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福岡地方裁判所 平成元年(わ)246号 判決 1989年8月31日

本籍

福岡県山門郡大和町大字豊原七六三番地

住居

同県大川市大字一木一、〇五八番地の七

会社役員

高口多吉

昭和一三年一一月八日生

右の者に対する所得税法違反被告事件につき、当裁判所は検察官廣上克洋出席のうえ審理し、次のとおり判決する。

主文

被告人を懲役一年六月罰金五〇〇〇万円に処する。

右罰金を完納することができないときは、金二〇万円を一日に換算した期間被告人を労役場に留置する。

この裁判の確定した日から三年間右懲役刑の執行を猶予する。

訴訟費用は被告人の負担とする。

理由

(罪となるべき事実)

被告人は、高口家具工芸の名称で福岡県大川市大字一木一、〇五八番地の七において家具製造業を営んでいたものであるが、自己の所得税を免れようと企て、売上の一部を除外し、架空仕入を計上する等して簿外預金等を蓄積する等の方法によりその所得を秘匿し

第一  昭和五九年分の実際総所得金額が一億五、三二七万〇、八八五円あったのにかかわらず、同六〇年三月一五日、福岡県大川市大字榎津字大溝三二五番地の一所在の所轄大川税務署において、同税務署長に対し、同五九年分の総所得金額が一、四八二万九、〇一八円でこれに対する所得税額が三七三万三、九〇〇円である旨虚偽の所得税確定申告書を提出し、同年分の正規の所得税額九、二一四万四、六〇〇円と右申告税額との差額八、八四一万〇、七〇〇円を免れ

第二  昭和六〇年分の実際総所得金額が一億五、三八八万二、六四四円あったのにかかわらず、同六一年三月一五日、右大川税務署において、同税務署長に対し、同六〇年分の総所得金額が一、五九四万九、九九〇円でこれに対する所得税額が四四二万二、一〇〇円である旨虚偽の所得税確定申告書を提出し、同年分の正規の所得税額九、〇九四万六、〇〇〇円と右申告税額との差額八、六五二万三、九〇〇円を免れ

第三  昭和六一年分の実際総所得金額が八、〇三〇万五、三四五円あったのにかかわらず、同六二年三月一三日、右大川税務署において同税務署長に対し、同六一年分の総所得金額が一、三〇一万六、九一六円でこれに対する所得税額が三〇五万六、八〇〇円である旨虚偽の所得税確定申告書を提出し、同年分の正規の所得税額四、二九四万五、八〇〇円と右申告税額との差額三、九八八万九、〇〇〇円を免れ

たものである。

(証拠の標目)

判示全事実について

一  被告人の当公判廷における供述

一  被告人の検察官に対する各供述調書(一六通)

一  高口静代(二通)、梶原英樹及び高田京子(二通)の検察官に対する各供述調書

一  大蔵事務官武藤武志作成の脱税額計算書説明資料及び査察官報告書(検八号)

一  大蔵事務官西山輝彦作成の各査察官報告書(検一五、一六、一七、一九号)

判示第一、第二の事実について

一  古賀君代の検察官に対する供述調書

一  大蔵事務官西山輝彦作成の査察官報告書(検一八号)

判示第一の事実について

一  大蔵事務官武藤武志作成の脱税額計算書(検二号)及び査察官報告書(検六号)

一  大蔵事務官平野達公作成の各査察官報告書(検一〇、一一号)

一  大蔵事務官西山輝彦作成の各査察官報告書(検一二、一三号)

一  押収してある五九年分の所得税確定申告書(平成元年押第一四三号の1)

判示第二の事実について

一  緒方益美の検察官に対する供述調書

一  大蔵事務官武藤武志作成の脱税額計算書(検三号)

一  押収してある六〇年分の所得税確定申告書(平成元年押第一四三号の2)

判示第三の事実について

一  平田桂子、木下章子及び緒方秀幸の検察官に対する各供述調書

一  大蔵事務官武藤武志作成の脱税額計算書(検四号)及び査察官報告書(検七号)

一  大蔵事務官武藤武志作成の脱税額計算書(検四号)及び査察官報告書(検七号)

一  大蔵事務官平野達公作成の査察官報告書(検九号)

一  大蔵事務官西山輝彦作成の査察官報告書(検一四号)

一  押収してある六一年分の所得税額確定申告書(平成元年押第一四三号の3)

(法令の適用)

一  罰条 判示各所為につき 所得税法二三八条一項、二項

一  刑種の選択 懲役刑、罰金刑併科

一  併合罪の処理 刑法四五条前段、四七条本文、四八条二項、一〇条(懲役刑については犯情の最も重い判示第一の罪の刑に法定加重、罰金刑については合算)

一  労役場留置 刑法一八条

一  刑の執行猶予 刑法二五条一項(懲役刑についてのみ)

一  訴訟費用 刑事訴訟法一八一条一項本文

よって、主文のとおり判決する。

(裁判官 小坂敏幸)

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