大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

横浜地方裁判所 昭和53年(行ウ)7号 判決 1981年1月26日

原告 犬山建物株式会社

被告 横浜市西区長

主文

一  原告の請求を棄却する。

二  訴訟費用は原告の負担とする。

事実

第一当事者の求める裁判

一  請求の趣旨

1  被告が原告に対し、別紙物件目録(一)記載の建物につき昭和五二年七月五日付でなした事業所税額金一六七四万二七五〇円、不申告加算金一六七万四二〇〇円とする事業所税決定はこれを取消す。

2  訴訟費用は被告の負担とする。

二  請求の趣旨に対する答弁

主文同旨

第二当事者の主張

一  請求原因

1  被告は、原告に対し、昭和五二年七月五日付で別紙物件目録(一)記載の建物(以下「本件建物」という。)につき、課税標準三三四八・五五平方メートル、事業所税額金一六七四万二七五〇円、不申告加算金一六七万四二〇〇円との事業所税決定(以下「本件決定」という。)をなし、右決定は同年七月七日、原告に通知された。原告は、右決定に対し、同年九月二日、横浜市長に審査請求をなしたが、同市長は、同年一二月一二日付を以て右審査請求を棄却した。

2  しかし、本件建物につき事業所税を課すべきではないから、本件決定は違法である。

よつて、原告は被告のなした本件決定の取消を求める。

二  請求原因に対する認否

1  請求原因1項の事実は認める。

2  同2項の主張は争う。

三  被告の主張

1  昭和五〇年一〇月一日以降に事業所用家屋の新築又は増築工事が竣工した場合には、新増設に係る事業所税が当該事業所用家屋の建築主に対して課せられることとなり(地方税法七〇一条の三二第一項、昭和五〇年三月三一日法律第一八号地方税の一を改正する法律附則一五条二項、以下「改正附則」という。)、当該建築主は当該建築をした日から一月以内に右事業所税を申告納付しなければならない(地方税法七〇一条の四八)こととなつた。

新増設に係る事業所税(以下単に「事業所税」という。)の課税対象は、事業所用家屋の「新築又は増築」であり、ここにいう「新築又は増築」とは、当該家屋の床面積の増加することをいうと規定され(地方税法七〇一条の三一第一項六号)、右床面積の増加が課税標準とされている(同法七〇一条の四一)。

右の申告納付期限までに当該建築主が申告納付しなかつた場合には、指定都市等の長はその調査によつて申告すべき課税標準額及び税額を決定する(同法七〇一条の五八第二項)とともに、申告書の提出がなかつたことについて正当の理由があると認められる場合を除き、この決定により納付すべき税額に一〇〇分の一〇の割合を乗じて得た金額に相当する不申告加算金額を徴収しなければならない(同法七〇一条の六一第二項一号)こととされている。

2  本件建物は、被告の調査の結果、昭和五一年一〇月四日に竣工しており、事業所税の申告納付期限である昭和五一年一一月四日を経過した後も原告が右申告納付をしなかつたので、被告は、昭和五二年七月五日、本件建物につき課税標準を三三四八・五五平方メートルと認めて本件事業所税額の決定を行なつた。

また、被告は、右申告納付期限までに原告の申告書の提出がなかつたことについて何らの正当理由も認められなかつたので、本件不申告加算金を徴収する旨の決定を行なつた。

3  よつて、被告のなした本件決定はいずれも適法といえる。

四  被告の主張に対する認否

1  被告の主張1項のうち、事業所税が昭和五〇年一〇月一日以降に事業所用家屋の新築又は増築工事が竣工した場合に賦課されるとの点を争い、その余の主張は認める。

2  同2項の事実中、事業所税の納付期限が昭和五一年一一月四日であること及び原告が右申告期限までに申告書を提出しなかつたことにつき正当理由が認められなかつたとの点を否認し、その余の事実を認める。

3  同3項の主張は争う。

五  被告の主張に対する原告の反論

1  地方税法七〇一条の三二の規定の不適用

(一) 改正附則の文理解釈

改正附則一条但書によれば「事業所税に関する改正規定は同年(昭和五〇年)一〇月一日から施行する」旨適用開始時期を規定する。従つて、同条但書により地方税法七〇一条の三二の規定は、昭和五〇年一〇月一日より施行され、新築又は増築の意を被告が主張する如く、新築又は増築された結果たる「状態」(この場合には結果的には新築又は増築はその完成を意味することとなる。)を意味すると解する場合においては、昭和五〇年一〇月一日以降新築又は増築が完成した場合に同法七〇一条の三二の規定が適用され、新増設に係る事業所税が課せられる。

ところが改正附則は同一条の特則としての経過規定として同一五条二項を設け、「新法中新増設に係る事業所税に関する部分は、昭和五〇年一〇月一日以降に行なわれる事業用家屋の新築又は増築に適用する」旨規定している。

