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神戸地方裁判所 平成2年(行ウ)28号 判決 1991年11月25日

原告

陰山英夫

被告

木下正一

右訴訟代理人弁護士

夏住要一郎

阿多博文

被告参加人

加古川市長

木下正一

右訴訟代理人弁護士

荒尾幸三

主文

原告の請求を棄却する。

訴訟費用は原告の負担とする。

事実

第一  当事者の求める裁判

一  原告

1  被告は、加古川市に対し、四四一四万八〇〇〇円を支払え。

2  訴訟費用は被告の負担とする。

二  被告

1  本案前の申立て

(一) 本件訴えのうち、調査研究費の支給に係る部分を却下する。

(二) 訴訟費用は原告の負担とする。

2  本案の申立て

主文同旨。

第二  当事者の主張

一  請求原因

1  本件期末手当等支給の経緯

(一) 原告は、加古川市に居住する住民であり、被告は、加古川市長の職にあるものである。

(二) 被告は、加古川市長として、加古川市議会(以下、「市議会」という。)の議員に対して、平成元年一二月一〇日に期末手当2.5か月分を、同年六月二九日に期末手当1.9か月分(以下、併せて「本件期末手当」という。)を、それぞれ支給した。

被告は、同様に、市議会の各会派に対して、別紙二記載のとおり、平成元年度の調査研究費補助金合計二二二〇万円(議員一人当たりの月額五万円の一年分の三七人分、以下「本件調査研究費」という。)を、交付した。

(三) 原告は、平成二年七月二日、加古川市監査委員中島康之及び猪子明に対し、「市議会の議員に対して、実質上、期末手当に勤勉手当を合算して支給しているのは違法かつ不当であり、また、市議会の会派に対して支給している調査研究費も実質は俗にいうヤミ給与であり、市長に対する報告義務も履行しておらず違法であるから、市議会議員に支給された本件期末手当のうち勤勉手当に相当する部分合計二一九四万八〇〇〇円及び本件調査研究費二二二〇万円の合計四四一四万八〇〇〇円の支給は違法であり、加古川市に同額の損害を与えたので、被告は加古川市に対しその全額を返還すべきである。」として、加古川市長違法措置請求書を提出し、住民監査請求をした。

(四) 監査委員は、右監査請求に対して、平成二年八月二九日、「本件監査請求は、これを認めることができない。」として、請求を棄却した。

2  本件支給の違法

(一) 期末手当について

(1) 加古川市においては、市議会が、昭和五四年一二月一八日、「加古川市議会の議員の報酬等に関する条例」(以下、「議員報酬条例」という。)の一部を改正し、六月に支給する期末手当の支給割合を、一般職職員に支給する期末手当1.4か月分と勤勉手当0.5か月分を合計した1.9か月分とし、一二月に支給する期末手当の支給割合を一般職職員に支給する期末手当1.9か月分と勤勉手当0.6か月分を合計した2.5か月分とした。

(2) 平成元年八月四日、人事院総裁は、国家公務員の一般職職員の期末及び勤勉手当について、六月に支給する期末手当の支給割合を1.4か月から1.5か月に、同じく勤勉手当を0.5か月を0.6か月にそれぞれ0.1か月宛増額すべき旨を勧告した。

(3) 加古川市においては、右勧告を無視して、議員報酬条例五条二項の一部を改正し、六月に支給する場合の期末手当を1.9か月分から2.1か月分に増額した。

(4) この改正は、実質的には、一般職職員の期末及び勤勉手当の増額分を合計したものに相当する0.2か月分だけ市議会議員の期末手当を増額したものである。

これは、一般職の職員と比べて、合理的な理由がないのに異なった取扱をするものであり、憲法一四条一項に違反する。

また、議会の議員に対して、一般職職員の期末手当及び勤勉手当を合計したものを期末手当として支給するのは、その勤勉手当に相当する部分については実質上は、支給について法の定めがない勤勉手当を議会の議員に対し支給することにほかならず、条例に基づかない支給を禁ずる地方自治法(以下「法」という。)二〇四条の二に反し、ひいては、法律の範囲内で条例を定めることができると規定する憲法九四条にも違反する。

熊本県八代市においては、平成元年まで、期末手当の支給割合は、六月支給分が1.7か月分、一二月支給分が3.8か月分であり、期末手当についての条例の実態は、地方公共団体ごとに極めて区々で混乱状態にある。

(5) したがって、議員報酬条例の期末手当の規定は違憲かつ違法であり、これに基づく本件期末手当の支給のうち一般職職員の勤勉手当に相当する二一九四万八〇〇〇円(平成元年一二月に支給した期末手当のうち0.6か月に相当する一〇九七万四〇〇〇円及び同じく平成二年六月の一〇九七万四〇〇〇円の合計金額。)の支給は違法であり、加古川市は右金額について損害を被った。

(二) 調査研究費について

(1) 本件調査研究費は、市議会の各会派に対する補助金という形で支給されているが、交付された補助金については、全部又は会派で必要な経費を引いた残りが各会派の会員に分配されており、加古川市議会の会派に対する調査研究費補助金交付要綱(昭和五一年訓令甲六号、以下「交付要綱」という。)五条に規定する市長に対する使用状況の報告もされておらず、実質上は議会議員の給与の一部になっている。

