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浦和地方裁判所 昭和52年(ワ)135号 判決 1978年12月21日

原告

後藤昌子

ほか一名

被告

徳武恵一

ほか二名

主文

一  原告後藤昌子に対し、

1  被告徳武恵一、同徳武初夫は、各自金二一〇九万九三九〇円及び内金二〇〇九万九三九〇円に対する昭和五一年五月一四日から、内金一〇〇万円に対する昭和五三年一二月二二日から各完済まで年五分の割合の金員を、

2  被告倉沢ウメは、金一七五八万九三九〇円及び内金一六五八万九三九〇円に対する昭和五一年五月一四日から、内金一〇〇万円に対する昭和五三年一二月二二日から各完済まで年五分の割合の金員を、

支払え。

二  原告柏原慶子に対し、

1  被告徳武恵一、同徳武初夫は、各自、金五八四万九三九〇円及び内金五五四万九三九〇円に対する昭和五一年五月一四日から、内金三〇万円に対する昭和五三年一二月二二日から各完済まで年五分の割合の金員を、

2  被告倉沢ウメは、金三七八万九三九〇円及び内金三四八万九三九〇円に対する昭和五一年五月一四日から、内金三〇万円に対する昭和五三年一二月二二日から各完済まで年五分の割合による金員を、

支払え。

三  原告らの被告らに対するその余の請求を棄却する。

四  訴訟費用は五分し、その二を被告らの負担とし、その余を原告らの負担とする。

五  この判決は、原告ら勝訴の部分に限り、仮に執行することができる。

事実

第一当事者の申立

一  原告ら

1  被告らは、各自、

(一) 原告後藤昌子に対し、金三四六六万四三八〇円及び内金三一五一万三〇七三円に対する昭和五一年五月一四日から、内金三一五万一三〇七円に対する昭和五三年一二月二二日から各完済まで年五分の割合の金員を、

(二) 原告柏原慶子に対し、金三六一〇万五九五二円及び内金三二八二万三五九三円に対する昭和五一年五月一四日から、内金三二八万二三五九円に対する昭和五三年一二月二二日から各完済まで年五分の割合の金員を、

支払え。

2  訴訟費用は被告らの負担とする。

3  仮執行宣言。

二  被告ら

1  原告らの請求を棄却する。

2  訴訟費用は原告らの負担とする。

第二当事者の主張

一  請求原因

1  当事者

原告後藤昌子(以下原告昌子という)は、訴外亡柏原佳孝(以下佳孝という)の妻、原告柏原慶子(以下原告慶子という)は佳孝の母である。

被告倉沢ウメは訴外亡倉沢昭弘(以下倉沢という)の母である。

被告徳武初夫(以下被告初夫という)は被告徳武恵一(以下被告恵一という)の父である。

2  本件事故の発生

(一) 日時 昭和五一年五月一四日午後一〇時三五分頃。

(二) 場所 浦和市田島四二三〇番地の一、県道浦和、東村山線秋ケ瀬橋上浦和口より約八〇メートルの地点。

(三) 事故車(一) 普通乗用自動車(練馬五六・た・七八二六)、倉沢運転、佳孝助手席に同乗(以下倉沢卓という)。

事故車(二) 普通乗用自動車(大宮五五・せ・二四二九)、被告恵一運転(以下徳武車という)。

(四) 事故態様 浦和方面から志木方面に向つて走行中の倉沢車と志木方面から浦和方面に向つて走行中の徳武車が道路センターライン上で正面衝突した。

(五) 結果 佳孝は頸椎脱臼骨折により即死。倉沢も即死。

3  被告らの責任

(一) 被告徳武恵一、倉沢昭弘

被告恵一及び倉沢は、自動車運転者として、道路の左側を走行し、前方を注視して運転し、対向車と衝突するような事故の発生を未然に防止すべき、従つて、衝突の危険発生を感知したときは直ちにブレーキをかけ衝突を回避すべき義務があるのに、これを怠つた。従つて、右両名は、民法七〇九条、七一九条により、共同不法行為者として責任がある。

(二) 被告初夫は、徳武重機と称し、重量物機械の運搬、据付、移動を業とし、被告恵一は、従業員として被告初夫の右事業に従事していたものである。被告初夫は徳武車を所有し、右自動車は徳武父子の右事業に使用され、且つ、被告初夫は、日常、被告恵一に対し、随時任意に同車を運転させていたものであるから、被告初夫は自賠法三条による運行供用者として責任がある。

