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東京高等裁判所 平成10年(ネ)4264号 判決 1999年7月13日

控訴人(附帯被控訴人)

青木実こと邸金蔵

外二名

控訴人(附帯被控訴人)ら訴訟代理人弁護士

山本宜成

被控訴人(附帯控訴人)

社団法人日本音楽著作権協会

右代表者理事

小野清子

右訴訟代理人弁護士

田中豊

藤原浩

馬橋隆紀

岡本弘哉

主文

一1  控訴人(附帯被控訴人)らの本件控訴に基づき、原判決主文第三項の1中、「控訴人らは被控訴人に対し、連帯して、一一九万二六〇三円及びうち五万三五六〇円に対する平成五年五月一日から、同額に対する同年六月一日から、同額に対する同年七月一日から、七万〇〇四〇円に対する同年八月一日から、同額に対する同年九月一日から、同額に対する同年一〇月一日から、同額に対する同年一一月一日から、同額に対する同年一二月一日から、同額に対する平成六年一月一日から、同額に対する同年二月一日から、同額に対する同年三月一日から、同額に対する同年四月一日から、同額に対する同年五月一日から、同額に対する同年六月一日から、同額に対する同年七月一日から、同額に対する同年八月一日から、同額に対する同年九月一日から、五万一三六三円に対する同年一〇月一日から各支払済みまで年五分の割合による金員を支払え。」と命じた部分を取り消す。

2  右部分についての被控訴人の請求を棄却する。

3  控訴人(附帯被控訴人)らのその余の本件控訴を棄却する。

二1  被控訴人(附帯控訴人)の本件附帯控訴に基づき、次のとおり命ずる。

附帯被控訴人らは、附帯控訴人に対し、連帯して、一一九万二六〇三円及びうち五万三五六〇円に対する平成五年五月一日から、同額に対する同年六月一日から、同額に対する同年七月一日から、七万〇〇四〇円に対する同年八月一日から、同額に対する同年九月一日から、同額に対する同年一〇月一日から、同額に対する同年一一月一日から、同額に対する同年一二月一日から、同額に対する平成六年一月一日から、同額に対する同年二月一日から、同額に対する同年三月一日から、同額に対する同年四月一日から、同額に対する同年五月一日から、同額に対する同年六月一日から、同額に対する同年七月一日から、同額に対する同年八月一日から、同額に対する同年九月一日から、五万一三六三円に対する同年一〇月一日から各支払済みまで年五分の割合による金員を支払え。

2  その余の本件附帯控訴を棄却する。

三  訴訟費用は、第一、二審を通じ、これを四〇分し、その一を被控訴人(附帯控訴人)の負担とし、その余を控訴人(附帯被控訴人)らの連帯負担とする。

四  この判決の第二項1は仮に執行することができる。

事実及び理由

第一  当事者の求めた裁判

控訴人(附帯被控訴人。以下「控訴人」という。)らは、原判決中控訴人ら敗訴部分の取消しとともに被控訴人(附帯控訴人。以下「被控訴人」という。)の請求棄却及び附帯控訴棄却の判決を求め、被控訴人は、控訴棄却とともに、附帯控訴として原判決主文第三項と同旨の選択的給付の判決及び仮執行宣言を求めた。

第二  当事者の主張

一  請求原因

1  被控訴人の権利

被控訴人は、「著作権ニ関スル仲介業務ニ関スル法律」(昭和一四年法律第六七号)に基づく許可を受けたわが国唯一の音楽著作権仲介団体であり、内外国の音楽著作物の著作権者から著作権ないしその支分権(演奏権、録音権、上映権等)の移転を受ける(内国著作物については、その著作権者から著作権信託契約約款により、外国著作物については、わが国の締結した著作権条約に加盟する諸外国の著作権仲介団体との間の相互管理契約による。)などしてこれを管理し、国内の放送事業者を始め、レコード、映画、出版、興行、社交場、有線放送等各種の分野における音楽の使用者に対して音楽著作物の使用を許諾し、その対価として使用者から著作物使用料を徴収するとともに、これを内外の著作権者に分配することを主たる目的とする社団法人である。

原判決別紙「カラオケ楽曲リスト」及び「カラオケ楽曲リスト(追録)」に各記載の音楽著作物(以下「管理著作物」という。)は、いずれも被控訴人がその著作権者から著作権の信託的譲渡を受けて著作権を管理するものである。

2  控訴人らの行為

(一) 控訴人三宅貞枝(以下「控訴人三宅」という。)及び控訴人青木実こと邸金蔵(以下「控訴人青木」という。)は、平成元年一二月一六日ころから、原判決別紙店舗目録記載の店舗(以下「本件店舗」という。)において、「ビッグエコー上尾店」の名称で、いわゆるカラオケボックスを営んでいる。

控訴人有限会社一(以下「控訴会社」という。)は、平成二年五月一六日に設立されて以来、本件店舗において、控訴人三宅及び控訴人青木と共にカラオケボックスを営んでいる。