このような給与の支給を定めた規定はないから、この本件調査研究費は、俗にいう第二報酬であり、ヤミ給与である。

(2) したがって、本件調査研究費の支給は、法律又は条例に基づかない職員への給付を禁じた法二〇四条の二、二〇三条に反して違法であり、加古川市はこのために、平成元年度の調査研究費補助金合計二二二〇万円について損害を被った。

3  よって、原告は、加古川市に代位して、被告に対し、本件期末手当中の一般職職員の勤勉手当に相当する二一九四万八〇〇〇円及び本件調査研究費二二二〇万円の合計四四一四万八〇〇〇円を損害賠償として加古川市に支払うことを求める。

二  被告の本案前の主張(監査請求の不適法)

1  監査請求の特定性について

(一) 法二四二条一項の規定に基づく住民監査請求は、地方公共団体の住民に対し、当該普通地方公共団体の当該職員等による一定の具体的な当該行為等に限って、その監査と非違の防止又は是正の措置を監査委員に請求する権能を認めたものであって、それ以上に、一定の期間に当該行為等を包括して、これを具体的に特定することなく、監査委員に監査を求める権能までを認めたものではない。

したがって、住民監査請求においては、対象とする当該行為等を監査委員が行うべき監査の端緒を与える程度に特定すれば足りるというものではなく、当該行為を他の事項から区別して特定認識できるように、監査請求書及びこれに添付された事実を証する書面の各記載、監査請求人が提出したその他の資料等によって、個別的、具体的に摘示することを要する。

(二) 本件調査研究費に関しては、「加古川市長違法措置請求書」と題する書面に、「調査研究費一人月額五万円、年間六〇万円、三七人で二二二〇万円は俗に言う第二報酬であり、ヤミ給与である。」と記載してあるだけで、また、「事実証明書」と題する書面には何らの記載もない。右事実によれば、原告である監査請求人が加古川市の調査研究費を本件住民監査請求の対象としていることは窺われるものの、如何なる時期の調査研究費を対象としようとするのか不明である。

(三) したがって、本件研究調査費の支出に関する住民監査請求は、財務会計上の行為について個別的、具体的に特定し、摘示することを求める法の趣旨に反し不適法である。

2  「証する書面」について

(一) 法二四二条一項は、住民監査請求に当たり、違法又は不当な財務会計上の行為について、その事実を「証する書面」を要求しているが、右規定の趣旨は、事実に基づかない単なる要求や請求人の主観だけで妄りに監査を請求する等の乱請求による弊害を防止しようとすることにあり、事実を「証する書面」が全く添付されていない場合その他これと同視しうる場合には、住民監査請求は不適法と解される。

(二) 本件調査研究費に関しては、本件住民監査請求の添付資料である「事実証明書」と題する書面には、本件調査研究費について、なんら証する記載を見いだすことができないのであるから、本件調査研究費に関する住民監査請求は、「証する書面」の添付を求める法二四二条一項に反し、不適法である。

3  よって、原告の訴えのうち、調査研究費の支給に関する部分は、適法な監査請求を経ていないから、不適法である。

三  請求原因に対する認否及び主張

1  被告の請求原因に対する認否

(一) 請求原因1の事実は認める。ただし、その支給の根拠は、平成元年一二月一〇日支給の期末手当については旧々議員報酬条例五条(昭和五四年一二月二六日公布、同日施行、同月一日から適用、条例四六号)、平成二年六月二九日支給の期末手当については、旧議員報酬条例五条(平成元年一二月二二日公布、同日施行、同月一日から適用、条例二五号)である。

(二)(1)① 請求原因2(一)(1)、(2)の事実は認める。

② 同(3)の事実中、勧告を無視したことは否認し、その余は認める。

③ 同(4)、(5)は争う。

(2)① 請求原因2(二)(1)の事実は否認する。

② 同(2)は争う。

2  被告の主張

(一) 本件期末手当の適法性

(1) 本件期末手当は、議員報酬条例五条の規定に基づき支給されたものである(平成元年一二月一〇日支給の期末手当は、旧々五条(昭和五四年一二月二六日公布、同日施行、同月一日から適用、条例四六号)に基づき、右条項の定める支給基準(一〇〇分の二五〇)に従って支給され、また、平成二年六月二九日支給の期末手当は、旧五条(平成元年一二月二二日公布、同日施行、同月一日から適用、条例二五号)に基づき、右条項の定める支給基準(一〇〇分の二一〇)に従って支給されたが、同条例五条は、市議会議員に対する期末手当を定めるものであって、勤勉手当の支給割合を定めるものでないことは規定の文言から明らかでるあ。

(2) 法二〇三条四項、同条五項及び二〇四条の二の規定並びにその沿革を検討すると、法律又はそれに基づく条例によらない給付を禁じた法二〇四条の二の新設に伴って、国会議員(国会議員の歳費、旅費及び手当等に関する法律(昭和二四年四月三〇日法律八〇号、以下「歳費法」という。)一一条の二)との均衡を考慮し、議会の議員に対する期末手当の支給に合法的な根拠規定を付与しようとして、法二〇三条三項、同条四項を設けたものである。