(三) 被告倉沢ウメは、倉沢の不法行為による損害賠償の履行義務を相続により承継した。

4  損害

(一) 佳孝の葬儀、法事費 二一六万四七六〇円

内原告昌子の負担分 四二万七一二〇円

内原告慶子の負担分 一七三万七六四〇円

右の内訳は別紙のとおり。

(二) 佳孝の逸失利益 七六一七万三一二六円

(1) 佳孝は株式会社第一勧業銀行川口支店に勤務していたが、昭和五一年五月一四日死亡退職した。

(2) 佳孝が同銀行を満五五歳の定年まで在職した場合の給与等の予想収入は、別表1のとおり、一億八五四〇万六四〇〇円となるが、右金員から生活費として二分の一を控除した九二七〇万三二〇〇円から新ホフマン方式により年五分の中間利息を控除すると、その現価は五二〇九万八四二三円である。

(3) 佳孝が五五歳で退職する場合に支給される退職金は二三九九万七二〇〇円であるか、右金員から死亡退職による既払分四〇万三五〇〇円を差引いた二三五九万三七〇〇円から前同様中間利息を控除すると、その現価は九一六万二六〇二円である。

(4) 更に、佳孝は、五五歳で退職後六七歳まで一二年間稼働し得ると考えられるから、再就職時に退職時の年間収入七四七万円の半額である三七三万五〇〇〇円の収入を得るものとし、これを基礎として、逐年、一〇パーセントの昇給があるものとして計算すると、右一二年間の収入は八七八五万七三四〇円となるが、右金員から生活費として二分の一を控除した四三九二万八六七〇円から前同様中間利息を控除すると、その現価は一四九一万二一〇一円である。

(5) 原告昌子、同慶子は、相続により、右(2)ないし(4)の合計七六一七万三一二六円の各二分の一である三八〇八万六五六三円宛承継取得した。

(三) 慰藉料 各八〇〇万円

原告昌子は結婚生活二か月に満たぬ間に夫佳孝を失つた。

原告慶子は夫との離婚後女手一つで育て上げた息子佳孝を失つた。右のほか諸般の事情を考慮すると原告らの慰藉料は各八〇〇万円が相当である。

(四) 以上により、原告昌子の損害額は合計四六五一万三六八三円であり、原告慶子のそれは合計四七八二万四二〇三円である。

(五) 損害の填補

原告らは自賠責保険から三〇〇〇万一二二〇円を受領し、これを半額宛配分した。

(六) 右(四)から(五)を差引くと、原告昌子の損害額は三一五一万三〇七三円となり、原告慶子のそれは三二八二万三五九三円となる。

(七) 弁護士費用

原告らは、原告訴訟代理人に対し、本件訴訟の第一審判決言渡の日に、前記(六)の金額の一〇パーセント相当額を報酬として支払うことを約した。右によると、原告昌子は三一五万一三〇七円となり、原告慶子は三二八万二三五九円となる。

5  結論

よつて、原告らは被告らに対し、請求の趣旨記載の各金員と、これに対する弁護士費用相当額を除いた分については本件事故の発生の日である昭和五一年五月一四日から、弁護士費用相当額については本件訴訟の第一審判決の言渡の日の翌日である昭和五三年一二月二二日から各完済まで民法所定の年五分の割合による遅延損害金の支払を求める。

