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東京高等裁判所 平成7年(行ケ)207号 判決 1996年9月11日

新潟県燕市大字燕5195番地

原告

株式会社森井

代表者代表取締役

森井政行

訴訟代理人弁護士

坂東克彦

同弁理士

近藤彰

大阪府守口市佐太中町6丁目23番43号

被告

清水産業株式会社

代表者代表取締役

清水伸洋

訴訟代理人弁理士

柳野隆生

主文

原告の請求を棄却する。

訴訟費用は原告の負担とする。

事実及び理由

第1  当事者の求めた判決

1  原告

特許庁が、平成5年審判第20388号事件について、平成7年7月13日にした審決を取り消す。

訴訟費用は被告の負担とする。

2  被告

主文と同旨。

第2  当事者間に争いのない事実

1  特許庁における手続の経緯

被告は、意匠に係る物品を「電子レンジ用蒸し器」(以下「本件物品」という。)とし、形態を別添審決書写し別紙第一とする意匠(平成3年5月16日登録出願、平成5年5月18日設定登録、以下「本件意匠」という。)の意匠権者である。

原告は、平成5年10月20日、被告を被請求人として、本件意匠につき登録無効の審判の請求をした。

特許庁は、同請求を平成5年審判第20388号事件として審理したうえ、平成7年7月13日「本件審判の請求は、成り立たない。」との審決をし、その謄本は、同年7月31日、原告に送達された。

2  審決の理由

審決は、別添審決書写し記載のとおり、本件意匠は、請求人(原告)が無効理由として引用した本願出願前の平成3年3月25日に頒布された意匠登録第809757号公報に記載された意匠であって、形態を別添審決書写し別紙第二とする意匠(審決における「甲号意匠」、以下「引用意匠」という。)と、意匠に係る物品は一致するものの、その形状については、差異点が共通点を凌駕しており、意匠として類似しないと判断し、請求人の提出した証拠によっては、意匠法3条1項3号に該当せず、同条同項柱書の規定により意匠登録を受けることができないとはいえないから、その登録を無効にすることはできないとした。

第3  原告主張の審決取消事由の要点

審決の理由中、本件意匠と引用意匠が意匠に係る物品において一致すること、両意匠の基本的構成態様及び具体的態様における共通点の認定(審決書13頁6行~14頁9行)は認める。具体的態様についての<1>受け皿、<2>本体容器、<3>蓋体における差異点の認定(同14頁10行~16頁4行)は、<3>につき、引用意匠の蓋体の全体が不透明のものとの認定(同15頁18~19行)を除き、認める。

両意匠の差異点及び共通点についての判断及び結論(同16頁5行~19頁9行)のうち、差異点<2>についての両本体容器を別異のものとする程の差異ではなく、前記共通点を凌駕する程のものとは認められないとの判断(審決書16頁12~20行)は認めるが、その余の判断及び結論を争う。

審決は、本件意匠と引用意匠の共通点である全体の基本的構成態様が両意匠の類似性を決定する要部であるのに、その評価を誤り(取消事由1)、引用意匠の蓋体を不透明であると誤って限定し(取消事由2)、蓋体を透明にした公知意匠の存在を無視するなどの審判手続上の瑕疵がある(取消事由3)から、違法として取り消されなければならない。

1  取消事由1(共通点の評価の誤り)

審決は、「両意匠の共通点については、全体の基本的構成態様並びに各部の具体的態様のうちの受け皿及び蓋体に係る点は、甲号意匠(注、引用意匠)の出願前よりこの種物品の構成及び各部の態様として知られているところであって両意匠の特徴点とは言えず、両意匠の類否判断に及ぼす影響は、軽微なものといわなければならない。」(審決書17頁20行~18頁6行)と判断しているが、誤りである。

審決が本件意匠と引用意匠に共通する全体の基本的構成態様として認定した「受け皿、本体容器及び蓋体がいずれも上面からみて略同長の径の回転体であって受け皿が高さの低い略皿状のもので、本体容器が受け皿の略2倍の高さの略円筒状のもので、蓋体が略伏せ鉢状で、その高さが受け皿よりもやや高いものである点」(審決書13頁12~17行)は、引用意匠の出願前には知られていなかった特異な態様であり、被告が先行意匠として主張する特開昭63-273731号公報(甲第7号証)、登録第552792号意匠公報(甲第9号証)、実開平2-40086号公報(甲第10号証)に示された意匠(以下、これらの意匠を総称して「先行意匠」という。)には、存在しない独自の美観を有している。