これらの規定は、期末手当の支給について条例上の根拠を必要とすると定めるのみで、期末手当の支給割合、支給金額を幾らにするかについては、期末手当に関する条例を定める当該地方公共団体の議会の裁量判断に委ねられていると解される。

(3) そこで、本件期末手当の支給割合に関する加古川市議会の議決が、裁量権を逸脱又は濫用するものか否かについて検討すると、そもそも期末手当の支給割合は、経済状況、財政状況、他の普通地方公共団体との比較等を考慮しつつ決せられる政策的判断であるが、本件期末手当が支給された平成元年一二月及び平成二年六月における加古川市議会議員に対する期末手当の支給割合を兵庫県下の他市の市議会議員のそれと比較すれば、別紙一記載のとおりであって、その支給割合は、洲本市を除く他の市のそれと一致し、加古川市議会の議決のみが突出しているわけではない。

国会議員の期末手当の支給割合は、歳費月額及びその歳費月額に一〇〇分の二五を乗じて得た合計額に、特別職の職員の給与に関する法律(昭和二四年法律二五二号、以下「特別職職員給与法」という。)の規定により期末手当を受ける職員の例により一定の割合を乗じて得た額とされており(歳費法一一条の二第二項、国会議員の歳費、旅費及び手当等の支給規定一四条(昭和二二年七月一一日両院議長協議決定、官報昭和二二年七月二二日)、特別職職員給与法七条の二)、具体的には、平成元年一二月及び平成二年六月に支給された国会議員の期末手当の支給割合は、前者が2.375か月分、後者が1.875か月分であって、これと加古川市議会議員の期末手当の支給割合が特段多いものではない。

(4) 以上の事実に照らせば、議員報酬条例の制定、改正により定められた期末手当の支給割合が法二〇三条により加古川市議会に与えられた裁量権の範囲内のものであって、裁量を超え又はそれを濫用したものでないことは明らかであり、そのことは、たとえ議会議員の期末手当の支給割合が一般職の公務員の当該月に支給される期末手当と勤勉手当を合わせた支給割合と近似又は同一の支給割合の数値であったとしても同様である。

(二) 本件調査研究費の適法性

(1) 本件調査研究費は、議会運営に係る調査、他都市における制度、施設の状況の調査等、各会派の活動を支援し、市政の発展と住民福祉の向上を目的として、法二三二条の二に基づいて、会派に交付される補助金であり、加古川市長は、昭和五一年二月四日、次のように交付要綱を定めた。

交付対象 様式第一号により議長を経て市長に届け出た会派(二条)

使途目的 市政に関する調査研究に要する経費の一部に充てるため(一条)

交付金額 会派に属する議員の数を基準として、予算の範囲内で市長が定める(四条)

使用状況報告 会派の代表者が、当該会派の経理責任者の報告に基づき、補助金の使用状況を議長を経て市長に報告(五条)

返還 会派が一条に定める目的に反して補助金を支出したとき、又は当該会計年度中に補助金を使用しなかったとき、市長は交付決定の全部又は一部を取り消し、補助金の返還を求める(六条)

右交付要綱に基づき、加古川市においては、各会派に対し、議員一人あたり二万円(月額)で算出した金額の調査研究費を交付していたが、加古川市の財政事情の悪化により、昭和五一年度から昭和五六年度第3四半期まで調査研究費の交付が中断し、昭和五六年度第4四半期から、調査研究費が復活した。この間、昭和五六年の調査研究費の復活に当たり、議員一人あたり三万円(月額)で算出した金額に、昭和六二年度には、議員一人あたり五万円(月額)で算出した金額にそれぞれ増額されている。

平成元年度の調査研究費補助金である本件調査研究費も交付要綱に基づき別紙二記載のとおり、議会事務局長の決裁を経て交付された。

(2) 法二三二条の二は、寄付又は補助は公益上の必要がある場合にすることができると定めるが、補助金とは特定の団体、特定の事項又は事業の経費に充てるために交付される金銭を意味し、各会派の活動を支援する目的で交付される調査研究費は補助金に該当する。

そこで、調査研究費に公益上の必要性が認められるか否かが問題となるが、公益上の必要性の判断に当たっては、補助金交付の目的及び趣旨、補助金交付を受ける個人又は団体の性格及び活動状況、補助金交付によって期待される効果等諸般の事情を考慮すべきであるところ、会派に対する調査研究費は、その目的において、市議会議員が会派において互いに研鑽を加え、市議会議員としての能力を高め、また、政策等について検討を加えるために交付されるもので、その成果においても、市議会議員の調査研究活動が活発に行われることは市民も期待するところであり、市民一般の利益につながるものである。

以上のように会派に対する調査研究費は、その目的及び効果において、国会における議員立法に関する調査研究を推進するため、国会内の各会派に対し、国会における各会派に対する立法事務費の交付に関する法律(昭和二八年法律五二号)に基づき交付される立法事務費となんらかわるところはない。

使途についても制限が課され、目的に反して使用された場合には、加古川市長はその返還を求めうるし(六条)、また、四半期毎に補助金使用状況報告書(五条)が提出されており、公正な経理が行われるように支出手続及び事後の検査体制も確立している。