二  被告徳武恵一、同徳武初夫の請求原因に対する認否及び主張

1  請求原因1項は認める。

2  同2項の(一)ないし(三)及び(五)は認める。(四)は否認する。

3  同3項のうち、倉沢の過失の点及び徳武車の所有名義が被告初夫であることは認める。その余は否認する。

4  同4項のうち、(一)ないし(四)、(六)及び(七)はいずれも不知。(五)のうち原告らが三〇〇〇万円を受領した事実は認めるが、配分については不知。

5  本件事故は倉沢の過失により発生したものであつて、被告恵一には運転上の過失はない。又、徳武車に構造上の欠陥、機能の障害もなかつた。

三  被告倉沢ウメの請求原因に対する認否及び主張

1  請求原因1項は認める。

2  同2項の(一)ないし(三)及び(五)は認める。(四)は否認する。

3  同3項の(一)につき倉沢の過失の点は否認する。(二)は不知。(三)は争う。

4  同4項のうち(二)の(1)及び(五)は認め、その余は不知。

5  本件事故は、被告恵一の過失により発生したものであつて倉沢に運転上の過失はない。又倉沢車に構造上の欠陥、機能の障害もなかつた。

6  倉沢は、佳孝の依頼により、倉沢車の助手席に佳孝を同乗させたものである。本件事故当日倉沢車に同乗した佳孝及び尾花勝治は、国電京浜東北線南浦和駅で乗換えすることが多く、倉沢と顔見知りであつた。事故当日、佳孝らは南浦和駅近くで飲酒した後タクシーを待つていたところ、倉沢に出会い、事情を話して同乗を依頼したものである。従つて、いわゆる好意同乗であるから、過失相殺の法理により、損害額の算定につき斟酌されるべきである。

四  被告らの主張に対する原告らの認否

事故車の構造上の欠陥、機能上の障害は不知。その余はいずれも否認する。

第三証拠〔略〕

理由

一  請求原因1項の事実は当事者間に争いがない。

二  請求原因2項(本件事故の発生)については、(四)の事故の態様を除き当事者間に争いがなく、右事実に、成立に争いのない甲第二四号証の二、証人柏原靖典の証言により成立を認める甲第三〇号証の一ないし一三、第三一号証の一ないし二五によると、次の事実が認められる。

1  本件事故現場は、車両の通行量の極めて多い県道浦和、東村山線の秋ケ瀬橋上であり、道路の幅員は五・五メートル、センターラインの標示があり、制限時速は四〇キロメートル道路の両側端にはガードレールが設けられている。路面はアスフアルト舗装で平坦、直線乾燥しており、視界を遮る障害物はない。

2  事故現場には、道路の北側車線(徳武車の進行車線)内に、倉沢車が前部を西方に向け、屋根を下にして転覆し、右倉沢車の前部近く南側車線内に、徳武車が前部を東方に向けて停止しており、倉沢車の後部はガードレールに接している。右ガードレールの部分には付着していた泥が落ち、茶色の塗料が付着しており、倉沢車の転覆している場所の前部北側の路面に多量の血痕が付着している。又、倉沢車の後部付近から北側ガードレールに向つて長さ六・九メートルのタイヤ痕が路面に印されており、右タイヤ痕と北側ガードレールが接する付近のガードレールに窪みがあり、その付近の路面のアスフアルトが掘れた状況となつている。そして、事故車はいずれもその左前部が殆んど原型を止めない程に大破し、両車の停止している地点を中心に広範囲に亘りガラス片、自動車の部品が散乱している。

以上の事実が認められ、右認定を覆すに足りる証拠はない。

3  倉沢車に乗車していた倉沢と佳孝が即死したことは当事者間に争いがなく、被告徳武恵一本人尋問の結果によると、徳武車を運転していた同被告は頭蓋骨左前額部陥没骨折、膝関節複雑骨折、全身打撲の傷害を負つたことが認められる。

4  以上の事実によると、徳武車及び倉沢車は、本件事故直前共に、相当高速度で走行中、事故車の停止している地点付近において激突したものであること、路面の前記タイヤ痕とこれに連なるガードレールの窪み、路面の窪みなどは衝突直前倉沢車によつて形成されたものであること、従つて、衝突直前倉沢車は対向車線内を走行していることが推認され、右認定に反する証人尾花勝治、被告徳武恵一の各供述部分はいずれもたやすく措信することができない。

5  右事実に照らすと、倉沢車が衝突直前徳武車の進路内を走行したことが衝突の主たる原因と考えられるから、本件事故は倉沢の過失に起因することは明らかである。

徳武車について考えるに、前記のとおり、本件事故現場は、車両の通行量の極めて多い県道であつて、進路内に障害物等を発見した場合に回避し難い狭隘な橋梁上であり、しかも夜間であるから、自動車運転者としては右のような道路交通状況に応じ、他に危害を及ぼさないような速度と方法で運転する義務があるというべきところ、被告恵一が、制限時速四〇キロメートルをはるかに超えると推定される高速で右橋梁上を走行していたことは、右安全運転義務に違反したものというべきであり、右注意義務違反に起因して本件事故が発生したものということができる。

