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浦和地方裁判所 昭和54年(わ)1373号 判決 1980年3月12日

裁判所書記官

大島和雄

本店所在地

埼玉県戸田市大字下笹目九〇五番地の一

秋元産業株式会社不動産部

(右代表者代表取締役秋元清)

本店所在地

同市笹目南町三六番地一五号

有限会社秋茂産業

(右代表者取締役秋元茂治)

本籍

同市大字美女木三二五二番地

住居

右同

会社役員

秋元清

昭和五年四月二七日生

右の者らに対する各法人税法違反被告事件につき、当裁判所は、検察官山口勝之出席のうえ審理して、次のとおり判決する

主文

1. 被告人秋元産業株式会社不動産部を罰金三、九〇〇万円に、被告人有限会社秋茂産業を罰金一、四〇〇万円に、被告人秋元清を懲役二年に、それぞれ処する。

2. 被告人秋元清に対し、この裁判確定の日から三年間、右刑の執行を猶予する。

理由

(罪となるべき事実)

被告人秋元産業株式会社不動産部は、埼玉県戸田市大字下笹目九〇五番地の一に本店を置き、被告人有限会社秋茂産業は、同市笹目南町三六番一五号に本店を置いて、いずれも不動産の売買及び仲介業等を営むもの、被告人秋元清は被告人秋元産業株式会社不動産部の代表取締役でかつ被告人有限会社秋茂産業の実質上の経営者として、右両会社の業務全般を統轄していたものであるが、被告人秋元清は

第一  被告人秋元産業株式会社不動産部の業務に関し、法人税を免れようと企て、架空の販売手数料を計上し、よって得た資金を、個人で仮名の預・貯金としたり、割引債券や土地購入資金に充てるなどの不正な方法により、所得の一部を秘匿したうえ

一、昭和五〇年一〇月一日から同五一年九月三〇日までの事業年度における同会社の所得金額が、二億五、〇四七万二、九一六円で、これに対する法人税額が、一億六、二二五万八、一〇〇円であるにもかかわらず、同五一年一一月三〇日、同県川口市西川口四丁目六番一八号所在の西川口税務署において、同税務署長に対し、所得金額が、二、五二四万四、一一六円で、これに対する法人税額が、二、四四九万四、一〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もって不正の行為により、同会社の右事業年度における正規の法人税額一億六、二二五万八、一〇〇円との差額である法人税一億三、七七六万四、〇〇〇円を免れ

二、昭和五一年一〇月一日から同五二年九月三〇日までの事業年度における同会社の所得金額が、一億二、五八五万七、二二一円で、これに対する法人税額が、八、二四九万三、五〇〇円であるにもかかわらず、同五二年一一月三〇日、前記西川口税務署において、同税務署長に対し、所得金額が、三、二四三万三、八七五円で、これに対する法人税額が、二、三二九万六、九〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もって不正の行為により、同会社の右事業年度における正規の法人税額八、二四九万三、五〇〇円との差額である法人税五、九一九万六、六〇〇円を免れ

第二  被告人有限会社秋茂産業の業務に関し、法人税を免れようと企て、前同様の手段・方法により所得の一部を秘匿したうえ、昭和五二年三月一日から同五三年二月二八日までの事業年度における同会社の所得金額が、一億二、五四九万四、三〇三円で、これに対する法人税額が、七、四四二万五、二〇〇円であるにもかかわらず、同五三年四月二八日、前記西川口税務署において、同税務署長に対し、所得金額が、三五四万九、五〇三円で、これに対する法人税額が、一六七万二、五〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もって不正の行為により、同会社の右事業年度における正規の法人税額七、四四二万五、二〇〇円との差額である法人税七、二七五万二、七〇〇円を免れ

たものである。

(証拠の標目)

判示事実全般につき

一、被告人秋元清の当公判廷における供述

一、同被告人の検察官に対する供述調書一七通及び大蔵事務官に対する質問てん末書一九通

一、同被告人作成の答申書二通

一、次の者の検察官に対する各供述調書

霜田四郎(四通)、高木一雄(四通)、大野孝三(二通)、秋元茂治(七通)、中村林司、安井清一、高木春江、長島千代作、坂本稔、塩谷金一、秋元まさ、細渕義勇(二通)、中村時治(二通)、高木航記、秋元節子、(四通)、峰岸光子、小林正治、秋元吉男、秋元正男、内藤美樹雄(二通)、秋元弘代

一、次の者の大蔵事務官に対する各質問てん末書

中村林司(昭和五四年一〇月一八日付)、峰岸修、大野孝三(三通)、高木春江(二通)、長島千代作、植野久三、坂本稔、秋元まさ、細渕義勇、稲垣繁、細渕芳男、伊藤裕子(二通)、長谷川登、守屋元、稲垣弥之助、大野真一、横山利昭、横山阿江子、細渕敏雄、細渕藤太郎(二通)、須崎昌謙、寺尾辰造、長谷川新太郎、長谷川浩布、峰岸重二、大竹重二、中村正幸、石川昌光、小野田元宏、豊田節子、寺田ますみ、高木繁、奥墨善宜、水野光章、内藤美樹雄(二通)、大谷稔、秋元弘代