仮に改正附則一五条二項を被告主張の如く昭和五〇年一〇月一日以降新築又は増築が完成した事業用家屋に対して新増設に係る事業所税を課する意に解すれば、前述の如く改正附則一条但書の特則として設けられた同一五条二項の規定は二重の規定で不要なものとなり特則規定として同項を設けた意義を失わせてしまうこととなる。

そればかりか、改正附則一五条二項によれば新増設に係る事業所税に関する規定は、あえて「昭和五〇年一〇月一日以降に行なわれる」という建築工事の行為をあらわす法文形式をとり、同条三項の如く「新増築が昭和五〇年一〇月一日以降に行なわれた」とか同条四項の如く「新築又は増築された家屋」というように過去形ないし完了形の用語例を用い新築又は増築の結果たる「状態」を意味する法文形式をさけていること、同条二項が受動態で規定され、これを能動態で云いかえれば、「新増設に係る事業所税に関する規定は、新築又は増築する者が(これが条文では省略されている。)昭和五〇年一〇月一日以降に新築又は増築を行なう事業用家屋に適用する」となり、この規定からすれば昭和五〇年一〇月一日以降に新築又は増築に着手する事業用家屋についてのみ新増設にかかる事業所税が適用されることが明らかであること、同条三項においてみられるように新増築の完了を表わす場合には「行なわれた」という用語例を用いていること(地方税法の本文でも同様に用いられている。)、法文解釈にあたつては租税法定主義の趣旨から類推拡張解釈は許されず、又「疑わしきは課税当局の利益に反して」解釈すべきであること及び地方税法第四章第五節事業所税(昭和五〇年三月三〇日法律第一八号に用いられている用語例)等を勘案すれば、原告主張のように「昭和五〇年一〇月一日以降に行なわれる事業用家屋の新築又は増築に適用する」とは「昭和五〇年一〇月一日以降に開始ないし着手する事業用家屋の新築又は増築に適用する」と解すべきこととなる。

(二) 租税法定主義(不遡及の原則)

改正附則一五条二項に前記の経過規定が措かれたのは、憲法三〇条、同八四条において租税法律主義がとられ、これに基づき租税法律不遡及の原則があるからである。

すなわち、憲法三〇条、同八四条が租税法律主義を定め租税法律不遡及の原則をとつているのは、国民の法的生活の安定を図り、国民に不測の損害をかけぬためである。地方税法の改正にともなう事業所税の新設にあたつても右の趣旨に鑑み、右新設規定の施行ないし適用期日以前に建物の新築又は増築に着手した建築主が、事業所税が賦課されないものとして建築原価等を見積計算し、家賃保証金等を算出してテナント募集を開始した場合などに、不測の損害を与えないため、経過規定としてその改正附則において前記規定をおき、新増設に係る事業所税に関する規定は昭和五〇年一〇月一日以降着工する事業用家屋の新築又は増築について適用することとしたのである。

もし地方税法の改正にあたつて、新増設に係る事業所税の規定を昭和五〇年一〇月一日以降に新築又は増築工事の完成ないし竣工する事業用家屋について適用するとすれば、同改正規定が昭和五〇年三月三一日成立し、同年四月一日施行され適用日がその六ケ月後の同年一〇月一日となり、反面、ビル建築においては六ケ月以内に工事を完成させることは不可能に近く、前述の如く建築主その他の関係者に不測の損害を与え国民の法的生活の安定を害し、租税法律不遡及の原則にも反することとなる。

(三) 原告が、別紙物件目録(二)記載の土地(以下「本件土地」という。)上にビルを新築するため準備にとりかかつたのは昭和四六年頃であり、同年一二月建築確認申請をなし、翌四七年四月二七日右建築確認通知を受けたが、更にビル建築計画を修正し原告は昭和四八年九月頃本件建物の建築確認申請をなし、同年一二月二二日その建築確認通知を受けて翌四九年六月一日頃本件建物の新築工事に着手したのである。

(四) したがつて、本件建物の新築工事は昭和五〇年一〇月一日以前に着手されており、地方税法七〇一条の三二の規定は適用されないから、原告に新増設に係る事業所税を賦課した本件決定は違法である。

2  課税公平の原則及び信義則等の違反

(一) 原告は、横浜市より換地を受け所有している本件土地並びに昭和四六年一月頃訴外金野フサ、同金野テル及び同金野克作との間で売買予約の成立した西南側隣地(横浜市西区北幸一丁目八番四及び同番五)合計四六二・七四平方メートル(一四〇坪)上に地上九階地下二階建のビルを建築することを企画し、昭和四六年一二月横浜市建築主事に対し建築確認申請をなし、同主事は昭和四七年四月二六日原告に対し建築確認の通知をなした。

(二) ところが、右建築確認通知がなされる以前の昭和四七年四月一三日付の「建設産業通信」なる業界新聞に原告のビル建設企画が報道されてしまつた。しかし、原告の右ビル建設企画は、原告、横浜市の関係者以外は知らぬことであり、この情報源は横浜市役所職員である。