三  請求原因3項(被告らの責任)について

1  被告恵一は前記過失があるから、民法七〇九条、七一九条による損害賠償責任がある。

2  成立に争いのない甲第三号証の二及び被告徳武恵一本人尋問の結果によると、被告初夫は、徳武重機なる名称で機械等の重量物の運搬、据付業を営んでいること、本件事故当時、被告恵一は未成年(昭和三一年六月二三日生)であり、被告初夫の下で従業員として働いていたこと、徳武車は被告初夫の所有であり、被告恵一が、日常被告初夫の右事業及び徳武方の自家用として使用していたこと、本件事故は、被告恵一が友人に頼まれ自動車の部品を届けに富士見市に赴いた帰路であつたことなどが認められる。

右事実によると、被告初夫は、徳武車を自己のため運行の用に供していたものということができるから、自賠法三条による損害賠償責任がある。

3  倉沢には前記過失があるから、民法七〇九条、七一九条による損害賠償責任があるところ、成立に争いのない甲第四号証によると、被告倉沢ウメは倉沢の相続人であることが認められるから、同被告は相続により倉沢の損害賠償義務を承継したものというべきである。

四  請求原因4項(損害)について

1  葬儀費、法事費

証人後藤章雄の証言及びこれにより成立を認める甲第九号証、第一〇号証の一、二、第一一ないし第一四号証、第一五号証の一、二、第一六ないし第一八号証、第一九号証の一ないし三、第二〇号証の一、二、成立に争いのない甲第二一号証の一、二によると、佳孝の葬儀、法事費用として原告らがその主張の金員を支出したことが認められるが、右金員のうち、原告昌子につき二〇万円、同慶子につき六〇万円を本件事故に基づく損害として相当と認める。

2  逸失利益の相続分

(一)  佳孝が本件事故当時株式会社第一勧業銀行川口支店に勤務していたことは、原告らと被告倉沢ウメとの間において争いがなく、原告らと被告恵一、同初夫との間においては証人尾花勝治の証言によりこれを認めることができる。又成立に争いのない甲第一号証によると、佳孝は昭和二七年九月九日生であることが認められる。

(二)  証人後藤章雄の証言により成立を認める甲第二二号証の一ないし四によると、佳孝が満五五歳の定年まで右銀行に在職した場合の給与等の収入は別表2のとおりであり、昭和五一年六月から同八二年九月までの収入の合計は一億七七九六万五八〇〇円となることが認められる。右金額から佳孝の生活費として二分の一を控除し、ホフマン式により年五分の割合による中間利息を控除した現価は、五〇六四万円(一万円未満切捨、以下同じ)となる。

又、前記証拠によると、佳孝が満五五歳で退職する際に支給される退職金は二三九九万七二〇〇円であり、右金員から死亡退職による既払金四〇万三五〇〇円を差引くと、二三五九万三七〇〇円となることが認められ、右金員から前同様中間利息を控除した現価は九一六万円となる。

(三)  原告らは、佳孝の右銀行退職後の再就職による収入に基づく逸失利益を主張するが、定年後の再就職は確実性に乏しいばかりか、仮に再就職による収入があるとしても、本人の生活費を差引いてなお余剰があることまで予測することは困難であるから、再就職による逸失利益の喪失に基づく損害を認めることはできない。

(四)  従つて、佳孝の逸失利益は合計五九八〇万円となるところ、原告昌子は佳孝の妻であり、原告慶子は佳孝の母であることは当事者間に争いがなく、成立に争いのない甲第一、第二号証によると、佳孝の相続人は原告両名と佳孝の父高橋達之介であることが認められるから、法定相続分に従い原告昌子は二分の一である二九九〇万円を、原告慶子は四分の一である一四九五万円を、それぞれ承継取得したことになる。

3  慰藉料

前記甲第一、第二号証、証人後藤章雄の証言及びこれにより成立を認める甲第二三号証の一ないし四によると、佳孝は、昭和四六年三月愛媛県立八幡浜高等学校を卒業後上京し、同年四月株式会社第一銀行八重洲口支店に入社し、同四九年一〇月から株式会社第一勧業銀行川口支店に勤務していたものであること、原告昌子は昭和四五年三月藤村女子高等学校を卒業後株式会社住友銀行新橋支店に勤め、同四九年一〇月同銀行を退職し、同五一年三月一六日佳孝と結婚式を挙げ、同月二五日婚姻届出をして同人と婚姻生活を始めたが、二か月を経ずして夫を失つたこと、又、原告慶子は昭和三二年一〇月一五日夫達之介と離婚し、その後、同三八年四月から日動火災海上保険株式会社高松支店松山支部に勤務し、女手一つで佳孝を育て上げたことがそれぞれ認められ、その他本件に現われた諸般の事情を考慮すると、慰藉料として原告ら各五〇〇万円を相当と認める。

