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東京高等裁判所 平成9年(行コ)121号 判決 1998年10月28日

控訴人

株式会社○○

右代表者代表取締役

甲野太郎

右訴訟代理人弁護士

井関浩

大木健

被控訴人

東京都中央都税事務所長

森朗

被控訴人

東京都

右代表者知事

青島幸男

右二名指定代理人

江原勲

外一名

主文

一  本件控訴をいずれも棄却する。

二  控訴費用は控訴人の負担とする。

事実及び理由

第一  当事者の求める裁判

一  控訴人

1  原判決を取り消す。

2  被控訴人東京都中央都税事務所長が平成四年五月二七日付けで控訴人に対してした原判決別紙物件目録記載の不動産の取得に対する不動産取得税の賦課決定処分(ただし、平成六年五月一三日付け減額決定により一部取り消された後のもの)が無効であることを確認する。

3  被控訴人東京都中央都税事務所長が平成四年八月二〇日付けで控訴人に対してした前項記載の不動産取得税の督促処分を取り消す。

4  被控訴人東京都は、控訴人に対し、一一九二万一二〇〇円及びこれに対する平成八年三月三〇日から支払済みに至るまで年五分の割合による金員の支払をせよ。

5  訴訟費用は、第一、二審とも被控訴人らの負担とする。

6  第4項につき仮執行宣言

二  被控訴人ら

主文第一項と同旨

第二  事案の概要

次のとおり付け加えるほか、原判決「事実及び理由」中の「第二 事案の概要」記載のとおりであるから、これを引用する。

一  控訴人が当審において追加又は敷衍した主張

1  控訴人は、平成四年五月一一日まで、都税事務所の家屋評価担当職員から、電話による連絡を受けたり、不動産取得税の賦課徴収に関する申告書用紙の送付を受けたりしたことはない。

被控訴人らは、原審において、平成二年四月、同年一一月、平成三年三月に家屋調査担当職員が本件建物内の控訴人事務所に電話をかけた旨主張したが、控訴人は本件建物内に事務所を置いたことはないから、右の点が虚偽の主張であることは明らかである。

2  控訴人代表者は、平成四年五月二六日の中野主査との電話による会話において、中野主査から翌二七日に納税通知書を控訴人事務所に持参する旨知らされたことはない。

3  控訴人の男性従業員は、A及びBのみであり、この二人は、平成四年五月二七日には千葉県館山市に出張し東京にはいなかった。

したがって、当日、阿部係長らがJビルの集合郵便受箱の付近で控訴人の男性従業員と会ったということはあり得ない。

二  控訴人が当審において追加した主張

控訴人は、平成二年三月一四日、被控訴人所長に対し控訴人の本店が中央区銀座<番地略>に移転した旨の届出をしており、平成二年一一月二九日及び平成三年一一月二九日にそれぞれ提出した法人事業税・法人都民税の確定申告書にも右住所が本店として記載されていた。そして、都税事務所の担当者は、右届出書、確定申告書に記載されている電話番号により控訴人に電話をかけ、控訴人事務所につながったので、右新本店に電話をかけたものと考えていた。

第三  証拠

証拠関係は、本件記録中の書証目録及び証人等目録記載のとおりであるから、これを引用する。

第四  当裁判所の判断

当裁判所も控訴人の請求はいずれも理由がないと判断する。その理由は、次のとおり付け加えるほか、原判決「事実及び理由」中の「第三 争点に対する判断」及び「第四 結論」(原判決書四八頁の三行目から六行目までを除く。)記載のとおりであるから、これを引用する。