すなわち、先行意匠は、いずれも下方から受け皿、本体容器及び蓋体を重ねて構成しているが、上記特開昭63-273731号公報の意匠は、平面視が回転体形状であることは不明であり、蓋体も偏平であって、摘みが存在しない。登録第552792号意匠は、受け皿は容器状であって本体容器を包み込む形状となっていて把手部は存在せず、蓋体も偏平であり、摘み部分は突出形状となっている。実開平2-40086号公報の意匠は、受け皿に把手部がなく、全体の平面視が回転体形状であることは不明であり、蓋体も偏平であり、摘みが存在しない。

しかも、本件意匠及び引用意匠を有する物品は、いずれも各構成部材全体が組み合った状態で使用され、販売されるものであるから、看者にとって物品全体のまとまりとして把握される。したがって、両意匠に共通する上記全体の基本的構成態様は、意匠の要部として評価されなければならない。

次に、本件意匠と引用意匠に共通する各部の具体的構成態様(審決書13頁17行~14頁9行)については、物品全体の機能は看者の注目するところであるから、本件物品において機能上必須の部分である受け皿の把手部の形状及び蓋体における凹没部の存在は、当然着目される部分であり、その美的印象の基調は同一となる。

このように、引用意匠と本件意匠に共通する全体の基本的構成は、意匠全体のまとまりとして把握されて意匠の要部となり、また、上記具体的構成態様の共通点も、看者に共通の機能的認識を与える要部となるものである。

したがって、意匠全体を観察した場合、審決の認定する各部の具体的構成態様の差異点(審決書14頁10行~16頁4行)は、共通する全体の基本的構成態様及び各部の具体的構成態様の共通点に埋没してしまい、両意匠が類似することは、明らかである。

審決は、物品全体に基づく意匠評価をなさず、各構成部材ごとに独立して対比し、その共通点及び差異点を独立部材としての評価を行い、当該評価を類否判断の基準とした(審決書16頁5行~17頁19行)結果、類似性の判断を誤ったものである。

原告は、引用意匠の蓋体を透明にした原告製品(甲第3号証に記載されたもの)の意匠を、引用意匠の類似意匠として平成5年7月15日に出願し、平成8年3月18日に登録査定された(甲第18号証)。この意匠に係る物品と本件意匠に係る物品とを対比すると、その類似性は明らかである(甲第19号証)。

2  取消事由2(差異点の認定の誤り)

審決は、差異点<3>の認定において、引用意匠は、蓋体の全体が不透明であると認定している(審決書15頁18~19行)が、引用意匠は形状のみが特定された意匠であり、不透明に限定するべきではない。これに対して、本件意匠は、蓋体を透明にした特定の要件を付加したにすぎず、創作性は低いから、その付加自体の創作性を類否判断の基礎とすべきである。したがって、審決が不透明と透明とを差異点として対比評価したのは誤りである。

3  取消事由3(手続の違法)

審決は、引用意匠につき、原告(審判請求人)の主張と異なり、蓋体が不透明であると認定した。

引用意匠は、原告が提示したものであるが、同時に、原告(審判請求人)は、引用意匠と共に、引用意匠と同じ形状で蓋体が明らかに透明である意匠が本件意匠出願前に実施されていることを、カタログ(甲第3号証)、伝票(甲第4号証)により提示していたのであるから、職権主義の働く以上、審決は、引用意匠よりも、本件意匠により類似する上記意匠を引用意匠として採用すべきであったのであり、これをしなかった審判手続は違法である。

また、原告(審判請求人)が上記カタログ(甲第3号証)記載の意匠を引用意匠とする旨を主張しなかったとしても、審決は、透明の取り扱いについて、原告(審判請求人)の主張と異なる認定をしたのであるから、被告(審判被請求人)が透明に関して答弁している以上、意匠法52条で準用する特許法(平成5年法律第26号による改正前のもの、以下同じ。)134条2項に基づき、少なくとも、審判答弁書を原告に送達して、上記カタログ記載の意匠が公知であったことを立証するための証拠の補充や弁駁の機会を与えるべきであった。このような機会を与えなかった審判手続は違法である。

第4  被告の反論の要点

審決の認定判断は正当であり、原告主張の審決取消事由は、いずれも理由がない。

1  取消事由1について

引用意匠の「受け皿、本体容器、及び蓋体が、所定のバランスをもって積層された全体形態」は、先行意匠において明示されているから、原告のこれが引用意匠の出願前には知られていなかった特異な態様であり独自の美感を有しているとの主張は、失当である。

また、原告は、審決は物品全体に基づく意匠評価をなしていないと主張するが、審決が全体の基本的構成態様を認定し、次に各構成部材ごとに独立して対比し、その共通点及び差異点を独立部材としての評価を行い、当該評価を類否判断の基準としたのは、通常行われている手法であって、何ら違法ではない。

本件物品を電子レンジを用いて蒸し器として使用する状態を鑑みれば、本件物品の正面視、平面視からの観察頻度が高いことが明らかである。そして、本件意匠と引用意匠の正面視及び平面視における具体的構成態様は、全く趣を異にするから、両意匠は、相紛れることのない非類似の意匠である。

