大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

盛岡地方裁判所 昭和44年(ワ)402号 判決 1969年12月23日

原告 佐々木市郎

被告 陳親鏡

参加人 柏山慶一

主文

被告の原告に対する盛岡簡易裁判所昭和四三年(ロ)第三九九号仮執行宣言付支払命令にもとづく強制執行を許さない。

参加人の参加申立を却下する。

訴訟費用は、原被告間において被告の負担とし、参加によって生じた訴訟費用は参加人の負担とする。

事実

原告の請求の趣旨及び原因は別紙第一記載のとおり。

被告は、請求棄却の判決を求め、請求原因事実はすべて認める、と述べた。

参加人の請求の趣旨及び原因は別紙第二記載のとおり。

なお、参加人は、昭和四四年一〇月二三日本件電話加入権を競落し当日代金五万円全額を納付して執行官より競売調書謄本の交付を受けた、と付加陳述した。

理由

本訴の請求原因事実はすべて当事者間に争いがないから、本訴請求は認容すべきである。

次に、参加申立について判断する。

参加人がその主張のように本件電話加入権を競落し、その代金全額を納付し、執行官から競売調書謄本の交付を受けたことは、原告、被告とも明らかに争わないからこれを自白したものとみなす。ところで、競落人が電話加入権を競落し代金全額を納付し競売調書謄本の交付を受けたときは、その競落人の権利取得は確定的であり(ただし、公社の承認を要することもちろん)、その後において、強制執行手続に対し執行停止の決定があり、更に、請求異議の訴が提起され、これに対し執行不許の判決がなされても、競落人の地位に何らの影響を及ぼさないと解される。競落人は、執行停止決定或いは請求異議事件の執行不許の判決にかかわらず、公社に対し承認を求めることができ(公社は承認を拒否することはできないと解される)、また、競落物件の引渡等は強制執行手続の付随手続として進行せしめられるものである。右の手続は執行停止決定により停止されない。したがって、本件参加申立は何らの利益も必要もないといわなければならない。よってこれを却下することとする。

よって、民事訴訟法八九条、九四条を適用して主文のとおり判決する。

(裁判官 石川良雄)

<以下省略>

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!
©大判例