(3) したがって、本件調査研究費は、原告が主張するような第二報酬やヤミ給与といえるものではなく、法律上支出の根拠を有する補助金に該当する。

(三) 以上のとおりであって、原告の請求はいずれも理由を欠く。

四  原告の認否及び反論

1  被告の主張に対する認否

本件期末手当が支給された平成元年一二月及び平成二年六月における兵庫県下の他市の市議会議員の期末手当の支給割合は、別紙一記載のとおりであることは認める。

2  原告の反論

(一) 市議会議員の報酬及び費用弁償は、普通地方公共団体が支給の義務を負うものであるが、議会の議員に期末手当を支給するかどうかは全く当該普通地方公共団体の任意であり、当該規定があるからといって、当然議会議員に対して期末手当の支給を行うべきと解すべきではない。

(二) また、期末手当とは、現在の給与体系からすれば国又は地方公共団体から生活給的色彩を持つ給与を受けている職員、たとえば給料を受けて自己及び家族の生計を維持している常勤職員についてなじむものであり、純然たる勤務に対する反対給付としてのみの意味を持つ報酬を受けている非常勤職員については、理論的に充分根拠があるものとはいい難いので、本条の適用に当たっては、額の決定その他について慎重に考慮を払うべきものである。

(三) 加古川市議会議員の期末手当は、昭和四九年までは議員報酬条例のとおり支給されていたが、昭和四九年一二月から、条例を改正することなく、一般職職員の期末手当と勤勉手当を合計した割合である六月に1.9か月分、一二月に2.5か月分、三月に0.5か月分の合計4.9か月分を支給されている。

原告は、昭和五四年七月一六日、右期末手当の支給について監査請求をしたところ、同年九月に中崎監査委員が市長に是正の措置を講ずべきことを勧告し、市長は、その勧告に応じて議員報酬条例の改正案を提出した。

(四) 補助金使用状況報告書は、信用することができない。

第三  証拠関係<省略>

理由

一訴訟要件について

1(一)  地方自治法所定の住民訴訟の制度においては、監査請求前置主義を採用しており、適法な住民監査請求がなければその要件を充足せず、このことは、適法な監査請求がないのに監査委員が誤ってその内容について判断したとしても同様であり、それによって適法な監査請求があったことになるわけではない。

(二)  原告が、本件訴えに先立って、加古川市監査委員に対し本件調査研究費に関する住民監査請求をしたこと及びそれに対して右監査委員が、「本件監査請求は、これを認めることはできない。」として右監査請求を棄却したことは、当事者間に争いがない。

2  監査請求の特定性について

(一)  被告は、本件調査研究費についての監査請求は特定性を欠いて不適法であると主張するので、この点について検討する。

(二)  法二四二条一項の規定に基づく住民監査請求は、普通地方公共団体の住民に、当該普通地方公共団体の執行機関又は職員による一定の財務会計上の行為又は怠る事実(以下、財務会計上の行為又は怠る事実を「当該行為等」という。)について、その監査と非違の防止、是正の措置とを監査委員に請求する権能を認めたものであるが、具体的な違法行為についてその防止、是正を請求する制度である住民訴訟の前置手続として位置づけられている(法二四二条の二第一項)こと、違法又は不当な当該行為等があることを証する書面を添えて請求すべきものとされている(法二四二条一項)こと、当該行為のあった日から一年を経過したときは原則としてこれをすることができない(同条二項)こと、その他事務の監査請求の制度(法七五条)との対比等からみて、その対象は一定の具体的な当該行為等に限定されており、それ以上に、一定の期間にわたる当該行為等を包括して、具体的に特定することなく監査委員に監査を求めるなどの権能までも認めたものでないと解するのが相当である。

したがって、住民監査請求においては、対象とする当該行為等を監査委員が行うべき監査の端緒を与える程度に特定すれば足りるわけではなく、監査請求書の記載及び当該事実等を「証する書面」等によって、当該行為等を他の事項から区別して特定認識できるように個別的、具体的に摘示することを要し、また、当該行為等が複数である場合には、当該行為の性質、目的等に照らしこれらを一体とみてその違法又は不当性を判断するのを相当とする場合を除き、各行為等を他の行為と区別して特定認識できるように個別的、具体的に摘示することを要すると解せられる。

(三)  <書証番号略>によれば、本件監査を請求する書面である「加古川市長違法措置請求書」には、「調査研究費一人月額五万円、年間六十万円、三十七人で二千二百二十万円は、俗に言う第二報酬であり、ヤミ給与である。」「加古川市議会の第二報酬であり、ヤミ給与である。」「加古川市議会の会派に対する調査研究費交付要綱第五条の市長に対する使用状況を報告する規定を無視し、永年に亘り無報告という杜撰な現状である。」「『天に口無し人を以て言わしむ』私は天の声を二度聞いております。一度は、補助金は全部分け取り、二度目は、会派で必要な経費を引いて残りは分配するとのことである。」という記載のあることが認められる。

以上の記載を総合すると、原告が求めているのは、加古川市議会議員三七人の一年分の調査研究費についての監査であり、その主張している事実は、会派に支給された調査研究費補助金の全部又は会派の必要経費を引いた残額を当該会派所属の議員が分配しており実質上は各議員のヤミ給与というべき状態になっており、この状態は永年にわたり継続され、その間、交付要綱五条が義務づける市長に対する使用状況の報告も怠っているというものであると認められる。