そして右「建設産業通信」が出された直後の同年五月九日、訴外第一勧業銀行は右ビル建築計画が同銀行の西口支店移転増築計画に反するところから、そのダミー会社である不動産会社訴外東京富士商事株式会社を使い前記西南側隣地を買収したため原告は右計画遂行が不可能となり計画変更を余儀なくされた。

そこで原告は、右ビル建築計画を本件土地の敷地面積に縮少し、建築確認の申請をすべく準備を進める一方、前記妨害行為の理由経過等を調査していたところ、昭和四七年六月一九日、第一勧業銀行西口支店長より原告に対し、原告所有地について相談したい旨の申し入れがあつた。その際はじめて、右支店の存した土地の一部を横浜市の開発計画により横浜駅西口第二バスターミナル用地とするため第一勧業銀行が同市より移転を要請されていることを告げられた。

しかしながら、原告としては、横浜市において横浜駅西口第二バスターミナル建設計画について何ら説明も受けておらず、又本件土地は角地として横浜市から換地を受けており、右計画により東北側隣地市道を廃止されることは本件土地の価値の減少をきたすばかりか、ビル建設計画にも影響するので横浜市に対し再三説明を求めた。

そして、昭和四七年九月一日になつて横浜市より第二バスターミナルの建設計画につき説明を受けたが、その後も横浜市の内部意見が異なり結論が出ず、原告は、ビル建設を急ぐ必要があつたため再三にわたつて横浜市の考えを出すよう求めたところ、横浜市より同市と第一勧業銀行、原告の三者で話し合う機会を設け、調整を図りたい旨申し入れがあり、同年一〇月一七日話し合いの場が設けられた。そして翌四八年三月二四日までの間に一九回にわたり三者又は横浜市と原告の会議がもたれたが、横浜市としての解決策は何らなくただ話しの場をもつたにすぎずこれといつた進展はなかつた。

そして横浜市は、昭和四八年三月二四日、同市としての最終決定を連絡する旨原告に対し確約したが、その後原告へは何らの連絡もなく、同年五月に至りやつと正式に第二バスターミナル建設計画の白紙化を通知してきた。

この間原告は、右のビル建築計画の実現が大幅に遅延し、そのため、いわゆるドルシヨツク、オイルシヨツク等にも遭遇することとなり工事費等の急騰により多大の損害を受けた。

(三) そこで原告は、直ちにビル建築に着手すべく準備を再開し、その建築敷地を本件土地に縮少し、本件建物について、昭和四八年九月頃建築確認申請をなし同年一二月二二日確認通知を受け、新築工事に着手したが、昭和五〇年四月頃横浜市より東側市道用地払い下げについて話しがあり、その際原告に横浜市より六月までに払い下げが確定するので工事を中止するよう要請があり、原告もやむなく工事を中止したが、同年六月末をすぎるも横浜市より何らの連絡もなく払い下げの方針も曖昧であることから原告としてもこれ以上工事を延ばすこともできないので同年七月末頃工事再開に踏みきつた。しかし、右三ケ月工事を中止したため工程がくるい工事完成が著しく遅延してしまつた。

(四) 度重なる横浜市の無策により本件建物の工事は遅延し、その結果原告は、昭和五一年九月三〇日に至つて請負業者である訴外大林組より本件建物の引渡を受け、同年一〇月四日これが竣工した。

しかしながら、横浜市としても、自己の責任を認め、事業所税を賦課するか否か等について原告と協議して決定する方針を決め、被告事業所税係鈴木孝之外二名が、昭和五二年二月頃原告会社を訪れ、事業所税についての説明を原告代表者になした。その後、数回の折衝調査により横浜市開発局の責任を認め、事業所税賦課について問題があるとし、同年六月中旬右鈴木らは原告代表者に対し、「被告(前西区長)に面談して欲しい、その上で事業税の賦課の有無を決定したい。今月中に連絡する」旨申し入れをなしたのである。原告代表者は右申し入れを受け被告(前西区長)に会うべく連絡を待つていたところ、同区長が交替し、右事情を知らぬ新西区長が、就任後直ちに昭和五二年七月五日付を以て本件決定をなし、同月七日原告に通知してきたのである。

(五) 以上のとおり、横浜市吏員の度重なる重大な過失のため、建物建築工事の着工及びその進行が著しく遅れ、原告に建築費暴騰による多大の損害を与えただけでなく、その完成が当初の予定と全く異なり昭和五〇年一〇月一日以降にずれこんでしまつたこと、その間横浜市から原告へ事業所税の新設賦課について何らの教示もなかつたこと、右の事情により事業所税の賦課について被告は原告と話し合う約定になつていたにも拘らず突然本件決定をなしたこと及び地方税法七〇一条の五七に「指定都市等の長は、天災その他特別の事情がある場合において事業所税の減免を必要とすると認める者その他特別の事情がある者に限り(中略)事業所税を減免することができる」との規定が設けられた趣旨等を勘案すると、本件決定は課税の公平の原則及び原被告間の信義則に反し違法といわなければならない。