一 控訴人は、昭和四七年五月一二日に不動産の賃貸及び管理を目的として設立された株式会社であり、平成元年一一月三〇日になって同月一日に本店を港区新橋<番地略>から本件建物のある中央区銀座<番地略>に移転した旨の登記を経ている(乙八)。しかし、実際には、控訴人の事務所は、昭和五九年六月ころから平成三年三月までは港区新橋<番地略>にあり、同年四月からはJビルのある港区西新橋<番地略>に移転しており、控訴人が本件建物内に本店を移転したことはなく、本件建物内に事務所を置いたこともなかった(甲八、証人C、弁論の全趣旨)。ところが、控訴人は、平成二年三月一四日、被控訴人所長に対し、東京都港都税事務所の管轄する港区新橋<番地略>から本件建物内に本店を移転した旨の届出(都内からの転入の届出)をした上、同年一一月二九日には本件建物に本店がある旨の法人事業税・法人都民税の確定申告書を提出し、平成三年一一月二九日にも同様の確定申告書を提出し、本店の電話番号として、右届出書及び平成二年の確定申告書には「<電話番号略>」と記載し、平成三年の確定申告書には「<電話番号略>」と記載していた(乙三、八、九、一二ないし一四、弁論の全趣旨)。そして、右の各電話番号の局番は、本件建物のある銀座を管内とする局番ではなく、前者は新橋を、後者は西新橋を管内とする電話番号であった(弁論の全趣旨)。そうすると、控訴人は、被控訴人所長に対し、事務所のないところを本店と表示して転入の届出及び確定申告をし、電話番号だけは実際に使用していた事務所の電話番号を記載していたものと推認できる(なお、乙一二には、連絡先として港区西新橋のJビルが記載されており、その電話番号も「<電話番号略>」と記載されているが、控訴人がJビルに事務所を移転したのは平成三年四月であるから、右各記載は、それ以降にされたものと認められる。)。

そこで、右の点を前提として乙第四号証を見ると、都税事務所の担当者が平成元年一〇月三一日から平成三年一〇月まで七回にわたり控訴人事務所に電話連絡した旨の記載は、控訴人の事務所の所在との関係では不自然な点はなく、また、その時点では単なる調査協力の依頼にすぎず、そのような電話連絡により目的を達することができるのが通例であると認められるから(弁論の全趣旨)、その電話連絡の内容が詳細でないことや電話に出た者の氏名が記載されていないことをもって不自然であるとすることはできない。他方、平成四年五月一一日以降の記載については、その時点では、不動産取得税の賦課期限である同月三〇日が迫っていたので、控訴人の調査協力がなければ直接の事情聴取を経なくとも独自の調査を行って不動産取得税の賦課決定をしなければならない状態になっていたと認められるから、争訟になった場合に備え、以後の手続の明確化という趣旨で、控訴人の事務所を訪問し、あるいは電話連絡をしたときの状況を詳細に記録に残しておいたものと見ることができ特に不自然な点はない。

また、都税事務所においては昭和六三年一月一日に撮影した航空写真により本件建物が新築されたことを確認していたのであるから(弁論の全趣旨)、都税事務所の担当者が平成元年一〇月三一日以降、右のような一連の対応措置をとるのは自然であり、乙第四号証の「平成元年一二月一日 会社へ不動産取得税申告書を送付。解答なし、また返戻もされず。」との記載も、平成元年一〇月三一日に都税事務所の担当者が新橋の事務所に調査協力依頼の電話連絡をしたが連絡がなく、さらに同年一一月三〇日にも同趣旨の電話連絡をしたが、控訴人の従業員の回答が控訴人代表者は不在であるというものであったことから、その翌日、右用紙を送付したと見ることができ、その時期から見て都税事務所の担当者の対応として不自然な点はない。前示のとおり、控訴人は、右の第一回の電話連絡を受けた後の同年一一月三〇日受付で同月一日に本件建物に本店を移転した旨の登記を経ているが、前示のとおり、右登記は不実の登記であって新橋の事務所は従前のまま存在していたのであるから、未だ本店移転の届出を受けていなかった都税事務所の担当者は、商業登記簿、東京都港都税事務所の資料を見るなどして本件建物ではなく新橋の事務所に右用紙を送付したものと推認でき、それが返戻されなかったのも不自然ではない。

なお、中野主査が平成四年五月一九日付けで控訴人に書留郵便により送付した依頼書にも「調査の実施について、再三ご連絡していますが、ご返事がなく苦慮しているところです。」と記載されており(乙四)、右記載は、中野主査の協力依頼が同月一一日にはじめてされたものではないことを示している。