したがって、本件意匠と引用意匠の差異点は共通点を凌駕しており、非類似であるとの審決の判断(審決書16頁5行~19頁3行)は、正当である。

2  取消事由2について

本件意匠では、願書において蓋体が透明である旨を記載し、蓋体を透明にして内部の蒸気孔が見える状態での権利を請求したものであり、引用意匠では、願書において蓋体が透明である旨は記載されておらず、蓋体を不透明にして内部の蒸気孔が見えない状態での権利を請求したものである(意匠法24条、6条8項)から、引用意匠は蓋体が透明な状態を含むものではない。このことは、引用意匠の出願書類(乙第1号証の1~5)から、明らかである。

原告は、本件意匠が蓋体を透明にした特定の要件を付加したにすぎないから、その付加自体の創作性を類否判断の基礎とすべきであると主張しているが、これは特許法等における進歩性に近い主張であり、意匠は、あくまでも物品の形状、模様もしくは色彩又はこれらの結合であって、視覚を通じて美観を起こさせるものであるから、このような主張はそれ自体失当である。

3  取消事由3について

原告は、無効審判請求書では本件意匠が引用意匠に類似するとして、本件意匠の無効を主張しているのであって、カタログ(甲第3号証)記載の蓋体が透明な意匠を対比すべき引用意匠として主張したものではない。審判における職権主義は、審判官に当事者又は参加人が申し立てない理由について審理することができるという権限を与えたにすぎす、当事者の主張しない事実を積極的に職権をもって探知すべき義務があると解することはできない。

しかも、原告の提示したカタログ(甲第3号証)は、発行日が不確実なものであり、公知の刊行物とはいえないものである。原告は、上記意匠の公知性に関し証拠の補充や弁駁の機会を与えるべきであったとして、審判手続の違法をいうが、被告にならともかく、これを原告に与えなければ、手続が違法となる論理は誤りである。

意匠法52条で準用する特許法134条1項は、審判の請求書を被請求人に送達すべき旨を定めているが、答弁書の送付は審判官の裁量に委ねており、これを送付せずに審決しても違法ではないことは、当然である。

第5  証拠

本件記録中の書証目録の記載を引用する。

書証の成立(甲第17号証については、原本の存在及び成立)は、甲第3号証、第4号証の1、2を除いて、いずれも当事者間に争いがなく、甲第3号証、第4号証の1、2については、弁論の全趣旨により、原本の存在及び成立も含めて、真正に成立したものと認められる。

第6  当裁判所の判断

1  取消事由1(共通点の評価の誤り)について

本件意匠と引用意匠とが、審決認定のとおり、その意匠に係る物品をともに「電子レンジ用蒸し器」とするものであって一致すること(審決書13頁6~8行)、両意匠がその全体の基本的構成態様において一致し、その各部の具体的構成態様において、審決認定のとおりの共通点及び差異点(同13頁10~16頁4行)を有することは、引用意匠の蓋体につき「全体が不透明のもの」(同15頁18~19行)である点を除き、いずれも当事者間に争いがない。

(1)  この両意匠に共通する全体の基本的構成態様、すなわち、下方から受け皿、本体容器及び蓋体を重ねて構成したものであって、その「受け皿、本体容器及び蓋体がいずれも上面からみて略同長の径の回転体であって受け皿が高さの低い略皿状のもので、本体容器が受け皿の略2倍の高さの略円筒状のもので、蓋体が略伏せ鉢状で、その高さが受皿よりもやや高いものである点」(審決書13頁12~17行)については、その具体的構成態様における個別的差異を別とすれば、引用意匠の出願の日(昭和63年10月8日)前に出願された先行意匠、すなわち、特開昭63-273731号公報(甲第7号証)第1図、意匠登録552792号公報(甲第9号証)、実開平2-40086号公報(甲第10号証)に示されるとおり、電子用蒸し器における一般的な形状の一つと認められる。

(2)  次に、両意匠の具体的構成態様についてみれば、まずその受け皿については、「上端部の相対する部位に薄手の把手が水平方向に突出している点」(審決書13頁18~20行)において共通するが、特に、その把手部において、本件意匠が「把手部が四方に設けられ、各把手が略半円形の両端部がゆるやかな凹曲線状となって受け皿の上端縁部につながっており、上面からみて略角丸の正方形状に近い輪郭形状を現わしているものである」(同14頁15~19行)のに対して、引用意匠は、「把手部が二方に設けられ、各把手が略半円形状のもので、耳状に突出したものである点」(同15頁1~2行)で相違し、この形状の差異は、本件物品を使用する場合に本件物品を持ち運ぶ部位の差異として機能面において重視され、見る者の注意を引くものであるとともに、この把手部を含めた受け皿全体の形状は、本件物品を平面視した場合に、本件物品全体の輪郭を画するものとして、見る者に顕著な印象を与えるものと認められる。

