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甲府地方裁判所 平成4年(ワ)49号 判決 1997年2月25日

原告

荒川建設工業株式会社

右代表者代表取締役

荒川雅晴

右訴訟代理人弁護士

関哲夫

被告

高根町

右代表者町長

大柴恒雄

右訴訟代理人弁護士

橋本勇

渡辺和広

主文

一  原告の各請求をいずれも棄却する。

二  訴訟費用は原告の負担とする。

事実及び理由

第一  請求

一  第一事件

被告は原告に対し二億三八八六万七〇五七円及びこれに対する平成四年九月一日から支払済みまで年5.875パーセントの割合による金員を支払え。

二  第二事件

1  被告は別紙物件目録一、二記載の各計画建築物について、平成四年二月六日に原告が被告に対してした給水契約の申込み(同目録一記載の計画建築物については、工事用仮設水道用施設に係るものを含む。)に対して承諾しなければならない。

2  被告は原告が別紙物件目録一、二記載の各計画建築物について、右各目録記載の給水装置から各水栓へ至るまでの水道設備を被告の工事指定店に請け負わせて設置することを妨害してはならない。

3  原告が前項の工事を依頼した有限会社峡北管工建設が右工事の施工をしない場合には、原告は他の地方公共団体の水道工事指定店に右工事を施工させることができる。

4  被告は前各項記載の給水装置の工事指定店から右給水装置に係る設計審査願及び工事完成検査願が提出された場合は、これを拒否してはならない。

第二  事案の概要

一  本件は、原告が、被告に対してした被告が経営する簡易水道事業の給水区域内に計画したリゾートマンションに係る給水契約の申込みについて、被告がこれを拒否したのは違法であるとして、不法行為に基く損害の賠償及び給水契約の申込みに対する承諾等を請求したものである。

なお、原告は、右損害賠償請求につき、予備的請求原因として、給水等を命じる裁判所の仮処分決定があるにも拘わらず、被告の町長が給水管埋設工事のために原告がした道路占用許可申請に応答せずこれを放置したのは原告への給水を阻止するための違法な行為であり、これが前記給水契約申込みについての拒否と一体として不法行為を構成する旨主張する。

二  争いのない事実

1  原告は主としてマンションの建設及び分譲を業とする会社であり、被告は山梨県北巨摩郡高根町内の簡易水道事業(以下「本件簡易水道」という。)を経営している。

2  原告は、本件簡易水道の給水区域内に別紙物件目録一(以下「清里Ⅱ」という。)及び同目録二(以下「清里Ⅳ」という。)の各分譲リゾートマンションの建設を計画し、清里Ⅱについて平成三年四月二三日に、清里Ⅳについて同四年三月三一日にそれぞれ建築基準法所定の確認を受けた。

3  原告は、平成二年八月ころから、被告との間で、本件簡易水道の清里Ⅱ及び清里Ⅳに対する給水計画について協議を重ねていたが、給水装置の新設等に伴う水道加入金の納付をめぐって両者の見解が次のとおり対立した。

(被告)

水道本管である町の配水管に接続する共用給水装置から個々の住戸部分、共用施設部分及び店舗への配水については、すべて口径一三ミリメートルの戸メーターを使用することとし、高根町簡易水道事業給水条例(以下「条例」という。)二七条に基き、原告は、被告に対し、給水装置新設等の工事の申込みの際、戸メーターの数(清里Ⅱの戸メーター数は一三四、清里Ⅳの戸メーター数は一五〇)に応じる各三〇万円の水道加入金(以下「本件加入金」という。)を支払うべきである。

(原告)

水道加入金は給水装置を新設、増設、又は改造する場合(以下「新設等」という。)に徴収するとされている(条例二七条)が、右給水装置は、被告が布設した配水管(本管)から分岐して設けられた給水管及びこれに直結する給水用具をいう(条例三条)のであるから、配水管に直結する共用給水装置以外の給水設備(子メーターを含む。)は右給水装置に含まれず、建築主において自由に設置することができる。

