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横浜地方裁判所 昭和38年(行)5号 判決 1965年7月01日

原告 湘南設備興業有限会社

被告 平塚市長

主文

(一)  原告の請求を棄却する。

(二)  訴訟費用は原告の負担とする。

事実

第一当事者双方の申立

(原告)

被告が原告に対しなした昭和三八年一月一二日付汚物取扱業不許可処分を取消す。訴訟費用は被告の負担とする。

(被告訴訟代理人)

主文第一、二項と同旨

第二原告の主張

(一)  原告は、昭和三四年富士興業有限会社なる商号で汚物取扱業を始め、その後社名を湘南興業有限会社と変更し、更に昭和三七年一一月二日現在の商号を使用するに至つているものである。原告は神奈川県中郡大磯町大磯一〇九三番地にその本店を置き、し尿浄化槽汚物の収集運搬、し尿浄化槽の清掃管理を業としてきたものであり、その活動範囲は神奈川県西部を中心として静岡県熱海方面に迄及びその活動状況を示す一例として平塚保健所管内をとりあげてみると、同管内における原告の顧客は次のとおりである。

日産車体工業株式会社、森永乳業株式会社、古河電工株式会社、関西ペイント株式会社、三菱樹脂株式会社、田中金属株式会社、プラスチツク工業株式会社、高砂香料株式会社、徳寿工作所株式会社、サンダースホーム、共済病院、富士銀行、日本相互銀行、第一生命株式会社、日新火災海上、紅谷座、長崎屋株式会社、カマヤ百貨店、土木試験場、横浜ゴム工場株式会社、東京電力平塚支店、大磯ホテル、滄浪閣、マリヤ修道院、いすず自動車株式会社、古河特殊株式会社他一般住宅店舗一六〇軒、以上は平塚保健所管内のし尿浄化槽中の約七〇%を占めることになる。

(二)  ところが、昭和三七年五月一二日付厚生省環境衛生局長通知環発第一六二号の通達によつて、それまでは許可が必要でなかつたところのし尿浄化槽汚物の収集業務が特別清掃地域(平塚市も含まれる)では清掃法第一五条第一項の規定による市町村長の許可を受けなければ営業できないことに定められた。右方針はその実施期日が昭和三八年一月一日とされていた。そこで原告は被告に対し、昭和三八年一月八日汚物取扱業許可申請をなしたところ被告は同月一二日原告に対し「昭和三八年一月八日申請のありました汚物取扱業許可申請については不許可といたしましたので通知します」旨の書面を発して原告の右申請に対する不許可処分をなした。右書面は同月一四日原告方に到達した。

(三)  しかし、右不許可処分は次の理由で違法であるからその取消を求めて、本訴請求に及ぶ。

(1)  (イ)汚物取扱業者の許可は清掃法第一五条第一項によりなされる。ところで同法付則第三項、第四項には同法施行時(昭和二九年七月一日)の既存業者の権利を保障する経過措置が定められている。即ち第三項では同法施行時、現に特別清掃地域内において汚物の収集、運搬又は処分を業として行なつている者(以下既存業者という。)については同法施行の日より起算して二ケ月間は同法第一五条第一項を適用しないとし、第四項では第三項該当の既存業者が第三項所定の期間たる二ケ月以内に自己が既存業者たる旨を市町村長に届け出た時は清掃法第一五条第一項による許可が、その者に対しなされたものと看做すと定めている。これによつて、清掃法施行時既存業者であつた者は、同法施行時より二ケ月以内に、その旨市町村長に届出ると許可を受けた業者として業務に従事し続けうるわけである。(ロ)かような既存業者に対する経過措置は単に清掃法施行時にのみ適用されるにとどまるのではなく、同法施行時と同様な事態においても適用乃至準用されると考えるべきである。つまり本件の如き、厚生省環境衛生局長通知という通達によつて、それ迄は許可届出が必要でなかつたところのし尿浄化槽汚物収集業務が清掃法第一五条第一項の規定による市町村長の許可をうけなければ営業できなくなつた場合にも、それ迄問題の区域内でし尿浄化槽の汚物収集業務をなしていた者に対しては同法付則第三、四項の規定が適用され、右の者より許可を要することに定められた時より二ケ月以内に既存業者たる旨届出があれば、その者は許可をうけたものと看做されると解すべきである。けだし厚生省の通知といえども職業選択の自由を制限することになる以上実質的には法の改正であるからである。(ハ)従つて、従前よりし尿浄化槽の汚物の収集を業としていた原告に対しては清掃法付則の経過規定を適用乃至準用し、所定の期間内にその既存業者である旨の届出があればそれだけで当然その営業を許さなければならなかつたのに、不法にも原告の前示汚物取扱業許可申請(原告が既存業者であることを届出る趣旨をも包含している)に対し不許可処分をなし、原告の営業を許さないとの態度を行政処分として明示したことには同法及びその付則の適用を誤つた違法がある。