また、その蓋体部については、両意匠において、「その上面中央部に上からみて対向状に2つの略半円形の凹没部を設け、その中間部を握り部とした点が主として共通する」(同14頁6~9行)が、特に、本件意匠が「断面略半円弧状に上方に膨出し、その上面中央部に上方からみて略角丸半円形状の2つの凹没部を直線辺部を中心側に向けて配置して設けたものであるのに対し」、引用意匠では「上面の中心部が曲面状にわずかに膨出した偏平円柱状のもので周側面が垂直状のものであり、上面中央部に上方からみて半円よりもわずかに円に近い形状の2つの凹没部を円弧状部を中心側に向けて配置して設けたものである点」(同15頁14行~16頁3行)で相違し、この蓋体の全体形状の差異は、本件意匠が、上部に膨らんだ肩のないドーム状であって丸く優しい印象を与えるのに対し、引用意匠では、背の低い偏平円柱状であって角張った硬い印象を与え、見る者に顕著な別異感を与えるものと認められる。また、平面視において、使用者の注意を惹きつけやすい摘み部の相違点も、本件意匠では、配置された半円形状の2つの凹没部の外縁を延長してみると1つの円を構成することから、蓋体における前記丸く優しい印象を一層強調することになるものと認められ、その差異は顕著であるというべきである。

さらに、本件意匠の蓋体の全体が透明のものであって、底板の蒸気孔の態様が観察できるのに対し、引用意匠の蓋体の全体が不透明であることは、後記取消事由2の判断において説示するとおりであるから、これらの蓋体における差異点は、上記の差異点とあいまって、両意匠全体において別個の印象と美観を強く惹起するものと認められる。

本体容器の具体的構成態様については、審決認定のとおりの共通点(同13頁20行~14頁6行)と差異点(同15頁2~13行)があるが、本件意匠においては、その外周壁が上方に向かってわずかにすぼまっていて、上記蓋体の上部に膨らんだ肩のないドーム状と適合し、全体的に丸く優しい印象を与える要素となっているのに対し、引用意匠においては、その外周壁が上端付近を除いて垂直面状となっていて、上記蓋体の背の低い偏平円柱状と合いまち、全体的に角張った硬い印象を与える要素となっていることが認められる。

(3)  以上の共通点、差異点を総合して、本件意匠と引用意匠をみれば、電子用蒸し器における一般的な形状の一つである両意匠に共通する全体の基本的構成態様のうちにおいて、本件意匠は、その具体的構成態様として、本件物品を平面視した場合に本件物品全体の輪郭を画するその受け皿における把手部を四方に設ける形状と、正面視した場合に全体として丸く優しい印象を与える上部に膨らんだ肩のないドーム状の蓋体の形状に加え、この印象を強める摘み部の形状及び容器本体の外周壁の形状を採用し、その蓋体を透明なものとした点において、引用意匠の受け皿における把手部を相対する部位に二方に突出させた形状と、全体に角張った硬い印象を与える背の低い偏平円柱状の不透明な蓋体及び容器本体の外周壁の形状とは、顕著に異なり、この特徴が、両意匠の共通点が与える印象を超え、全体として別異の美感を与えるものになっているものというべきである。

以上によれば、審決における両意匠の共通点及び差異点に関する判断(審決書16頁5行~19頁3行)に原告主張の誤りはなく、取消事由1は理由がない。

2  取消事由2(差異点の認定の誤り)について

引用意匠の出願書類(乙第1号証の1~5)を検討すると、引用意匠の意匠登録願において蓋体が透明である旨の記載はされておらず、蓋体が不透明であって内部の蒸気孔が見えない状態での図面を添付していたところ、特許庁より平成2年4月24日に「開蓋状態の平面図が不足する。」との拒絶査定を受け、同年6月27日、「開蓋状態を示す平面図」を手続補正書により提出し、その後、意匠登録が行われたものであることが明らかであり、意匠法6条8項及び意匠法施行規則2条1項の規定に照らせば、引用意匠の蓋体は不透明なものとしてその意匠が設定登録されたことが明らかといえる。

したがって、引用意匠は全体が不透明であるとする審決の認定(審決書15頁18~19行)に誤りはなく、この点に関する原告の主張には、理由がない。

3  取消事由3(手続の違法)について

本件審判手続において、原告(審判請求人)は、引用意匠(登録第809757号意匠)をもって意匠法3条1項2号に掲げる意匠として特定し、本件意匠が引用意匠に類似することを無効理由として主張し、原告主張のカタログ(甲第3号証)記載の物品に係る意匠をもって、無効理由を構成する公知意匠として主張したものでないことは、原告の主張自体から明らかである。

