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東京高等裁判所 昭和44年(ラ)27号 決定 1969年3月14日

抗告人 長野芙美(仮名)

主文

本件抗告を却下する。

理由

本件抗告の趣旨は、「原審の選任した遺言者関根利一の遺言執行者浜中康を解任して、遺言執行者として抗告人を選任する。」旨の決定を求める、というにあり、その理由の要旨は、「抗告人は遺言者亡関根利一の唯一の実子で、同人の遺言執行者としては最も適当であるところ、原審は、右遺言執行者として、最適の抗告人、少くとも当該事情を知悉している抗告人の夫長野善助を選任せずして、一面識もない浜中康を選任した。しかし事情を知らない浜中康は到底円滑に遺言執行者としての職務を行うことはできないから、これを解任し、抗告人を遺言執行者に選任することを求める。」というにある。

しかしながら、遺言執行者の解任は家庭裁判所に対する法定の審判申立の手続によつてなさるべきもので、その他の方法によることは許されないのみならず、家事審判法第一四条によれば審判に対する不服申立としては、最高裁判所の定めるところにより、即時抗告のみをすることができるところ、家事審判規則第一二七条によると、遺言執行者選任の申立を却下した審判に対しては即時抗告が許されるが、遺言執行者選任の審判に対しては即時抗告は許されず、他にこれを許容した規定はないのであるから、遺言執行者選任の審判に対しては不服申立をすることができないものといわなければならない。とすれば本件抗告は不適法たることを免れないから、これを却下することとし、主文のとおり決定する。

(裁判長裁判官 古山宏 裁判官 川添万夫 裁判官 右田堯雄)

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