3  不申告加算金の賦課処分の違法性

前述のとおり、被告は事業所税を賦課するか否かについて原告と協議することとなつており、それまでは事業所税の申告を猶予していたのであるから、原告が申告をなさなかつたとして不申告加算金を賦課するのは違法である。

六  原告の反論に対する認否

1(一)  原告の反論1項(一)の主張は争う。

改正附則一五条二項の規定の「行なわれる」とは、昭和五〇年一〇月一日の施行日以後に事業所用家屋の新築又は増築の完成が行なわれる場合を指して表現したものであり、右施行日前に新増築の完成が行なわれた場合には「行なわれた」と表現されるべきこととなる。ただ、同条に「行なわれる」場合の表現しかないのは、施行日の前には法律の適用がないためである。なお、その後の改正により地方税法附則(昭和五二年三月三一日法律第六号)一七条及び同法附則(昭和五三年三月三一日法律第九号)一一条は、いずれも施行日以後と前との適用関係について「行なわれる」「行なわれた」との表現方法をとつている。

もし仮に、原告主張のように「行なわれる」を工事着手の意味に解するとすれば、事業所用家屋の新築又は増築の完成時期のみならず、その工事着手時期がいつかを明確にしないと法律適用の有無を画することができず、右着手時期の判断は不明確たるを免れないから、同条は経過規定としての要を全くなさないことになる。

(二)  同項(二)の主張は争う。

事業所税は、昭和五〇年一〇月一日以降に課税要件が充足され納税義務の成立したものについて課税されるのであつて、改正附則一五条は何ら法律不遡及の原則に牴触するものではない。

(三)  同項(三)の事実は認める。

(四)  同項(四)の主張は争う。

2(一)  同2項(一)の事実中、原告が本件土地を所有し、昭和四六年一二月建築確認申請をなし、昭和四七年四月二六日建築確認の通知を受けたことは認め、その余は不知。

(二)  同項(二)の事実中、横浜市職員が原告のビル建設企画の報道の情報源であることを否認し、横浜市と第一勧業銀行と原告、あるいは横浜市と原告の間で何回か話し合いの機会が持たれたことは認め、その余は不知。

(三)  同項(三)の事実中、原告が昭和四八年九月頃建築確認申請をなし、昭和四八年一二月二二日建築確認の通知を受け、ビル建築に着手したとの点は認め、その余は否認する。

(四)  同項(四)の事実中、原告が昭和五一年九月三〇日請負工事会社大林組よりビル完成により本件建物の引渡を受けたことは不知、本件建物が同年一〇月四日に竣工したこと、被告西区長の交替があつたこと、被告が昭和五二年七月五日付を以て本件決定をなしたこと及びこれを原告に同月七日通知したことは認め、その余は否認する。

(五)  同項(五)の事実は否認し、主張は争う。

3  同3項の事実は否認し、主張は争う。

第三証拠<省略>

理由

一  請求原因1項、被告の主張1項中昭和五〇年一〇月一日に事業所用家屋の新築又は増築工事が竣工した場合に事業所税が課されるとの点を除いたその余の部分並びに同2項中事業所税の納付期限及び原告が申告納付期限までに申告書を提出しなかつたことにつき正当理由が認められないとの点を除くその余の事実は当事者間に争いがない。

二  そこで、地方税法改正附則一五条二項の規定により昭和五〇年一〇月一日以前に新築又は増築に着手し同日以後に該新築又は増築工事が竣工した場合に同法七〇一条の三二の規定の適用があるか否かについて、まず検討する。

1  事業所税は、指定都市等が「都市環境の整備及び改善に関する事業に要する費用に充てるため」課する(同法七〇一条の三〇)目的税であり、人口、企業の大都市への集中に伴う都市環境の整備に必要な財源の確保を図るため、大都市地域における企業活動を一定の外的客観的基準によつて捉え、これらの地域に所在する事務所事業所等に対してその負担を求める趣旨の課税である。

そうして、新増設に係る事業所税は、事業所用家屋の新築又は増築という外形基準に基づき右新増設に係る事業所用家屋の床面積を課税標準として新増設をなした建築主に課されるものである(同法七〇一条の四〇)。従つて、課税標準となる右外形基準を明確にするため、新増設事業所床面積について特に地方税法自体がその意義を定め、「新築又は増築(家屋の床面積の増加することをいう。)に係る事業所用家屋の床面積をいう。」(同法七〇一条の三一第一項六号)としているところ、同法第四章第五節事業所税の規定及び同法改正附則の規定を通覧するに、「新築及び増築」につき、専ら床面積ないしその増加という家屋完成後の状態ないし結果に着目して新築及び増築の語を用いていることが明らかであり、床面積の確定が将来のことに属する新築又は増築工事の着工を意味するものと解せられる用語例は見出し難く、原告主張の如く同法改正附則一五条二項の規定する「行なわれる新築又は増築」の場合のみが建築工事の着工を意味しているとは到底解しえない。

