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神戸地方裁判所 昭和47年(む)164号 決定 1972年2月17日

主文

本件準抗告の申立を棄却する。

理由

一、本件準抗告の申立の趣旨並びに理由は、要するに、勾留理由の開示においては刑事訴訟法六〇条一項各号の該当事由のみならず、その基礎となった証拠資料並びに勾留の必要性についても開示すべきであり、本件勾留理由の開示手続において弁護人もその旨の要求をなしたにもかかわらず、右要求を容れず、証拠資料並びに勾留の必要性について開示することなく、開示手続を打ち切った本件勾留理由の開示は不当であり、再度の勾留理由の開示を求めるというにある。

二、ところで一件記録によれば、昭和四七年二月一〇日神戸地方裁判所裁判官糟谷邦彦が別紙のような銃砲刀剣類所持等取締法違反の事実につき、被疑者に刑事訴訟法六〇条一項二、三号に該当する事由があるとして、これを勾留し、同日被疑者の弁護人から同裁判所に対し、右勾留につき勾留理由の開示の申立がなされ、同月一五日勾留裁判官糟谷邦彦が勾留理由の開示をなし、その開示手続において、同弁護人から刑事訴訟法六〇条一項各号該当の事由のみならず、証拠資料並びに勾留の必要性をも告知されたい旨の要求がなされたが、同裁判官は同法六〇条一項二、三号該当事由のみを告知し、その証拠資料並びに勾留の必要性につき告知する必要はないとして、開示手続を終了したことが明らかである。

三、よって按ずるに、弁護人は本件勾留理由の開示に対して刑事訴訟法四二九条の準抗告の申立をしているものであるところ、同条の規定する準抗告は起訴前または第一回公判前に裁判官がなした「裁判」を対象としているものというべきであって、勾留理由開示の手続は既になされた勾留の「裁判」の理由の告知=開示に過ぎず、勾留の理由の当否を判断する「裁判」に当らないこと明白である。従ってこれに対する不服申立の方法はなく(もっとも、理由の開示が不適法不相当の方法である場合には同法三〇九条により異議の申立をする道が開かれている)、勿論準抗告の対象にもならないのであって、本件申立は不適法であるからこれを棄却することとし、同法四三二条、四二六条一項を適用して主文のとおり決定する。

(裁判長裁判官 矢島好信 裁判官 横山武男 宮崎公男)

<以下省略>

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