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東京高等裁判所 昭和58年(行ス)9号 決定 1983年5月20日

抗告人 神奈川県 地方労働委員会

右代表者会長 江幡清

右指定代理人 戸田孔功

相手方 学校法人 聖マリア学園

右代表者理事 フェルナン・ブァヴェル

主文

原決定を取消す。

相手方は、相手方を原告とし、抗告人を被告とする横浜地方裁判所昭和五七年(行ウ)第一八号不当労働行為救済命令取消請求事件の判決確定に至るまで、抗告人が神労委昭和五六年(不)第五号、同第一六号及び同第二〇号不当労働行為救済命令申立事件につき昭和五七年一〇月一四日付をもって発した命令の主文第一ないし第三項に従わなければならない。

本件手続費用は原審及び当審を通じて相手方の負担とする。

理由

一  抗告人は、主文第一、二項同旨の決定を求め、その理由は別紙「抗告の理由」記載のとおりである。

二  本決定主文第二項に掲げる不当労働行為救済命令(本件救済命令)は、行政庁である神奈川県地方労働委員会による公権力の行使たる行政処分であるから、その行政行為に重大かつ明白な瑕疵があることにより無効とされる場合を除いて、適式に取消、変更されるまでは何人もその効力を否定することができないところ、本件救済命令に右のような瑕疵があることを窺わせる事情の存在は本件全疏明によるも認められない。したがって、相手方を原告とし、抗告人を被告として、本件救済命令の取消を求める横浜地方裁判所昭和五七年(行ウ)第一八号不当労働行為救済命令取消訴訟の係属とはかかわりなく、本件救済命令は一応適法かつ有効とみるべきものである。

本件記録によれば、相手方は、抗告人が昭和五七年一〇月一四日本件救済命令を発した後今日に至るも、右命令の履行をしていないことが認められるところ、前記取消訴訟の確定判決に至るまで不履行の状態が継続した場合、申立外聖光学院教職員組合らの団結権侵害は著しく進行し組織上回復困難な損害を受けることは見易い道理であるから、本件救済命令の必要性があるものというべきである。

三  それ故、抗告人による緊急命令の申立は理由があるから認容すべきところ、これを却下した原決定は不当として取消を免れず、本件抗告は理由がある。

よって、原決定を取消し、相手方に本件救済命令に従うべき旨を命ずることとし、手続費用の負担につき行訴法七条、民訴法九六条、八九条を適用して、主文のとおり決定する。

(裁判長裁判官 石川義夫 裁判官 寺澤光子 寒竹剛)

<以下省略>

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