もし仮に、「行なわれる」新築又は増築を新築又は増築工事の着工を意味するものと解するとすれば、事業所税を課するためには新築又は増築工事の竣工及びその時期のみならず、新築又は増築の工事の着工及びその時期をも確定しなければならないこととなるが、着工ないし着工の時期は極めて不明確たるを免れず、外部から容易に認識し得るものではないから、事業所税新設にともなう改正地方税法の経過法としての右附則一五条二項の規定がかえつて画一的に客観的な基準に基づき課税することの妨げになることになる。かような規定が経過規定としてわざわざ設けられるとは到底考えられないところである。

右附則一五条二項の規定が設けられた所以は、附則一条但書の規定によつて改正地方税法中、事業所税に関する改正規定が昭和五〇年一〇月一日から施行されることにともない、事業所税に関する規定中、新増設に係る事業所税を定めた地方税法七〇一条の三二の規定に関する部分の適用について事業所用家屋の新増設という具体的事実につき右規定部分がいつから適用されるのか疑問がないではないから、これを明確にするため昭和五〇年一〇月一日以降行なわれる新築又は増築について適用する旨を定めたものであつて、決して右附則一条但書の規定と重複した不要な規定であるとはいえない。

むしろ、右規定は事業所税に関する改正規定が施行される昭和五〇年一〇月一日以前にすでに事業所用家屋の新築又は増築の工事に着手していたのだから、事業所税に関する規定は適用されるべきではないとの主張があり得ることを慮つて、これを封ずるために、特に昭和五〇年一〇月一日以降に事業所用家屋の新築又は増築の完成が行なわれるならば、たとえその着手は、それ以前であつても事業所税が課せられることを定めた経過規定であると解するのが相当である。

なお、改正地方税法が公布されたのは昭和五〇年三月三一日であるところ、同日からみれば、昭和五〇年一〇月一日は将来のことに属し、右附則一五条二項は、右事業所税に関する改正規定の施行日である昭和五〇年一〇月一日を画して、それ以降の新築又は増築について「行なわれる」という表現を用いているのであつて、法は昭和五〇年一〇月一日以前の新築又は増築については「行なわれた」という表現を用いているのである(附則一五条三項参照)から、附則一五条二項が「行なわれる(中略)新築又は増築」という文言を用いているからといつて文理上当然に、新築又は増築の工事の着工を意味するものと解さねばならないいわれはない。

さらに、租税法定主義の趣旨から、解釈上疑わしいときは課税当局の利益に反して解釈すべきであるとの原則も認められない。蓋し、法規の意味内容を明らかにすることこそ、法の解釈の作用であり、法を適用する者の任務であつて、規定の意味内容が不分明で疑わしい場合であるという理由で解釈を中止するのは、その義務の放棄にほかならない。のみならず、附則一五条二項の意味内容は前説示のとおり正に分明というべきである。

証人浅野大三郎の証言によれば、前示解釈は地方税法中事業所税に関する規定の立法関与者の立法の経緯、自治省の有権解釈にも合致し、課税徴収実務も右解釈に従つて行なわれていることが認められる。

2  更に、原告は(租税)法律不遡及の原則に照らしても原告の改正附則一五条二項の解釈が正当である旨主張するけれども、法律不遡及の原則は「法律はその効力を生じた時以降に発生した事実についてだけ適用される」という原則で、既得権の尊重ないしは法的安定性の確保のため定立された原則であつて、刑罰法令においては、絶対の基準であり、租税法においても納税義務者の不利益に変更する遡及立法は許されないが、改正附則一五条二項の規定は、法律公布の日である昭和五〇年三月三一日から六ケ月を経過した昭和五〇年一〇月一日の法律施行日以降において事業所用家屋の新増設の完成という課税要件事実が充足された場合にのみ、事業所税を課税することを定めるものであつて、法律施行日以前の事実を捉えて遡及してこれに課税することを定めたものではなく、本来の意味における法律不遡及の原則に該らないのは勿論、そもそも右原則は法律の解釈にまで妥当するものでないことはいうまでもないから原告の主張は失当である。

三  次に、本件決定が課税公平の原則及び原被告間の信義則に違反し違法であるとの原告の主張について検討する。

成立に争いのない甲第一号証、第三ないし第六号証、第九、第一三、第一五及び第一七号証並びに乙第一、第二号証、原告代表者尋問の結果により真正に成立したと認められる甲第二、第七、第一〇、第一一、第一四及び第一六号証、証人赤星三郎、同越野三郎、同福田太造、同鈴木孝之及び同佐藤隆司の各証言、原告代表者尋問の結果(後記認定に反する部分を除く。)並びに弁論の全趣旨を総合すると以下の事実が認められ、他にこの認定に反する証拠はない。