(二)(1) 本件店舗には、遅くとも平成五年四月一日までに原判決別紙店舗見取図(以下「原判決別紙見取図」という。)記載のとおり、カラオケ歌唱用の部屋が一七室(原判決別紙見取図1ないし3、5ないし18)あり、原判決別紙物件目録記載のカラオケ関連機器が備え付けられている。

(2) 原判決別紙見取図記載の各部屋のうち、1ないし3、5及び17の各部屋ではレーザーディスクカラオケ(ビデオカラオケに属する。)が、6ないし15及び18の各部屋では通信カラオケ(ビデオカラオケに属する。)が、16の部屋ではCDカラオケ(オーディオカラオケに属する。)が、遅くとも平成五年四月一日以降現在に至るまで、それぞれカラオケ伴奏及び歌唱に使用されている。

(三) 本件店舗では、営業開始以来現在に至るまで、顧客から利用予定時間に対応する代金を受領して、顧客に対し、各部屋で使用するカラオケ機器のリモコン装置及び使用する部屋の番号札を渡し、カラオケ関連機器を設置した部屋を使用させ、カラオケ関連機器を操作させて、管理著作物を再生し、伴奏音楽に合わせて顧客に歌唱させるとともに、飲食物を提供している。また、顧客からカラオケ機器の操作方法を尋ねられたときには、控訴人らの従業員がカラオケ機器を操作して操作方法を教示している。

3  控訴人らによる著作権侵害

本件店舗において、控訴人らは、顧客に飲食物の提供を行い、カラオケボックスであることを表示することにより顧客に音楽を鑑賞させることを営業の内容とする旨広告し、原判決別紙物件目録記載のカラオケ関連機器を設置することにより顧客に音楽を鑑賞させるための特別の設備を設けているから、本件店舗における営業は著作権法施行令附則三条一号に該当し、著作権法附則一四条の適用が除外されるものであるところ、控訴人らは、次のとおり管理著作物の著作権を侵害している。

(一) 伴奏音楽の再生による演奏権の侵害

控訴人らは、原判決別紙見取図6ないし16及び18の各部屋において、通信カラオケ又はCDカラオケにより、管理著作物の伴奏音楽を公に再生し、演奏権(著作権法二二条)を侵害している。

(二) 映画の著作物において複製されている歌詞及び伴奏音楽の再生による上映権の侵害

控訴人らは、原判決別紙見取図1ないし3、5及び17の各部屋において、レーザーディスクカラオケの再生により、映画の著作物において複製されている管理著作物たる歌詞及び伴奏音楽を公に再生し、その上映権(著作権法二六条二項)を侵害している。

(三) 顧客の歌唱による演奏権の侵害

控訴人らは、原判決別紙見取図1ないし3及び5ないし18の各部屋において、カラオケ関連機器を使って管理著作物を顧客に公に歌唱させ、演奏権(著作権法二二条)を侵害している。

4  控訴人らの著作権侵害による被控訴人の損害

(一) 被控訴人は、控訴人らの平成五年四月一日から平成九年九月一〇日までの前記著作権侵害により、少なくとも以下のとおりの管理著作物の使用料相当額の損害を被った。

(1) 平成五年四月一日から平成九年八月一〇日までの使用料相当額

① 昭和五九年六月一日認可の著作物使用料規程第二章第二節「演奏等」の「3 演奏会以外の催物における演奏」の「(7) その他の演奏」の規定に基づき定められた「カラオケ歌唱室の使用料率表」によれば、カラオケボックスにおける一部屋ごとの管理著作物の使用料相当額は、(ア)平成五年四月一日から平成九年三月三一日までは、定員が一〇名までの部屋(以下「小部屋」という。)については、オーディオカラオケで月額三〇九〇円、ビデオカラオケで月額四一二〇円、定員が一〇名を超え三〇名までの部屋(以下「中部屋」という。)については、ビデオカラオケで月額八二四〇円であり、(イ)平成九年四月一日から同年八月一〇日までは、小部屋については、オーディオカラオケで月額三一五〇円、ビデオカラオケで月額四二〇〇円、中部屋については、ビデオカラオケで月額八四〇〇円である。

② 本件店舗には、小部屋が一五室(原判決別紙見取図1ないし3、5ないし16)あり、そのうち一室(原判決別紙見取図16)ではオーディオカラオケが、その他の一四室ではビデオカラオケが利用でき、また、中部屋が二室(原判決別紙見取図17及び18)あり、これらの部屋ではビデオカラオケが利用できる。

③ したがって、本件店舗における平成五年四月一日から平成九年八月一〇日までの管理著作物の使用料相当額は、合計四〇四万八四〇三円である。

(2) 平成九年八月一一日から同年九月一〇日までの使用料相当額

① 平成九年八月一一日、著作権使用料規程が文化庁長官の認可を受けて一部変更され、同日から施行されたところ、同規程第二章第二節「演奏等」の「4 カラオケ施設における演奏等」の(1)によれば、カラオケボックスにおける同日以降の一部屋ごとの管理著作物の使用料相当額は、小部屋については月額九四五〇円、中部屋については月額一万八九〇〇円である。