以上により、原告昌子の損害額は合計三五一〇万円となり、原告慶子の損害額は同二〇五五万円となる。

五  好意同乗による減額

証人尾花勝治の証言によると、佳孝は、本件事故当夜、同僚の尾花勝治と共に国電京浜東北線南浦和駅付近で飲酒し、帰宅すべくタクシー乗場に赴いたところ、同所で倉沢から声をかけられ、行先を告げると、「同方向だから乗せて行つてやる」旨倉沢車に同乗を勧められ、佳孝が助手席に、尾花は後部座席に乗車して走行中本件事故に至つたことが認められる。而して佳孝らが有償で倉沢車に乗車したことを認めるに足りる証拠はないから、佳孝らの右同乗はいわゆる好意同乗に該当する。このような場合、同乗者が運転者に対し事故による全損害の賠償を請求し得るとすることは信義則上相当でないから、前記同乗の目的、態様に照らし、被告倉沢ウメに対する関係において、原告らの前記損害額から一割を減額することとする。従つて、同被告に請求すべき原告らの損害額は、原告昌子が三一五九万円、同慶子が一八四九万円となる。

六  損害の填補

原告らが自賠責保険から三〇〇〇万一二二〇円を受領しこれを二分の一宛配分取得したことは、被告倉沢ウメとの間で争いがなく、被告恵一、同初夫との間では証人後藤章雄の証言によりこれを認める。そこで、原告らの前記損害額から各一五〇〇万六一〇円を控除すると、被告らが支払うべき金額は、原告昌子に対し、被告恵一、同初夫が各二〇〇九万九三九〇円、被告倉沢ウメが一六五八万九三九〇円、原告慶子に対し被告恵一、同初夫が各五五四万九三九〇円、被告倉沢ウメが三四八万九三九〇円となる。

七  弁護士費用

本件事案の内容、請求認容額等の事情に鑑み、原告昌子につき一〇〇万円、同慶子につき三〇万円を相当とする。

八  結論

1  以上の次第で、原告昌子に対し、被告恵一、同初夫は、各自、二一〇九万九三九〇円及び内金二〇〇九万九三九〇円に対する昭和五一年五月一四日から、内金一〇〇万円に対する本件第一審判決言渡の日の翌日である昭和五三年一二月二二日から、被告倉沢ウメは一七五八万九三九〇円及び内金一六五八万九三九〇円に対する昭和五一年五月一四日から、内金一〇〇万円に対する同昭和五三年一二月二二日から、各々完済まで民法所定の年五分の割合による遅延損害金を支払う義務があり、原告慶子に対し、被告恵一、同初夫は、各自、五八四万九三九〇円及び内金五五四万九三九〇円に対する昭和五一年五月一四日から、内金三〇万円に対する昭和五三年一二月二二日から、被告倉沢ウメは三七八万九三九〇円及び内金三四八万九三九〇円に対する昭和五一年五月一四日から、内金三〇万円に対する昭和五三年一二月二二日から、各々完済まで前同年五分の割合による遅延損害金を支払う義務がある。

2  よつて、原告らの本訴請求は右の限度で理由があるからこれを認容し、その余は失当として棄却することとし、訴訟費用の負担につき民事訴訟法八九条、九二条、九三条を、仮執行宣言につき同法一九六条を各適用して主文のとおり判決する。

(裁判官 蘒原孟)

別紙

佳孝の葬儀、法事費内訳

1 遺体輸送料等 一〇万五〇〇〇円

2 葬儀費(於上福岡市) 一五万七六六〇円

3 花代 二万円

4 念珠代 一万円

5 法号料 二万円

6 御布施 二万円

7 仏壇 五万二〇〇〇円

8 位牌 七万三三〇〇円

9 仏具 三万二七〇〇円

10 墓地代 一〇万円

11 墓石代 一一三万円

12 墓地工事代 二三万円

13 墓地使用権認可料 二万円

14 飛行機代(東京―松山) 一四万九一〇〇円

15 四十九日法要仕出代 四万五〇〇〇円

合計 二一六万四七六〇円

内 原告後藤昌子の負担分1ないし4、14の一部、15 四二万七一二〇円

原告柏原慶子の負担分5ないし13、14の一部 一七三万七六四〇円

別表1 収入予想表

<省略>

別表2

<省略>

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