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東京高等裁判所 昭和45年(行コ)57号 判決 1971年5月27日

東京都中野区南台四丁目二七番一三号

控訴人

秋元長寿

同所

秋元ユキ

右両名補佐人

岩田亮吉

東京都千代田区大手町一丁目三番二号

被控訴人

東京国税局長

安川七郎

右指定代理人

篠原一幸

横尾継彦

三宅貞信

安藤元久

右当事者間の審査請求に対する棄却の裁決取消請求控訴事件について、当裁判所は次のとおり判決する。

主文

本件各控訴を棄却する。

控訴費用は控訴人らの負担とする。

事実

控訴人らは、「原判決を取り消す。被控訴人が昭和四三年一〇月二五日付で控訴人らに対し、控訴人らがなした相続税の更正および過少申告加算税賦課決定に対する審査請求を棄却した裁決を取り消す。訴訟費用は、第一、二審とも被控訴人の負担とする。」旨の判決を求め、被控訴代理人は、控訴棄却の判決を求めた。

当事者双方の主張および証拠の関係は、控訴人らにおいて、別紙準備書面記載のとおり陳述したほか、原判決事実摘示のとおりであるから、これを引用する。

理由

当裁判所も、次に付加して記載するほか、原判決と同一の理由により控訴人らの本訴各請求を理由がないと認めるので、原判決理由一、二項の記載を引用する。

「控訴人らは別紙準備書面記載のとおり原審が本件原処分の適否について審理判断しなかつたことを非難するが、行政事件訴訟法一〇条二項は、「処分の取消しの訴えとその処分についての審査請求を棄却した裁決の取消しの訴えとを提起することができる場合には、裁決の取消しの訴えにおいては、処分の違法を理由として取消しを求めることができない。」と規定しているところ、本件記録上明らかなとおり控訴人らは昭和四五年五月二五日の原審第三回口頭弁論期日において、本訴を原処分取消しの訴えに変更する意思のないことを陳述し、本訴を裁決取消しの訴えとしてのみ維持することを明らかにしているのであるから、原審が本件について裁決の手続上の違法等裁決固有の違法の有無のみについて審判をなし、原処分の違法の有無について審理判断をしなかつたのは当然であつて何ら違法の点はない。控訴人らの主張は独自の見解に基づくものであつて採用の限りではない。」

よつて、控訴人らの本訴各請求をいずれも棄却した原判決は相当であり、本件各控訴は理由がないから、これを棄却することとし、行訴法七条、民訴法三八四条、九五条、八九条、九三条を適用して、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 柳川真佐夫 裁判官 後藤静思 裁判官 平田孝)

準備書面

一、原審判決中理由の(2)秋元ユキに対する後段「原告等が右理由の内容を理解できないと主張する趣旨は結局本件裁決によつて維持された原処分の理由自体について承服できないというに帰するものであり直接原処分の適否を争うのなら格別云云」と説示されて居るが、控訴人等は所轄税務署長に対し本件土地に付被相続人秋元伝一と株式会社秋元ビルとの土地賃貸借契約の事実、同ビルの借地利用計画等を説明しても、其ようなことは上級官庁でなければ判定できないと関係書類等も充分調査せず、土地賃貸借契約書写を採用したのみで異議申立を棄却された。

二、控訴人等はやむを得ず被控訴人に対し審査請求をなし前項の事実及関係書類の審査を願うべく再三申述したが、所轄税務署長と同様の調査をなし充分審理したとして審査請求棄却の裁決を受けた。

三、第一項のように「直接処分の適否を争うなら格別云々」と説示されて居るが、前記の如く上級官庁でなければ判定不能などと異議申立を棄却した原処分に不服に付被控訴人に対し其衡平な審査を求めるため審査請求した処、其不服の事実に付公正な審査を行うことなくなした被控訴人の審査請求棄却の裁決取消を求めたが、原審に於て、控訴人等が被控訴人の不充分な審理に基いてなした裁決であることを立証のための証拠申出をしたが採証とならず、原処分の適否に関係なく単に被控訴人の裁決付記が形式上違法の瑕疵がないと判示した原判決に不服である。

以上

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