大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

東京家庭裁判所八王子支部 平成5年(少)2121号 決定 1993年9月24日

主文

本件について少年を保護処分に付さない。

理由

(理由の要旨)

本件送致にかかる非行事実は、「少年は、I、B、K、L、A、Jと共謀の上、平成五年三月一日午前零時三〇分頃、東京都調布市布田四丁目一番地調布駅南口広場横路上及び同広場において、徒歩にて通行中のC、D、E、F、G(いずれも一九歳)に対し、『お前ら、何を見てんだ。ジロジロ見てんじやねえ。』などと因縁をつけたうえ、いきなり、Bにおいて前記Cの顔面を手拳で殴打、頭部を足蹴りして倒し、他の少年らも加わつて顔面や頭部を数十回殴る蹴るなどの暴行を加え、更に、全員で前記D、E、F及びGに対しても、交々殴る蹴るなどの暴行を加え、もつて、数人共同して暴行の上、その際、Cに対し、全治三週間の通院加療を要する左眼球打撲、外傷性虹彩炎、上眼瞼裂傷、負膜びらんなどの傷害を負わせたものである。」というのである。

原審審判廷において、Iを除く少年は、全員、送致事実を否認したが、原決定は、少年、B、K、L及びAにつきほぼ送致事実と同旨の非行事実を認定して、前記五名の少年に対し、中等少年院送致の保護処分(少年、L及びAについては、一般短期処遇)を言渡し、前記Iは、平成五年六月四日試験観察(補導委託)に、前記Jは、別件で中等少年院に送致され、本件非行については、同年九月一日不処分(非行なし)となつた。

少年は、中等少年院有明高原寮に収容されたが、少年及び付添人の抗告の結果東京高等裁判所は、平成五年九月一七日前記非行事実を認めるに足る証拠はないとの理由で原決定を破棄し、本件を当裁判所に差し戻した。

前記東京高等裁判所決定後本日(平成五年九月二四日)まで、少年につき本件非行事実を認めるに足る新たな証拠資料の送付もなく、少年は平成五年九月二六日成人になるが、その前に新たな証拠資料が送付される見込みもないので、当裁判所は、裁判所法四条に基づき前記東京高等裁判所の本件送致事実に関する認定に従い、本件については非行事実を認めるに足る証拠はないとして、少年を保護処分に付さないこととし、少年法二三条二項に基づき主文のとおり決定する。

(裁判官 元吉麗子)

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!
©大判例