大判例

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東京高等裁判所 平成2年(行コ)159号 判決 1991年7月18日

控訴人

医療法人社団亮正会

右代表者理事長

加藤信夫

右訴訟代理人弁護士

中町誠

被控訴人

神奈川県地方労働委員会

右代表者会長

秋田成就

右訴訟代理人弁護士

佐久間哲雄

右指定代理人

竹内久治

被控訴人補助参加人

総評全国一般労働組合神奈川地方連合川崎地域支部

右代表者執行委員長

清水豊治

被控訴人補助参加人

総評全国一般労働組合神奈川地方連合川崎地域支部高津中央病院分会

右代表者執行委員長

関山進

右補助参加人ら訴訟代理人弁護士

岡部玲子

右同

野村和造

右同

福田護

右同

鵜飼良昭

右当事者間の不当労働行為救済取消請求控訴事件について、当裁判所は次のとおり判決する。

主文

一  原判決を次のとおり変更する。

1  被控訴人が、被控訴人補助参加人らを申立人、控訴人を被申立人とする神労委昭和六一年(不)第一〇号不当労働行為救済申立て事件について昭和六二年七月一五日付けでした命令中、主文第2項の松岡延子に関する部分にかかる請求につき、本件訴えを却下する。

2  控訴人のその余の請求を棄却する。

二  訴訟費用は、第一、二審とも控訴人の負担とする。

事実

(申立て)

控訴人は、「原判決を取り消す。被控訴人が、被控訴人補助参加人らを申立人、控訴人を被申立人とする神労委昭和六一年(不)第一〇号不当労働行為救済申立て事件について昭和六二年七月一五日付けでした命令を取り消す。訴訟費用は第一、二審を通じて、控訴人と被控訴人との間に生じた分は被控訴人の負担とし、控訴人と被控訴人補助参加人らとの間に生じた分は同補助参加人らの負担する。」との判決を求め、被控訴人及び同補助参加人らは、控訴棄却の判決を求めた。

(主張)

当事者双方の主張は、次のとおり付加、訂正するほか、原判決事実摘示第三ないし第五と同一であるから、これを引用する。

1  原判決二枚目裏六行目の「主張」を「請求原因」と、同七行目の「補助参加人」を「被控訴人補助参加人」とそれぞれ改め、同九行目の「とおり」の次に「の」を加え、同三枚目表二行目の「理由の」を「理由」と、同七行目の「分会が支部の本部加盟に伴い」を「川崎地域労働組合が本部に加盟したことに伴い、分会が昭和六〇年一月二八日規約を改正して正式に」と、同裏五行目の「理由を」を「理由などについて」とそれぞれ改め、同六行目の「予定されていた」の次に「各」を加え、同四枚目裏二行目の「長谷川の別表Ⅰ」を「別表1(長谷川)」と、同行の「松岡の別表Ⅱ」を「別表2(松岡)とそれぞれ改め、同五枚目裏二行目の「松岡に対する」の次に「準夜勤についての」を、同四行目の「松岡が」の次に「昭和六一年」と、同八行目の「同人に対し、」の次に「昭和六一年」を、同末行の「仕事中でも」の次に「首から後頭部にかけて」をそれぞれ加え、同六枚目表二行目の「ストレーチャー」を「ストレッチャー」と改め、同五行目の「長谷川につき」の次に「昭和六一年」を加え、同七行目の「社員」を「従業員」と改め、同一〇行目の「松岡に対し、」の次に「年次有給休暇を申し出る度に」を加え、同裏九行目の「第一項」を「第1項」と改める。

2  原判決七枚目裏九行目の「第二項」を「第2項」と、同九枚目表九行目の「担務」「担当」と、同一〇枚目裏七行目の「第三項」を「第3項」とそれぞれ改める。

3  原判決一一枚目表三行目の次に行を改めて、次のとおり加える。

「四 よって、控訴人は、被控訴人に対し、本件命令の取消しを求める。」

4  原判決一五枚目表二行目の「付けよう」の次に「と」を加え、同一六枚目裏一〇行目の「第三項」を「第3項」と改める。

(証拠関係)

原審及び当審記録中の証拠関係目録記載のとおりであるから、これを引用する(略)。

理由

一  当裁判所は、控訴人の本件請求のうち、本件命令中主文第2項の松岡延子に関する部分にかかる請求は訴えの利益がなく、その余の部分は理由がないものと判断する。その理由は、次のとおり付加、訂正するほか原判決の理由説示と同一であるから、これを引用する。

