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水戸地方裁判所 昭和56年(わ)144号 判決 1981年5月19日

本店の所在地

茨城県新治郡出島村大字戸崎二七一八番地

法人の名称

富士精罐株式会社

代表者の住居

茨城県新治郡出島村大字戸崎二七一八番地

代表者の氏名

金岡義守

本籍

茨城県新治郡出島村大字戸崎二七一八番地

住居

同県土浦市沖宿町一六九四番地の二

職業

会社役員

金岡文景

大正九年八月一四日生

主文

1  被告会社を罰金七〇〇万円に、被告人金岡文景を懲役八月に各処する。

2  被告人金岡文景に対し、この裁判の確定した日から二年間右刑の執行を猶予する。

3  訴訟費用は全部被告会社及び被告人金岡文景の平等負担とする。

理由

(罪となるべき事実)

被告会社富士精罐株式会社は、茨城県新治郡出島村大字戸崎二七一八番地に本店を置き、道路安全施設等の製造及び販売等を営むものであり、被告人金岡文景は、昭和三八年一一月被告会社の代表取締役に就任し、昭和五六年三月三一日辞任(同年四月三日登記)するまで、代表取締役として、その業務全般を統括していたものであるが、被告人金岡文景は、被告会社の業務に関し、法人税を免れようと企て、架空材料仕入を計上し、売上の一部を除外するなどしたうえ、架空名義の銀行預金にするなどの方法により所得を秘匿し、

第一  昭和五二年五月一日から昭和五三年四月三〇日までの事業年度における被告会社の実際所得金額が六、七六四万三、二三八円で、これに対する法人税額は二、四七九万七、〇〇〇円であったのにかかわらず、同年六月二八日、同県土浦市城北町四番一五号所在の所轄土浦税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が三、三九〇万二、八一三円で、これに対する法人税額が一、一三四万一、七〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もって不正の行為により正規の法人税額と右申告税額との差額一、三四五万五、三〇〇円を免れ

第二  昭和五三年五月一日から昭和五四年四月三〇日までの事業年度における被告会社の実際所得金額が八、二一四万三、二〇四円で、これに対する法人税額は三、〇四六万六、六〇〇円であったのにかかわらず、同年六月二九日、前記土浦税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が三、四六六万八、一九六円で、これに対する法人税額が一、一五二万三、一〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もって不正の行為により正規の法人税額と右申告税額との差額一、八九四万三、五〇〇円を免れ

たものである。

(証拠の標目)

判示事実全部について

一  被告人金岡文景の当公判廷における供述

一  被告人の検察官に対する供述調書二通

一  富士精罐株式会社の登記簿謄本二通

一  畔見正夫、金岡義守、小島喜久恵、飯田家直、小舩望及び佐藤伊三郎の検察官に対する各供述調書

一  検察官古江頼隆作成の捜査報告書

一  大蔵事務官塚田忠幸作成の水戸刑務所への売上調査書

一  国税査察官南雲和夫作成の水戸少年刑務所に売上げた材料等の調査報告書

一  水戸少年刑務所長佐藤稔男作成の昭和五五年八月一九日付答申書

一  株式会社関東銀行本店営業部長長嶋章作成の証明書

一  大蔵事務官木村徹男作成の関東銀行本店調査関係書類

一  水戸少年刑務所長佐藤稔男作成の昭和五五年三月三一日付答申書

一  大蔵事務官塚田忠幸作成のたな卸金額調査書及び昭和五五年二月二〇日現在の原材料たな卸調査書

一  大蔵事務官手塚喜義作成のたな卸確認書

一  大蔵事務官矢島義幸作成の売上(出荷)数量調査書

一  富士精罐株式会社常務取締役金岡義守作成の答申書三通

一  大蔵事務官矢島義幸作成の架空仕入金額調査書

一  大蔵事務官高林進ほか一名作成の静岡朝鮮信用組合富士支店調査関係書類

一  大蔵事務官藤沢範男ほか二名作成の太陽神戸銀行土浦支店調査関係書類

一  大蔵事務官小林繁治朗ほか三名作成の常陽銀行桜町支店調査関係書類

一  姜敏夫の大蔵事務官に対する質問てん末書

一  大蔵事務官南雲和夫作成の簿外貸付金(代表者)調査書

一  大蔵事務官矢島義幸作成の支払手数料調査書

一  大蔵事務官塚田忠幸作成の預金及び預金利息金額調査書

一  金岡文景作成の答申書

一  株式会社常陽銀行桜町支店支店長藤江秀夫作成の答申書

一  株式会社太陽神戸銀行土浦支店支店長椎熊旭作成の答申書

一  静岡朝鮮信用組合富士支店支店長姜敏夫作成の答申書

一  大蔵事務官南雲和夫作成の預金利息(仮払金)調査書

一  大蔵事務官塚田忠幸作成の価格変動準備金調査書、減価償却費調査書、及び事業税認定損(未納事業税)調査書

一  土浦税務署長作成の証明書五通

一  長岡肖朋の大蔵事務官に対する質問てん末書

(法令の適用)

一  被告会社

1  判示各所為について 法人税法一五九条一項、一六四条一項

2  併合罪の処理について 刑法四五条前段、四八条二項

3  訴訟費用の負担について 刑事訴訟法一八一条一項

二  被告人金岡文景

1  判示各所為について 法人税法一五九条一項(懲役刑選択)

2  併合罪の処理について 刑法四五条前段、四七条本文、一〇条(犯情の重い判示第二の罪の刑に加重)

3  刑の執行猶予について 刑法二五条一項

4  訴訟費用の負担について 刑事訴訟法一八一条一項本文

(検察官 櫻井弘徳出席)

(裁判官 立原彦昭)

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