> 私たち外国人教員に一年契約が提示され、話合いがもたれた。私たちは、安武理事が定年までの終身雇用を約束していると主張した。次の話合いに呼ばれた安武理事は、定年までの終身雇用を約束しましたね、との私たちの言葉に対し、大学は考えを変えたのだと答えた。

(3) また、弁論の全趣旨により成立を認める(書証略)(書証略及び弁論の全趣旨によれば、原告より先に被告大学に教員として雇用されていたリン・ドゥールの作成文書の内容が記載されているものと認められる)には、「柴田教授は、契約は文部省を満足させるためのものであるが、契約は定年を前提に、私が延長を希望するたびごとに自動的に更新される、といわれました」との記載がある。

(二)  これに対し、(一)で名前の出ている者を含む被告側関係者の陳述書(書証略)及び(人証略)には次のような記載・供述がある。関係者ごとに要約すると次のとおりである。

(1) 安武和弘

<1> 被告大学の常勤理事として、原告の雇用に関与した。被告大学の英会話担当外国人教員としては、アダムソン教授、オーエンス教授、ドゥール助教授の三人がいたが、オーエンス教授が退職することになったため、後任者を募集することとした。募集・選考は、候補者選考委員会が行った。同委員会は五人の委員で構成された。募集要項は、和文は海老塚教授(同委員会の委員長)が、英文はアダムソン教授が作成した。雇用期間を二年としたが、それは前任者のオーエンス教授の残任期間が二年ということで決定されたものである。右委員会は、平成四年一一月一〇日、原告と面接している。その際の状況を、改めて、委員であった日本人教員四名に確かめたところ、アダムソン教授の陳述書にあるような、「終身雇用」などということは、面接者・被面接者のいずれからも全く出たことはないとのことであった。

<2> 平成五年四月五日、原告と雇用条件等の話合いをした。学園側は、私のほか、法人室人事担当の小林健職員、大学事務局の萩原博総務課長代理等で、アダムソン教授が通訳をした。話合いの結果、同年四月から八月までは非常勤講師として勤務し、九月以降については常勤の教授として契約することになり、契約期間は、非常勤講師の期間と通算して四年間とする旨合意された。原告は、私が、原告の職が終身雇用である旨を告げたなどというが、そのような話は一切していない。学園では、他の外国人教員も皆な期間契約としてきていた。また、この話合いの中で、原告の方から終身雇用などということを発言されたことは全くないし、学園側からそのようなことに言及したこともない。

<3> その後、学園内の検討の結果、右の話合いでは契約期間を四年とすることとなっていたが、他の外国人教員と同様、被告大学の完成年度の平成七年三月三一日までとすることに決められた。そして、平成五年七月五日、原告と会い、右の点を含め、和文・英文の契約書を渡して内容を説明した。原告は、英文契約書を確認したうえ、和文・英文各契約書に署名した。原告は、萩原の発言を云々するが、同人に確認したところ、原告のいうようなことは述べていないとのことであった。

<4> 原告は、「(二回目の話合いには安武理事が同席し、同理事は)パーマネント・ジョブの約束のあることを否定しなかったが、『理事会の心が変わった』といった」というが、全く事実に反する。同席のアダムソン氏やドゥール氏から、平成元年の雑誌の広告を示されて、パーマネントといっているではないかといわれたので、確かに平成元年のときにはその事実はあったが、広告掲載の後、考えを変えた、といったのである。

(2) 海老塚博

平成四年当時、被告大学の英語担当教授であり、候補者選考委員会の委員長をした。第四回委員会のとき、原告と面接し、私から募集要項に基づき各項目について説明したが、原告から終身雇用の確認を求められたことは全くない。

(3) 矢田浩

被告大学教授であり、候補者選考委員会の委員として、すべての委員会に出席した。アダムソン教授が、この委員会で被面接者に終身雇用であるといったと述べているとのことであるが、私はそのような発言がなされたという記憶はない。

(4) 萩原博

安武理事が退席した後、私が原告に説明したのは、大学の事務手続、私学共済組合等に関することだけで、原告から何も質問はなかったし、私もそのほかの説明はしていない。雇用期間については全く話していない。

(5) 小林健

原告と志村教授が役員との面談のために本部に来た際、事務担当者として志村教授に採用条件等を説明したことがある。私が話をしたのは志村教授に対してであり、原告に対してではない。

