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東京高等裁判所 昭和41年(く)62号 決定 1966年5月24日

少年 B・A(昭二四・九・一一生)

主文

本件抗告を棄却する。

理由

本件抗告の理由は右抗告申立人B・M作成提出の抗告の申立と題する書面に記載されたとおりであって、結局は原決定の処分が著しく不当であるというに帰する。

そもそも自動車の無免許運転は凡百の交通事故の重要な成因をなすものであるから、交通事故、とりわけ人身事故の増加が日を遂うて止まない現下の状勢において、これが発生を未然に防止するには、先ず以て無免許運転の取締りを厳にし、苟も法規に違反して無免許運転をなす者があれば、これに対し順法精神を徹底的に叩き込み、安全運転の心掛けを体得させるように指導教育するの要あることは多言を須いずして明らかであり、殊にこの種交通安全教育は何事にも順応性が比較的高いと認められる年少時からこれを開始すれば一層その効果を発揮することができるものと思料されるところ、本件保護事件記録及び調査記録によれば、少年は前にも昭和四〇年七月○日無免許で自動二輪車を運転した廉により検挙され、同年一一月○日原裁判所において集団講習を受け、再びかかる無免許運転をしないことを誓約して不処分となったに拘らず、それから僅か一一日後の同年同月○○日本件無免許運転を敢えてするに至ったものであり、前回の集団講習は未だ少年の順法意識を喚起するには至っておらず、旁々少年の両親は少年の兄B・Yの非行事件に心痛の余り少年の指導監督にまで心を配る余裕がなく、このまま放置すれば、少年は今後も無免許運転を繰り返さないとも限らず、よしんば遠からず運転免許を得たとしても順法精神の未熟のため運転上の過失を犯し遂には重大な交通事故を意起し、少年自身の将来に暗影を投ずるの虞れなしとしないことが窺われるから、この際少年に対しては早期に専門のケースワーカーによる交通安全教育を相当期関実施し、以てその順法意識を確立させることが肝要であると思料される。然らばこれと同旨に出て少年を保護観察所の保護観察に付する旨決定した原裁判所の処分はまとに妥当な措置であるというべく、本件抗告は理由がないと認める。

よって、少年法第三三条第一項、少年審判規則第五〇条により本件抗告を棄却すべきものとし、主文のとおり決定する。

(裁判長判事 坂間孝司 判事 栗田正 判事 有路不二男)

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