1(一)  原告は、昭和四五年初頃、原告代表者犬山恵裕所有にかかる別紙物件目録(二)の一の土地及び同人の父犬山銀治郎所有にかかる同目録(二)の二の土地(以下両土地を総称して「本件土地」という。)の上にビルを建築することを企図し、訴外松田・平田・坂本設計事務所に右ビルの建築設計を相談し、これに設計を依頼したところ、本件土地の西側隣地(横浜市西区北幸一丁目八番四及び同所同番五、別紙図面参照)が買収可能であるなら、これをも含めた土地を敷地としてビルを建築した方がビルとしての効率がよく、収益も上がるとの助言を受けたので、右隣地のうち同所同番四の土地が金野フサ子、金野テルの共有であり、同所同番五の土地が金野善三郎の所有であつて、右金野らが恵裕の遠戚にあたることから、原告は原告会社の不動産部長鈴木をして、昭和四五年五月頃より右フサ子、テルと右隣地買収の交渉にあたらせ、右土地の買収の話を進めることとした。

そのうち、右金野善三郎が昭和四六年三月一一日死亡し遺産分割の協議が開始されたところ、善三郎の相続人でもある金野フサ子、金野テルが同所同番五の土地を取得しこれを共有するという前提で、原告は、右フサ子、テルらと数回にわたり会合を重ね、同人らから右二筆の土地(同所同番四及び五)を一括して買受けることの了解が得られたものと思い込んで、売買契約の締結以前であつたにも拘らず右二筆の隣地及び本件土地を敷地として前記設計事務所に地上九階、地下二階のビルの建築設計を依頼し、これに基づき昭和四五年一二月横浜市建築主事に対し建築確認申請をなし、翌四七年四月二六日付で同主事清水久雄より右建築確認通知を受けた。

(二)  ところが、右遺産分割の結果、右隣地の内同所同番五の土地は、善三郎の相続人であるフサ子及びテルにおいて各九分の四、金野克作において九分の一の割合で共有することとなり、昭和四七年四月五日その旨の所有権移転登記がなされたものの、原告がフサ子らの代理人である山崎弁護士との間で売買価格等の交渉を進めようとしたところ、すでに同年五月九日、右二筆の隣地はいずれもフサ子らから訴外東京富士商事株式会社に売却され、同会社に対し同日付で共有者全員が持分全部移転の仮登記を経由していることが判明し、事実上右隣地について売買契約を締結することは困難となり、右隣地をも敷地とする原告のビル建築は不可能となつてしまつた。

右の経緯で原告が困却しきつていた同年六月一五日頃、訴外第一勧業銀行(以下「第一勧銀」という。)横浜西口支店の支店長が、原告方事務所を来訪し、原告代表者犬山恵裕に対し横浜市が計画中の横浜駅西口第二バスターミナルの用地の一部とするため同支店が横浜市より同支店建物の移転を要請されている旨の事情を打ちあけ、本件土地の東側隣地(横浜市所有の同所同番一)及びその東側の現況六メートルの市道を敷地として同支店を移転建設する予定であるが、それに加えて原告及び原告代表者恵裕の所有する本件土地を買取りたい旨申入れてきた。原告代表者恵裕は、とんでもない話であると本件土地買収の話を断わり、右支店の移転建築によつて本件土地東側が角地として利用できなくなることから右支店の移転に難色を示し、とりあえず第二バスターミナル建設計画の内容を横浜市に確認することとした。

(三)  そこで原告代表者恵裕は、同年九月一日頃、横浜市都市開発局内陸開発部(現在の都市整備局事業指導部)開発課に右第二バスターミナル計画の内容を調査に出向き、開発課長の説明を受け右計画の存在及び右計画実現のため横浜市が第一勧銀西口支店に対し移転の要請をなしている事実を確認した。しかし、仮に横浜市道路局において道路用地として登録し確保している本件土地東側隣地に第一勧銀が支店建物を建築すれば、原告にとつて本件土地東側を角地として使用することが不可能となり既得の利益を失うことになつて多大の損失を被るので、原告、第一勧銀、横浜市で利害の調整を図るべきではないかと同市の右開発課に申入れたところ、同市もこれを認めて同年九月二六日右三者による会談を提案し、同年一〇月一七日を第一回とし、同年一二月一三日、翌四八年二月五日、二月七日の四回にわたり右三者会談が実現することとなつた。

右会談においては、横浜市より同市所有の本件土地の東側隣地及びその東側の市道を原告らに払下げること、第一勧銀のダミー会社としてその支配下にある東京富士商事が取得した本件土地西側隣地、本件土地及び第二バスターミナル用地となる部分を除くその余の第一勧銀所有地を原告と第一勧銀で按分して各々ビルを建築すること、原告が本件土地を角地として利用できなくなることに対して横浜市は相当の補償をすること、新設される横浜市営地下鉄の地下コンコースの使用権を原告及び第一勧銀に認可すること等が色々話し合われたが、結局、前記土地按分をめぐつて第一勧銀と原告との利害の調整がつかないため当事者間では何も合意されず、昭和四八年三月二七日原告と横浜市との間で最終的に右会談は打切られた。

