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青森家庭裁判所 昭和43年(家イ)196号 審判 1969年3月31日

申立人 石坂芳子(仮名)

相手方 石坂年男(仮名)

主文

一、申立人と相手方は離婚する。

二、双方間の二男章(昭和二八年五月五日生)の親権者を申立人と定め、同人において章を養育監護する。

三、相手方は、申立人に対し本件離婚に伴う財産分与および慰藉料として、金三〇〇万円を支払うこととし、この金員支払に代えて次のとおり定める。

(一)  相手方は、相手方所有の別紙記載不動産のうち、別紙不動産見取図中、斜線部分(現に相手方が調停外の杉本つる代に賃貸している部分)を除くその余の部分についてこの審判確定の日から一〇年間、賃料月額二万五、〇〇〇円の賃借権を設定し、その間の賃料請求をしない。

(二)  前記の賃貸借期間中、貸主たる相手方は、借主たる申立人がその賃借部分を第三者に任意の賃料で適宜使用させて収益することを承諾する。

(三)  相手方が申立人の前(一)、(二)に定める申立人の権利の行使を妨げ、またはその賃貸不動産を他に処分する等同上の権利の行使を法律上、事実上不能にする行為をしたときは、三〇〇万円から本審判確定の日以後右権利の行使を妨害または不能にした日まで一か月一万円の割合で計算した金額を控除した金員を直ちに申立人に支払わなければならない。

四、相手方が前三項の定めとは別に現金で財産分与および慰藉料を支払う場合には、三〇〇万円から本審判確定の日以後その支払いの日まで一か月二万五、〇〇〇円の割合で計算した金額を控除した金員を支払ううこととし、その支払いをもつて前三項に定める賃貸借契約は将来に向つて当然に終了するものとする。

五、双方は、前項に定めたほか、本件に関し名義のいかんを問わず互に何等の請求をしない。

六、調停、審判の費用は、各当事者の負担とする。

理由

一、申立人は、相手方と昭和二二年一二月二〇日婚姻したが、両者間に長男学(成年)二男章がある。

相手方は、○○電力株式会社○○変電所に勤務しているが、家庭をかえりみず、かつ、申立人に暴行を加えるなどのこともあつた。

やむなく申立人は、住所地に飲食店を経営して生計を樹てているが、相手方は時々愛人らしい女性を同伴し、申立人方を訪れるなどして重大な侮辱を与えている。

二、当調停において、相手方は当初離婚に応ずる意思はないと表明したが、申立人の決意が離婚以外にないので、申立人が離婚するというのであれば、やむを得ないという考えに変わつた。

そして、双方に未成年の子二男章の親権者を申立人とすること、および離婚に伴い、相手方は申立人に対し、財産分与ならびに慰藉料として金三〇〇万円を贈与することの条件で離婚することについては、一応合意が成立した。

しかし、この三〇〇万円の授受につき、申立人は即時全額一時払いを主張し、相手方は一か月二万五、〇〇〇円ずつ一〇年間の長期月割り払いを固持し、結局調停は成立するに至らなかつた。

三、よつて当裁判所の本件調停において現れた諸般の事情を参酌し、主文の条項をもつて本件を解決するのを相当と考えるので、家事審判法第二四条に則り審判する。

(家事審判官 畔上英治)

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