したがって、清里Ⅳについては、既存ホテルの給水装置をそのまま使用するため、給水装置を新設等することはないから、加入金を支払う根拠はない。また、清里Ⅱについては、共用給水装置に付設される親メーターは、口径三〇ミリメートルのものが一個、同二〇ミリメートルのものが七個であるから、加入金は合計二九〇万円となる。

原告は、右の二九〇万円の支払については協力するが、それ以上の金額の水道加入金を支払う意思はない。

4  原告は、平成四年二月六日、被告に対し、清里Ⅱ及び清里Ⅳに係る各給水契約の申込みをしたが、被告はこれを拒否した。

5  原告は、平成三年七月、甲府地方裁判所に対し、被告を債務者として仮の給水等を求める仮処分申請をし、同四年六月一一日にその認容決定を得、同月一七日、被告の町長に対し給水管埋設工事のために必要な前面町道の占用許可申請をしたが、同町長はこれに何ら応答しなかった。

三  主たる争点

被告が本件加入金の支払を拒絶している原告の給水契約の申込みを拒否したことにつき、水道法一五条一項の「正当の理由」があるといえるか。

四  主たる争点についての当事者の主張

(原告)

本件加入金の支払拒絶は、以下に述べるとおり「正当の理由」に該当しない。

1 原告は、本件加入金の支払義務を負担しない。

水道加入金の中には受益者負担金である分担金(地方自治法二二四条)に当たるものがあるが、これは、新たな給水区域に水道を引くような特別の利益がある場合に限って課することができるものであって、清里Ⅱ及び清里Ⅳはいずれも既設の給水区域内にあるから、分担金を課することは許されない。

水道加入金の法的性格は寄付金であって、その納入義務は私法上の契約に基いて発生するというべきであるから、仮に条例における水道加入金に関する条項が法規の趣旨で規定されたのであれば、割当的寄付を禁止した地方財政法四条の五、租税法律主義、水道利用における差別禁止(地方自治法二四四条三項、水道法一四条四項四号)に違反し、無効である。

そして、原告は、被告に対し一貫して本件加入金の支払契約締結を拒絶しているから、その支払義務を負担していない。

地方公共団体である水道事業者については、給水契約の約款である供給規程につき厚生大臣の認可は必要とされず、料金変更につき同大臣に対する届出義務があるにすぎない。しかし、国は認可取消し、供給条件改善命令等の強力な指揮監督手段によって、地方公共団体である水道事業者の事業内容の適正を確保することになっている。厚生省通達による標準給水条例は、民間水道事業者の供給規程における認可基準に相当する機能を営んでおり、各種附合契約に対する国の行政的介入の趣旨から、地方公共団体が制定する給水条例の内容のうち約款たる供給規程に該当する部分については、右標準条例に反することは許されない。そして、右標準条例には、水道加入金に関する定めはない。したがって、条例における水道加入金に関する条項は、供給規程の一部をなすものではないから、給水契約の約款に含まれないといわなければならない。

仮に水道加入金に関する条項が約款に含まれるとしても、それは経済的強者である水道事業者によって一方的に決定されたものであるから、原告が本件加入金の支払についての被告の主張には応じかねる旨明確に表明している以上、原告と被告との間の給水契約には右条項に関する部分は含まれない。

また、条例が加入金支払契約の締結を義務づけているとすれば、それは、一方的に私法上の義務を負担させることを意味するから、私法秩序の形成であり、同時に財産権の直接の侵害にあたることになるので、無効である。

2 仮に原告が本件加入金の支払義務を負うとしても、被告が給水契約の申込みを拒否することは許されない。

水は人の生存に極めて重要な物資であるから、水道法一五条一項の「正当の理由」に当たるとするには、給水停止についての同条三項の例示事項を考慮し、料金不払いに匹敵するような水道法固有の違反、または、よほど重大な正義に反する特段の事情の存在を要するものと解すべきである。

水道加入金は、水道法及びこれに基づく厚生省の通達のいずれによっても認知されていないし、条例が定めるような超高額な水道加入金を支払う経済的余裕のない需用者は、これを支払わない限り建物への入居が不可能となってしまう。そうなれば、附合契約の規制がめざす経済的弱者保護の理念が滅却されることとなる。

(被告)