この間原告は、昭和四七年一一月二九日付で横浜市道路局長に対し同市所有の本件土地東側隣地を原告に優先的に譲渡するよう申入れを行ない、また会談の成行き如何によつては、ビル建設の敷地として本件土地だけでなく西側隣地又は東側隣地の一部をとり込んでビル建築ができるかもしれない状況にあつたため、ビル建築の確認申請ないし工事に着手することを控えていたが、前記のように右会談が物別れに終つたことから、原告は敷地を本件土地のみに縮少して再びビルを建築する準備にとりかかり、前記設計事務所に依頼して建築図面を作成し、昭和四八年七月頃建築業者決定の入札を行ない、同年九月横浜市建築主事に対し、地上一一階地下二階の本件建物の建築確認を申請し、同年一二月二二日付で同主事清水久雄から右建築の確認通知がなされた。

(四)  そして、原告が建築見積りを検討した結果、右ビル建設の建築業者が株式会社大林組横浜支店と決定され、右大林組は昭和四九年六月一日頃から建築工事に着工し、まず本件土地内に存した旧運河の護岸の撤去工事を同年八月までに行ない、同年九月からクイ打ち等の基礎工事に取りかかつたが、隣地に建築構造の不安定な古い建物が存在したため大林組は慎重に右工事をすすめていたところ、同年一一月一日に至り、原告は右大林組との間で原告方事務所において正式にビル建築工事請負契約を締結する運びとなり請負代金を八〇〇〇万円、工期については昭和四九年六月一日に遡つて着工することとし、工事の完成を昭和五一年二月二九日とする旨の建築工事請負契約書の調印をなした。右工期は、護岸工事、地下工事を含む本件建物程度の建築工事としては、通常の期間として予定されたもので原告においても十分納得のうえで決めた工期であつた。

右大林組は翌五〇年から土地を掘る根伐工事にとりかかり地下部分のコンクリート打設をはじめたところ、同年四月初旬に横浜市と原告との間で同市所有の本件土地東側隣地を原告に売渡す旨の話がもち上り隣地買受けができれば工事の設計変更もあり得るため、工事を一時中止したが、市当局の右土地売渡しの態度決定が早急に期待できそうにない状況であつたので、約二週間後に工事を再開し、右中断により工事休止期間に加えて一、二週間工期が遅れたが、その後建物の躯体工事は、ほぼ順調に進行し、途中建築工法を一部変更したこともあつて完成予定が幾分ずれ込んだものの、大林組は翌五一年五月頃には内装工事の一部を残して本件建物の工事を完成し、同年九月までの間にビルのテナントを募集決定しその希望にあわせて内装工事をすませ、同年九月三〇日右大林組より原告へ本件建物が引渡され、同年一〇月四日これが竣工した。

(五)  他方、被告西区課税課においては、本件建物の完成を聞知したが、原告から事業所税の申告納付がないので、課税課事務吏員の佐藤隆司及び鈴木孝之の両名が昭和五一年一二月九日、原告方事務所に赴き、前記鈴木不動産部長に本件建物が事業所税の対象となること及び新築された事業所用家屋の床面積一平方メートルあたり五〇〇〇円の単価で税額が算出されること等事業所税の内容を説明し、再び翌五二年一月一八日頃、課税課長大島、係長笠原、右佐藤及び鈴木並びに横浜市財政局税務課諸税係の係員らが、原告方事務所に来訪し、原告代表者犬山恵裕及び右鈴木不動産部長に事業所税を申告納付するよう告げたところ、原告代表者恵裕から本件建物の着工及び竣工は横浜市による横浜駅西口の都市開発計画のため遅れたものであるから事業所税を納付する必要はないとの主張がなされたため、被告係員は、やむなく退散せざるを得なかつた。

そこで被告は、右課長らが同年二月、四月に重ねて原告方事務所を来訪し、あるいは電話により、再三事業所税の申告納付を催告すると共に、本件建物の課税標準の調査を実施したいと申入れたところ、同年五月二六日原告方事務所において原告代表者恵裕より右佐藤らに本件建物の建築図面が手渡され、同人らは右建築図面を所持して本件建物に出向き建物内部の非課税床面積等を立人調査し、原告社員にその調査内容を告げ、課税標準を計算したうえ事業所税を算出して申告するよう申向けた。

しかしながら、その後も原告より西区課税課へは申告がないため、右佐藤が再三電話で催告し課税標準の計算を説明した。かくするうち、同年六月一〇日に至り西区長が交替したところ、同月一八日鈴木不動産部長より課税庁たる被告新区長に面会し本件建物に対する課税について話合いたい旨申入れがあり、被告の係員において同月二二日被告区長は原告社員が面会に来るならば、いつでも応ずる旨返答したが、原告はその後何の連絡もしなかつた。そこで同月二九日右佐藤が原告代表者宛電話で同年七月二日までに事業所税を申告しなければ被告においてこれを決定する旨を告げ最終的に申告納付を催告した。しかし、右期日までに右申告納付がないため、被告は同年七月五日付で本件決定をなし、同日事業所税決定通知書を原告宛発送した。

