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東京高等裁判所 昭和44年(ラ)848号 決定 1969年12月22日

抗告人 小塩憲正(債務者小塩惟志承継人)

主文

本件抗告を棄却する。

理由

抗告人は、原決定を取消し、更に相当の裁判を求める旨申立て、抗告の理由として、抗告人は昭和四四年一〇月二五日本件強制競売申立債権者扇屋塗料株式会社事務所において、代表取締役早川春治に対し、本件債務名義表示の元金一七四、二三〇円、利息六二、七一八円および強制執行費用六、〇六〇円を支払い、右早川は同会社の小塩惟志に対する一切の債権が消滅したことを確認した。本件競売はその後同月二七日に行われたものであるから、競落許可決定の取消を求めると主張した。

しかしながら、強制競売において債務名義の内容である債務の不存在を主張して手続の進行を阻止しようとするならば、別に定められた手続によるべきであって、競落許可決定に対する抗告の方法によることはできない。執行裁判所は実体上の請求権の存否を判断することはできないからである。

よって本件抗告はこれを棄却することとして、主文のとおり決定する。

(裁判長裁判官 近藤完爾 裁判官 田嶋重徳 吉江清景)

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