二 他方、控訴人は、昭和六二年五月三〇日に本件建物を新築しその所有権を取得したが、法七三条の一八第一項、東京都税条例四五条一項により取得の日から三〇日以内に不動産取得税の賦課徴収に関する申告書を提出することが義務づけられているにもかかわらず、その提出をしなかったものであり、本件建物の表示の登記も平成七年一月一二日に至ってはじめて行われている(平成八年六月二七日の時点でも保存登記はされていない(乙一)。)。

右の点について、控訴人代表者は、不動産を取得した場合に不動産取得税との関係で法律上その申告をしなければならないことになっていることを知らなかった旨供述する。しかし、控訴人は、昭和五三年以降、東京都、神奈川県において土地建物を取得し、現在、一〇棟の貸しビルを所有しており、そのうち新築ビルが五棟あるというのであるから(甲八、控訴人代表者)、控訴人代表者において不動産取得税の賦課徴収に関する申告書を提出する義務があることを知らなかったというのは不自然であり、仮に申告書の提出義務があること自体は知らなかったとしても、不動産取得税の納税義務があることは十分認識していたはずである。

他方、控訴人の平成二年四月一日から同年九月三〇日までの法人事業税・法人都民税の確定申告書(乙一三)には、所得金額が「△三九億〇一一四万八四一三円」と記載され、同年一〇月一日から平成三年九月三〇日までの確定申告書(乙一四)には所得金額が「△五億七〇三〇万八二七八円」と記載されているところであって、平成四年五月二六日の電話連絡の際、控訴人代表者が「バブル経済がはじけ、資金繰りが苦しく飛び回っている状態である」と述べたとの乙第四号証の記載は、信用できる。

右の諸点と、一において判示したように、控訴人が本店移転につき不実の登記を経由し、また、被控訴人所長に対して不実の本店移転の届出をしていること(通常、訴状、納税通知書等は、登記簿記載の本店宛に郵便で送達されるが、右のような状態であれば、送達ができないか、遅れる可能性が強い。)を合わせ考えると、控訴人において本件建物の不動産取得税の支払を拒否し、あるいはその支払を遅らせることを欲するような特別の事情があったことが窺える(なお、甲第一一号証の一には、控訴人が平成四年一月から同年六月までの弁護士、税理士、司法書士等の報酬として一〇三二万〇七〇〇円を支払った旨記載されており、この点も控訴人に右のような事情のあったことを推測させる。)。

三  次に、中野主査が、平成四年五月一九日に控訴人に郵送した現地調査への依頼書には、同月二六日の午前一〇時に本件建物で現地調査を行いたいこと、その際、竣工図・工事請負契約書・テナント一覧などの書類が必要であること、調査の日時に不都合がある場合には事前に連絡をしてほしいことなどが記載されているが(乙四)、控訴人代表者は、当日の午前九時ころになって中野主査に拒否の電話連絡をした上同年六月になってからなら協力する旨の回答をしている(甲二、八、乙四、控訴人代表者)。

ところで、控訴人代表者は、右電話での会話においては、中野主査から翌二七日に不動産取得税の納税通知書を控訴人事務所に持参するとの連絡は受けていない旨供述し、控訴人代表者作成の陳述書(甲八)にも同旨の記載がある。

しかし、同年五月一一日以降の中野主査等の対応振りからして、都税事務所においては、同月三〇日が賦課決定の期限であることを十分認識した上でそれまでに賦課決定をしてその送達をしようとしていたものと認められるから、中野主査は、六月になってからの協力が無意味であることを十分認識していたものと認められる。そうすると、中野主査は、六月になってから協力するとの控訴人代表者の右回答に対し、賦課決定の期限が迫っているので、それまで待てないとして、乙第四号証に記載されているように「期間制限等の関係で至急課税しなければならない。五月二七日に納税通知書を持参する。」との回答をしたと見るのが自然であり、それに対する控訴人代表者の回答が、乙第四号証に記載されているように、「Jビルに弁護士事務所があるから法で対応する。」というものであったと考えられる。