以上の事実が認められる。右認定に反する原告代表者の供述は信用することができない。

2  原告は、横浜市の重大な過失により本件建物の建築が大幅に遅れ、そのため建築完成が新法の規定中事業所税に関する部分の施行期日以降に遷延してしまい、更に原告被告間で事業所税の賦課について話合う予定であつたにも拘らず突然被告が本件決定をなしたという事実を前提とし、右事実関係の下では、被告が原告に対し事業所税額に係る本件決定をなすことは、課税公平の原則及び信義則に違反すると主張する。

しかしながら、仮に横浜市に原告主張のような重大な過失等があつたとしても、受任庁(横浜市市税条例二〇条二項)とはいえ横浜市と別個独立の課税行政庁である被告が、事業所用家屋の新築に対して事業所税に係る本件決定をなすことは、何ら課税公平の原則及び信義則に違反するものでないことは明らかで原告の主張はそれ自体失当であるが、本件決定に至るまでの間の原告と横浜市及び原告と被告との関係は前記認定のとおりであつて原告主張の事実は全く認められないから、原告の主張はその前提を欠く理由のないものであり、いずれにしても原告の主張は到底採用することのできないものである。

四  次に、不申告加算金に係る本件決定について検討するに、原告は、被告が事業所税の賦課について原告と協議することになつており、それまでは右事業所税の申告を猶予していたのであるから、原告が申告をなさなかつたからといつて不申告加算金を課するのは違法である旨主張する。

しかしながら、租税法は強行法であるから、課税要件が充足されているかぎり、課税行政庁には租税減免の自由はなく、また租税を徴収しない自由もなく、法律で定められたとおりの税額を徴収しなければならないものであり、法律の根拠に基づくことなしに、租税の減免や徴収の猶予を行なうことは許されず、課税行政庁と特定の納税義務者との間でなされた減免や徴収猶予等の合意は違法無効であつて拘束力をもたない(最判昭和四九年九月一日、民集二八巻六号一〇三三頁参照)。

したがつて、仮に被告が事業所税の徴収方法である申告納付を猶予したとしても、それは違法無効なものであり、これがため原告が不申告加算金の徴収を免れるとは到底解しえないのであるから、原告の主張はそれ自体失当といえる。

ところで、前記認定のとおり、被告事務吏員が昭和五二年六月二九日原告代表者宛電話で同年七月二日までに事業所税を申告しなければ被告においてこれを決定する旨を告げ、最終的に申告納付を催告した事実が認められるが、事業所税は本来、申告納税主義(地方税法七〇一条の五二、同条の五四)をとつているのであるから、たとえ、申告書の提出期限を徒過していても、被告において申告納付を催告したのは当然のことであり、事業所税の申告がなく、同法七〇一条の五八第二項によつて課税庁が、その調査によつて、申告すべき課税標準額及び税額を決定する場合には、同法七〇一条の六一第二項一号の規定により法律上当然に不申告加算金を課しなければならないことになつているのであるから、被告が不申告加算金を徴収する旨の決定をしたのはこれまた全く正当というべきである。

なお、不申告加算金の徴収にあたつては、申告書の提出期限までにその提出がなかつたことについて正当な理由がある場合に限りその徴収を免れる(地方税法七〇一条の六一第二項)ものであるが、この場合の「正当な理由」とは、交通、通信の杜絶等により申告期限内に申告書を提出できなかつた場合、又は、災害等により申告書の提出期限の延長の申請ができなかつた場合をいうものと解されるところ、原告において申告書の提出期限までにその提出をなさなかつたことについて正当な理由がある旨の主張立証はない。

五  以上のとおりであるから、事業所税は昭和五〇年一〇月一日以降事業所用家屋の新築が完成した場合に課されるものであるところ、本件建物が昭和五一年一〇月四日竣工したこと及び本件建物の課税標準が三三四八・五五平方メートルであることは当事者間に争いがないのであるから、被告が右課税標準一平方メートルにつき五〇〇〇円を乗じて(昭和五五年四月一日改正前地方税法七〇一条の四二第二項)得た一六七四万二七五〇円を事業所税額と決定したのは適法であり、更に、原告は正当な理由なく右申告をなさなかつたのであるから、被告が右税額に一〇〇分の一〇の割合を乗じて得た一六七万四二〇〇円(一〇〇円未満切捨て)を不申告加算金として徴収することを決定したのは適法である。

よつて、被告のなした本件決定には、何ら違法はない。

六  そうすると、原告の本訴請求は理由がないからこれを棄却することとし、訴訟費用の負担については、行政事件訴訟法七条、民事訴訟法八九条を適用して主文のとおり判決する。

(裁判官 小川正澄 三宅純一 清水節)

物件目録、別紙図面<省略>

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!
©大判例