1  原判決一七枚目表末行の「であった」を「でもあった」と、同裏一行目の「茅野」を「茅根」とそれぞれ改める。

2  原判決一七枚目裏五行目の次に行を改めて、次のとおり加える。

「成立に争いのない甲第八号証、原審証人茅根宏明及び同松岡延子の各証言によれば、松岡は、昭和六三年一月一九日、控訴人を退職するとともに、分会を脱退し、現在は支部に個人加盟していることが認められ、他に右認定に反する証拠はない。ところで、本件命令中主文第2項の松岡に関する部分は、その趣旨、内容に照らし、松岡の右退職により、その基礎を欠くに至り、控訴人に対する拘束力を失ったというべきであるから、控訴人にはもはや本件命令中右部分を取り消すことにより回復されるべき実質的な利益がなく、したがって、本件命令中右部分についての控訴人の本件請求は、訴えの利益を欠くものとして却下すべきものである。しかし、本件命令中松岡に関するその余の部分は、松岡の右退職によっても控訴人に対する拘束力を失わず、これが取り消されない限り、依然としてその効力は失われるものではないから、右部分に関する控訴人の本件請求は訴えの利益があるというべきである。」

3  原判決一七枚目裏六行目の「第一項」を「第1項」と改め、同八行目の「第八三号証、」の次に「原審証人増元方の証言により真正に成立したものと認められる甲第三、第四号証、第六号証の一ないし三、第七号証の一ないし一五、」を、同九行目の「増元方」の次に「(後記採用しない部分を除く。)」をそれぞれ加え、同一〇行目の「この認定を」を「右認定に反する乙第九〇ないし第九二号証の各記載、原審証人増元方の供述部分は採用できず、他に右認定を」と、同一八枚目表五行目の「同年」を「昭和五四年」とそれぞれ改め、同二〇枚目裏六行目の「雇用期間」の前に「前年度の雇用契約に基づく」を、同二二枚目表五行目の「協議したうえ、」の次に「長谷川と同様の理由から、」をそれぞれ加え、同八行目から同九行目にかけての「長谷川と松岡は、いずれも昭和六二年の二月と三月に」を「長谷川は昭和六二年二月に、松岡は同年三月にいずれも」と改め、同二三枚目裏一〇行目の「有利になっている」の次に「というような」を、同二四枚目表一行目の「できない」の次に「し、長谷川及び松岡に対して年次有給休暇を認めているということは労働基準法上当然のことであるにすぎないから、そのことを理由として長谷川及び松岡と同期採用者との間の賃金格差の扱いが不利益な取扱いに当たらないとすることはできないというべきである。したがって、控訴人の右主張は失当である」をそれぞれ加え、同裏八行目の「救済措置の選択に被告の裁量権」を「救済措置の選択においても労働委員会に認められた裁量権の範囲」と改める。

4  原判決二四枚目裏一〇行目の「第二項」を「第2項」と、同二五枚目表一行目全部を、「原本の存在及び成立に争いのない乙第三二号証、成立に争いのない乙第八五ないし第八九号証、原審証人松岡延子の証言により原本の存在及び成立が認められる乙第三一号証、」と、同四行目の「この認定を」を「右認定に反する乙第七九ないし第八一号証の各記載、原審証人石井登喜子及び同峰岸としゑの各供述部分は採用できず、他に右認定を」と、同二六枚目表末行の「同月」を「昭和六一年一月」と、同裏一〇行目の「従業員」を「職員」と、同二八枚目表三行目の「救済措置の選択に被告の裁量権」を「救済措置の選択においても労働委員会に認められた裁量権の範囲」とそれぞれ改める。

5  原判決二八枚目表五、六行目の各「第三項」をいずれも「第3項」と、同裏三行目の「誓約します」を「誓約いたします」とそれぞれ改め、同八行目の「違反しない」を「違反するものではないというべきである」と、同末行から同二九枚目表一行目にかけての「いずれも原本の存在、成立に争いのない乙第八五、第八六号証」を「前掲乙第八五、第八六号証、原審証人茅根宏明の証言」と、同二行目の「できる。」を「でき、また、」と、同三行目の「これら本件事案に鑑みると」を「右認定の事実に加え、前記認定のような控訴人、被告控訴人補助参加人ら間の本件紛争の経緯、事案の内容に照らすと、本件命令中主文第3項のポストノーティス命令は、その「深く陳謝する」というような表現には適切さを欠く面があることは否めないものの、控訴人の不当労働行為により被控訴人補助参加人らの受けた不利益に対する救済方法として行き過ぎたものとまではいえず」とそれぞれ改める。

二  以上の次第により、控訴人の本件請求のうち、本件命令中主文第2項の松岡に関する部分にかかる請求は訴えの利益を欠くものとして訴えを却下し、その余の部分にかかる請求は理由がないから棄却することとして、原判決を右のとおり変更し、訴訟費用の負担につき、行政事件訴訟法七条、民事訴訟法九六条、八九条を適用して、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 菊池信男 裁判官 新城雅夫 裁判官 奥田隆文)

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