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東京高等裁判所 昭和44年(う)2392号 判決 1970年2月18日

主文

原判決を破棄する。

被告人等をいずれも懲役八月にそれぞれ処する。

原審における訴訟費用は被告人両名の負担とする。

理由

論旨第一について

所論は、原判決が、被告人等が本件賭博を常習として行つた旨認定したのは、判決に影響を及ぼすことが明らかな事実誤認である、というのである。

よつて、按ずるに、訴訟記録を精査すると、本件賭博は、その方法は娯楽性の乏しい典型的な賭博方法であり、全体として、その度数も賭金の額も多く、その規模は必ずしも小さいものとはいえないこと及び被告人奥崎朝生は、昭和三八年頃から博徒集団である住吉会日野一家に所属する博徒となり、同四〇年四月六日賭博開張図利幇助罪により懲役一年三月に処せられてその執行を受け、続いて他の刑の執行を受け同四三年一二月一七日仮出獄となるや、二日後に本件犯行に及んだものであり、被告人井梅平八郎は、同三七年頃から右日野一家に所属する博徒となり、同三七年一二月六日賭博罪により罰金五、〇〇〇円に処せられ、同四〇年四月六日賭博開張図利罪により懲役一年一〇月に処せられ(同四一年四月二七日確定)てその執行を受け、同四三年二月五日仮出獄となり、その後一年を経ずして本件犯行に及んだもので、本件における賭博の回数、賭金額及び賭金の額は賭客中最も多いことがそれぞれ認められ、以上の事実を総合考察すると、論旨第二における所論主張のように、本件賭博が必ずしも計画的に行われたものでないこと、開張者もなく、賭客も小人数であること、被告人奥崎の賭博の回数及び賭金額が比較的少いこと並びに被告人井梅が前刑終了後定職をもつていることが窺われる等の事情を参酌はしてみても、なお、原判決が、被告人等の本件賭博の常習性を認定したのは相当であると認めざるをえない。(なお賭博開張図利及び同幇助は、本来賭博罪の幇助としての性格を包含するものと考えられるから、これ等の罪の前科を賭博の常習性の認定の資料とすることは、何等妨げないものと解する。)その他所論に鑑み、訴訟記録を検討しても、原判決に所論のような事実誤認があるとは認められない。論旨は理由がない。<以下略>(脇田忠 高橋幹男 環直弥)

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