福岡地方裁判所 昭和63年(わ)1270号 判決 1989年3月27日
本籍
福岡市博多区石城町四五七番地
住居
同市南区多賀一丁目三番一五号
元・会社役員
松岡弘則
大正一一年一一月一七日生
右の者に対する所得税法違反被告事件につき、当裁判所は、検察官佐藤利男出席の上審理し、次のとおり判決する。
主文
被告人を懲役一年六月及び罰金一億円に処する。
被告人において、右罰金刑を履行しないときは金二五万円を一日に換算した期間、被告人を労役場に留置する。
本裁判確定の日から二年間、右懲役刑の執行を猶予する。
理由
(罪となるべき事実)
被告人は、多量の有価証券の売買を行い多額の所得を得ていたのに、自己の所得税を免れようと企て、所得税確定申告は給与所得及び配当所得のみにとどめ、有価証券売買益を一切申告しない等の方法により、その所得を秘匿し
第一 昭和五九年分の実際総所得金額が六、四七七万四、九八三円あつたのにかかわらず、同六〇年三月一四日、福岡市中央区天神四丁目八番二八号所在の所轄福岡税務署において、同税務署長に対し、同五九年分の総所得金額が四、二一〇万九、九〇〇円で、これに対する所得税額が三一一万五、四〇〇円である旨の虚偽の所得税確定申告書を提出し、同年分の正規の所得税額一、七七〇万一、二〇〇円と右申告税額との差額一、四五八万五、八〇〇円を免れ
第二 昭和六一年分の実際総所得金額が五億一、五〇九万七、二五一円あつたのにかかわらず、同六二年三月一四日、前記福岡税務署において、同税務署長に対し、同六一年分の総所得金額が、四、四一九万六、一〇〇円で、これに対する所得税額が五八七万一、〇〇〇円である旨の虚偽の所得税確定申告書を提出し、同年分の正規の所得税額三億三、三七九万八、六〇〇円と右申告税額との差額三億二、七九二万七、六〇〇円を免れ
たものである(税額の算定は、別紙一(1)(2)(3)(4)、二(1)(2)のとおり)。
(証拠の標目)
全事実につき
証明書四通(検三号ないし六号)
査察官調査書五通(検一六号、検三〇、三一号、三三、三四号)
脱税額計算書説明資料
原田隆勝の検面調書三通(検四六ないし四八号)
小林眞二の検面調書三通(検五四号、五六、五七号)
大隅昌喜の各検面調書
松本登、中野波瑠夫、林直治の各検面調書
株式取引損益表一綴(昭和六三年押第三五九号の1)
被告人の当公判廷供述及び各員面(検八〇、八一号)、各検面(検八四号、八六号、八八号、九一号、九三、九四号、九七号、九九、一〇〇号)
第一事実につき
証明書一通(検一二号)
査察官調査書五通(検一四号、二一号、二六号、二八号、三五号)
脱税額計算書(検四三号)
五九年分の確定申告書一綴(前押号の3)
第二事実につき
証明書七通(検一、二号、七ないし一一号)
査察官調査書一三通(検一五号、一七ないし二〇号、二二ないし二五号、二七号、二九号、三二号、三七号)
査察官報告書四通(検三六号、三八ないし四〇号)
捜査報告書二通(検四一、四二号)
脱税額計算書(検四四号)
原田隆勝の各検面調書(検四九ないし五三号)
小林眞二の各検面調書(検五五号、五八号)
古賀敦子の各検面調書(検五九ないし六一号)
松田静子の各検面調書(検六八、六九号)
売買回数メモ二枚(前押号の2)
六一年分の確定申告書一綴(前押号の4)
被告人の員面(検八二号)、各検面(検八三号、八五号、八七号、八九、九〇号、九二号、九五、九六号、九八号)各調書
(法令の適用)
判示各所為 所得税法二三八条一項、二項
(長期刑と罰金刑の併科を選択)
併合加重 懲役刑につき刑法四五条前段、四七条本文、一〇条
(判示第二の罪の刑に加重)
『罰金刑につき同法四五条前段、四八条二項』
労役場留置 同法一八条
執行猶予 同法二五条一項
よって、主文のとおり判決する。
(裁判官 萩尾孝至)
別紙一(1)
修正損益計算書(総所得)
自昭和59年1月1日
至昭和59年12月31日
<省略>
別紙一(2)
修正損益計算書(譲渡所得)
自昭和59年1月1日
至昭和59年12月31日
<省略>
別紙一(3)
修正損益計算書(総所得)
自昭和61年1月1日
至昭和61年12月31日
<省略>
別紙一(4)
修正損益計算書(雑所得)
自昭和61年1月1日
至昭和61年12月31日
<省略>
別紙二(1)
<省略>
別紙二(2)
<省略>