② 本件店舗には、小部屋が一五室(原判決別紙見取図1ないし3、5ないし16)あり、中部屋が二室(原判決別紙見取図17及び18)ある。

③ したがって、本件店舗における平成九年八月一一日から同年九月一〇日までの一か月間の管理著作物の使用料相当額は、合計一七万九五五〇円である。

(二) 被控訴人は、控訴人らの前記著作権侵害により、平成九年九月一一日以降本件口頭弁論終結日までの間、控訴人らが本件店舗における管理著作物の使用を停止するまで、管理著作物の使用料相当額の損害として一か月当たり一七万九五五〇円の損害を被り、また、本件口頭弁論終結日より後も、同額の損害を被ることになる。

(三) 被控訴人は、本件訴訟の提起を弁護士に依頼せざるを得なかったところ、その費用は一五〇万円を下らない。

5  控訴人らの不当利得による被控訴人の損失

控訴人らは、前記のとおり、管理著作物につき被控訴人の許諾を得ずかつ使用料を支払うことなく使用し、これにより右4と同額の利益を得たものであり、被控訴人は、これにより同額の損失を被った。

6  よって、被控訴人は、控訴人らに対し、著作権法一一二条一項に基づき管理著作物の使用の差止めを、同条二項に基づき専ら著作権侵害行為に供された機械又は器具である原判決別紙物件目録記載のカラオケ関連機器の本件店舗からの撤去を求めるとともに、著作権侵害の不法行為による損害賠償又は選択的に著作権侵害による不当利得の返還として、連帯して金五七二万七九五三円及びこれに対する原判決別紙遅延損害金目録記載の遅延損害金並びに平成九年九月一一日から控訴人らが本件店舗における管理著作物の使用を停止するまで一か月当たり金一七万九五五〇円の割合による金員を支払うことを求める(この請求額は不法行為に基づく原審における請求額であり、原審で一部請求棄却になったものは、当審の審理の対象外である。また、選択的な不当利得返還請求は、原判決主文第三項の1、2で認容された額を求めるものである。)。

二  請求原因に対する認否

1  請求原因1の事実は不知。

2(一)  同2(一)の事実中、控訴会社が本件店舗で「ビッグエコー上尾店」の名称でカラオケボックスを営んできたことは認めるが、控訴人三宅及び同青木がこれを営んできたことは否認する。同店の営業による利益は控訴会社に帰属していた。

原審で、控訴人三宅及び同青木が右営業をしてきたことを認めたのは、事実に反し、錯誤に基づくものであり、同控訴人らはこの自白を撤回する。

(二)  同2(二)の事実のうち、本件店舗に現在原判決別紙見取図記載のとおり、カラオケ歌唱用の部屋が一七室あり、原判決別紙物件目録記載のカラオケ関連機器が備え付けられていることは認める。原判決別紙見取図17の部屋は間口3.5メートル奥行6.5メートル、同18の部屋は間口四メートル奥行七メートルであり、その余の部屋は間口2.5メートル奥行六メートルである。本件店舗は、CDカラオケ八室、レーザーディスクカラオケ七室の合計一五室の小部屋で営業を開始し、平成五年六月に17及び18の部屋を増設したものである。通信カラオケは、その後、平成六年一〇月に小部屋四室に、同年一二月に小部屋一室に、平成八年四月に小部屋五室に、同年一〇月に18の部屋にそれぞれ備え付られた。なお、原判決別紙見取図に「事務所」とあるのは厨房である。

原判決別紙見取図記載の部屋(ただし、1、2及び16の部屋を除く。)において現在被控訴人主張のカラオケ機器がカラオケ伴奏及び歌唱に使用されていることは認める。1及び2の各部屋は平成八年一月一日に、16の部屋は平成九年三月に、それぞれ閉鎖し、以後使用していない。

(三)  同2(三)の事実は認める。

3  同3は争う。

4  同4、5の事実は否認する。

三  控訴人らの主張

1  使用許諾

控訴人らが本件店舗で使用した業務用カラオケソフトは、私的観賞に供される市販レコードと異なり、カラオケソフト製作者が、スナック店やカラオケボックスなどで営業として利用されることを目的として製作したものである。被控訴人は、そのような目的で業務用カラオケソフトが製作されることを熟知した上で、録音録画許諾及び頒布許諾を与えたものである。

このような業務用カラオケソフトの性格を考えると、被控訴人は、管理著作物の業務用カラオケソフトの製作をその製作者に許諾していることによって、控訴人らが右製作者との契約に基づいて、本件店舗において右カラオケソフトを再生し、これに合わせて顧客に歌唱させることについても許諾をしているというべきである。カラオケソフト製作者から使用料を徴収した被控訴人が、更にカラオケスナック店等から使用料を徴収するのは、使用料の二重取りに当たり、許されない。

2  カラオケボックスについての使用許諾料の未認可

被控訴人の管理著作物の使用許諾料徴収は、著作権ニ関スル仲介業務ニ関スル法律二条ないし四条により、文化庁長官の許認可に基づかなければならない。ところが、被控訴人がカラオケボックスについて著作物使用料の認可を受けたのは平成九年八月一一日に至ってであるから、それより前の著作物使用料の請求は許されない。控訴人らが使用料支払を強制されるのは、憲法一三条及び三一条に反する。