(2)  仮に清掃法付則の経過規定が本件においては適用なしとしても、原告は昭和三四年以来汚物取扱業者として営業を続けてきた者であり、汚物取扱業者としての設備能力を充分有しているのに原告の許可申請を被告は容れなかつたのであるが、これは原告の職業選択の自由を不法に奪つたものであり、清掃法の適用を誤つたものである旨主張する。即ち原告は従業員一〇名を雇傭し、営業用設備としては、神奈川県中郡二宮町中里に二、〇〇〇坪の広さを持つ汚物処理場を設けた上、タンクローリー車二輛、作業用四輪車二輛、巡回車二輛、排水用ポンプ一台、ミストフアン一台、修繕用具一式を保有使用し、検査に必要な顕微鏡、残留塩素測定器、透視計、温度計、メチレンブル脱色測定器等を利用してその営業を支障なく遂行してその営業活動区域たる前示平塚保健所区域の各顧客は勿論のこと、小田原保健所管内の箱根観光株式会社デパート他二一施設及び一般住宅店舗四二軒、松田保健所管内の富士写真フイルム工場他四施設及び一般住宅店舗一八軒、藤沢保健所管内のナシヨナル株式会社他六施設及び一般住宅店舗二一三軒、厚木保健所管内のソニー厚木工場他二施設及び一般住宅店舗四軒相模原保健所管内の山村ガラス株式会社他一施設、熱海保健所管内の西熱海ホテル他四旅館の各顧客の需要を充分に充してきており、取扱料金についても平塚市長その他の指示するところに従つていたのである。かく能力ある原告に営業許可を与えなかつた行政処分は違法なること明らかである。

第三被告の答弁及び主張

(一)  答弁

(1)  原告の主張第一項中、原告がし尿浄化槽の清掃管理を業とすることをその目的の一としていることは認める。原告が昭和三七年一一月二日現在の商号を使用するようになつたことは認めるが、しかし原告は同日付で設立登記をなしているのであつて、その主張するごとく原告が昭和三四年以来汚物取扱業をなしているとの事実は否認する。その余の事実は不知。

(2)  第二項の事実は認める。

(3)  第三項中(1)の(イ)は認めるが(ロ)(ハ)は否認する。(2)のうち原告がその主張にかかる営業用設備、従業員を擁し、主張どおりの取扱料金により、多数の顧客の汚物の収集等に従事していることは不知。その余の事実は否認する。