被告が、原告の給水契約の申込みを拒否したことについては、以下に述べるとおり水道法一五条一項の「正当の理由」がある。

1 地方公共団体の経営する水道事業にあっては、その経費はその経営に伴う収入をもって充てなければならない。したがって、その経費を需用者に負担してもらうことになるが、その負担の方法は、当該地方公共団体の置かれている社会的、経済的状況を勘案したうえで、一定の政策判断を加えて決定されるべきものである。水道法における料金は、一定の期間の個別消費量に対応した対価を指すものと解されるので、水道加入金はこれに当たらないが、水道経営に必要不可欠なものであり、継続的かつ安定的な給水と対価関係に立つものである。水道法が料金以外の負担を禁じていると解さなければならない根拠はなく、同法一四条一項にいう「その他の供給条件」として水道加入金の負担を求めることは許される。

2 水道法一五条一項は、需用者が同法一四条一項の供給規程に定める供給条件を承諾したうえで行う給水契約の申込みを前提にしている。被告は条例の定めと異なる契約を締結することは許されないのであるから、水道加入金に関する条例の定めに従わないことを明らかにしたうえでの原告の給水契約の申込みにつき、被告が、原告の右態度を理由にこれを拒否したのは当然のことである。

3 本件において、水道法一五条一項の「正当の理由」の有無について判断するには、水道事業をめぐる自然的、社会的、経済的条件、水道事業の実体、水道事業の従前の経緯、既存の需用者との公平などを総合考慮し、水道加入金の必要性を検討する必要があるが、被告の経営する水道事業には、以下のような諸事情がある。

① 高根町は地形的に急峻であることなどから、もともと給水設備に多額の投資を要する。

② 町の定住人口に匹敵するほどの観光客が存在し、しかも、これが夏期に集中するため、一時的な水需要増大に対応する設備が必要である。

③ 本件簡易水道は、町内の簡易水道組合の事業を統合したものであるが、水源は乏しく、施設も老朽化しているため、水源開発、施設の補修・新設に多額の資金を要する。

④ 右簡易水道組合の施設は、組合員の人的・物的負担により建設されたものであり、ほとんどの組合において新規加入者から権利金を徴収していた。

⑤ 町内における給水先戸数の増加についてみると、近年、常時水道を使用しない別荘の増加が顕著である。

⑥ 簡易水道事業特別会計に一般会計から財源を繰り入れるのにも限度があり、右特別会計においては、水道加入金が重要な財源となっている。

以上のような諸事情を総合すると、本件簡易水道の財政的基盤を維持する収入源として、水道加入金は必要不可欠である。

このような水道加入金負担の拒絶を当初から明らかにしている者に対し、その給水契約の申込みを承諾しなければならない理由は全くない。これを拒否できないとすれば、水道事業の経営の根幹を揺るがし、事業そのものの破綻を来すことになる。

第三  当裁判所の判断

一  水道事業者が需用者からの給水契約の申込みを拒否しうる要件として水道法一五条一項が規定する「正当の理由」については、生活必需物資である水の重要性、清浄にして豊富低廉な水の供給を図り、もって公衆衛生の向上と生活環境の改善とに寄与することを目的とする水道法の趣旨に鑑みると、これを厳格に解釈する必要があることはいうまでもない。右「正当の理由」があるといえる場合としては、同法一六条が定める給水装置の構造及び材質の基準不適合のほか、配水管未布設地区における給水契約の申込み、給水量の著しい不足など客観的に給水が不可能である場合をあげることができるが、「正当の理由」があるとされる場合を一義的に定めることは困難であり、水道法の目的・趣旨、同法一五条三項などの関連規定に照らし、水道事業の適正な運営を図る見地から給水契約の申込みを拒否することが正当として是認できるか否かを、拒否するに至った諸般の事情を総合して個々具体的に判断すべきである。