3  支払免除規定の適用

カラオケボックスにおけるカラオケ使用が、被控訴人の著作物使用料規程の第二章第二節「演奏等」の「3 演奏会以外の催物における演奏」に当たるとしても、その使用料は、同節の「4 社交場における演奏等」によるべきである。本件店舗のボックスのうち、原判決別紙見取図17の部屋の客席面積は22.75m2、18の部屋は二八m2で、その他はいずれも16.5m2(五坪)以内の客席面積しかない。そして、17及び18の部屋は特定の団体客を対象とした宴会場に該当する。社交場における演奏等については、被控訴人の右規程によれば、団体客、招待客など主として特定の客を対象とする宴会が行われる宴会場は、その面積が三三m2(一〇坪)まで、その他は客席面積が16.5m2(五坪)までの場合、その使用料の支払を免除する、とされているから、本件店舗の各ボックスについては、使用料が免除される。

もし本件店舗について管理著作物の使用料を支払わなければならないとすると、カラオケボックス以外の同面積の飲食店や宿泊施設の宴会場に比して著しく不公平、不均衡であり、公序良俗に反し無効である。

4  通信カラオケの使用許諾料の未認可

被控訴人が通信カラオケについて著作物使用許諾料の認可を受けたのは、平成九年八月一一日であったから、それより前の通信カラオケの管理著作物使用料の請求は許されない。

5  権利濫用

控訴人らが被控訴人と著作物使用許諾契約を締結していないのは、専らこれまで被控訴人が、控訴人青木からの度重なる質問状に答えないなど不誠実な態度をとってきたことに起因するから、被控訴人の本件請求は権利の濫用である。

6  消滅時効

著作権侵害の不法行為に基づく損害賠償請求のうち、平成九年九月二二日の本訴提起よりも三年以上前の著作権侵害分については、時効期間が経過しているので、控訴人らはその消滅時効を援用する。

四  控訴人らの主張に対する被控訴人の主張

自白の撤回には異議がある。撤回に係る自白事実は、事実に反しないし、錯誤に基づくものでもない。その他、権利の濫用、消滅時効等の控訴人らの主張はすべて争う。

第三  当裁判所の判断

一  甲第一、第二号証及び弁論の全趣旨によれば、請求原因1(被控訴人の権利)の事実が認められる。

二  請求原因2(控訴人らの行為)について

1  請求原因2(一)の事実中、控訴会社が、本件店舗において被控訴人主張のカラオケボックスを営んでいることは当事者間に争いがない。

控訴人三宅及び同青木が、本件店舗において被控訴人主張のカラオケボックスを営んでいることについて、控訴人らは原審において自白していたが、当審の平成一一年三月一八日の第三回口頭弁論期日において、これを撤回した。しかしながら、これが事実に反することについての記載がある乙第四一号証(控訴人青木の陳述書)によっても、控訴人三宅及び同青木が右カラオケボックスを営んでいなかったことを客観的に裏付けるものではなく、他にこの事実を認めるに足りる証拠はない(もとより、第四三、第四五、第四六号証(控訴人三宅又は同青木の氏名が記載されている控訴会社の名刺)はこの事実を裏付けるものではない。)。また、弁論の全趣旨から明らかなとおり、控訴会社は平成二年五月に控訴人三宅及び同青木によって設立され、取締役は同控訴人らのみであって、他に役員はいないことのほか、平成一〇年八月二七日に、右自白があったことを前提にして、同控訴人らに対しても被控訴人の請求を認容する原判決が言い渡されてから半年以上も経過した後に自白を撤回した経緯並びに甲第一七ないし第一九号証及び乙第六号証に照らしても、右乙第四一号証の陳述記載は採用することができない。したがって、同控訴人らの自白が事実に反し、錯誤に基づくものであるとの点は到底認めることができず、自白の撤回は許されない。請求原因2(一)の事実中、同控訴人らが、本件店舗において被控訴人主張のカラオケボックスを営んでいることも、当事者間に争いがないことに帰する。

2  請求原因2(二)の事実のうち、本件店舗に、現在、原判決別紙見取図記載のとおり、カラオケ歌唱用の部屋が一七室あり、原判決別紙物件目録記載のカラオケ関連機器が備え付けられていること、現在3、5及び17の各部屋においてレーザーディスクカラオケが、6ないし15及び18の各部屋において通信カラオケが、カラオケ伴奏及び歌唱にそれぞれ使用されていることは当事者間に争いがない。

甲第一〇号証及び弁論の全趣旨によれば、本件店舗では、原判決別紙見取図1及び2の各部屋において平成八年一月以降もレーザーディスクカラオケが、同16の部屋において平成九年三月以降もCDカラオケが、いずれも引き続き現在に至るまでカラオケ伴奏及び歌唱に使用されていることが認められる。乙第三六号証(控訴人青木作成の本件店舗稼動状況を示す年表)は、客観的な資料に基づくものとは認められないので、右認定事実を左右するものではなく、他に右事実を客観的に動かすべき証拠はない。