原告は、審判手続における職権主義をいうが、意匠法52条で準用する特許法153条第1項の規定は、審判体に対し、「当事者又は参加人が申し立てない理由についても、審理することができる」権限を与えたものであって、これを義務としたものではないことは明らかであるから、原告主張の上記無効理由についての判断のほかに、上記カタログ(甲第3号証)記載の物品に係る意匠を公知意匠として取り上げなかったことを違法ということはできない。

原告は、また、審判答弁書を原告に送達して、上記カタログ記載の意匠が公知であったことを立証するための証拠の補充や弁駁の機会を与えるべきであった旨主張するが、被告(審判被請求人)の答弁書(乙第2号証)の内容は、原告の蓋体の透明に関する主張を含め、原告の主張に対する反論に終始し、原告の再反論を必要とする主張はしていないことが認められるから、被告の反論に関して、原告に再度証拠の補充や弁駁をする機会を設けなくとも、原告の攻撃防御の機会を不当に奪うものではなかったことが認められる。したがって、これをもって、審決を取り消すべき手続上の違法があるとする原告の主張は採用できない。

4  以上のとおりであるから、原告主張の取消事由はいずれも理由がなく、その他審決にはこれを取り消すべき瑕疵は見当たらない。

よって、原告の本訴請求は理由がないから、これを棄却することとし、訴訟費用の負担につき行政事件訴訟法7条、良事訴訟法89条を適用して、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 牧野利秋 裁判官 芝田俊文 裁判官 清水節)

理由

第一 請求人の申立て及び理由

請求人は、第875866号意匠の登録はこれを無効とする、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求める。と申し立て、その理由として、上記登録意匠は、その出願前国内に頒布された刊行物(意匠登録第809757号公報)に記載された意匠(以下、「引用意匠」という。)と類似し、意匠法第3条第1項の規定に違背して登録されたものであると主張し、証拠として甲第1号証乃至甲第15号証を提出した。

そして、審判請求人は、審判被請求人を被告とし、被請求人が実施している本件登録意匠の実施品を含んだ商品に対して、引用意匠に基づく意匠権侵害行為差止並びに損富賠償請求事件を提訴している(新潟地裁、平成4年(ワ)第209号)として、本件審判に関し利害関係を有している旨主張している。

さらに、本件登録意匠と甲号意匠の類否については、両意匠の構成を認定し、対比し、公知意匠を参酌、対比して引用意匠を評価した後、両意匠の共通点につき、引用意匠の最も創作的価値か高いと認められる意匠全体の基本的構成態様即ち、『やや扁平な皿状にして上縁に取っ手が張り出した皿体と、皿体の約二倍の高さにして底面に蒸気孔を多数設けた容器体とを嵌合手段で一体化し、容器体の約六〇%程度の上部へ膨出し、且つ上部に摘みを設けた蓋体を被冠してなる電子レンジ用蒸し器』

である態様を、本件登録意匠は、その儘採用しているものである。

一方、相違点については、イ全体の正面視、ロ皿体における正面視、取手の形状及び数、ハ容器体における頂部形状、周壁の傾斜、蒸気孔の形状、ニ蓋体における全体形状、正面視、蒸気孔、摘みの平面形状、鍔の大きさ、ホ蓋体の透明の点に相違点があるとし、本件意匠は全体に丸ぼい印象があり、引用意匠は引用意匠に比べてすこし角ばった印象かある。

然し前記の美的印象は、微差であり、而も前記の各相違点は、当業者の設計変更の際に採用される程度の差異にすぎないので、前記相違点の創作性は低く、看者にも大きな美観の相違として強くアピールする程度の相違とは認められない。と主張する。また、蓋体の透明の特定の点については、本件登録意匠出願前に審判請求人が、引用意匠の実施品として蓋体が透明である物品を既に実施していた(甲第3、4号証)こと、また台所用品では蓋体を透明にすることは多用されている手段であるから、蓋体を透明としたことの創作性は非常に低いものであると主張する。

そうして、引用意匠の創作性を考慮して、引用意匠と本件登録意匠を対比観察すると、両者の相違の程度は、当業者の設計変更で容易に実現する程度の差異にすぎなく、その相違点の創作性は低く、両意匠の共通点から受ける美観を大きく凌駕する程の相違とは認められない。

従って本件登録意匠は、引用意匠と類似するものである。

第二 被請求人の答弁

被請求人は、結論同旨の審決を求めると申し立て、その理由として大要以下のとおり反論する。

請求人は、添付された甲第5号証乃至同第15号証の公知意匠に基づいて、引用意匠の要部を特定している。

即ち、請求人の主張によれば引用意匠の各部の態様のうち、

<1>.受け皿の態様の内『取っ手の取付位置並びに取っ手形状、更に、容器体との連結態様』が新規であり、

<2>.容器体の態様の内『内外周壁と蒸気孔を備えた底板からなる全体構成並びに、周壁部の頂部形状』が新規と認められ、

<3>.蓋体の形態の内『摘みの断面形状並びに平面形状』等か新規であり、これらの新規な具体的構成態様及び蒸し器における看者の注目が使いがっての良さや機能に集中することを根拠にして、引用意匠の要部を下記のように構築される。