二  本件においては、本件加入金の支払拒絶を理由として給水契約の申込みが拒否されていることから、まず水道加入金の性格及び本件加入金の算定について検討する。

1  条例二七条一項は、「給水装置を新設、増設、又は改造する者から水道加入金(以下「加入金」という。)を徴収する」旨規定し、同条四項は、「加入金は、当該工事の申し込みの際納入しなければならない。」旨規定している。給水装置の新設等の工事は、新たに給水契約の申込みをしようとする者が最初に行うものであるから、右条項は、被告が給水契約の申込みを承諾する前提として水道加入金の事前納付を求めているものというべきである。そして、条例は水道法上の供給規程として制定されたものとみられるから、右の水道加入金納入に関する規定は、水道法一四条一項にいう「その他の供給条件」に該当するものと解される。したがって、水道加入金の性格が、地方自治法上の分担金、課徴金、寄付、あるいは水道料金であることを前提とする原告の主張は採用することができない。

2  ところで、前記第二、二3のとおり、清里Ⅱ及び清里Ⅳについての水道加入金総額について、原告、被告双方の見解の間には大きな相違があることから、この点について検討する。

原告は、水道法及び条例の定める「給水装置」には子メーターは含まれないから、これらに関し水道加入金を徴収する条例上の根拠はないと主張する。しかしながら、条例二七条三項は、共同住宅等の場合に一戸当たりの水道加入金の金額を一律に三〇万円とする旨定めているところ、原告の主張を前提とすると、共同住宅においては常に共同給水装置を設置し、それから各戸に配水することによって、各戸ごとに水道加入金の負担が生じないことになるから、新規需用者に対し水道加入金の負担を求める条例の趣旨が没却されることは明らかであるし、同じ共同住宅でありながら、共同給水装置の有無によって水道加入金の負担額に大きな差が生じるのは不合理である。したがって、各戸ごとに水道加入金の負担を求める被告の見解は合理的である。また、原告は、清里Ⅳにつき水道加入金の負担はありえない旨主張しているが、新たにマンションに建て替える以上、被告が、その各戸ごとに水道加入金の負担を求めることも合理的である。

三  そこで、被告が、本件加入金の支払拒絶を理由として、原告の給水契約の申込みを拒否したことについて「正当の理由」があるといえるかについて、以下検討する。

1  証拠(乙八ないし二二、二五、二六及び証人下條重樹の証言)によれば、以下の事実が認められる。

(一) 高根町は、山梨県北端の山間地に位置し、南北約二〇キロメートルに渡って傾斜地状の地勢にあり、山や谷が多いうえ、集落も標高六〇〇メートルから一二〇〇メートルの間に多数散在している。

そのため、本件簡易水道においては、給水配管を効率的に配置することが困難であり、水源である湧水、井戸からの取水・送水及びダム用水の送水につきポンプ等の施設も相当数必要であることから、これら施設の維持・整備に多額の費用を要する実情にある。また、町内には水源がもともと乏しいため、水需要の増大に応じるための新水源開発にも費用を充てなければならない。

(二) 本件簡易水道は昭和六三年ころに町内の各地区ごとの簡易水道組合を統合したものであって、その施設は、これらの組合のものを継受しているため、老朽化しており、配水管の布設替えその他の施設の維持・補修に多額の資金を要する。

(三) 高根町の定住人口は一万人に満たないが、観光の中心地である清里高原には、通年延べ人員でみて定住人口の0.8倍ほどの観光客が流入する。特に観光シーズンである七、八月には、年間の月平均流入数の約三倍の数の観光客が流入し、その時期の水需要が一時的に増大するという特殊事情があり、これに対応する水源、施設の整備・維持が大きな課題となっている。これまで、清里地区における夏場の水需要に応じるため、ボーリングによって水源を確保したという経緯もある。また、近年、常時水道を使用しない別荘が増加する傾向にある。

(四) 高根町では、長期的な計画を立てて、これまで水道管の布設替え、水源の確保等の施設整備を進め、今後も多額の投資をする必要があるが、重要な水源である峡北地域広域水道企業団からの大門ダム用水の受水について今後供給量増加は見込めないこともあって、増大する水需要に対する供給確保は容易でない状況にある。

(五) 右(二)の簡易水道組合の各施設は、組合員の人的・物的な負担によって開発、維持されてきたものであるため、ほとんどの組合において従前、新規加入者に権利金の負担を求めていた。