(二)  主張

(1)  (原告の主張(三)の(1)に対する反論)原告においても主張するように昭和三七年五月一二日の厚生省環境衛生局長通知環発第一六二号によりし尿浄化槽の汚物取扱業は昭和三八年一月一日より特別清掃地域においては市町村長の許可をえなくては営業しえないことと定められた。それ迄は特別清掃地域内においても、し尿浄化槽内の汚物は、昭和三一年三月三〇日厚生省環境衛生局長通知衛環第二八号により清掃法第六条第一項にいう「集められた汚物」に入らないとされていた。そのため特別清掃地域内でもし尿浄化槽内の汚物の収集等の営業は市町村長の許可なくとも自由になしうるものとされていたのである。ところが近時し尿浄化槽が急速に普及して来て、その汚物が急速に増加し、環境衛生上これを従来どおり黙過することは許されなくなつたので前記通知第一六二号により右汚物収集処理業につき市町村長の許可を必要とすることに改めたのである。従つて右取扱方針の変化は右汚物の増加に対処して、その収集義務を市町村に負わせたうえ、その義務の具象化の一として右汚物の収集処理業者のうち営業能力の乏しいもの、不良なものを除外し、よつて浄化槽内汚物の収集処理につき生ずるおそれのある公衆衛生上の不都合を除かんとするものであるから、従前の既存業者の届出に応じ、機械的に従前どおり営業を許可していたのではその目的を達成することが出来なくなる。また市町村としては右通知により負担することとなつた収集業務を怠つていることにもなつてしまう。よつて被告としては原告が既存業者なるや否やにとらわれず、清掃法第一五条第一項の規定に従い原告の許可申請に対し、その資格を審査のうえ、許可・不許可の行政処分をなしうる。原告の主張する清掃法付則の経過規定は本件においては適用がない。かりに原告が既存業者であるとしても、既存業者なる旨の届出があつただけで、従前どおり営業をなしうることにはならない。

(2)  (原告の主張(三)の(2)に対する反論)そこで被告はその汚物の収集処理の方針、実施状況、既存各業者の能力、被告の処理場の現況に照らし、原告の申請にかかる汚物取扱業許可申請を審査した結果、不適格と考え、許可をしなかつたのである。その理由は次のとおりである。(イ)右申請当時平塚市は、大神清掃作業場を設置工事中であつた。右作業場は平塚市民のため、平塚市の費用をもつて設けられたもので、他の地域の人々のためのものでは勿論ない。そして平塚市としては、右作業場現場完成の暁には平塚市内の汚物は全部同作業場で処理させる方針で作業場も丁度平塚市の人口及びその増加率を考慮してそれに応じうる程度の規模を有するよう計画されていた。そこで今他地域の汚物迄右作業場に持込まれるような事態が生まれると平塚市として汚物処理作業に支障をきたし、市の環境衛生に万全を期することができなくなる。ところが原告は平塚市外の汚物の収集をも行なつているため他地域の汚物が右作業場に持込まれる危険性があり、汚物自体としてはどの地域のものか区別はつけられないのであるから、これを防ぐ手段もない。そこで原告には平塚市内の汚物収集をまかせるわけにはいかないのである。なお右作業場は昭和三八年七月一日完成し清掃法第一五条第一項の許可をうけた業者が収集してきた汚物は、全部右作業場で処理することにし、業者各自の処理場は全部廃止させた。(ロ)右申請時より右作業場完成迄の間のみ考慮された事由として原告の汚物処理場の位置関係が挙げられる。即ち原告はその汚物処理場を神奈川県中郡二宮町に設け、平塚市内には汚物処理場を有していない。そうすると被告は原告の汚物処理の適格性の調査・監督を充分になしえないこともある。(ハ)し尿浄化槽内の汚物も既に許可を受けた平塚市内の六業者及び平塚市で充分収集処理清掃をなしうる。なお新に原告を許可を受けた業者の中に加える必要はないし、むしろ加えることにより業者間に無用の摩擦を生むことが危惧される。(ニ)原告はし尿浄化槽内の汚物以外の汚物を収集することについては全く許可をとつていない。ところが汚物はし尿浄化槽内のそれであれその他のものからであれ汚物としての取扱いには何ら差異はない。そうすると原告がし尿浄化槽内の汚物以外の汚物を許可なくして収集していたりしても、それを識別することは困難であり、原告の営業に対する監督には困難な点が多々ある。

第四原告の反駁(被告の主張(二)(2)に対し)

