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横浜地方裁判所 昭和62年(わ)2441号 判決 1988年8月22日

本籍

横浜市南区平楽一三三番地の一一

住居

右同

会社役員

南勝郎

昭和一八年一二月一六日生

右の者に対する所得税法違反被告事件について、当裁判所は、検察官綿﨑三千男出席のうえ審理して、次のとおり判決する。

主文

被告人を懲役一年八月及び罰金一億円に処する。

右罰金を完納することができないときは、金二〇万円を一日に換算した期間、被告人を労役場に留置する。

理由

(罪となるべき事実)

被告人は、東京都新宿区歌舞伎町二丁目三〇番一三号高島ビル等においてゲーム喫茶を営んでいたものであるが、自己の所得税を免れようと企て、営業店舗の経営名義人を他人とし、あたかも他人が経営者であるかの如く装うとともに、売上金の一部で架空名義預金を設定する等の不正な方法により所得を秘匿した上、

第一  昭和五八年分の総所得金額が二億四、二五二万三、四三六円であり、これに対する所得税額一億六、五一三万八、六〇〇円を申告納付すべき義務があったにもかかわらず、右所得税の申告期限である昭和五九年三月一五日までに横浜市南区南太田町一二四番一号所在の所轄横浜南税務署長に対し、所得税確定申告書を提出しないで右期限を徒過し、もって同年分の右所得税額一億六、五一三万八、六〇〇円を免れ、

第二  昭和五九年分の総所得金額が三億三、二〇四万六、七五二円であり、これに対する所得税額二億一、八〇九万八、一〇〇円を申告納付すべき義務があったにもかかわらず、右所得税の申告期限である昭和六〇年三月一五日までに前記税務署長に対し所得税確定申告書を提出しないで右期限を徒過し、もって同年分の前記所得税額二億一、八〇九万八、一〇〇円を免れ、

第三  昭和六〇年分の総所得金額が二、九八四万八、八六六円であり、これに対する所得税額一、〇二二万七、二〇〇円を申告納付すべき義務があったにもかかわらず、右所得税の申告期限である昭和六一年三月一五日までに前記税務署長に対し、所得税確定申告書を提出しないで右期限を徒過し、もって同年分の前記所得税額一、〇二二万七、二〇〇円を免れ

たものである。

(証拠の標目)

判示事実全部につき

一  被告人の当公判廷における供述

一  被告人の検察官に対する供述調書二通(乙1、2)

一  大蔵事務官作成の告発書(甲1)

一  検察事務官作成の電話聴取書(甲2)

一  大蔵事務官作成の現金調査書、普通預金調査書、利付金融債調査書、定期積金調査書、株式信用保証金調査書、株式調査書、貸付金調査書、造作設備調査書、車両調査書、ゲーム機調査書、保証金調査書、ゴルフ会員権調査書、電話加入権調査書、出資金調査書、事業主勘定調査書、借入金調査書、預り金調査書、未払費用調査書、仮受金調査書、給与所得調査書、給与所得控除調査書、雑所得調査書、社会保険料控除調査書、生命保険料控除調査書、損害保険料控除調査書、扶養控除調査書、基礎控除調査書、配当控除調査書、源泉徴収税額調査書(甲9、10、12、14ないし17、19、21ないし26、28ないし32、35、36、40ないし47)

一  遠山富貴子の検察官に対する供述調書(甲48。但し、不同意部分を除く。)

一  被告人作成の証明書(甲49)

判示第一の事実につき

一  大蔵事務官作成の所得税額計算書、脱税額計算書、定額郵便貯金調査書、利子所得調査書、一時所得調査書、一時所得特別控除調査書(甲3、4、13、33、38、39)

判示第一及び第二の各事実につき

一  大蔵事務官作成の定期預金調査書(甲11)

判示第二の事実につき

一  大蔵事務官作成の所得税額計算書、脱税額計算書(甲5、6)

判示第二及び第三の各事実につき

一  大蔵事務官作成の未収金調査書、冷暖房機調査書、店舗賃借権調査書、配当所得調査書、譲渡所得調査書(甲18、20、27、34、37)

判示第三の事実につき

一  大蔵事務官作成の所得税額計算書、脱税額計算書(甲7、8)

(法令の適用)

判示第一ないし第三の各所為

いずれも所得税法二三八条一項二項

刑種の選択 懲役刑及び罰金刑を併科

併合罪の処理 懲役刑につき 刑法四五条前段、四七条本文、一〇条(犯情の最も重い判示第二の罪の刑に法定の加重)

罰金刑につき 刑法四八条二項

労役場留置 刑法一八条

よって、主文のとおり判決する。

(裁判官 人見泰碩)

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