この主張を吟味すると、原告が問題としているのは、本件調査研究費について、政治資金に使ったとか遊興費に使ったとかいうような一定期間中にされた種々の行為やその使途についてなどではなく、永年にわたり会派所属議員に分け取りされてきたと原告が主張するような調査研究費補助金の交付という制度そのものについてであることは明らかである。そうすると、原告は、加古川市の調査研究補助金制度全体を一体とみてその違法又は不当性を主張していると解することができる。

但し、原告が本件調査研究費のうち、一年分に相当する金額のみを指摘しているのは、当該行為のあった日又は終わった日から一年を経過したときは、正当な理由があるときを除き、監査請求をすることができないという監査請求制度の制約にしたがったものと推認することができるから、原告は、監査請求をした直前の会計年度すなわち平成元年度分の調査研究費補助金についての監査を求めていると解するのがその真意にかなうであろうし、合理的な解釈であるということができる。

(四) したがって、原告の監査請求の対象は、監査委員が監査をするについて特に支障がない程度には特定されているということができる。

3  「証する書面」について

(一)  被告は、本件監査請求には、当該行為等を「証する書面」の添付がないから違法である旨主張するので、その点につき検討する。

(二) 法二四二条一項は、「(当該事実等を)証する書面を添え、……請求することができる。」と規定し、住民監査請求の際に「証する書面」の添付を求めている。

法がこのような規定を設けた趣旨は、主に監査事務の遂行をその本来の目的に則してより有効適切に行いうるよう請求内容を特定しようとする行政上の便宜のためであると同時に、事実に基づかない単なる憶測や主観だけで監査を請求することの弊害を防止することにある。

しかし、証拠力の有無やそれが事実であるかどうかということは、監査委員の監査によって初めて結果が明らかになってくるのであり、また、個人の権利保護を目的とするものではなく、公財政の管理・運営に対する住民による監視をそのねらいとしているという住民監査請求の制度の趣旨からすれば、監査を開始するかどうかという監査請求の段階において添付すべき「証する書面」としては、監査を求める行為等に該当すべき事実を具体的に指摘しているものであれば足り、そのようなものであるならば、特別の形式は不要であり、かつ、それが事実の証明にどの程度役立つかどうかの吟味も不要であって、監査請求者作成の文書でも足りると解すべきである。

(三)  前掲証拠によれば、前記認定事実のほか、本件監査請求の書面は、一枚目の「加古川市長違法措置請求書」と題する書面及び二枚目の「事実証明書」と題する書面からなっており、事実証明書の方には、特に本件調査研究費にいての記述はなく、他に本件調査研究費に関する書面は添付されていないことが認められる。

しかし、加古川市長違法措置請求書には、前記認定のとおりの記載があり、これによると、原告は本件調査研究費を各会派の所属議員で分け取りしているという天の声を二度聞いたというのであるが、他方、その天の声というのは人の口を介して初めて人にわかるというのである。そうすると、結局この記載部分は、原告が人から二度に亘り補助金分け取りの事実を聞いたという趣旨の陳述書の性質をもつ文書と解することも可能である。

そして、原告が問題としているのは、個々の補助金の使途ではなく、議員が分け取りしているような補助金の交付制度そのものについてであるから、それを「証する書面」も、さほど詳細なものでなくともこの程度の陳述の記載があれば、実質的に記載されているということができる。

ただ、本件監査請求においては、その記述が、形式的には、添付されている事実証明書にあるのではなく、加古川市長違法措置請求書自体の中にあり、いわば、本件調査研究費に関しては、監査請求書と「証する書面」が一通の文書を構成しているのである。しかし、本件において、法律の専門家でてない原告に、請求する書面と「証する書面」の厳密な区別を期待することは相当ではなく、監査請求書の中に、「証する書面」に相当する記載はあるが、独立した「証する書面」は添付されていないという形式を捉えて、監査請求を不適法とすることも相当ではない。

しかも、前掲<書証番号略>によれば、本件では調査研究費補助金る関する監査請求に対しても、監査委員は、請求の特定や「証する書面」の添付について特に問題とすることなく、監査結果を出しているのであり、この点からしても、監査請求書中に「証する書面」に相当する記述があるとみなすことにつき、何ら不都合はなかったというべきである。

(四) したがって、本件調査研究費に関する監査請求には、その交付が違法であることを「証する書面」が添えられているものということができる。

4  よって、本件調査研究費に関する監査請求は、その対象の特定の点でも、「証する書面」の添付の点でも違法ということはできず、したがって、適法な監査請求を経たものということができるから、本件訴えは適法である。

二本案について

1  本件支給について

被告が加古川市長の職にあること、被告が、加古川市長として、加古川市の市議会の議員に対して、平成元年一二月一〇日に期末手当2.5か月分及び平成二年六月二九日に期末手当2.5か月分をそれぞれ支給したこと並びに市議会の各会派に対して平成元年度の調査研究費補助金合計二二二〇万円を交付したことは、当事者間に争いがない。

