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福岡地方裁判所 昭和55年(わ)1072号 判決 1980年12月16日

本店の所在地

福岡県糟屋郡新宮町大字上府一三七八番地

法人の名称

株式会社エフイ石灰工業所

代表者の住居

福岡県糟屋郡新宮町大字上府一三七八番地

代表者の氏名

井彬

本籍

熊本県阿蘇郡南小国町大字満願寺四四三六番地

住居

福岡県糟屋郡新宮町大字上府一三七八番地

会社員

井月夫

明治四四年三月七日生

法人税法違反被告事件

検察官

阿部貫一郎 出席

主文

被告人株式会社エフイ石灰工業所を罰金四〇〇万円に、

被告人井月夫を懲役六月に、それぞれ処する。

被告人井月夫に対し、本裁判確定の日から二年間その刑の執行を猶予する。

訴訟費用は全部被告人両名の連帯負担とする。

理由

(罪となるべき事実)

被告人株式会社エフイ石灰工業所は、福岡県糟屋郡新宮町大字上府一、三七八番地に本店を置き、土質改良(安定)剤の製造販売を目的とする資本金一二五万円の株式会社であり、被告人井月夫は、右被告人会社の実質上の経営者として同社の業務全般を統括しているものであるが、被告人井月夫は、被告人会社の業務に関し、法人税を免れようと企て、売上の一部を除外するなどの方法により所得を秘匿したうえ

第一  昭和五一年七月一日から同五二年六月三〇日までの事業年度における被告人会社の実際所得金額が五〇八万一一五八円あったのにかかわらず、同五二年八月三一日、福岡市東区大字浜男七三三番地の二三所在の所轄香椎税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が零でこれに対する法人税額は零である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もって不正の行為により同会社の右事業年度における正規の法人税額一四二万二六〇〇円を免れ

第二  同五二年七月一日から同五三年六月三〇日までの事業年度における被告会社の実際所得金額が二一〇一万七〇七一円あったのにかかわらず、同五三年八月三一日、前記香椎税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が一九三万三八二七円でこれに対する法人税額が五四万一二〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もって不正の行為により同会社の右事業年度における正規の法人税額七五六万六八〇〇円と右申告税額との差額七〇二万五六〇〇円を免れ

第三  同五三年七月一日から同五四年六月三〇日までの事業年度における被告会社の実際所得金額が二三八九万七三二〇円あったのにかかわらず、同五四年九月三日、前記香椎税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が四九四万六七三五円でこれに対する法人税額が一三八万四八〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もって不正の行為により同会社の右事業年度における正規の法人税額八七一万八八〇〇円と右申告税額との差額七三三万四〇〇〇円を免れ

たものである。

(証拠の標目)

判示事実全部につき

一、被告人会社代表者井彬、被告人井月夫の当公判廷における各供述

一、被告人株式会社エフイ石灰工業所の登記簿謄本及び定款写

一、国税査察官作成の査察報告書二通(検4、5)

一、大蔵事務官作成の捜索てん末書五通(12、14、16、17、19)

一、大蔵事務官作成の差押てん末書三通(13、15、18)

一、大蔵事務官作成の領置てん末書二通(20、21の1)

一、大蔵事務官作成の査察官調査書二三通(検24ないし26、30、32、36、38ないし41、46、51、56、57、60、61、64ないし66、68、70、72)

一、被告人井月夫外一名作成の上申書(二通)(検73、74)

一、被告人会社代表者井彬の大蔵事務官に対する質問てん末書二通(検78、79)

一、被告人会社代表者井彬の検察官に対する供述調書(検80)

一、古川之博作成の上申書(検77)

一、井早夫(三通)、高木英雄(二通)、内田和子(二通)、木稲繁太、井光雄、上田敏子、久吉チヅヨ、松本カチ子、本田チヨ、古川之博(検94、95、97の三通)の大蔵事務官に対する各質問てん末書

一、下田キヨの検察官に対する供述調書

一、下田キヨの大蔵事務官に対する質問てん末書五通

一、被告人井月夫の大蔵事務官に対する質問てん末書七通

一、被告人井月夫の検察官に対する供述調書

判示第一、第二の各事実につき

一、大蔵事務官作成の査察官調査書(検50)

判示第一の事実につき

一、大蔵事務官作成の脱税額計算書(検6)及び同説明資料(検7)

一、押収してある確定申告書一綴(昭和五五年押第二九九号の一)

判示第二、第三の各事実につき

一、大蔵事務官作成の査察官調査書八通(検22、28、29、31、37、58、63、67)

一、古川之博の大蔵事務官に対する質問てん末書(検96)

一、古川之博作成の申述書(検76)

判示第二の事実につき

一、大蔵事務官作成の脱税額計算書(検8)及び同説明資料(検9)

一、押収してある確定申告書一綴(前同押号の二)

一、大蔵事務官作成の査察官調査書二通(検55、62)

一、被告人会社代表者井彬作成の上申書(検75の2)

判示第三の事実につき

一、大蔵事務官作成の脱税額計算書(検10)及び同説明資料(検11)

一、押収してある確定申告書一綴(前同押号の三)

一、大蔵事務官作成の査察官調査書一六通(検23、27、33ないし35、42ないし45、47、48、52ないし54、59、69、71)

一、被告人会社代表者井彬作成の上申書(検75の1)

(法令の適用)

罰条等

被告人井月夫の判示各所為につき法人税法一五九条(各懲役刑を選択)

判示各所為についての被告人株式会社エフイ石灰工業所関係につき同法一六四条一項(一五九条)

併合罪の処理

被告人井月夫につき刑法四五条前段、四七条本文、一〇条(判示第三の罪の刑に加重)

被告人右会社につき同法四五条前段、四八条二項

刑執行猶予の言渡

被告人井月夫につき同法二五条一項

訴訟費用の負担

刑訴法一八一条一項本文、一八二条

よって主文のとおり判決する。

(裁判官 池田久次)

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