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津地方裁判所 昭和48年(わ)212号 判決 1974年1月31日

本籍

三重県一志郡三雲村大字小野江三〇七番地

住居

同県桑名市柳原六八番地

会社役員

板崎喜内人

昭和一〇年九月一八日生

右の者に対する所得税法違反被告事件について、当裁判所は検察官加藤元章出席のうえ審理を遂げ、次のとおり判決する。

主文

被告人を懲役一年六月および罰金四〇〇〇万円に処する。

右罰金を完納することができないときは金二〇万円を一日に換算した期間被告人を労役場に留置する。

この裁判確定の日から三年間右懲役刑の執行を猶予する。

理由

(罪となるべき事実)

被告人は、大石商事株式会社桑名営業所の外務員として商品取引に従事するかたわら、自らも自己の計算において商品取引を営んでいたものであるが、不正にその所得税を免れようと企て、

第一  昭和四五年一月一日から同年一二月三一日までの所得金額は八一〇四万六八三一円であり、これに対する所得税額は四七八〇万三三〇〇円であるのにかかわらず、先物商品取引の精算益金を除外するなどの不正行為によってその所得の一部を秘匿したうえ昭和四六年三月九日、桑名市外堀町二四番地所在所轄桑名税務署において、同税務署長に対し、右年度における被告人の所得金額が六九〇万一九二〇円でこれに対する所得税額が七七万五九〇〇円である旨虚偽の記載をした所得税確定申告書を提出し、その差額である四七〇二万七四〇〇円の所得税をほ脱し

第二  昭和四六年一月一日から同年一二月三一日までの所得金額は二億六四七七万五四三一円であり、これに対する所得税額は一億八三一七万三九〇〇円であるのにかかわらず、先物商品取引の精算益金および外務員手数料収入を除外するなどの不正行為によりその所得の一部を秘匿したうえ、昭和四七年三月一五日前記桑名税務署において、同税務署長に対し、右年度における被告人の所得金額が一億一二九万二五八七円でこれに対する所得税額が六〇七六万二二〇〇円である旨虚偽の記載をした所得税確定申告書を提出し、その差額である一億二二四一万一七〇〇円の所得税をほ脱し

たものである。

(証拠の標目)

判示の各事実につき

一、被告人の当公判廷における供述

一、被告人の検察官および大蔵事務官に対する各質問てん末書

一、被告人作成の各上申書

一、牛島猛雄(二通)、小林昭三、福承、伊藤博郎、黒宮康、武田幹男、山口拡平、山根陸生、小寺祐詞、水谷清六、笠井繁信、佐倉豪、甚野寿、小林優、蘇原一威、橋本巧一、大村由夫、大石良弘、高坂豊彦、木村忠男、武内周一、藤田忠孝、和具幹夫、川田武、中江進、小野高重、桑名税務署長奥知庄次郎(三通)、寺沢友保、玉崎允三作成の各証明書

一、武田幹男、伊藤春彦、後藤勝男、後藤四郎、奥田逸司(二通)、吉本均、田辺一男、江本湧一、落合昭男、辰見吉光、内田彪、村岡道三(二通)、田村利雄、秦和生、田中忠、板崎大之亟、鈴木栄(二通)作成の各上申書

一、金子幸男、石原義正、刀禰俊雄、檜垣勇夫、山口典和、田中清一、伊藤一郎、内田彪、清水公也、井後正道、仲西勇、名村正博作成の各回答書

一、大蔵事務官作成の告発書

一、大蔵事務官作成の現金有価証券等現在高確認書

一、大蔵事務官作成の調査報告書二通

一、大蔵事務官作成の郵便貯金に関する調査報告書

一、板崎詠子(二通)、後藤四郎(三通)、辰見吉光(五通)、大石敏郎、鈴木栄(三通)、高馬茂、近藤祐次、大久保純吉(三通)、吉田祐雄(三通)、鈴木樹(二通)、伊藤武男、大橋幸一、山田鎮、太田義夫、山田多計治、佐竹兼夫、横井秀幸、藤田忠孝、種村豊高、板崎日出彦、古川正之(二通)、丹羽幸一(二通)、高橋暁(二通)、金海太一こと金太一、藤野芳一、片山愛弘、伴光春、吉田正幸、大橋昇、林勇一の大蔵事務官に対する各質問てん末書

一、押収してある借用書一綴(証第一号の一ないし一〇)、登記済権利書、不動産売買契約証書、領収書一袋(証第二号の一ないし三)、登記済証、不動産売買契約書、領収書一袋(証第三号の一ないし三)、登記権利証書、登記申請書一袋(証第四号の一ないし三)、領収書、請求書、メモ一綴(証第五号)、無題ノート一冊(証第六号)、領収書、請求書等一袋(証第七号)、無題ノート一冊(証第八号)、領収書、請求書等二袋(証第九号、第一〇号)、出納日報(桑名)一綴(証第一一号)、委託者別先物取引勘定元帳一綴(証第一二号)、委託者別証拠金現在高帳一綴(証第一三号)、先物取引受渡計算帳一綴(証第一四号)、証拠金元帳(四五年分)一綴(証第一五号)、委託者別先物取引勘定元帳(四五年)一綴(証第一六号)、委託者別先物取引勘定元帳(四六年)一綴(証第一七号)、委託者別先物取引勘定元帳の一、二、一綴(証第一八号)、委託者別先物取引勘定元帳の一、一枚(証第一九号)、委託者別先物取引勘定元帳の二、一枚(証第二〇号)、先物取引受渡計算帳一枚(証第二一号)、委託者別委託証拠金現在高帳一綴(証第二二号)、委託者別先物取引勘定元帳の一、一枚(証第二三号)、委託者別先物取引勘定元帳の二、二枚(証第二四号)、委託者別証拠金現在高帳一枚(証第二五号)、委託者別勘定元帳三綴(証第二六号ないし第二八号)、委託者別証拠金現在高帳二綴(証第二九号、第三〇号)、委託者別先物取引勘定元帳一、二、一綴(証第三一号)、委託者別委託証拠金現在高帳一綴(証第三二号)、委託者別先物取引勘定元帳二綴(証第三三号、第三四号)、委託者別委託証拠金現在高帳二綴(証第三五号、第三六号)、伊藤史郎に対する控訴関係書類一綴(証第三七号)、総勘定元帳一綴(証第三八号)、不動産売買契約書一通(証第三九号)、領収証控一冊(証第四〇号)

(法令の適用)

被告人の判示各所為はそれぞれ所得税法第二三八条に該当するところ、所定刑の懲役刑と罰金刑とを併科することとし、以上は刑法第四五条前段の併合罪であるから、懲役刑については同法第四七条本文、第一〇条により犯情の重い判示第二の罪の刑に法定の加重をし、罰金刑については同法第四八条第二項により各罰金額を合算し、その刑期および金額の範囲内で被告人を懲役一年六月および罰金四〇〇〇万円に処し、同法第一八条により被告人において右罰金を完納することができないときは金二〇万円を一日に換算した期間被告人を労役場に貿置することとし、情状により同法第二五条第一項を適用してこの裁判確定の日から三年間右懲役刑の執行を猶予することとする。

よって主文のとおり判決する。

(裁判官 上本公康)

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