3  請求原因2(三)の事実(本件店舗における営業方法等)は、当事者間に争いがない。

三  請求原因3(控訴人らによる著作権侵害)について

1  以上説示したところによれば、本件店舗のカラオケ歌唱用の各部屋においては、主として顧客自らが各部屋に設置されたカラオケ装置を操作し、通信カラオケ又はCDカラオケにより管理著作物である伴奏音楽の再生による演奏が行われ、管理著作物たる歌詞及び伴奏音楽の複製物を含む映画著作物であるレーザーディスクカラオケの上映によって、管理著作物たる歌詞及び伴奏音楽の複製物の上映が行われていることが明らかである。そして、前認定のとおり、本件店舗の経営者である控訴人らは各部屋にカラオケ装置を設置して顧客が容易にカラオケ装置を操作できるようにした上で顧客を各部屋に案内し、顧客から求められれば控訴人らの従業員がカラオケ装置を操作して操作方法を教示しているのであり、顧客は控訴人らが用意した曲目の範囲内で選曲するほかないことに照らせば、控訴人らは、顧客の選曲に従って自ら直接カラオケ装置を操作する代わりに顧客に操作させているということができるから、各部屋においてカラオケ装置によって前記のとおり管理著作物の演奏ないしその複製物を含む映画著作物の上映を行っている主体は、控訴人らであるというべきである。

2  また、本件店舗のカラオケ歌唱用の各部屋においては、顧客が各部屋に設置されたカラオケ装置を操作し、再生された伴奏音楽に合わせて歌唱することによって、管理著作物の演奏が行われていることが認められるところ、控訴人らは各部屋にカラオケ装置と共に楽曲索引を備え置いて顧客の選曲の便に供し、また、顧客の求めに応じて従業員がカラオケ装置を操作して操作方法を教示するなどし、顧客は指定された部屋において定められた時間の範囲内で時間に応じた料金を支払い、再生された伴奏音楽に合わせて歌唱し、歌唱する曲目は控訴人らが用意したカラオケソフトに収納されている範囲に限られることなどからすれば、顧客による歌唱は、本件店舗の経営者である控訴人らの管理の下で行われているというべきであり、また、カラオケボックス営業の性質上、控訴人らは、顧客に歌唱させることによって直接的に営業上の利益を得ていることは明らかである。

このように、顧客は控訴人らの管理の下で歌唱し、控訴人らは顧客に歌唱させることによって営業上の利益を得ていることからすれば、各部屋における顧客の歌唱による管理著作物の演奏についても、その主体は本件店舗の経営者である控訴人らであるというべきである。

3  そして、右1及び2で認定したように、伴奏音楽の再生及び顧客の歌唱により管理著作物を演奏し、その複製物を含む映画著作物を上映している主体である控訴人らにとって、本件店舗に来店する顧客は不特定多数の者であるから、右の演奏及び上映は、公衆に直接聞かせ、見せることを目的とするものということができる。

4  ところで、著作権法附則一四条によれば、適法に録音された音楽の著作物の演奏の再生については、当分の間自由に行い得るものとされている。

しかし、同条は、公衆送信に該当するもの及び営利を目的として音楽の著作物を使用する事業で政令で定めるものにおいて行われるものは、当分の間自由に行い得るものから除外する旨規定しており、これに基づく政令として著作権法施行令附則三条が規定されているところ、控訴人らは本件店舗において顧客に飲食物の提供を行っている(当事者間に争いがない。)から、控訴人らの本件店舗における営業は、同附則三条一号所定の「喫茶店その他客に飲食させる営業」に該当する。また、顧客がカラオケボックスにおいてカラオケの伴奏音楽を再生してこれを聴くこと、及び、再生された伴奏音楽に合わせて歌唱を行ってこれを聴くことは、いずれも同条同号所定の「音楽の鑑賞」に当たり、弁論の全趣旨によれば、控訴人らは本件店舗においてカラオケボックスであることを表示して営業している(控訴人らは、この点を争っていない。)から、同条同号所定の「客に音楽を鑑賞させることを営業の内容とする旨広告し」ているというべきであり、本件店舗のカラオケ歌唱用の各部屋に原判決別紙物件目録記載のカラオケ関連機器を設置することにより同条同号所定の「客に音楽を鑑賞させるための特別の設備を設けている」というべきである。

したがって、控訴人らの本件店舗における営業は、著作権法施行令附則三条一号の事業に該当するから、著作権法附則一四条は適用されない。

5  以上によれば、控訴人らは、本件店舗においてカラオケ関連機器を使って、①管理著作物である伴奏音楽を公に再生することにより管理著作物の演奏権を侵害し、②映画の著作物において複製されている管理著作物たる歌詞及び伴奏音楽を公に上映してその上映権を侵害し、③再生された伴奏音楽に合わせて管理著作物を顧客に公に歌唱させることにより管理著作物の演奏権を侵害しているものというべきである。

