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東京高等裁判所 昭和33年(ウ)711号 決定 1959年1月22日

申立人 山下仲治郎

相手方 村山泰子

主文

本件申立を却下する。

理由

本件申立理由は、別紙「訴訟引受決定を求める申立」に記載してあるとおりである。

一件記録に徴すれば、被控訴人は、本訴訟において、控訴人に対し、本件土地を賃貸したところ、その期間満了し、賃貸借は消滅したから、これにもとずき、控訴人に対し、その所有家屋を収去し、右土地の明渡を求めるものであること明かである。申立人の主張によれば相手方は右訴訟の係属中右土地の空地部分に本件家屋を建築所有し、その敷地を占有するものであるが、この一事あればとて、相手方は、被控訴人訴求にかかる控訴人の賃貸借にもとずく土地明渡義務を承継するものとはいい難い。したがつて相手方は、民事訴訟法第七十四条に規定する訴訟の目的たる債務を承継したものとはいい難く、本件申立は、その要件を欠き失当である。民事訴訟法第二百一条の規定は、判決の効力のおよぶ人的範囲を定めたものであつて、これを根拠として、訴訟引受人の範囲を定め難い。

よつて本件申立を却下すべきものとし、主文のとおり、決定した。

(裁判官 奥田嘉治 牧野威夫 岸上康夫)

訴訟引受決定を求める申立

東京都中野区沼袋町百五十七番地

控訴人 村山昌雄

東京都杉並区高円寺六丁目七百十五番地

申立人 被控訴人 山下仲治郎

右申立人代理人弁護士 堀場直一

東京都中野区沼袋町百五十七番地

債務承継人第三者 村山泰子

申立の趣旨

申立人である被控訴人から控訴人に対する御庁昭和二十八年(ネ)第二、〇六四号建物収去土地明渡事件につき債務承継人第三者村山泰子をして右控訴人の訴訟を引受けしめる旨の御決定を求めます

申立の理由

一、右控訴人対被控訴人間の御庁昭和二十八年(ネ)第二、〇六四号建物収去土地明渡事件により控訴人は被控訴人に対し繋争目的土地の占有を移転する義務ある所右債務承継人第三者は昭和三十三年七月廿五日右訴訟の目的地上に別紙目録表示の建物を建築することにより訴訟の目的土地の一部を占拠した。

二、右占拠の事実は第三者が控訴人の被控訴人に対する土地の占有を移転する債務の一部を承継したもので民事訴訟法第七十四条に規定する訴訟の目的たる債務を承継したことに該当する。このことは民事訴訟法第二百一条に対比しても明であるから被控訴人は右訴訟の目的土地の内第三者が所有する建物の敷地部分につき控訴人の訴訟を引受けしめる旨御決定を賜りたく本申請に及びました

右申立てます。

昭和三十三年八月十八日

右申立人代理人 堀場直一

東京高等裁判所 御中

目録

東京都中野区沼袋町百五十七番地弐所在

木造瓦葺平家建作業所居宅壱棟

建坪 壱四坪弐合五勺の内東側

家屋番号 同町壱五七番五

一、木造瓦葺平家建作業所居宅

建坪 七坪

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