大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

東京高等裁判所 昭和30年(ネ)2543号 判決 1956年3月07日

静岡県磐田市中泉五九二番地

控訴人

勅許家元正四位国教総裁菊坡晃司家祭祀法人

皇治教神祇陰陽道天社教団大本庁宗教法人

皇治教信徒相互共同経営都すし

右代表者主管者

太田丑太郎

木舟直太郎

同県磐田市見付二三八五番地

被控訴人

磐田税務署長

道正信彦

右指定代理人

望月伝次郎

寺内一郎

片桐信

竹下重人

北岡三郎

右当事者間の差押処分取消請求控訴事件について、次のとおり判決する。

主文

本件控訴を棄却する。

控訴費用は控訴人の負担とする。

事実

控訴人は、適式の呼出を受けながら、当審における口頭弁論期日に出頭しないが陳述したものとみなされた控訴状の記載によれば、控訴の趣旨は、「原判決を取消す。訴訟費用は第一、二審とも被控訴人の負担とする。」との判決を求めるというにあつて、被控訴代理人は、控訴棄却の判決を求めた。

被控訴代理人の陳述した原審口頭弁論の結果によれば、当事者双方の事実上の主張は原判決の事実摘示と同一であるから、ここにこれを引用する。

理由

控訴人の本訴は、被控訴人磐田税務署長が控訴人に対する昭和二十九年度法人税の滞納処分として昭和三〇年七月二二日なした差押処分の取消を求めるものであるが、控訴人は当該滞納処分について被控訴人に対し国税徴収法第三一条の二の規定により再調査の請求をなしたところ、同年八月六日同法第三一条の二第五項の規定による請求棄却の決定があつたことは、当事者間に争のないところである。しかるに、右決定に対し、控訴人が、国税徴収法第三一条の三の規定による審査の請求をなしたことは、被控訴人においてこれを否認するところであるのにこれを認めるに足るなんらの立証をしないから右審査の請求がなかつたものと認めざるを得ない。

しからば、控訴人は国税徴収法所定の審査請求の手続を経ることなくして本訴を提起したものであり、右手続を経ないで本訴を提起したことにつき同法第三一条の四に定める正当の理由があることは、何等の主張も亦立証もない。

従つて控訴人の本訴は同法第三一条の四の規定に違反して提起された不適法のものであつて、却下を免れないものといわなければならない。

これと同趣旨の原判決は相当で、本件控訴は理由がないから、行政事件訴訟特例法第一条、民事訴訟法第三八四条、第九五条、第八九条を適用して、主文のとおり判決する。

(裁判長判事 角村克己 判事 菊池庚子三 判事 吉田豊)

(注)

東京高等裁判所が言渡した

(1) 昭和三十年(ネ)第二五四四号・宗教法人やまき対磐田税務署長・差押処分取消請求控訴事件(三一・三・二四判決言渡)

(2) 昭和三十年(ネ)第二五五一号・宗教法人一茶寮対磐田税務署長・差押処分取消請求控訴事件(三一・四・二〇判決言渡)

に対する棄却の判決は、これと同趣旨であるから登載を省略する。

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!
©大判例