四 控訴人らの主張について

1 使用許諾について

控訴人らは、被控訴人は、管理著作物の業務用カラオケソフトの製作をその製作者に許諾していることによって、控訴人らが右製作者との契約に基づいて、本件店舗において右カラオケソフトを再生し、これに合わせて顧客に歌唱させる行為についても許諾をしている旨主張する。

しかしながら、以下に説示するとおり、控訴人らの右主張は理由がない。

カラオケソフトを製作する行為と、製作されたカラオケソフトをカラオケボックスの店舗において公に再生すること、及び、これに合わせて公に顧客に歌唱させることとは、明らかに別個の行為というべきところ、甲第七号証の一ないし三及び甲第八号証によれば、被控訴人と業務用カラオケソフト製作者との契約では、例えば、被控訴人が業務用カラオケソフト製作者である株式会社第一興商との間に締結した録音物製造における管理著作物に関する契約(昭和六一年一月二〇日締結)において、「本使用許諾は、録音物製作者に対してのみ有効であり」(使用許諾条件11)と記載され、使用許諾の内容は、「貴殿(株式会社第一興商)の使用許諾申請にたいし当協会(被控訴人)の管理著作物を録音使用することを許諾いたします。」と記載されていること(この契約は、録音媒体を製造して音楽著作物を録音する態様におけるものと認められる。)、また、被控訴人と、いわゆる通信カラオケの送信を営む業者(通信カラオケ事業者)が会員となっている社団法人音楽電子事業協会との間で平成九年九月二六日に締結された「業務用通信カラオケによる管理著作物利用に関する合意書」においては、管理著作物を、カラオケ伴奏用にコンピューター等の記憶装置にデータベースの構成部分として複製し、かつ送受信装置を用いて、社交飲食店やホテル、旅館、カラオケボックス等の事業所に送信し、提供するシステムにより、複合的に利用することについて合意されたが、同合意書においては「受信先における演奏・歌唱は除く」ものであることが明記されていること(合意書前文の記載)が認められる。

これらの事実によれば、右各契約当事者となっていないカラオケボックスの営業主体における管理著作物の再生及びこれに合わせた歌唱は、許諾の対象となっていないことが認められる。控訴人らは、カラオケソフト製作者から使用料を徴収した被控訴人が、更にカラオケスナック店等から使用料を徴収するのは、使用料の二重取りに当たり、許されない旨主張するが、右にみたように、カラオケソフトを製作する行為と、製作されたカラオケソフトをカラオケボックスの店舗において公に再生すること、及び、これに合わせて公に顧客に歌唱させることとは、別個の行為であるから、それぞれについて管理著作物についての使用料が支払われるべきものであり、これを違法、不当とすべき理由はないから、使用料の二重取りに当たるとする控訴人らの主張も、採用することができない。

2 使用許諾料の未認可の主張について

甲第四号証、乙第三八号証及び弁論の全趣旨によれば、カラオケボックスにおける管理著作物の演奏等については、控訴人らの本件店舗における営業開始前から、被控訴人が制定し文化庁長官の認可を受けた著作物使用料規程の第二章第二節「演奏等」の「3 演奏会以外の催物における演奏」の「(7) その他の演奏」に該当するものとして、被控訴人が著作物使用料の支払を受けることができるものと解され、そのように取り扱われていたことが認められるところ、前記の本件店舗におけるカラオケ関連機器を使う方法による演奏等が、右の「3 演奏会以外の催物における演奏」のうちの(1)ないし(6)以外の「(7) その他の演奏」に該当するものであることは明らかである。なお、甲第六号証、乙第三八号証及び弁論の全趣旨によれば、平成九年八月一一日、右著作物使用料規程が文化庁長官の認可を受けて一部変更され、カラオケボックスにおける管理著作物の演奏等については、同規程の第二章第二節「演奏等」の「4 カラオケ施設における演奏等」に該当するものとして規程が整備されたことが認められるが、平成九年八月一一日の一部変更により初めてカラオケボックスにおける演奏等について被控訴人が著作物使用料の支払を受けることができるようになったものではないことが明らかである。

したがって、被控訴人が、平成九年八月一一日カラオケボックスについて著作物使用料規程一部変更の認可を受けるより前の著作物使用料の請求は許されないとする控訴人らの主張は採用することができない。憲法違反に関する控訴人らの主張も、前提を欠き、失当である。

3 支払免除規定の適用の主張について

控訴人らは、カラオケボックスにおける使用料は、著作物使用料規程の第二章第二節「演奏等」の「4 社交場における演奏等」のものによるべきである旨主張する。

しかしながら、社交場が客に飲食をさせ、社交が行われる場所であり、客や従業員による歌唱等はその効果を高めるための副次的な要素を持つにすぎないのに対し、カラオケボックスは、客がカラオケ伴奏により歌唱を行うことを主眼とする場所である点で大きな差異があるものというべきである。両者の間に著作物の使用料に差異があるものとする被控訴人の主張に、控訴人らが主張するような不合理な点は認められない。控訴人らは、本件使用許諾料は著しく不公平、不均衡であり、公序良俗に反し無効であると主張するが、この主張を裏付ける事実関係を認めるに足りる証拠はなく、採用することができない。なお、控訴人らの当審における主張中には、ビデオカラオケ及び通信カラオケが、オーディオカラオケよりも使用許諾料が高く設定されているのは不合理であり、不当であるとする部分があるが、前者には上映権に関する使用許諾料も含む場合もあり、音による伴奏だけのカラオケに比してより顧客吸引力があることは明らかであるから、右のような差異があることをもって、不合理であり不当であると認めることはできない。

