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福岡高等裁判所 昭和48年(ラ)134号 決定 1974年1月10日

抗告人 古賀貴美子

同 初村正雄

同 初村スミエ

以上抗告人ら訴訟代理人弁護士 美奈川成章

水野周志

有馬毅

高森浩

<ほか六名>

同補佐人 弟子 丸和博

<ほか一名>

主文

本件抗告を却下する。

理由

本件抗告の趣旨およびその理由は別紙記載のとおりである。

一件記録によると、抗告人らはいずれも原告として原審における昭和四八年一一月六日午後一時の損害賠償請求事件の口頭弁論期日において、口頭で請求の趣旨を拡張する旨申立てたところ、右損害賠償請求事件の被告中村憲一、同福岡県が書面によらない訴の変更には異議がある旨を陳述し、かつ右共同被告のうち被告中村憲一において、訴状記載の請求の趣旨を認諾したこと、これに基づき原審は認諾調書を作成し、次回口頭弁論期日は被告福岡県との関係でのみ指定したこと、抗告人らは右弁論期日終了後の同日午後五時受付にかゝる請求の趣旨拡張の申立書を提出したところ、原審は同月一三日抗告人らとの被告中村憲一との関係においては、従前の請求がなされた後であるから、右申立書の提出送達があっても、もはや口頭弁論期日における請求の趣旨拡張の申立の瑕疵を除去することができないとして「原告らの本件被告に対する訴の変更を許さない。」旨の決定をなしたことが認められる。

そして、抗告人らの右請求の趣旨拡張の申立書は、前記弁論期日において異議を述べられた口頭による請求の趣旨拡張につき、書面を以て請求の拡張を追完しようとするものであることは抗告人らの抗告の理由から明らかである。

ところで、口頭弁論を経てなされた訴の変更を許さない旨の裁判に対しては、独立した不服の申立は許されず、終局判決に対する控訴の方法でのみ不服事由を主張しうるに過ぎず、この理は本案が請求の認諾によって終了した場合も同様と解される。(訴変更不許の裁判を争い、訴変更が有効であるとする抗告人らとしては、原審に対し期日指定の申立をなす方法も考えられ、これについて原審が請求の認諾による訴訟終了宣言の判決をなした場合において右判決に対し控訴を提起し右不服事由を主張すべき筋合である。)

右の次第で、抗告人らの本件抗告は不適法のものとして許されないから、抗告人らがその抗告の理由として、抗告人らの請求拡張は本来の訴の変更に当らないとか、書面をもってなすべき請求拡張には当らず訴の変更が有効である旨の各主張につき判断を加える余地はない。

よって、本件抗告を却下することとし、主文のとおり決定する。

(裁判長裁判官 原田一隆 裁判官 塩田駿一 松島茂敏)

<以下省略>

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