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東京高等裁判所 平成8年(行コ)126号 判決 1997年3月24日

東京都板橋区成増一丁目一三番九号

控訴人

安田榮一

東京都板橋区成増二丁目一〇番五号

控訴人

安田静枝

東京都板橋区成増三丁目五一番二一号

控訴人

木村嘉代子

東京都板橋区大山東町一七番九号

控訴人

有田喜代子

東京都世田谷区奥沢三丁目三五番二〇号

控訴人

鈴木登代子

東京都練馬区土支田四丁目九番一八号

控訴人

安田良二

右控訴人六名

訴訟代理人弁護士

佐藤義行

後藤正幸

東京都板橋区大山東町三五番一号

被控訴人

板橋税務署長 松田良行

右指定代理人

竹村彰

田部井敏雄

市川幸次

寺島進一

三井広樹

主文

本件控訴をいずれも棄却する。

控訴費用は控訴人らの負担する。

事実及び理由

第一当事者の求めた裁判

一  控訴の趣旨

1  原判決を取り消す。

2  被控訴人が控訴人らに対し平成三年三月八日付けでした安田敬一郎の平成元年分所得税の更正(審査裁決により一部取り消された後のもの)のうち総所得金額一五五七万三二九三円を超える部分及び過少申告加算税賦課決定(審査裁決により一部取り消されたもの)をいずれも取り消す。

3  訴訟費用は、第一、第二審とも被控訴人の負担とする。

二  控訴の趣旨に対する答弁

主文第一項と同旨

第二事案の概要及び証拠

本件の事案の概要は、次のとおり付加するほかは、原判決書「第二 事案の概要」のとおりであり、証拠の関係は、原審及び当審記録中の証拠関係目録記」のとおりであるから、これらをそれぞれ引用する(なお、原判決書中、「雇用」とあるのをすべて「雇傭」に改める)。

一  原判決書六頁五行目の「安田病院従業規則」を「安田病院の就業規則」に改め、同六行目の「退職金規程」の次に「(甲第二号証(就業規則)の二八条二項に「退職年金規程」とあるのは「退職金規程」の誤記と認める。)」を加え、同八行目から九行目にかけての「定年退職」を「定年退職」に改める。

二  原判決書一六頁四行目の「債務が」を「債務として」に、同一七頁一〇行目の「若しくは」を「又は」にそれぞれ改める。

三  原判決書二一頁一〇行目の次に、行を改め、左のとおり加える。

「 なお、榮一及び由子以外の従業員に対しては、平成元年一〇月一二日の職員懇親会の際、職員全員が新規採用となること及び敬一郎下に在職した期間は勤続年数に通算されることが説明され、右従業員全員の同意が得られたために退職金が支払われなかったものであるから、他の従業員に退職金が支払われなかったからといって、敬一郎の死亡により従業員との間雇傭関係が終了しなかったということはできない。」

四  原判決書二二頁二行目及び四行目の各「病院業」をいずれも「病院事業」に、同二三頁八行目の「損金算入」を「必要経費算入」にそれぞれ改める。

五  原判決書二六頁一〇行目の「定年退職」を「停年退職」に、同二八頁三行目の「退職金規程の支給事由に規定がないことをもって」を「退職金規程に定める支給事由に該当しないことのみをもって」にそれぞれ改め、同七行目から八行目にかけての「容認することとなり、」の次に、「退職金は賃金の後払いの性質を有するから、」を加える。

第三当裁判所の判断

当裁判所も、安田敬一郎の死亡に伴い、同人と控訴人安田榮一との間の雇傭関係は終了したが、同控訴人に退職金支払請求権が発生したと認めることはできず、また、敬一郎と安田由子との間の雇傭関係が終了したと認めることはできないから、控訴人安田榮一及び安田由子に対する退職金を敬一郎の事業所得の金額の計算上、必要経費に算入することはできず、結局、控訴人らの本件請求はいずれも理由がないと判断する。その理由は、次のとおり付加するほかは、原判決理由説示のとおりであるから、これを引用する。

一  原判決書三四頁七行目の次に、行を改め、左のとおり加える。

「 もっとも、甲第九号証によれば、敬一郎の死亡後の平成元年一〇月一二日に開かれた安田病院の職員懇談会において、職員(従業員)に対し、同年九月一二日付けで榮一に対する安田病院の開設許可がされたことが報告され、医療法上は新病院となり職員全員が新規採用となる旨説明されたことが認められるが、争点1において問題となっているのは、安田病院の開設者である敬一郎の死亡により病院従業員との間の私法上の雇傭関係が法律上当然に終了するか否かであるから、右の点に関する当事者の認識は、その解釈に直接結びつくものではない上、右のとおり、懇談会における説明は、医療法上、新たな病院開設許可となることとの関係においてされたものすぎず、榮一及び由子以外の従業員で敬一郎の死亡に伴い退職した者がいなかったことは前記のとおりであるから、従業員ら当事者としても、雇傭関係が終了したという認識はなかったものと推認することができる。

二  原判決書四一頁二行目の「定年退職」を「停年退職」に、同四二頁九行目の「退職金規程の支給事由に規定がないことをもって」を「退職金規程に定める支給事由に該当しないことのみをもって」に、同一一行目及び同四三頁一行目の各「退職事由」をいずれも「退職支給事由」に、それぞれ改める。

三  原判決書四二頁一一行目から同四三頁一行目にかけての「直接規定されていない場合であっても、」の次に「本件就業規則九条一号のいわゆる整理解雇の場合等、」を、同五行目の「帰属することになるのであるから」の次に「(事業を承継する相続人の相続財産形成についての貢献は、他の相続人との間の相続分の決定に当たって、寄与分として考慮することができる。)」を、それぞれ加える。

四  原判決書四六頁四六行六行目の「前記第二の三掲記の」を「これと前記第二の三の1及び2のうち」に改める。

第四結論

以上のとおり、控訴人らの各請求を棄却した原判決は正当であり、本件控訴はいずれも理由がないから、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 荒井史男 裁判官 田村洋三 裁判官 鈴木健太)

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