大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

東京高等裁判所 平成12年(ネ)2963号 判決 2000年9月28日

主文

本件控訴を棄却する。

控訴費用は控訴人の負担とする。

事実及び理由

第一  当事者の求めた裁判

一  控訴人

1  原判決を取り消す。

2  被控訴人の請求を棄却する。

3  控訴費用は、第一、二審ともに被控訴人の負担とする。

二  被控訴人

主文と同旨

第二  事案の概要

原判決三頁七行目から七頁一一行目までに記載のとおりであるから、これを引用する。

第三  当裁判所の判断

一  引用にかかる請求原因1ないし4の事実(原判決三頁七行目から四頁一一行目までに記載の事実)は当事者間に争いがなく、本件訴状が平成一一年一一月八日に、訴えの変更の申立書が平成一二年一月一七日にそれぞれ控訴人に送達されたことは本件記録上明らかである。

二  控訴人の主張について

証券取引法一六四条一項は、上場会社等の役員又は主要株主(以下「役員等」という。)がその職務又は地位により取得した内部情報(秘密)を不当に利用することを防止する目的で、一般の投資家と比べて当該会社の重要な内部情報を得やすい立場にある役員等が同項所定の有価証券等の短期売買を行い、利益を得た場合には、当然に短期売買差益の提供請求をすることができることとし、一律にその利益の全部を会社に提供させることとした規定であり、これによって間接的にいわゆるインサイダー取引の防止を図ったものである。

そして、一般投資家が知り得ない内部情報を利用した取引が、本質的に不公正であり、証券市場の適正な運営ないし一般投資家の証券市場に対する信頼を損なわせることにかんがみると、右規定は、財産権に対する必要かつ合理的な制限であり、公共の福祉にかなうものであるから、右規定が憲法二九条一項に違反するものとはいえない。

控訴人の主張は、これと異なり、役員等の内部情報(秘密)の不当利用及び一般投資家の損害の発生を右規定の適用の要件とするものであるから、採用することができない。

三  よって、被控訴人の請求は理由があり、原判決は相当であって、本件控訴は理由がないから、主文のとおり判決する。

(口頭弁論終結の日 平成一二年八月二四日)

(編注)第1審判決及び第2審判決は縦書きであるが、編集の都合上横書きにした。

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!
©大判例