大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

浦和地方裁判所 昭和54年(わ)270号 判決 1979年6月04日

本籍

埼玉県浦和市高砂二丁目三一番地

住居

同県同市高砂二丁目六番一号

和楽器販売修理業

大河内正敏

大正九年一月二日生

主文

1. 被告人を懲役八月及び罰金七五〇万円に処する。

2. 被告人において右罰金を完納することができないときは、金二万円を一日に換算した期間被告人を労役場に留置する。

3. この裁判確定の日から二年間右懲役刑の執行を猶予する。

理由

(罪となるべき事実)

被告人は、埼玉県浦和市高砂二丁目六番一号において「駒井楽器」の名称で和楽器販売業を営む大河内真佐子の夫であり、同女にかわって右「駒井楽器」の業務全般を統括していたものであるが、右大河内真佐子の業務に関し、同女の所得税を免れようと企て、売上金の一部を除外して架空名義で預金したり債券を購入したりする等の行為により、所得の一部を秘匿したうえ、

第一  昭和五〇年中における大河内真佐子の実際の総所得金額は二、九六一万一、〇一二円であったのにかかわらず、昭和五一年三月一二日、同県浦和市常盤四丁目一一番一九号所在の浦和税務署において、同税務署長に対し、昭和五〇年分の総所得金額は三一三万一、二九一円で、これに対する所得税額は三八万八、三〇〇円である旨の虚偽の所得税確定申告書を提出し、そのまま法定納期限を徒過させ、もって、不正の行為により、大河内真佐子の同年分の正規の所得税額一、二二三万四、二〇〇円と右申告税額との差額一、一八四万五、九〇〇円を免れ、

第二  昭和五一年中における大河内真佐子の実際の総所得金額は二、六九五万六、二一九円であったのにかかわらず、昭和五二年三月一二日、前記浦和税務署において、同税務署長に対し、昭和五一年分の総所得金額は三七三万二、一一三円で、これに対する所得税額は五一万九、一〇〇円である旨の虚偽の所得税確定申告書を提出し、そのまま法定納期限を徒過させ、もって、不正の行為により、大河内真佐子の同年分の正規の所得税額一、〇七九万九、八〇〇円と右申告税額との差額一、〇二八万七〇〇円を免れ、

第三  昭和五二年中における大河内真佐子の実際の総所得金額は三、七四七万二、五六五円であったのにかかわらず、昭和五三年二月二〇日、前記浦和税務署において、同税務署長に対し、昭和五二年分の総所得金額は四五二万八、〇五三円で、これに対する所得税額は五七万二、八〇〇円である旨の虚偽の所得税確定申告書を提出し、そのまま法定納期限を徒過させ、もって不正の行為により、大河内真佐子の同年分の正規の所得税額一、六七六万三、二〇〇円と右申告税額との差額一、六一九万四〇〇円を免れ

たものである。

(証拠の標目)

一、被告人の当公判廷における供述

一、被告人の検察官に対する供述調書四通

一、被告人の大蔵事務官に対する質問てん末書一三通

一、被告人作成の答申書八通

一、次の者らの検察官に対する各供述調書

大河内真佐子(二通)、棚沢健三、鈴木理恵子、湯沢や江、湯沢保夫(二通)

一、次の者らの大蔵事務官に対する各質問てん末書

大河内真佐子(五通)、棚沢健三、鈴木理恵子(二通)、鈴木啓之(三通)、小田一二、福田修二、鈴木城、湯沢や江、湯沢保夫

一、次の者ら作成の各答申書

忠内正之(二通)、菊地静也、横山皖一(二通)、生見秀道(三通)、西田肇吾、森田晃輔、川崎昭、村田喬彬、嶋田恵司(四通)、高田俊、松岡素直、山田昭久、小林洋祐、入山卯八郎、宮内博、山崎章、池田清三、磯貝由喜夫、大島要三(二通)、河野肇、中田貞男、柴田一雄、永見晋、三島頼考、小川賢、谷畑清治、中川真澄、山田孝太郎(二通)、鈴木久芳、村田通三、高野幸雄、小安正一、椚太平、三枝佳二、中島定夫、石橋保一、光安広行(二通)、池田旭、中田弘司、堀田喜矩三、小田茂留、檀上俊明、乾源治、村田保男、矢ケ崎博、田中彰、西川宗一郎、古山美義、小出将博、金子和、井橋万蔵

一、次の者ら作成の各供述書

佐藤久、長谷部邦二、小磯賢一、金子健三、斉藤武一、小林秀通、飯尾道行、浅川栄一、桜井明

一、次の者ら作成の各証明書

忠内正之、生見秀道、小泉稔、野上徳二、森田晃輔、市川久雄、佐多邦夫、川崎昭、嶋田恵司(二通)、松岡素直、佐藤悟

一、浦和税務署長作成の証明書三通

一、浦和市収納課長作成の証明書

一、大蔵事務官作成の調査書一三通

(法令の適用)

一、判示各所為について

いずれも所得税法二四四条一項、二三八条一項、二項(懲役刑と罰金刑を併科)。

二、併合罪の処理について

1. 判示各罪は刑法四五条前段の併合罪。

2. 懲役刑につき、同法四七条本文、一〇条(犯情の最も重い判示第三の罪の刑に法定の加重)。

3. 罰金刑につき、同法四八条二項。

三、労役場留置について

刑法一八条。

四、懲役刑の執行猶予について

刑法二五条一項。

公判期日に出席した検察官 竹本義男

(裁判官 渡辺修明)

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!
©大判例