『やや偏平な皿状にして上縁に取っ手が張り出した皿体と、皿体の約二倍の高さにして底面に蒸気孔を多数設けた容器体とを嵌合手段で一体化し、容器体の約六〇%程度の上部へ膨出し、且つ上部に摘みを設けた蓋体を被冠してなる電子レンジ用蒸し器の態様』

しかし、上記具体的構成態様(<1>~<3>)の受け皿と容器状本体との連結態様かいかなる構成によってなされているかは断面図をもって始めて確認されうるのてあり、意匠の権利範囲の決定に特に参酌される六面図には現れない。加えて内外周壁及び摘みの断面形状も同様である。載置部の小さな段部については平面図等により部分的に看取されるに過ぎない。例え、これら具体的構成態様(<1>~<3>)が新規なものてあったとしても、これら意匠態様のうち肉眼による視覚によって認識されない態様は意匠を構成しないのである。

結局のところ請求人は意匠を詳細な具体的構成態様にわたって特定されているが、これから構築された意匠の要部か上記のとおり不明確てあるから、本件意匠との類否判断もまた誤ったものとならさるを得ない。需要者の視覚を無視して、意匠の審美性は成立しないし、ましてや類否判断について論ずることも不可能なのてある。

請求人は、蓋体の透明の特定について、「本件意匠は蓋体か透明体に特定されている。一方引用意匠にはそのような特定が無い。そこで本件意匠が透明蓋体を採用した点に大きな意匠的創作が認められるかどうかを考察すると、本件意匠出願前に審判請求人は、引用意匠の実施品として蓋体が透明である物品を既に実施していた(甲第3、4号証)。また、台所用品ては蓋体を透明にすることは多用されている手段である。従って、蓋体を透明にしたことの創作性は非常に低いものと認められる。」と主張しているが、「意匠」はあくまでも、物品の形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合であって、視覚を通じて美感を起こさせるものをいうのであり、請求人が透明の蓋体の蒸し器を実施していたことにより、蓋体を透明にすることが容易てあるということと、意匠の類否の判断とは無関係である。

更に、引用意匠の蓋体が透明であるか不透明であるかによって、平面視における容器状本体の底板に設けた蒸気溝の形状と配列状態及び収納した食品が看取出来るか否かの相違となり、類否判断に極めて重要な影響を及ぼすのてある。何故ならば、正面視と平面視における意匠の態様に看者の注目が集中するのであるから、例えば蓋体が透明であれは食品の内容物の蒸し上がり状態を電子レンジの覗き窓ごしに確認が出来るのであり、加熱終了後食卓に該蒸し器を配膳するときも内容物の食品の色彩を看取して楽しむことが出来る点において、蓋体が不透明である場合の意匠全体から看取される印象は大きく異なるのである。

最後に、本件登録意匠と引用意匠の類否について述べる。

看者か、本件物品を電子レンジにより蒸し器として使用する状態を鑑みれは、当骸物品における正面視及ひ平面視からの観察頻度かいかに高いかが頷けるのてある。これは当該物品てある蒸し器の登録意匠公報の正面図をどの意匠態様に選んでいるかを観れば納得されるところてもある。

しかして、以上の本物品についての特質を踏まえたならは、本件意匠における意匠態様のうち、

・下から順に受け皿、容器状本体、そして蓋体を被蓋した全体で三部材を積層した全体構成で縦と横の比率が10:8.5で、

・蓋体全体がドーム状で、

・当該蓋体が透明で、

・前記蓋体が透明であることから容器状本体の底部に設けたハ字形蒸気長溝を看取可能で、

・蓋体のほほ中央に一対の半月状凹状摘みを設けこの半月の直線部分を対設し、

・受け皿側壁が二段のアール状膨出部となし、

・前記上段のアール状膨出部の長さは下段のアール状膨出部の二倍となし、

・受け皿には上部の外縁線から極めてなたらかな線によって連続した取っ手部を四つ設け、

これら具体的構成態様が看者の注意を喚起することとなり、前記具体的構成態様の全体により形成された本件意匠は、引用意匠と全く別異の印象を与えることとなるのである。

とりわけ上記の意匠構成態様のうち、正面視で蓋体全体がドーム状であること、受け皿の二段アール状膨出部と、平面視で蓋体か半月凹状摘みの直線部分を対設し、蓋体が透明で、当該蓋体が透明であることから本体底板のハ字形蒸気長溝を看取しうること、受け皿の上面の外縁線から緩やかに連続した四つの取っ手部等の構成態様により、正面視及び平面視においてそれぞれ全体を見てみれば共に円形状を基調とした一体的連続性を現すその結果として、丸く優しい印象が看者の注意を特に喚起することとなる。