2  本件期末手当の違法性について

(一)  本件期末手当の支給の根拠

本件期末手当の支給は、平成元年一二月一〇日支給分については旧々議員報酬条例五条(昭和五四年一二月二六日加古川市条例四六号)、平成二年六月二九日支給分については旧議員報酬条例五条(平成元年一二月二二日加古川市条例二五号)の各条例の規定に基づき、法二三二条の三及び二三二条の四並びに加古川市財務規則(昭和四四年五月三一日規則一三号)に従って行われた加古川市議会の議員に対する平成元年一二月分及び平成二年六月分の期末手当としての支出負担行為及び支出命令である。

原告は、この本件支給の根拠となった議員報酬条例の規定は違憲、違法であるから本件支給も違法であると主張するので、まず、右条例が違法であるか否かについて判断する。

(二)  議員報酬条例の違法性について

(1) 平等原則違反

① 原告は、加古川市において、市議会の議員に対して、議員報酬条例に基づき、実質上、一般職職員の期末手当に勤勉手当を合算したものを期末手当として支給しているが、これは、一般職の職員と比べて、合理的な理由がないのに異なった取扱をするものであり、憲法一四条一項に違反すると主張する。

② 普通地方公共団体の議会の議員の期末手当については、法は、「普通地方公共団体は、条例で、その議会の議員に対し、期末手当を支給することができる。」(法二〇三条四項)と規定し、その「額並びにその支給方法は、条例でこれを定めなければなら」ず(同条五項)、「いかなる給与その他の給付も法律又はそれに基づく条例に基づかずには、これを支給することはできない。」(法二四二条の二)としている。これらの規定は、従来、非常勤職員に対しては、報酬及び費用弁償の支給を義務づけ、その額及び支給方法を条例で定めることを要求していたものの、これらの種類の給与以外の給付についてはなんら規定がなく、条例の規定すらも必要とせず、単なる予算措置のみで性質の曖昧な給付が支給されていたので、歳費法によって国会議員に対して期末手当が支給されることとの均衡を考慮して、地方公共団体の市議会の議員に対する期末手当の支給に法的根拠を与えるとともに、支給の有無、額及び方法について法律又はそれに基づく条例で定めるものとして、給与体系の公明化を図ったものである。

しかし、これらの規定は、期末手当の支給について条例上の根拠を必要とすると定めるだけで、その額及び支給方法に関する基準又は原則等について何ら具体的に定めておらず、他にそれらについて定める規定も存しない上、議員に対する期末手当の支給に関しては、一般職の職員に対する給与決定の諸原則(地方公務員法二四条等)の適用もない。

したがって、議会の議員に対する期末手当の額及び支給方法については、議会の裁量的判断に基づく議決によって決定されるところの条例に委ねるとするのが法の趣旨であると解され、議会の議員に対する期末手当の額について条例で定められた以上、その条例は、違憲若しくは違法又は議会の裁量権の逸脱若しくは濫用がない限り違法となることはない。

③ そこで、本件支給の根拠となった議員報酬条例を検討すると、右条例による議会の議員の期末手当の支給割合が、それぞれ支給当時、一二月に支給する場合は2.5か月分、六月に支給する場合は1.9か月分であり、これが、それぞれ当時の一般職職員の期末手当と勤勉手当を合計したものに一致することは当事者間に争いがなく、期末手当だけを取り上げれば、議員に対する支給割合の方が一般職職員の支給割合よりは高い。

しかし、議会の議員は一般職職員とは勤務形態も職務内容も異なっており、期末手当のみを取り上げて単純にその多寡を比較することは相当ではないし、議会の議員の期末手当の支給割合が一般職職員の期末手当と勤勉手当の支給割合の合計と一致するからといって、それだけで一般職職員と比較して不当に多額の手当を支給したということはできず、他に支給割合について合理性を欠くような事情も窺うこともできないから、本件期末手当に関する議員報酬条例の規定が憲法一四条の平等原則に反するということはできない。

(2) 給与条例主義違反

① 原告は、議会の議員に対して、一般職職員の期末手当及び勤勉手当を合計したものを期末手当として支給するのは、その勤勉手当に相当する部分については実質上は、支給について法の定めがない勤勉手当を議会の議員に対し支給することにほかならず、条例に基づかない支給を禁ずる法二〇四条の二に反し、ひいては、法律の範囲内で条例を定めることができると規定する憲法九四条にも違反する旨主張する。

② 前記のように、議員の期末手当の額及び支給方法について、法は、議会の裁量的判断に基づく議決によって決定されるところの条例に委ねるとする趣旨であり、議員報酬条例五条は、まさしく、その法の趣旨に則って定められたものであって、その議員報酬条例において、期末手当の具体的な支給割合が定められているのである。

そして、議会の議員は一般職職員とは勤務形態も職務内容も異なっているのであるから、議会の議員の期末手当の支給割合が一般職職員の期末手当と勤勉手当の支給割合の合計と一致するからといって、それだけで議会の議員に対して実質的に勤勉手当を支給したことにならないことはいうまでもない。

③ また、原告は、加古川市においては、従来議会の議員に対し条例どおりの期末手当を支給していたところ、昭和四九年から議員報酬条例を改正することなく一般職の期末手当と勤勉手当を合計した割合を支給するようになったが、昭和五四年の原告の監査請求に基づく監査委員の勧告によって、議員報酬条例の期末手当の支給割合を一般職の期末手当と勤勉手当を合計した支給割合と同一とするように改正したと主張する。この趣旨は必ずしも明らかではないが、そのような経緯があるから、一般職職員の期末手当(従来の議会の議員の期末手当)を超える部分は実質上勤勉手当に当たると主張しているようにも解することができる。