一、次の者の作成の各答申書

安井清一、伊藤春三郎、土屋和雄、堀米康、大須賀昌治、小林武、小林秀一、高橋重義、大竹重二、池原せつ子

一、次の者作成の各供述調書

長島千代作、藤原彰、中野重明

一、次の者作成の各証明書

増村孝、古屋雄三、佐伯俊一、佐藤悟、日本債券信用銀行総務部、坂本稔、堀米康、

一、大蔵事務官作成の次の各調査書、各調査関係書類及び各確認書

販売手数料に対する申告税額、納付税額調査書、不動産所有状況調査書、海外P/L・R/S調査書、埼玉銀行戸田支店調査関係書類二通、埼玉銀行宮原支店調査関係書類、現金・印影等確認書、現金・預金・有価証券等確認書、郵便貯金確認書

一、押収してある領収証綴三綴(金額・宛名欄等未記入の領収証一三枚を綴ったもの、同じく二枚を綴ったもの、同じく二七七枚を綴ったもの(但し、三七枚については右各欄の記入あり)、昭和五四年押第三五二号の14ないし16)、金銭借用証書綴二綴(同押号の17の1.2.)、普通預金・借入・貸付綴一綴(同押号の18)、普通預金、借入・貸付ファイル一冊(同押号の19)

判示冒頭の事実につき

一、浦和地方法務局登記官作成の登記簿謄本二通

判示第一の各事実につき

一、次の者の検察官に対する各供述調書

細渕秀雄、浅井隆次(四通)、大槻弘子(二通)、須賀久代(二通)、岩城トシ子

一、次の者の大蔵事務官に対する各質問てん末書

中村林司(昭和五四年四月一八日付)、池上松平(二通)、細渕由幸

一、西川口税務署長作成の証明書四通(納税義務官秋元産業株式会社不動産部関係分)

一、押収してある金銭出納帳一冊(昭和五四年押第三五二号の5)銀行勘定帳一冊(同押号の6)売買明細帳一冊(同押号の7)、売上帳一冊(同押号の8)、領収証綴九綴(同押号の11の1ないし9)

判示第一の一の事実につき

一、次の者の検察官に対する各供述調書

伊藤裕子(二通)、浅子繁

一、次の者の大蔵事務官に対する各質問てん末書

伊藤裕子、秋元武男、内田栄治郎、林佐吉、野村金之助、浅子七郎、鳥海寛司、細渕秀雄(三通)、田中大三、中村時治(二通)、鈴木鉄五郎、浅子繁

一、次の者作成の各答申書

細渕秀雄、高橋シズエ

一、大蔵事務官作成の脱税額計算書(昭和五四年一〇月二二日付)

一、押収してある総勘定元帳二冊(昭和五〇年九月期分及び同五一年九月期分、昭和五四年押第三五二号の1.2.)、伝票綴二綴(49・10~50・9分及び50・10~51・9分、同押号の20・21)、一人別給与源泉徴収簿(同押号の25・26)

判示第一の二の事実につき

一、三枝晃の検察官に対する供述調書

一、次の者の大蔵事務官に対する各質問てん末書

水村恒三、三角秀雄、萩原かや、石井清二、三枝、小島慶次郎、細渕又衛(二通)、池田健一(二通)、大野久雄、佐藤作弥、植野清一、大野六之、守屋寿太郎、野口明、中村徳太郎、三枝晃、秋元吉尾

一、阿部昭八作成の答申書

一、大蔵事務官作成の脱税額計算書(昭和五四年一〇月二四日付)

一、押収してある総勘定元帳二冊(昭和五二年九月期分、昭和五四年押第三五二号の3の1.2)、領収証綴一綴(同押号の13)、伝票綴二綴(51・10~52・9分及び52・10~53・9分、同押号の22・23)

判示第一の二及び第二の各事実につき

一、次の者の大蔵事務官に対する各質問てん末書

小林忠雄、竹内松男

判示第二の事実につき

一、次の者の大蔵事務官に対する各質問てん末書

高橋貫一(二通)、永堀武、野尻敏男、下川タマ、高橋康造、大野真吉、鈴木稔、大島光一、岩沢文夫、味田みよ

一、小林忠雄作成の供述書

一、黒沢昭八作成の答申書

一、西川口税務署長作成の証明書四通(納税義務者有限会社秋茂産業関係分)

一、大蔵事務官作成の脱税額計算書(昭和五四年一〇月二三日付)

一、押収してある総勘定元帳一冊(昭和五三年二月期分、昭和五四年押第三五二号の4)、無標題の帳簿二冊(物件別土地台帳及び普通預金等明細の帳簿、同押号の9、10)、領収証綴八綴(同押号の12の1ないし8)、伝票綴一綴(52・3~53・2分、同押号の24)

(法令の適用)

一、被告人秋元産業株式会社不動産部に関し

(一)  判示第一の各所為につき

各法人税法一六四条一項、一五九条一項、二項。

(二)  併合罪の加重につき

刑法四五条前段、四八条二項。

二、被告人有限会社秋茂産業に関し

(一)  判示第二の所為につき

法人税法一六四条一項、一五九条一項、二項。

三、被告人秋元清に関し

(一)  判示各所為につき

各法人税法一五九条一項(各懲役刑選択)

(二)  併合罪の加重につき

刑法四五条前段、四七条本文、一〇条(犯情の最も重い判示第一の一の罪の刑に法定の加重)

(三)  刑の執行猶予につき

刑法二五条一項。

よって主文のとおり判決する。

(裁判官 渡辺修明)

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