大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

長野地方裁判所 昭和37年(レ)35号 判決 1963年6月18日

主文

本件控訴を棄却する。

事実

控訴費用は控訴人らの連帯負担とする。

控訴人らは、「原判決を取消す。被控訴人の請求を棄却する。訴訟費用は第一、二審共被控訴人の負担とする。」との判決を求め、被控訴人は主文第一項同旨の判決を求めた。

当事者双方の事実上の主張並びに証拠の提出、援用及び認否は、被控訴人において、当審証人宮沢隆章の証言を援用し、乙第一九、第二〇号証の各成立は知らない、と述べ、控訴人宮沢菊治において、乙第一九、第二〇号証を提出し、当審証人吉沢正良、森利男、村松関弥、村松初雪及び宮沢イワの各証言並びに当審における控訴人宮沢菊治本人尋問の結果、当審における検証の結果を採用したほかは、原判決事実摘示のとおりであるからここにこれを引用する。(但し、原判決四枚目表七行目「竹花タキ」を「竹花タキヨ」と、同八行目「第一二、一三号証」を「第一二、第一三号証の各一、二」と、同裏一行目「乙第一号証ないし第一八号証」を「乙第一ないし第五号証、第六号証の一、二、第七ないし第一一号証、第一二ないし第一四号証の各一、二、第一五ないし第一八号証」と、同二行目「甲号各証の成立を認めた」を「甲第一〇、第一一号証の各成立は知らないが、その余の甲号各証の成立は認める、と述べた。」と、同三行目「その余の被告選定当事者は」を「被告宮沢衛、同勝又義澄は」と、同四行目「甲号証については全部その成立を認めた。」を「被告勝又義澄は甲第一号証の一ないし一八、第二号証の成立を認めた。」と訂正し、末尾に「被告宮沢けさ子は公示送達による呼出を受けたが本件各口頭弁論期日に出頭せず、答弁書その他の準備書面を提出しない。」を加える。)

理由

一、控訴人らのうち、宮沢菊治、宮沢衛、勝又義澄は被控訴人主張の請求原因事実の全部又は一部を自白するが、本件は類似必要的共同訴訟であつて右自白は無効であるから、以下右事実の存否を全部証書にもとずき判断する。

二、公文書であるから真正に成立したものと認める甲第一号証の一ないし一八、第二、第四、第五号証によれば宮沢信衛の長女である宮沢ともゑは昭和一一年三月二八日宮沢半助、ユキ夫婦の養子となる縁組をなし、同年四月二日養父半助が死亡したため女戸主となつたこと、被控訴人は昭和一三年一〇月三〇日ともゑのもとへ入夫婚姻し家督相続により前戸主ともゑ所有の一切の権利義務を承継したこと、本件畑(原判決別紙目録記載の土地。以下同じ。)は現に信衛のために所有権移転登記が経由されていること、信衛は昭和二五年一月八日死亡し、その相続人は右宮沢ともゑのほか亡長男宮沢広一の代襲相続人長男信一、長女けさ子、信衛四男宮沢菊治(控訴人)、亡次女村田みずゑの代襲相続人長男村田康芳、長女水野百代、二女村沢明子、信衛三女秦タミ子、五男宮沢衛(控訴人)、四女長坂サナヘ、六男勝又義澄(控訴人)、五女宮沢ウラ子、七男宮沢守人であることが認められる。

三、公文書であるから真正に成立したものと認める甲第一号証の二、第四、第五、第九号証、成立に争のない乙第三、第四号証原審証人服部正広、鎌倉俊雄、遠山好美、竹花タキヨ、宮沢ともゑ、原審及び当審証人宮沢隆章、当審証人吉沢正良の各証言当審における宮沢菊治本人尋問の結果(但し後記措信しない部分を除く。)及び当審検証の結果を綜合すると、前記宮沢信衛は昭和一一年三月頃親戚である前記宮沢半助、ユキ夫婦(ユキは信衛の従姉妹にあたる。)に実子がなく、先に吉沢正良夫婦を養子とする縁組をしたが当時既に離縁となつていたので長女ともゑに右半助夫婦の老後の世話をさせその家督を相続させるため、前認定のとおり同年三月二八日同女に右半助、ユキ夫婦の養子となる縁組をさせたのであるが、当時右半助が病弱である上にこれといつた田畑を所有していなかつたため右縁組に乗気でなかつた同女を説得するために、半助、ユキ夫婦の居宅の裏つづきになつており、以前はユキ所有でその後転々と人手にわたり当時信衛が所有していた本件畑をその頃ともゑに贈与したこと、信衛は同年一二月一九日四男である控訴人菊治に本件土地を除くその所有土地全部を売渡し、同日所有権移転登記を経由したが、右贈与の事実を同人には明かにしなかつたため、ともゑに対する本件畑の所有権移転登記手続をしないまま昭和二五年一月八日死亡したのであるが、その前日である同月七日実弟宮沢隆章、実妹竹花タキヨに対し本件畑につきともゑに所有権移転登記手続をなすよう依頼したことを認めることができ、右認定に反する原審及び当審証人宮沢イワ、当審証人村松初雪、村松関弥の各証言及び当審における控訴人宮沢菊治本人尋問の結果は前掲各証拠と照らし措信しがたく、他に右認定を覆えすに足りる証拠はない。

四、そうだとすると右ともゑを除く信衛の共同相続人である前記一二名はともゑの権利義務を家督相続により承継した被控訴人に対し前記贈与を原因として、本件畑の所有権移転登記手続をなすべき義務のあることが明かである。

よつて被控訴人の本訴請求は理由がありこれを認容した原判決は相当であるから本件控訴は民事訴訟法第三八四条を適用してこれを棄却し、控訴費用の負担については同法第九五条、第九三条第一項、第八九条を適用して主文のとおり判決する。(なお控訴人菊治は同控訴人が昭和三八年五月七日被控訴人及び宮沢ともゑに対し民法第五五〇条により本件贈与を取消した事実を主張、立証するため弁論の再開を申請したが、本件審理の経過に鑑みれば右防禦方法の提出は同控訴人の故意又は重大な過失により時機に後れたもので、これによつて訴訟の完結を遅延せしむべきものであることが明かであるから、当裁判所は本件弁論の再開を命じない。)

別紙

選定者目録

北海道根室市幸町七番地

宮沢信一

長野県下伊那郡天龍村大字平岡五一三番地

宮沢菊治

以上二名選定当事者           宮沢菊治

同所二六三番地六

村沢明子

同所五九四番地二

村田康芳

愛知県海部郡甚目寺町大字甚目寺字東門前六〇番地

水野百代

長野県下伊那郡天龍村大字平岡八番地

秦タミ子

同郡鼎町西鼎五六七番地

宮沢衛

神奈川県横浜市保土ケ谷区天王寺町二丁目八〇番地

長坂サナヘ

長野県下伊那郡阿南町北条七一五番地

勝又義澄

愛知県蒲郡市三河三谷町南山

宮沢ウラ子

東京都練馬区春日町二丁目二八〇一番地

宮沢守人

以上九名選定当事者       宮沢衛

勝又義澄

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!
©大判例