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東京高等裁判所 昭和49年(行コ)27号 判決 1976年9月30日

東京都杉並区天沼二丁目三八番一七号

控訴人

鈴木武広

右訴訟代理人弁護士

原長一

佐藤寛

大塚功男

田中清治

青木孝

安井桂之介

小山晴樹

同都同区天沼三丁目一九番一四号

被控訴人

荻窪税務署長瀧下昌久

右指定代理人

竹内康尋

室岡克忠

松本庄蔵

高岡平三郎

主文

本件控訴を棄却する。

控訴費用は控訴人の負担とする。

事実

控訴人は、原判決を取消す

被控訴人が控訴人に対し昭和四二年三月一〇日付でなした左記各処分を取消す

1  昭和三八年分所得税の更正処分のうち総所得金額七、〇八五、九八二円につき、二、五一三、八六〇円を超える部分

2  昭和三九年分所得税の更正処分のうち総所得金額七、五三六、七一六円につき、一、五一二、四七二円を超える部分

3  昭和四〇年分所得税の更正処分のうち総所得金額五、三九一、八八五円につき、一、四七二、六六〇円を超える部分

訴訟費用は第一、二審とも被控訴人の負担とするとの判決を求め、被控訴人は、控訴棄却の判決を求めた。

当事者双方の主張および証拠の関係は、次に訂正、付加するほか、原判決の事実摘示のとおりである。

控訴人は「原判決添付別表3のうち番号48以下の支払につき、従前これを訴外鈴木敬志からの借受金の元金の支払として国際学園が支出したものと主張していたが、同学園が右訴外人から買受けた物品代金の支払であるから訂正する。なお、甲第三号証の一ないし四二の小切手は右物品代金支払のため振出されたものである。」と述べ、

被控訴人は「同別表3のうち番号53の年月日が昭和三九年九月七日とあるのを昭和三九年九月一日に訂正する。なお、右は同年九月一日振出の小切手MA〇三九八九(甲第三号証の七)に当るものであるが、その金額九五、〇〇〇円のうち四五、〇〇〇円は物品代金の支払であり、残額五〇、〇〇〇円が利息の支払である。」と述べた。

控訴人は、甲第二号証、同第三号証の一ないし四二、同第四号証、同第五号証の一、二を提出し、証人元山光広、同佐々木祐成の尋問を求め、乙第一六号証の一ないし六、同第一七号証につき原本の存在ならびにその成立を認め、同第一八号証の一、二および同第一九号証の成立を認めた。

被控訴人は、乙第一六号証の一ないし六、同第一七号証、同第一八号証の一、二および同第一九号証を提出し、甲第三号証の一ないし四二につき原本の存在ならびにその成立を認め、同第二号証、同第四号証および同第五号証の一、二の成立は不知と述べた。

理由

一、請求原因(一)の事実は、当事者間に争いがない。

二、昭和三八年分の更正処分について原判決が理由二の(一)(二)(三)に判示するところは、当裁判所の判示すべきところと同じであるから、これを引用する(ただし、原判決書一二枚目裏四行、五行目および同一五枚目裏一〇行目の「弁論の全趣旨」を「その外観と記載の態様」と訂正し、同一三枚目裏一行、二行目の「先付け」を「先日付け」と訂正し、同一五枚目表一行目の「敬志及び」の前に「後記認定のとおり」を加える。)。

三、昭和三九年分の更正処分について原判決が理由三の(一)(二)(三)に判示するところは、当裁判所の判示すべきところと同じであるから、これを引用する(ただし、原判決書二三枚目裏四行目の「配当所得が」の次に「一六〇、〇〇〇円、不動産所得が」を加える。)。

控訴入は、当審において新たに、原判決添付別表3のうち番号48以下の支払は国際学園が訴外鈴木敬志から買受けた物品代金の支払分であって控訴入に対する利息支払ではないと主張し、当審証人元山光広の証言中には右主張に添うかのごとき供述部分があるが、同証人の証言によって真正に成立したものと認められる乙第四号証と同証人の証言を対照してみると甲第三号証の一四、一五、一六、一八の小切手四通(番号MA〇三九九八、MA〇三九九九、MA〇四〇〇〇、DO一六五二、いずれも金額一〇万円)と同第三号証の一七の小切手(番号DO一六五一、金額四万円)に相応する分合計四四万円がストーブ買受代金の支払として国際学園から振出された事実(この支払分については、原判決添付別表3に掲載されておらず、控訴人の昭和三九年分の更正処分において雑所得中に計上されていないことは、弁論の経過上明らかである。)のみを明確に把握できるだけであって、いずれも成立に争いのない甲第三号証の一ないし一三および同号証の一九ないし四二と同証言を対照しても、原判決添付別表3のうち番号48以下の支払分がいずれも国際学園が訴外鈴木敬志から物品を買受けた代金支払分であるとの控訴人主張事実を認定することはできず、他にこの主張事実を認定して右支払分が国際学園の控訴人に対する利息支払分であるとする前記認定を覆えすに足りる証拠はない。従って、元山証人の前示供述部分は採用に値しないものといわなければならない。

なお、原判決添付別表3の番号53の五〇、〇〇〇円は昭和三九年九月一日国際学園振出の金額九五、〇〇〇円の小切手(番号MA〇三九八九)によって支払われたものであり、同金額のうち四五、〇〇〇円が物品代金として支払われ、残五〇、〇〇〇円が借受金の利息として控訴人に支払われた事実を前示甲第三号証の七、乙第四号証と成立に争いのない同第五号証によって認定することができる。

四  昭和四〇年分の更正処分について原判決が理由四の(一)(二)(三)に判示するところは、当裁判所の判示すべきところと同じであるから、これを引用する。

五  以上二ないし四につき、当審における提出、援用の証拠をもってしても、右認定判示を動かすべき点はなく、被控訴人のなした本件更正処分には控訴人主張の違法はないものといわなければならないから、その取消を求める控訴人の本訴請求はすべて理由がない。よって、これを棄却すべきものとした原判決は正当であって、本件控訴は理由がないから、訴訟費用の負担について民事訴訟法第九五条、第八九条を適用して、主文のとおり判決する。

(裁判長判事 安倍正三 判事 輪湖公寛 判事 後藤文彦)

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