一方、引用意匠は、正面視て蓋体全体が矩形状て、受け皿は垂直環状壁面て、容器状本体もまた垂直壁て形成され、容器状本体上部の載置部に小さな段部を設け、平面視て蓋体に半月凹状摘みの弧を対設し、受け皿に取っ手部を上面の外縁線から鋭角的に膨出させたこと等により正面視においては全体として偏平て蓋体、容器状本体、受け皿がそれぞれ区画された矩形状を基調とした区画状の不連続性を現すその結果として、角張った硬い印象とともに安定感が看者の注意を特に喚起し、一方平面視においては全体が円形の基調を有しなから、この基調と相反する2つの取っ手部の突然の膨出及ひ凹状摘みの弧を対設していることにより全体の円形連続を中断することとなり、つまりは、蓋体全体形状と取っ手部形状及び摘み形状のそれそれの意匠態様が自己主張しなから配置され各形状の独立性を現すこととなり、これら引用意匠の正面視及び平面視全体から受ける印象は本件意匠とはかなり全く趣を異にすることから、本件意匠と引用意匠は相紛れることのない非類似の意匠となるのである。

従って、本件意匠と甲第2号証の引用意匠とは明らかに非類似の意匠てあり、意匠法第3条第1項の規定に該当しないと思料する。

第三 当審の判断

1 本件登録意匠

本件登録意匠は、平成3年5月16日の出願てあって、平成5年5月18日に意匠権の設定の登録がされたものてあり、その意匠は、願書の記載及び願書に添付した図面の記載によれば、意匠に係る物品が「電子レンジ用蒸し器」であって、その形状は、別紙第一のとおりのものである。

2 甲号意匠

これに対して、請求人が無効理由に引用した意匠(以下、「甲号意匠」という。)は、本件登録意匠の出願前の平成3年3月25日に頒布された意匠公報所載の登録第809757号意匠てあって、同公報の記載によれは、意匠に係る物品か「電子レンジ用蒸し器」てあって、その形状は、別紙第二のとおりのものてある。

3 両意匠の対比検討

そこて、両意匠について対比検討するに、両意匠は、意匠に係る物品かともに「電子レンジ用蒸し器」てあって一致し、その形状については、以下のとおりである。

即ち、両意匠は、下方から受け皿、本体容器及び蓋体を重ねて構成したものであって、その全体の基本的構成態様については、受け皿、本体容器及び蓋体がいすれも上面からみて略同長の径の回転体てあって受け皿が高さの低い略皿状のものて、本体容器が受け皿の略2倍の高さの略円筒状のものて、蓋体が略伏せ鉢状て、その高さが受皿よりもやや高いものである点が共通し、各部の具体的態様については、受け皿につき、上端部の相対する部位に薄手の把手が水平方向に突出している点、本体容器につき、外周壁か略垂直面状に立ち上がり、上縁部を形成して、略直角状に下方に向かって折れ曲がり略垂直状の内周壁を成し、外周壁の下端に近い部位で直角状に折れ曲がり水平面状の底板部となっており、底板部に略米粒状の蒸気孔を等間隔平行線上に規則的に設けた点、蓋体部につき、その上面中央部に上からみて対向状に2つの略半円形の凹没部を設け、その中間部を握り部とした点が主として共通する。

一方、両意匠は、各部の具体的態様につき、主として以下の差異点がある。即ち、<1>受け皿につき、本件登録意匠は、その周壁が側面からみて上半が大きな円弧面、下半が小さな円弧面の連続円弧状であって、底に向かってすぼまる態様のものであり、また把手部が四方に設けられ、各把手が略半円形の両端部がゆるやかな凹曲線状となって受け皿の上端縁部につながっており、上面からみて略角丸の正方形状に近い輪郭形状を現わしているものであるのに対して、甲号意匠は、その周壁が側面からみて略垂直面状の態様のものてあり、また把手部が二方に設けられ、名把手が略半円形状のものて、耳状に突出したものてある点、<2>本体容器につき本件登録意匠は、外周壁が上方に向かってわずかにすぼまり、内周壁か垂直面状てあって、上縁部が水平面状を成し、底板の蒸気孔が数本の平行線上に米粒状の透孔を各列互違いの斜状に配列しているものてあるのに対し、甲号意匠は、外周壁が上端付近を除いて垂直面状てあり、内周壁が下方に向かってわずかにすほまっており、上縁部が断面円弧状を成し、外周壁との境界に段差を現わしたものであり、底板の蒸気孔が米粒状の透孔を破線状に並べたものを平行状に10数列配列したものである点、<3>蓋体につき、本件登録意匠は、全体が透明のものて、断面略半円弧状に上方に膨出し、その上面中央部に上方からみて略角丸半円形状の2つの凹没部を直線辺部を中心側に向けて配置して設けたものてあるのに対し、甲号意匠は、全体が不透明のもので、上面の中心部が曲面状にわずかに膨出した偏平円柱状のものて周側面か垂直状のものであり、上面中央部に上方からみて半円よりもわずかに円に近い形状の2つの凹没部を円弧状部を中心側に向けて配置して設けたものてある点が認められる。

