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東京高等裁判所 昭和39年(ラ)685号 決定 1965年7月09日

抗告人 棚橋栄治 外一名

主文

本件各抗告を却下する。

理由

本件抗告理由の要旨は「本件競売は昭和三十九年九月二十九日の競売期日になされたものであるところ、債務者及び競売目的物件所有者たる抗告人らに対しては、競売期日を同月二十五日午前九時とする旨の通知があつたのみで(抗告人らは右日時に競売の場所である出雲崎町役場に出頭したが、執行吏の臨場すらなかつた)、適法な競売期日の通知を欠いたから同年十月五日の競落期日になされた本件競落許可決定は違法であつて、取消さるべきである。抗告人らは、当日競売にならなかつた物件についての新競売期日の通知を受け調査の結果初めてこれを知つたものであり、それまで裁判所より右競落の通知を受けなかつた抗告人らはその事実を知る由もなく、抗告期間を遵守できなかつたので、ここに即時抗告の追完をなし、本件競落許可決定の取消を求める。」というものである。

記録によれば、本件不動産任意競売は競売期日と定められ公告された昭和三十九年九月二十九日午前九時より実施され、適法に公告せられた同年十月五日の競落期日に最高価競買人である山後惣五郎に対する本件競落許可の決定の言渡があつたこと及び抗告人栄治に対しては右競売期日を誤つて同年九月二十五日午前九時である旨の通知がなされたことが明らかであり、抗告人勇に対しても同旨の通知がなされたことは、抗告人栄治宛の本件競売期日通知書の体裁と原裁判所裁判官の意見書に徴し、想見するに難くないところである。従つて本件競売手続は利害関係人たる抗告人らに対する適法な競売期日の通知を欠いた点において違法たるを免れないが、本件抗告状に押捺された受付印によれば本件抗告は即時抗告期間を経過した昭和三十九年十一月九日抗告状を原裁判所に提出してなされたものであることが明らかであり、抗告人らは上訴権回復の申立をするものであるところ、抗告人らの主張によれば、抗告人らは、誤つて通知された前示九月二十五日午前九時に、本件競売物件を競落すべく、親族らとともに競売の場所に出頭したのに、もとより執行吏の臨場もなかつたというのであるが、利害関係人たる抗告人らとしては、かような場合には、本件競売に関心をもつ以上、全く競売期日の通知を欠いた場合と異なり抗告人ら居住地(競売不動産所在地)である出雲崎町の町役場の掲示板に掲示してなされた本件競売及び競落の各期日の公告により、あるいは競売裁判所に対する照会等により、容易に競売期日の通知の誤りを発見し、かつ競落期日の場所及び日時をも知りえたというべきにかかわらず、漫然事態を放任し、本件競売物件以外の物件についての新競売期日の通知を受けるまで、前示競売期日の通知の誤ならびに競落期日の場所及び日時を知らず、そのために、本件競落許可決定に対する即時抗告期間を遵守できなかつたというのは、抗告人らの責に帰すべからざる事由により、不変期間を遵守することができなかつたものとは、とうてい認めることができない。

よつて本件各即時抗告は、その追完をなすことができず、不適法であると認めるほかなく、その欠缺は補正することができないものであるから、これを却下すべきものとし、主文のとおり決定する。

(裁判官 仁分百合人 小山俊彦 渡辺惺)

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