4 通信カラオケの使用許諾料の未認可の主張について

カラオケボックスにおける演奏等が平成九年八月一〇日までは前記著作物使用料規程の第二章第二節「演奏等」の「3 演奏会以外の催物における演奏」のうち「(7) その他の演奏」に該当することは前記2で判示したとおりであるが、その演奏の方法として通信媒体によるものが排除されていたとすべき根拠はない。前記2で判示したところに照らせば、通信カラオケについての使用許諾料が平成九年八月一〇日までは未認可であったとする控訴人らの主張は到底採用することができない。

5  権利濫用について

控訴人らは、控訴人らと被控訴人とのこれまでの交渉経緯等に照らし、被控訴人の本件請求は、権利濫用である旨主張する。

しかしながら、本件全証拠を総合しても、控訴人らが被控訴人と著作物使用許諾契約を締結していないことが専ら被控訴人の不誠実な対応に起因するといった事情を認めることはできない。他に、被控訴人の本件請求が権利の濫用に当たることを裏付けるべき事実関係も認められないから、控訴人らの権利濫用の主張は採用することができない。

6  消滅時効について

本訴は平成九年九月二二日に提起されており、その三年前の平成六年九月二二日以前の本件著作権侵害行為に基づく損害賠償請求権につき時効中断事由の主張立証はないので、被控訴人の主張する平成五年四月一日から平成六年九月二二日までの著作権侵害についての不法行為に基づく損害賠償請求権は時効により消滅したものというべきである。

一方、右の間については、控訴人らが共同して本件の著作権侵害行為を行うことにより利益を得て、そのため、被控訴人において損失を被ったものというべきであるから、控訴人らは、その利得額を被控訴人に返還すべきである。

五  請求原因4、5(被控訴人の損害及び損失)について

1  控訴人らは、共同して本件の著作権侵害行為を行っており、前記認定事実によれば右侵害行為につき控訴人らに故意又は過失があることは明らかであるから、控訴人らは、右のとおり時効によって消滅したもの(不法行為に基づく損害賠償請求権)を除き、控訴人らの右侵害行為によって被控訴人が被った損害を連帯して賠償すべき責任があり、また、時効によって消滅した期間の分については、控訴人らは著作権侵害によって利得したものであるから、被控訴人が被った損失を返還すべきところ、被控訴人が被った損害及び損失並びに控訴人らの共同して得た利得は、少なくとも被控訴人の定める管理著作物の使用料の相当額を下回らないものと認めるのが相当である。

甲第四ないし第六号証及び弁論の全趣旨によれば、平成五年四月一日以降における管理著作物の使用料相当額は、請求原因4(一)(1)①、(2)①記載のとおりであると認められる。

2  弁論の全趣旨によれば、本件店舗におけるカラオケ歌唱用の各部屋のうち、原判決別紙見取図記載の1ないし3及び5ないし16の各部屋の広さは約一五平方メートルであり、いずれも小部屋に該当すること、17の部屋の広さは約二三平方メートル、18の部屋の広さは約二八平方メートル(各部屋の広さは控訴人らにおいて自認するところである。)であって、その広さに照らすと、17及び18の部屋はいずれも中部屋に該当することが認められる。

本件店舗がCDカラオケ八室、レーザーディスクカラオケ七室の合計一五室の小部屋で営業を開始し、平成五年六月に中部屋二室を増設したものであること、通信カラオケは、平成六年一〇月に小部屋四室、同年一二月に小部屋一室、平成八年四月に小部屋五室、同年一〇月に中部屋一室に備え付けたものであることは、控訴人らの自認するところであり、右事実に乙第二四号証の一ないし四を総合すると、平成五年四月一日以降の本件店舗におけるカラオケ機器の使用状況は、次のとおりであったものと認められる。

(ア) 平成五年四月から同年六月まで

CDカラオケ小部屋八室、レーザーディスクカラオケ小部屋七室

(イ) 平成五年七月から平成六年一〇月まで

CDカラオケ小部屋八室、レーザーディスクカラオケ中部屋二室、小部屋七室

(ウ) 平成六年一一月から同年一二月まで

CDカラオケ小部屋四室、レーザーディスクカラオケ中部屋二室、小部屋七室、通信カラオケ小部屋四室

(エ) 平成七年一月から平成八年四月まで

CDカラオケ小部屋三室、レーザーディスクカラオケ中部屋二室、小部屋七室、通信カラオケ小部屋五室

(オ) 平成八年五月から同年一〇月まで

CDカラオケ小部屋一室、レーザーディスクカラオケ中部屋二室、小部屋四室、通信カラオケ小部屋一〇室

(カ) 平成八年一一月以降

CDカラオケ小部屋一室、レーザーディスクカラオケ中部屋一室、小部屋四室、通信カラオケ中部屋一室、小部屋一〇室

甲第四ないし第六号証及び弁論の全趣旨によれば、右CDカラオケは「カラオケ歌唱室の使用料率表」(甲第五号証)における「オーディオカラオケ」に、レーザーディスクカラオケ及び通信カラオケは右使用料率表における「ビデオカラオケ」にそれぞれ該当するものと認められる。