(六) 本件簡易水道事業特別会計に係る歳入歳出をみると、近年、歳入につき、一般会計予算から一億円を超える金額の繰入れをしており、他方歳出においても多額の公債費の返済をしている実情にある。歳入には補助金もあるが、その交付額はそれほど多くない。

2 右1の事実を総合すると、高根町においては、水資源がもともと乏しく、その開発が容易でないうえ、地勢上給水施設の整備・維持にも多額の資金を要するところ、更に多数の観光客の流入、別荘等の増加による一時的ないし季節的な水需要の増大に対処しうる施設整備が要請されているということができる。ところが他方、これらの定住人口以外の需用者の水需要は、季節的・経済的要因によって左右される部分が大きいから、その需要に応える施設を整備する費用に見合う水道料金をもたらすほど安定的な需要でないことが推測される。また、水道加入金収入相当額をすべて水道料金に転嫁することは可能であるとしても、それは、水道料金を年間を通じて負担する定住住民に過重な負担を強いることになるとともに、従前これらの者らが人的・物的負担によって水道施設を整備・維持してきたこととの関係でも均衡を失するという考え方も一概に無視することはできない。このようにみると、本件簡易水道における水道加入金には、水道施設の便益享受に当たって応分の負担を求めるという意味で、給水と対価性を有する面があることは否定できないから、多種多様な政策課題を抱える地方公共団体の財源に限りがある以上、被告が、水道加入金を、本件簡易水道の経営において重要な財源と位置づけていることを不合理ということはできない。

3 本件簡易水道における水道加入金の金額は、他の自治体の場合に比して高額であり、特に口径一三ミリメートルのメーターの場合は突出して高額といえる(乙二)。しかしながら、高根町においては、前記事情があるほか、水源不足対策として口径一三ミリメートルのものを使用するよう指導していたとみられること(甲七)、他の自治体の口径二〇ミリメートル以上の場合の水道加入金の金額、新たに開発された分譲地における水道加入金の実情(乙五)を総合して考察すると、条例の規定に基づく本件加入金が、著しく高額で不合理ということはできない。

4 水が人の生存に不可欠なものであることは明らかであるが、そのことと、原告が本件加入金の支払を拒絶したことを理由として給水契約の申込みを拒否することが許されるか否かとは自ずから別問題である。そして、水道法一五条三項が料金不払を給水停止事由として明示していること、前述の本件簡易水道における水道加入金の必要性に鑑みると、水道加入金の支払拒絶を理由として給水契約の申込みを拒否することは一切許されないというのは相当でない。

他方、原告の計画建築物の規模に照らせば、原告が被告が指示した本件加入金を支払うことが困難であるとはいえないし、原告が、資金繰りの事情から、一時支払猶予を求めたことも認められない。また原告は、リゾートマンションを建築、分譲する目的で給水契約の申込みをしたのであって、緊急に生活用水を必要とする立場になかったことも明らかである。

5 以上の検討結果を総合して判断すると、原告が、合理的な理由がないのに、条例に基づく供給条件としての本件加入金の納入を拒絶することを明示してした給水契約の申込みについて、被告がこれを拒否したことは、正当として是認すべきものであるから、水道法一五条一項の「正当の理由」があるというべきである。

四  したがって、被告の右給水契約申込みについての拒否が違法とはいえないから、これが不法行為に当たるとして損害賠償を求める第一事件の請求は理由がない。

なお、前記第二、一記載の、給水管埋設工事のための道路占用許可申請に対し被告の町長が応答しなかったことをもって違法とし、これが右給水契約の申込みについての拒否と一体となって不法行為を構成するとの主張は、前述のとおり右給水契約の申込みについての拒否に「正当の理由」があるといえる以上、右町長の不作為と原告主張の損害との間には因果関係があるということはできないから、理由がない。

五  第二事件の各請求は、被告が原告の給水契約申込みを拒否したことに「正当の理由」があるといえないことを前提とするものであるが、前述のとおり右前提を欠くから、いずれも理由がない。

(裁判長裁判官生田瑞穂 裁判官高木順子 裁判官佐藤和彦)

別紙物件目録<省略>

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