<書証番号略>(訂正書込み部分を除く。)、<書証番号略>によれば、加古川市では、従来、一般職の職員の期末手当について、加古川市職員の給与に関する条例(昭和二八年条例九号)に「予算の範囲内で……。」と規定し、議会の議員に対しては、議員報酬条例によって、「職員の例により、一定の割合を乗じて得た額とする。」と規定していたが、昭和五四年に、市民から、議員に勤勉手当はないとする監査請求が出され、これについて、監査委員が「条例上、不明確な点がある。」と市長に勧告し、その結果、議会に、市議会議員の期末手当の支給率を明文化する旨の議案が提出されることになったことが認められる。

以上の事実を総合すると、議会の議員に対する期末手当の支給率を、条例に明文化するための、議案が議会に提出されるに至ったのは、加古川市では、従来議員に対する期末手当の支給基準が不明確であり市民に疑義を招くおそれがあったことによるという事情は窺われるものの、それ以上に、原告主張のように、昭和四九年から、条例の規定を改正せずに、実質上勤勉手当に当たるような報酬を支給していたという事実を認めることはできず、他にも、加古川市議会の議員に対する期末手当中、一般職職員に対する期末手当の支給割合を超過する部分が実質上勤勉手当に当たると認めるに足りる証拠はない。

④ したがって、市議会議員の期末手当の支給について定めた加古川市の議員報酬条例の規定は、法律又はそれに基づく条例に基づかない支給を禁ずる法二〇四条の二を濳脱するものということはできず、それゆえ、法律の範囲内で条例を定めることができると規定する憲法九四条にも違反しない。

(3) 裁量違反

① 原告は、期末手当についての条例の実態は地方公共団体ごとに極めて区々で混乱状態にあり、熊本県八代市においては、平成元年まで、期末手当の支給割合は、六月支給分が1.7か月分、一二月支給分が3.8か月分であると主張する。この趣旨は必ずしも明らかではないが、八代市の期末手当と比較すると、加古川市議会議員に対する期末手当の支給割合を定める条例は、議会の裁量権を逸脱又は濫用しているとの主張にも解することができる。

② 普通地方公共団体の期末手当の支給割合は、当該地方公共団体の経済状況、財政状況及び他の普通地方公共団体とのそれらとの比較などを総合考慮して決定される政策的な裁量判断であるが、本件期末手当が支給された平成元年一二月及び平成二年六月における兵庫県下の他市の市議会議員に対する期末手当の支給割合が別紙一記載のとおりであることは当事者間に争いがない。また、国会議員の期末手当の支給割合は、歳費月額及びその歳費月額に一〇〇分の二五を乗じて得た合計額に、特別職職員給与法の規定により期末手当を受ける職員の例により一定の割合を乗じて得た額とされており(歳費法一一条の二第二項、国会議員の歳費、旅費及び手当等の支給規定(昭和二二年七月一一日両院議長協議決定、官報昭和二二年七月二二日)一四条、特別職職員給与法七条の二)、平成元年一二月及び平成二年六月に支給された国会議員の期末手当の支給割合は、前者が2.375か月分、後者が1.875か月分である(原告の計算は、歳費月額とその一〇〇分の二五を乗じたものの合計額が一定額を乗じるべき基準となっていることを看過したものである。)。

以上の事実によれば、加古川市の期末手当の支給割合は、洲本市を除く他の兵庫県下の市のそれと同一であり、とくに突出しているわけではなく、また、国会議員の期末手当の支給割合と比較しても特段多いものということはできない。

③ また、原告は、期末手当とは、現在の給与体系からすれば、国又は地方公共団体から生活給的色彩をもつ給与を受けて自己及び家族の生計を維持している常勤職員についてなじむものであり、純然たる勤務に対する反対給付としてのみの意味を持つ報酬を受けている非常勤職員については、慎重に考慮すべきであると主張する。この趣旨は必ずしも明らかではないが、非常勤である市議会議員に生活給的色彩の強い期末手当を支給するのは望ましいことではなく、その裁量の範囲は相当程度収縮しているとの主張であるとも解することができる。

しかし、仮にそうであったとしても、法二〇三条四項は、法律又はそれに基づく条例に基づかない給付を禁じる法二〇四条の二の規定が新設されたときに、国会議員との権衡から制定されたものであるから、本件のように支給割合が国会議員の期末手当のそれと大差がない場合にまで、裁量権の逸脱があるということはできない。

④ したがって、加古川市の議員報酬条例には、裁量権の逸脱又は濫用を認めることはできず、他に右条例について裁量権の逸脱又は濫用があると認めるべき事情も認められない。

(4)  以上のとおり、市議会議員の期末手当の支給について定めた議員報酬条例の規定には、原告主張のような違憲も違法もなく、したがって、この規定に基づく被告の本件期末手当の支給も、違憲又は違法な点はない。