(イ)浄化槽内の汚物の量は平塚市という特別清掃地域内のし尿浄化槽の総数及び容量からみて当然全体量が割り出されてくるもので、それを超える量の汚物の搬入を防げば他地域の汚物を平塚市の費用で処理するという事態は避けられるはずである。また被告は原告の営業を許可するにあたり環境衛生上必要な条件を付することができるのであるから、これを活用すれば第三(二)(2)(イ)で被告の主張するような危惧は解消できる。(ロ)大神清掃作業場は被告も認めるとおり、昭和三八年七月一日に完成しているので第三(二)(2)(ロ)の理由自体すでに消滅している。(ハ)汚物取扱業はし尿浄化槽の収集のみならず、し尿浄化槽の清掃管理をも行うのである。これを考慮すると現在の六業者では不足である。第三(二)(2)(ハ)も根拠がない。(ニ)清掃法にいう汚物とはし尿浄化槽内の汚物を除けば他は「ごみ」「犬猫鼠等の死体」があるのみである。これが浄化槽内の汚物と区別し難いなどということは全くない。第三(二)(2)(ニ)の主張も誤つている。

第五証拠<省略>

理由

(一)  原告の主張(二)及び(三)(1)(イ)記載の各事実、即ち従前し尿浄化槽内の汚物は清掃法第六条第一項にいう汚物に該当しないとして、その収集、運搬等の営業活動には許可が必要でないとされていたのが、昭和三七年五月一二日付厚生省環境衛生局長通知環発第一六二号により特別清掃地域(平塚市も含まれる)においてし尿浄化槽内の汚物収集を業とする者も昭和三八年一月一日よりは市町村長の許可を受けなくてはならぬことと定められたこと、これに従い原告は昭和三八年一月八日被告に対し汚物取扱業許可申請をなしたところ、被告は同月一二日発信、同月一四日原告方到達の書状により不許可処分をなしたことは当事者間に争いない。一方清掃法には同法第一五条第一項の適用に関し同法付則第三、四項に経過規定が設けられ、同法施行時(昭和二九年七月一日)に特別清掃地域において既に汚物取扱業を営んでいる者つまり既存業者については同法施行時より二ケ月以内に既存業者たる旨の届出があれば、それだけで以後許可を受けた業者とされる旨規定あること又届出がなされていない時でも同法施行後二ケ月間は既存業者は従前どおりの営業活動をなしうると定められていること明らかである。

(二)  そこで前示通知(通達)により、し尿浄化槽内の汚物の収集業務についても業者は市町村長の許可を必要とすると定められた場合に清掃法付則第三、四項等の経過規定が許可申請業者に対し適用乃至準用されるものなのか否かを検討することとする。

まず法の経過規定なるものは法の施行時点における新旧両事態の調整を目的とするものであり、本件の如き法施行後に生じた事態にはその適用あるいは準用をみないことは明らかである。

しかるに本件においては原告は法施行後の事態が判断の対象となつているに係わらず、経過規定の適用ある旨主張するのでかような主張を容認し得べき余地の存するものなりや検討を加える。元来清掃法第三条の「汚物」にし尿浄化槽内の汚物が含まれるものであることは法解釈上明らかであつてそれ故にこれが収集業者も同法施行時よりその規整下に置かれることになつたことは疑いをいれ得ざるところであり、同法施行時より後は右汚物収集を業とせんとする者は同法の定めるところに従い、その営業許可を取得すべきものであつたのであつて、同法施行後暫時の間、行政庁側においてし尿浄化槽内汚物に関しその規整を放置していたとしてもそれは証人喜多村頴一郎、同堀江秀夫の各証言によつて認められるように清掃法施行時におけるし尿浄化槽の普及の程度、或はその性能よりみて敢えて市町村において収集処理しなければならぬ状況に達しないと判断し、元来法律上規整すべきものを単に一時見合わせていたにすぎないのであり、法の運用方針問題にすぎないのであるから、清掃法施行時よりし尿浄化槽内汚物の収集業者は同法の適用を受けていたものと解することに何んら支障を来すものではない。そうすると前記通達は清掃法施行当時の行政庁のし尿浄化槽内汚物取扱業者に対する取締放置の方針を一変し、取締を強化することを明らかにしたにとどまり、右通達施行時より清掃法の適用範囲を拡大しようとするものではないから、かような法の運用方針変更時をもつて法施行時と同一視することは許されない。原告の主張を容認する余地は存しない。原告の主張は法の経過規定に関する独自の解釈論と言わざるをえず、これを採ることはできない。