上記の差異点について検討するに、<1>の点については、差異点に係る部位の態様はいずれも受皿の形状の主要部に係るところであって、その差異が相まることにより受皿の態様の別異感を決定づけるものであり、一方、受皿について共通するとした前記の点は、両意匠の特徴点とはいえない一般的な態様及び部分的な態様の共通点にすぎず、差異点が共通点を圧しており、<2>の点について、外周壁及び内周壁の立ちあがりの態様の差異は、精緻に観察して感得されるわずかな差異に止まり、また、底板面の蒸気孔の態様についても、米粒状の透孔を平行線状に配列した点の共通点及びその部位が比較的目立たない底部の態様であることを考えると、この差異を以って両本体容器を別異のものとする程の差異ではなく、前記共通点を凌駕する程のものとは認められない。しかしなから、上縁部の態様の差異については、その部位か斜上力からみて比較的目につき易い部位における特徴的態様の差異てあって、両意匠の類否判断に多少の影響を及ぼすものと認められる。<3>の点については、断面略半円弧状に上方に膨出したものと上面の中心部が曲面状にわずかに膨出した偏平円柱状のものて周側面が垂直状のものとの差異点は、蓋体の全体形状の差異であって前記の共通点を圧し、この点のみで別異の蓋体とするに充分なものである。さらに、これに透明体と不透明体の差異が加わることにより、両蓋体を決定的に別異のものとするものと認められる。

上記の各差異点を全体としてみると、受け皿及び蓋体の差異点が極めて大きな差異点てあって、本体容器の上縁部の差異もそれなりの差異であるといえ、これらが相まることにより、両意匠の類否判断に重要な影響を及ぼすものと認められる。

一方、両意匠の共通点については、全体の基本的構成態様並びに各部の具体的態様のうちの受け皿及び蓋体に係る点は、甲号意匠の出願前よりこの種物品の構成及び各部の態様として知られているところであって両意匠の特徴点とは言えず、両意匠の類否判断に及ぼす影響は、軽微なものといわなければならない。そして、本体容器の具体的態様の共通点については、外周壁から連続して、略垂直状の内周壁を設けた点が断面図あるいは底面方向からみて強く認識されるものの、外観上は、従来より一般的な全体を略円筒状とし、底板面に前記共通する蒸気孔を設けたものと大差のないものと認識され、両意匠の類否判断に及ぼす影響は、軽微に止まるものである。これらを総合したとしても、両意匠の共通点は、結局のところ両意匠の類否判断を左右する程のものとはいえない。

以上のとおり、両意匠は、意匠に係る物品が一致するものの、その形状については、共通点が類否判断を左右する程のものといえないのに対し、差異点は、両意匠の類否判断に重要な影響を及ほすものと認められるから、差異点が共通点を凌駕しており、類似しないものとする他はない。

従って、本件登録意匠は、請求人の提出した証拠によっては意匠法第3条第1項第3号に該当せず、同条同項柱書の規定により意匠登録を受けることができないものということはできないから、その登録を無効とすることができない。

よって、結論のとおり審決する。

平成7年7月13日

審判長 特許庁審判官(略)

特許庁審判官(略)

特許庁審判官(略)

別紙第一

本件登録意匠

意匠に係る物品 電子レンジ用蒸し器

説明 左側面図は右側面図と同一にあらわれる。蓋体は透明である。

<省略>

別紙第二

甲号意匠

意匠に係る物品 電子レンジ用蒸し器

説明 背面図は正面図と、左側面図は右側面図と対称にあらわれる。

<省略>

平成5年審判第20388号

審決

新潟県燕市大字燕5195番地

請求人 株式会社 森井

新潟県新潟市米山4丁目1番23号 堅田ビル5F 近藤特許事務所

代理人弁理士 近藤彰

大阪府守口市佐太中町6丁目122

被請求人 清水産業株式会社

大阪市東淀川区東中島1丁目20番14号 東口ステーションビル

代理人弁理士 柳野隆生

上記当事者間の登録第875866号意匠「電子レンジ用蒸し器」の登録無効審判事件について、次のとおり審決する。

結論

本件審判の請求は、成り立たない。

審判費用は、請求人の負担とする。

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