(三)  本件調査研究費について

(1) 被告が、加古川市議会の各会派に対して、別紙二記載のとおり、平成元年度の調査研究費補助金合計二二二〇万円を交付したことは、当事者間に争いがない。

(2) 加古川市の調査研究費補助金は、法二三二条の二及び交付要綱に基づいて、市議会の各会派に交付される補助金である。

法二三二条の二は、「普通地方公共団体は、その公益上必要がある場合においては、寄付又は補助をすることができる。」と規定する。

補助金とは、政府又は地方公共団体から、地方公共団体又は私人等に対し行政上の目的で交付される現金的給付をいうが、<書証番号略>によれば、交付要綱一条には、補助金の交付は「加古川市議会の会派(以下「会派」という。)が行う市政に関する調査研究に要する経費の一部に充てるため」のものであると規定していることが認められるから、本件調査研究費は補助金に該当する。

また、公益上の必要性の有無の判断に際しては、補助金交付の目的、趣旨、補助金の交付を受ける個人又は団体の生活及び活動状況、補助金交付によって期待される効果等諸般の事情を考慮すべきであるところ、普通地方公共団体の議会は、当該地方公共団体の自主法である条例の制定、予算の議決、重要な契約の締結及び財産の取得・処分の決定等多くの行政的権限を有し(法九六条各号)、そして、これらの権限の行使には、市政全般に対する理解が不可欠であるから、その適切な行使のためには活発な調査研究が行われることが望ましく、本件調査研究費はそのために要する費用の一部を市が負担する趣旨であり、その交付を受けるのは議員の活動母体である各会派であり、その結果、会派の市政に関する調査研究が活発になり、議会の権限行使が有効適切に行われることが期待でき、ひいては市政全体の適切な運営も期待できるのであるから、制度の趣旨、交付の対象及びその効果の点において、国会における議員立法に関する調査研究を推進するため、国会内の各会派に対して、国会における各会派に対する立法事務費の交付に関する法律(昭和二八年法律五二号)に基づき交付される立法事務費となんらかわるところはなく、公益性があると認めることができる。

別紙一

期末手当支給状況調べ(県下21市)

H.3.6.10作成

市名

議員期末手当

平成元年12月

平成2年6月

期末

期末

神戸市

2.5

2.1

姫路市

2.5

2.1

尼崎市

2.5

2.1

明石市

2.5

2.1

西宮市

2.5

2.1

洲本市

1.9

1.5

芦屋市

2.5

2.1

伊丹市

2.5

2.1

相生市

2.5

2.1

豊岡市

2.5

2.1

龍野市

2.5

2.1

赤穂市

2.5

2.1

西脇市

2.5

2.1

宝塚市

2.5

2.1

三木市

2.5

2.1

高砂市

2.5

2.1

川西市

2.5

2.1

小野市

2.5

2.1

三田市

2.5

2.1

加西市

2.5

2.1

加古川市

2.5

2.1

別紙二

調査研究費補助金支出手続年月日一覧表

第1期

第2期

第3期

第4期

会派届出日

元.4.19

元.7.20

元.9.26

2.1.11

補助金交付申請日

元.4 19

元.7.20

元.9.26

2.1.11

補助金交付決定日

元.4 21

元.7.21

元.9.28

2.1.11

負担行為日

元.4 21

元.7.24

元.9.29

2.1.12

支出決定日

元.4 22

元.7.24

元.9.29

2.1.12

支払日

元.4 25

元.7.26

元.10.5

2.1.19

(3) ただ、原告は、この調査研究費補助金は、その全部又は会派の必要経費を引いた残高を会派所属の議員で分配し、実質上ヤミ給与になっているから、法二〇四条の二に反し違法であり、ひいては、法律の範囲内で条例を定めるという憲法九四条にも反すると主張するものと思われる。

しかし、原告主張のように、各会派所属の議員で補助金を分配していると認めるに足りる証拠はなく、前掲<書証番号略>によれば、かえって、交付要綱には、会派の代表者は一定の期日までに、当該会派の補助金の使用状況を、市長に報告しなければならず(交付要綱五条一項)、報告を行わない会派には交付の申請を禁止するという制裁が課され(同条二項)、会派が目的に反して補助金を支出したとき又は当該会計年度中に補助金を使用しなかったときは、市長は補助金の交付決定の全部又は一部を取り消して、補助金の返還を求める(同六条)ものとされており、現実にも、平成元年度においては、各会派の代表者は、概ね要綱に定める期間内に使用状況の報告をしており、その報告内容もとくに問題がある項目もないことが認められ、その報告書の信用性についてもそれを否定しなければならないような事実を認めることはできず、この補助金交付の制度は、その趣旨どおり運用されていることが推認できる。

(4)  以上のとおり、被告の本件調査研究費の交付は、その制度の点においても、現実の運用においても特別の違法を認めることができない。

(四)  以上のとおりであって、本件期末手当の支給及び本件調査研究費の交付はいずれも適法であるから、他に右支給及び交付を違法とするような特別の事情の認められない本件では、その余の点について判断するまでもなく、本件請求はいずれも理由がない。

三よって、原告の本訴請求はいずれも理由がないからこれを棄却することとし、訴訟費用の負担について行政事件訴訟法七条、民訴法八九条を適用して、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官辻忠雄 裁判官吉野孝義 裁判官北川和郎)

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