(6) 武内良生

平成五年五月から被告の理事であり、原告との雇用期間を平成八年三月三一日までとする雇用契約についての話合いを担当した。平成六年一一月一日、九日、一七日、翌平成七年一月一九日の四回にわたり、原告を含む三人の外国人「英会話」担当教員と話合いを行った。一一月一日の話合いで、教員側から、日本人教員と同じように、期間の定めのない定年までの雇用に変えて貰いたいとの要望が出された。しかし、被告大学は、定年までの雇用は考えておらず、一年間の契約とすることを申し出た。結局、その後、新しく締結する契約の通知期限の話に移り、現契約では雇用期間終了の六か月前になっているのに対し、再就職先を探すにはもう少し期間をほしいとの要望が出され、通知期限は九か月前(前年の六月末)とすることとなった。これによって、雇用期間を一年とすることが了承された。右の一月一九日には、それまで合意された内容を契約書案(日本文と英文)にして、説明のうえ各人に渡した。そして、平成七年二月一四日、雇用契約書を取り交わした。

(三)  以上のとおりであって、(一)掲記の原告主張のよってたつ事実関係については、(二)掲記のような、いわばことごとにその存在を否定する供述等があることになるところ、それらを直ちに殊更に虚偽を述べたものとして排斥しなければならないほどの事情を窺うこともできない。加えて、(一)における原告ら(特に、原告自身)の認識・理解は、全体としていかにも漠としており、具体性に欠ける観のあることを否めない。例えば、「被告大学の採用条件は、六八歳定年までの終身雇用制ということだった」というが、いつ、何に基づいてそのように認識したというのであろうか。募集要項中の契約期間を云々するが、原告は、そもそもそれを見ていないというのであるから、何らの論拠とはならないし、候補者選考委員会の面接において、「終身雇用だといわれた。その場にいるすべての人たちにその質問をした。アダムソン教授から、終身雇用である旨を聞いた。職がパーマネントであることを確認した」、「四月五日、安武理事は原告の職がパーマネント・ジョブである旨を告げた」というのであるが、(書証略)によれば、原告が被告と最初に交わした契約の契約書には、更新に関する条項すら入っていないことが明らかである。仮に、原告が、真実、終身雇用の約束があったからこそ被告との雇用契約に応じたというのであれば、更新についての定めもない、右の約束が果たされるかどうか全く不明の内容の契約書の作成に応じるというのは、奇異なことといわなければならない。萩原の話とか、「本部へ行った際、原告の退職年齢が六八歳であるとのさらなる確約を貰った」というのも、それ自体、不確かで曖昧な出来事と評さなければならない。

このように考えると、(一)の事実関係は、これをそのまま採用するには躊躇を覚えざるを得ないとともに、仮に、それに近いような事実経過があったとしても、それをもって、1掲記の各契約書における雇用期間の定めを打ち破るに足るほどの「特段の事情」とまで認めるのは無理といわなければならない。

3  そうすると、被告と原告との雇用関係は、1の(3)の契約で定められた雇用期間の終期である平成八年三月三一日の経過をもって終了していることになる。抗弁は理由がある。

三  再抗弁について判断する。

原告主張の終身雇用約束を認めることはできないから、本件雇い止めをもって解雇ということはできない。したがって、権利の濫用の主張はその前提において採用の限りでない。

なお、(書証略)によれば、本件雇い止めに係る前記二1(3)の契約は、「契約期間満了の取扱い」について、「この契約の期間満了後において、学園が教授と改めて契約を締結するから否かについては、一九九五年六月三〇日までに学園が教授に通知する。なお、その際には、学園は教授に対し、その理由等を説明する機会をもつものとする」と定め、「契約の解消」について、「学園が前項に基づく再契約の掲示をしないときは、その契約は、期間の満了日をもって終了する」と定めていることが認められるところ、本件雇い止めの意思表示が右の通知の時期に関する要件を具備するものであることは請求原因についての判断のとおりであり、また、理由の説明の点についても、(証拠略)によれば、被告はこれを履践していることが認められる。

四  以上の次第であるから、その余の点について判断するまでもなく、原告の請求はいずれも理由がないからこれを棄却することとし、主文のとおり判決する。

(裁判官 根本眞)

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