(三)  よつて原告の汚物取扱業許可申請に対して被告としては平塚市の人口及びその増加率、既に許可を与えた業者の営業能力、平塚市(長)の監督能力、許可申請者の営業能力及びこれまでの実績、その有する職業選択の権利その他諸般の事情を裁量のうえ許可・不許可の処分をなしうるのである。もとより申請者の有する職業選択の自由は憲法上保障されている基本的人権である故、これが侵害となることは許されないが、他方右基本的人権も公共の福祉の制約下にあることが特に法文上明らかにされているものであり、結局汚物取扱業許可申請に対する判断は清掃法の立法趣旨規定あるいは憲法などからみて、不法と断ぜざるをえないような場合つまり行政庁に委ねられた裁量権の行使を逸脱したような場合を除けば第一次的には行政権の範囲に属するといわなくてはならない。

そこで本件につきこれを考察するに成立に争いのない乙第三号証、証人喜多村頴一郎、同岩田芳登の各証言によれば、平塚市には既に六業者が許可を受けて割当区域を定められて営業していること環境衛生局長より前記第一六二号の通知が発せられるや被告は右六業者に対し割当区域内のし尿浄化槽内汚物の収集等に遺憾なきようその設備をととのえることを指示しこれに応じた六業者の手により右通知の実施期日昭和三八年一月一日よりし尿浄化槽内汚物の収集がなされていること、いまあらたにし尿浄化槽内汚物収集等のため業者を加える必要は余りなく、これを加えると既存六業者が被告の指示に応じてなしたし尿浄化槽内汚物収集のため投下した設備を無用なものとするおそれがあることが認められる。他方原告の営業実績等については成立に争いのない甲第一乃至第三及び第六号証並びに証人岩田芳登、同喜多村頴一郎の各証言によれば原告は昭和三七年一一月二日設立登記をなしており、本店は神奈川県中郡大磯町大磯一〇九三番地に置かれ、その目的はし尿浄化槽の管理清掃(この点については当事者間に争いがない。)新設、改造衛生工事及び給水排水工事並びに右に付帯する物品販売及び工事一式とされるところ、原告がその前身なりと主張する富士興業有限会社或は湘南興業有限会社のうち富士興業有限会社は昭和三四年二月二一日設立登記後、平塚市長より汚物収集業者に対する許可をえて毎年度これを更新しつつ原告とは完全に別個にその営業を続けてきていること、湘南興業有限会社は昭和三五年一二月六日設立登記をなし、その本店を原告のそれと同一番地に置いたことは認められるもののその後解散登記等は何んらなされていないうえその目的は清掃業一般、衛生工事並びに上下水道工事一般それらの付帯事業とされ、原告の目的のごとくし尿浄化槽なる文言を用いていないこと、また代表取締役は訴外小池正であつて原告代表者は単に取締役に就いていたにすぎなかつたことなどが認められ従つて富士興業有限会社或は湘南興業有限会社が原告の前身であるとの原告の主張を採用することはできないし、さらに原告は汚物取扱許可を一切有していないうえ、その営業区域は平塚市外に広汎に広がりむしろ平塚市外の方に主たる営業区域があること、それがために原告の手により被告が取扱許可した汚物以外の汚物が市の処理場に搬入されるおそれがあり、それを防止するのは極めて困難であることが認められる。

以上の各認定につき、いずれもこれらを覆えすに足りる証拠はない。

しからば原告の反駁(そのうち(二)は被告の答弁及び主張(二)(2)(ニ)或は清掃法第三条を誤解したものであつて顧慮に値しない。)その他あらゆる観点よりみても右認定事実を判断の資料としてなした被告の不許可処分を裁量権の範囲を逸脱した不法なものとする事由は見出しえない。

(四)  以上のとおりで、原告の本訴請求は理由なきに帰するから、その請求を棄却することとし、訴訟費用については民事訴訟法第八九条を適用し主文のとおり判決する。

(裁判官 堀田繁勝 石沢健 谷川克)

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