なお、控訴人代表者は、右の電話での会話において、中野主査に対し、六月二日なら調査に応ずる旨述べた旨供述し、控訴人代表者作成の陳述書(甲八)にも同旨の記載があるが、賦課決定の期限は五月三〇日であったのであるから、中野主査がそれを受け入れたはずがないにもかかわらず、右供述及び右陳述書においては、右申入れに対する中野主査の反応について納得できるような状況の説明が全くされていない。

したがって、五月二七日に納税告知書を届けるとの話はなかったとする控訴人代表者の右供述及び右陳述書の記載は、信用することができない。

四  ところで、控訴人代表者は、平成四年五月二七日には、控訴人の男性従業員は全員千葉県館山市に出張していたので、同日、Jビルの集合郵便受箱の付近で阿部係長らが控訴人の男性従業員に会うはずがない旨供述し、控訴人代表者作成の陳述書(甲八)にも同旨の記載がある。

しかし、阿部係長らは、差置送達となることを予期し、警察官の立会依頼書まで作成して送達に臨んでいる上、平成四年五月三〇日付けの送達報告書にも控訴人の男性従業員に受領を拒絶された旨記載しているのであって(乙五)、本件においては、阿部係長らが受領拒絶がなくとも本件郵便受箱への投函のみで適法な差置送達をすることができると考えていたと見ることはできない(乙一〇)。そうすると、阿部係長らは、当日、カメラまで持参して証拠を残そうとしていたのであるから、集合郵便受箱の付近で控訴人の従業員と認められる者に会って「社長から受け取ってはいけない旨の指示があるから受け取れない。」として受取りを拒絶されなければ、Jビル八階の控訴人事務所に行って送達しようとしたはずであって、阿部係長らが送達のためJビルに赴きながら八階まで行かなかったことについてほかには合理的な説明がつかず、また、本件においては、阿部係長らが虚偽の事実を述べてまで控訴人の従業員から受取りを拒否されたとしなければならないような事情があったと見ることはできない(仮に、都税事務所の担当者が何らかの手落ちで平成四年五月一一日まで課税手続を放置していたとしても、同日以降の対応により課税をすることは可能であり、ことさら、控訴人の従業員が本件納税通知書の受領を拒絶したと虚構の事実を創作する必要はない。むしろ、前日の二六日に控訴人代表者が弁護士に依頼し法律に従って対応するとの趣旨の発言をして課税に対抗する姿勢を示していたことから、阿部係長らは、当該従業員が控訴人代表者の指示に従って受取りを拒否したと見て、八階まで行っても同じ結果になるとの判断の下に差置送達をしたと見るのが自然である。)。

ところで、控訴人は、原審においては控訴人の従業員は四名のみであると主張していたが、当審において、証拠として控訴人の平成四年一月から同年一二月までの所得税の源泉徴収税額の納付書(甲一一の一、二)を提出し、控訴人代表者作成の陳述書(甲八)には、「右納付書に人員六名と記載されているのは、右四人のほか、控訴人代表者自身と非常勤の取締役となっている控訴人代表者の息子であり、息子は社団法人△△に勤務して控訴人の営業活動には全く関与していなかった。」との趣旨の記載があり、控訴人代表者は、これに符合する供述をする。しかしながら、右陳述書及び供述以外に他の一名が控訴人代表者の息子(甲一〇)であるという点については客観的な証拠がない。

また、証拠(甲八、乙五、証人吉田宏子、控訴人代表者)によると、控訴人には、有限会社××、株式会社J牧場、株式会社J農園という関連会社があって、本件郵便受箱を共用しており、同じく関連会社である有限会社Tは、Jビルの集合郵便受箱に独自の郵便受箱を有していたことが認められるので、それらの会社に所属しながら実質的には控訴人に勤務している者があった可能性もあるし(控訴人代表者は、有限会社××は息子の会社である旨供述している。)、控訴人は、Jビルの所有者であって緊急の場合にはそのテナントの従業員等が郵便物の回収に関与していた可能性もある(右のような場合には、前示引用に係る説示において判示したように、その者において、Jビルディングの者である旨答えた上、社長から受け取ってはいけないと指示されている旨述べて本件納税通知書の受領を拒否していることからして、その行為は、控訴人の従業員の行為と同視することができる。)。

