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東京高等裁判所 昭和33年(う)2647号 判決 1959年4月15日

被告人 千野正己

主文

本件控訴を棄却する。

当審における未決勾留日数中六十日を原判決の強盗傷人の刑に算入する。

当審における訴訟費用は全部被告人の負担とする。

理由

(弁護人の)補充控訴趣意(法令適用の誤)について。

小林忠雄の受けた傷の程度は老川密信作成の診断書によると加療約五日を要する打撲傷であつて、小林忠雄の原審公判廷における供述によると、受傷後十日近くを経過した後においても、押せばいくらか痛んだことが認められる。もつとも右供述によるとその傷は別段治療しないで自然に治つており、また小林忠雄は被害を受けた翌日畠仕事に従事した事実も認められるのであるが、これらの事情を考慮のうちに入れて判断しても、小林忠雄の受けた前記の傷は、日常生活において一般に看過される程度を超えて同人の生活機能を毀損したものであつて、強盗傷人罪の構成要件である傷害に該当すると解するを相当とする。従つて原判決が判示第二事実に対して刑法第二百四十条前段の規定を適用したのは正当であつて、所論のような法令適用の誤はない。論旨は理由がない。

(その余の判決理由は省略する。)

(裁判官 滝沢太助 久永正勝 八田卯一郎)

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