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東京家庭裁判所 平成3年(家)13156号 審判 1992年5月01日

申立人 高野くま

相手方 高野弘司 外5名

脱退前相手方(相続分譲渡人) 高野さと 外15名

被相続人 高野幸三

主文

被相続人高野幸三の遺産である別紙2物件目録記載の建物及び借地権を次のとおり分割する。

1  上記建物及び借地権は、いずれも申立人の単独取得とする。

2  申立人は、本件審判確定の日から6か月以内に、相手方高野弘司に対し金231万3186円、相手方菊地裕子及び相手方菊地康生に対し各135万1593円、相手方高野正治郎及び相手方高野恒夫に対し各52万7777円をそれぞれ支払え。

理由

1  相続の開始、相続人及びその相続分

本件記録によれば、被相続人は、昭和48年3月27日死亡したこと、その相続人関係は別紙3相続人関係図のとおりであり、相続人は、別紙1当事者目録記載のとおりであったこと、同目録記載の脱退前相手方高野さとは平成3年10月14日、同高野和男は同月13日、同大野信子は同月16日、同高野恵治は同年11月6日、同高橋清子は同年10月16日、同石井俊江は同月11日、同近藤千代子は同月14日、同平野千恵美、同平野喜久雄及び同佐藤貞子は平成3年11月7日、同竹下純子は平成4年1月17日、同西村博子は平成3年10月24日、同板倉安子は同月12日、同高野典明は同月14日、同高野英明は同月17日、同高野和彦は同年11月18日それぞれ申立人にその相続分を譲渡し、いずれも本件遺産分割申立事件の当事者たる地位を喪失し、本件審判手続から脱退したことが認められる。

また、相手方平野和久は、本件遺産分割審判事件に先行する被相続人にかかる遺産分割調停事件(当庁平成3年(家イ)第575号)の調停期日に出頭しないので、当庁家庭裁判所調査官によりその意向を確認したところ、傍系のものは相続すべきでないと思うので自分には相続する意思がなく、裁判所のいかなる決定にも異存がないこと、相続する意思がない以上、裁判所には出頭しないし、書面による回答もしない旨を回答した。このような経過に徴すれば、相手方平野和久は、自己の相続分を放棄したものと認めるのが相当である。

本件においては、特別受益の主張はなく、寄与分の申立てもないから、当事者らの具体的な相続分は、次のとおりとなる。

相手方平野和久は、自己の相続分を放棄したものであるが、その法律上の効果は同人の意思内容によるものと解されるところ、同人の意思内容に徴すれば、その具体的相続分は零となり、同人の本来の具体的相続分については、結局、申立人に帰属すると解するのが相当である。

そこで、申立人の具体的相続分は、自己の法定相続分3分の2に上記相手方平野和久からの帰属分及び他の相続人から譲渡された相続分を加え、合計90分の76である。

相手方高野弘司の具体的相続分は、法定相続分である15分の1である。

相手方菊地裕子及び相手方菊地康生の具体的相続分は、それぞれの法定相続分である30分の1である。

相手方高野正治郎及び相手方高野恒夫の具体的相続分は、法定相続分である90分の1である。

2  遺産の範囲、評価額及び分割方法

本件記録によれば、別紙2物件目録記載の建物及びその敷地についての借地権(以下、「本件遺産」という。)が遺産であること、本件遺産の鑑定価格は平成4年1月1日現在で4880万円であること、申立人は、資力がないため、本件遺産を他に売却してその代金を相続人らが分配する方法を取らざるを得ないこと、申立人において、この方法により遺産分割を進めるため、他の相続人の協力を得て本件遺産の買主を探したところ、本件遺産を4750万円で買い取る意向を示した者が現われたこと、相手方高野弘司は、上記売却代金額に同意しており、不動産売買仲介手数料(142万5000円)、鑑定費用(30万9000円)を控除した残額の15分の1の金額から本来共有名義とした後売却した場合に課せられる譲渡税額73万7880円を控除した残額(231万3186円、1円未満切捨、以下同様)を代償金額として受け取ることを承諾していること、相手方菊地裕子及び相手方菊地康生は、上記売却代金額に同意しており、これから不動産売買仲介手数料、鑑定費用を控除した残額の30分の1の金額から本来共有名義とした後売却した場合に課せられる譲渡税額17万3940円を控除した残額(135万1593円)を代償金額として受け取ることをいずれも承諾していること、相手方高野正治郎及び相手方高野恒夫は、上記売却代金に同意しており、申立人は、この両名との関係では、上記売却代金の90分の1の代償金(55万7777円)を支払うことに同意していることが認められる。

以上の認定事実に照らせば、本件遺産分割については、本件遺産を申立人に単独取得させたうえ、これらに対する取得分を持つその余の当事者に対し、申立人から上記意思内容に応じた代償金の支払をさせるのが、適正妥当な方法と解する。

よって、相手方の代償金額は、相手方高野弘司について231万3186円、相手方菊地裕子及び相手方菊地康生について各135万1593円、相手方高野正治郎及び相手方高野恒夫について各52万7777円となる。

3  以上の次第であるから、申立人は本件遺産を単独取得し、代償金として上記金額を支払うべきところ、諸般の事情に照らし、その各支払は本件遺産分割審判の確定した日から6か月以内に行なわせるのが相当と判断する。

よって、主文のとおり審判する。

(家事審判官 長秀之)

別紙<省略>

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