3(一)  以上によれば、被控訴人が控訴人らの前記著作権侵害によって被った使用料相当額の損害ないし損失(控訴人らの利得)は、(ア)平成五年四月から六月まで月額五万三五六〇円、(イ)同年七月から平成六年一〇月まで月額七万〇〇四〇円、(ウ)同年一一月から一二月まで月額七万四一六〇円、(エ)平成七年一月から平成八年四月まで月額七万五一九〇円、(オ)同年五月から平成九年三月まで月額七万七二五〇円、(カ)同年四月から七月まで月額七万八七五〇円、(キ)同年八月一日から一〇日まで二万五四〇三円、(ク)同月一一日から同年九月一〇日まで一七万九五五〇円、(ケ)同月一一日以降月額一七万九五五〇円であり、右損害額(損失額)を合計すると、平成五年四月一日から平成九年九月一〇日までの侵害に係るものが合計四〇〇万二三八三円であり、同月一一日以降の侵害に係るものが一か月当たり一七万九五五〇円である。

(二)  そのうち時効により消滅した以外のもので、控訴人らが損害金として賠償すべきものは、(イ)のうち平成六年九月二三日から同年一〇月まで月額七万〇〇四〇円、(ウ)同年一一月から一二月まで月額七万四一六〇円、(エ)平成七年一月から平成八年四月まで月額七万五一九〇円、(オ)同年五月から平成九年三月まで月額七万七二五〇円、(カ)同年四月から七月まで月額七万八七五〇円、(キ)同年八月一日から一〇日まで二万五四〇三円、(ク)同月一一日から同年九月一〇日まで一七万九五五〇円、(ケ)同月一一日以降月額一七万九五五〇円であって、平成六年九月分を日割計算すると一万八六七七円(一円未満切捨て)であるから、以上の損害額のうち平成六年九月二三日から平成九年九月一〇日までの侵害に係るものは合計二八〇万九七八〇円であり、平成九年九月一一日以降の侵害に係るものが一か月当たり一七万九五五〇円である。

(三)  右の額以外で、控訴人らが不当利得として返還すべきものは、(ア)平成五年四月から六月まで月額五万三五六〇円、(イ)のうち同年七月から平成六年九月二二日まで月額七万〇〇四〇円であり、平成六年九月分の二二日までの日割額は五万一三六三円(一円未満切上げ)であるから、その合計は一一九万二六〇三円である。前記判示したところによれば、控訴人らは悪意の利得者と認められるので、民法所定の利息を付してこれらを返還すべきである。

4  被控訴人は、本件訴訟の提起を弁護士に依頼しているところ、本件事案及び本件請求の内容を総合すれば、控訴人らの前記著作権侵害と相当因果関係のある弁護士費用相当の損害額は、一五〇万円を下らないものと認められる。

第四  結論

以上によれば、控訴人らに対し、著作権法一一二条に基づき、原判決主文第一項の管理著作物の使用差止め及び原判決主文第二項のカラオケ関連機器の本件店舗からの撤去を求める被控訴人の請求は理由があり、原判決主文第三項の著作権侵害の不法行為による損害賠償請求は、第三の五3(二)のとおりの損害額(平成六年九月二三日から平成九年九月一〇日までの各月額合計二八〇万九七八〇円及び平成九年九月一一日以降の一か月当たり一七万九五五〇円)及び各月の損害額に対する不法行為の後である原判決主文第三項1、2記載の日から各支払済みまで年五分の遅延損害金の支払並びに前記(第三の五4)の弁護士費用相当損害金の支払を求める限度において理由がある(原判決主文第三項の2の金員のうち、本件訴訟の口頭弁論終結日の翌日以降の損害に対応する金員の支払を求める部分は、将来の給付を求めるものであるが、あらかじめ判決を求める必要があるものと認められる。)。以上の部分に関する原判決は相当であり、これについての本件控訴はいずれも理由がない。右額を超える部分の損害賠償の金銭支払を命じた原判決は取り消してその部分の請求を棄却すべきであるが、これと選択的に当審で附帯控訴において請求された著作権侵害の不当利得返還請求は、前記(第三の五3(三))のとおりの利得額(各月額及び日割額合計一一九万二六〇三円)及びこれに対する各月の利得の後である本判決主文第二項1記載の日から各支払済みまで年五分の利息の支払を求める部分を認容すべきである。

よって、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官永井紀昭 裁判官塩月秀平 裁判官市川正巳)

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