他方、控訴人代表者は、「当時、控訴人の従業員は、A、B、C、Dの四人であった。郵便物の回収はAの仕事としていた。Aは、午前、午後一回ずつ巡回しながら回収していた。五月二七日(水)にはDを除いて全員出張していた。当日Dは電話番の仕事があったので一切下に降りず、郵便受けを見ていない。自分とC及びBは、二八日から帯広に出張した。Aは、事前の申出により二八日から休暇を取った。Dも、母が入院したことから急きょ病院に行って二八日(木)から休暇を取った。六月一日(月)に郵便箱から郵便物を回収したが納税通知書は入っていなかった。」と供述し、控訴人代表者作成の陳述書(甲八)にもほぼ同旨の記載がある。しかし、証人Cは、「二七日に出張した四人はその夜東京に戻ってきた。控訴人代表者、C、Bは二八日に芦ノ湖に出かけた。また、二九日と三〇日には、帯広に出張した。」と供述しているので、控訴人代表者及びCは、二七日、二八日、二九日には、Jビルの事務所に立ち寄り郵便物を回収できる状態にあったことになる。また、証人Cは、「Dから、母危篤ということで、休ませてほしいという留守番電話が入っていた。」とも供述しているし、Dの陳述書(甲四の二)には、「当日退社時には、郵便受けを見ておらず、母の看病のため、翌日と翌々日は社長の許可を受けて休ませてもらいました。」と記載されているので、Dは、控訴人事務所に連絡をとって休暇の承諾を得た可能性がある。そうすると、仮に六月一日に本件郵便受箱から郵便物を回収した際納税通知書がその中に入っていなかったとしても、控訴人がこれを実際に受け取らなかったという点については、疑問があるというべきである。

ところで、控訴人代表者の陳述書(甲八)には、「本件建物内に事務所を移したことはなく、電話を架設したこともないのであるから、都税事務所の職員がそこに電話をかけたということはあり得ない。」旨の記載があるが、控訴人代表者は、前示の二通の確定申告書(乙一三、一四)に署名しており、また、前示のとおり本件建物内に本店を移転した旨の不実の登記手続を経た上、それを前提として確定申告書に本店及びその電話番号を記載しているのであるから、都税事務所からの郵便による連絡が本件建物に控訴人の住所があるとしてされることや、電話連絡が確定申告書に記載されている電話番号に基づいて新橋又は西新橋の事務所にされることも十分認識していたはずである。しかるに、控訴人代表者の右陳述書(甲八)の記載は、控訴人事務所が本件建物内になかったことを根拠として乙第四号証に記載されている前示の電話連絡を否定しようとするものであり、他方で、なぜ、本件建物内に本店が移転している旨の不実の登記がされ、また、被控訴人所長に対する届出においてもその旨記載されていたのか、本件建物の表示登記がなぜ遅れたのか、その保存登記がなぜされていないのか、不動産取得税の賦課決定がされないことをどのように考えていたのかについては、触れるところがない。

右の諸点と、前記一、二に判示したところを総合すると、阿部係長らが集合郵便受箱の付近で控訴人の従業員と出会うはずがないとの控訴人代表者の供述やその陳述書の記載は信用することができないというべきである。

第五  結論

よって、控訴人の被控訴人らに対する請求をいずれも棄却した原判決は相当であり、本件控訴は理由がないから、これをいずれも棄却することとし、訴訟費用の負担につき行政事件訴訟法七条、民事訴訟法六七条一項本文、六一条を適用して、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官新村正人 裁判官岡久幸治 裁判官北澤章功は転補のため署名押印することができない。裁判長裁判官新村正人)

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