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東京地方裁判所八王子支部 昭和37年(ワ)432号 判決 1966年9月16日

主文

一、被告柳原ハルは、原告に対し、別紙目録(第三)(第四)各記載の建物を収去して、同目録(第一)(イ)(ロ)記載の土地を明渡せ。

二、被告柳原孝一は、原告に対し、別紙目録(第三)記載の建物から退去して、同目録(第一)(イ)記載の土地を明渡せ。

三、被告松本剛雄は、原告に対し、別紙目録(第四)記載の建物から退去して同目録(第一)(ロ)記載の土地を明渡せ。

四、被告風戸健二は、原告に対し、別紙目録(第五)記載の板塀を収去して、同目録(第二)記載の土地を明渡せ。

五、被告青山陸朗は、原告に対し、別紙目録(第二)記載の土地を明渡せ。

六、原告及び被告風戸健二、同青山陸朗は独立参加人大隈幸子に対し、別紙目録(第六)記載の土地が独立参加人の所有であることを確認する。

七、被告風戸健二は、独立参加人大隈幸子に対し、別紙目録(第七)記載の板塀を収去し、同目録(第六)記載の土地を明渡せ。

八、被告青山陸朗は、独立参加人大隈幸子に対し、別紙目録(第六)記載の土地を明渡せ。

九、訴訟費用中、独立参加人と原告及び被告風戸健二、同青山陸朗との間に生じたものは、原告及び被告風戸健二、同青山陸朗の負担とし、その余の訴訟費用は被告等の負担とする。

十、この判決は、第一ないし五項、第七、八項に限り、仮に執行できる。

事実

一、当事者双方の申立と主張は別紙記載のとおり。

二、証拠関係は本件記録中証拠目録記載のとおり。

別紙

原告の請求の趣旨 被告の答弁

一、被告柳原ハルは、原告に対し、別紙目録(第三)(第四)各記載の各建物を収去して、同目録(第一)(イ)(ロ)記載の土地を明渡せ。 原告の請求を棄却する。 訴訟費用は原告の負担とする。

二、被告柳原孝一は、原告に対し、別紙目録(第三)記載の建物から退去して、同目録(第一)(イ)記載の土地を明渡せ。

三、被告松本剛雄は、原告に対し、別紙目録(第四)記載の建物から退去して、同目録(第一)(ロ)記載の土地を明渡せ。

四、被告風戸健二は、原告に対し、別紙目録(第五)記載の板塀を収去して、同目録(第二)記載の土地を明渡せ。

五、被告青山陸朗は、原告に対し、別紙目録(第二)記載の土地を明渡せ。

六、訴訟費用は被告等の負担とする。

七、仮執行の宣言

原告の請求の原因 被告の答弁

一、原告は別紙目録(第一)(第二)各記載の土地を所有している。(取得原因は後記のとおり) 一、(被告柳原ハル、同柳原孝一、同風戸健二)否認。 (被告松本剛雄、同青山陸朗、口頭弁論欠席)擬制自白。

二、被告柳原ハルは、同目録(第一)(イ)記載の土地上に同目録(第三)記録の建物を所有して右土地を占有し、同目録(第一)(ロ)記載の土地上に同目録(第四)記載の建物を所有して右土地を占有している。 二、(被告柳原ハル)認める。

三、被告柳原孝一は同目録(第三)記載の建物に居住して同目録(第一)(イ)記載の土地を占有している。 三、(被告柳原孝一)認める。

四、被告松本剛雄は同目録(第四)記載の建物に居住して同目録(第一)(ロ)記載の土地を占有している。 四、(被告松本剛雄、口頭弁論欠席)擬制自白。

五、被告風戸健二は同目録(第二)記載の土地上に同目録(第五)記載の板塀を所有して右土地を占有している。 五、(被告風戸健二、答弁書)認める。

六、被告青山陸朗は同目録(第二)記載の土地を占有している。 六、(被告青山陸朗、口頭弁論欠席)擬制自白。

七、よつて、原告は、被告柳原ハルに対し、同目録(第三)(第四)各記載の建物を収去して、同目録(第一)(イ)(ロ)各記載の土地を明渡すこと、被告柳原孝一に対し、同目録(第三)記載の建物から退去して同目録(第一)(イ)記載の土地を明渡すこと、被告松本剛雄に対し、同目録(第四)記載の建物から退去して同目録(第一)(ロ)記載の土地を明渡すこと、被告風戸健二に対し、同目録(第五)記載の板塀を収去して、同目録(第二)記載の土地を明渡すこと、被告青山陸朗に対し、同目録(第二)記載の土地を明渡すこと、を求める。 七、争う。

土地所有権取得原因についての原告の主張 土地所有権取得原因についての被告の主張 (被告柳原ハル、同柳原孝一の主張)

一、(1)別紙目録(第一)(第二)(第六)各記載の土地は、もと訴外南達庄助の所有であつたが、申立人東部塗料工業協同組合、債務者ミタテ塗料株式会社、所有者南達庄助間の東京地方裁判所八王子支部昭和三六年(ケ)第一六四号不動産競売事件につき、昭和三七年三月三〇日競落人を原告とする競落決定がなされた。 一、(1)認める。

(2) 原告は同日右競落により右土地の所有権を取得し、同年五月二四日その旨の登記をした。 (2) 競落に因る所有権取得の登記あることは認めるが、右競売は次のとおり無効であるから、原告は本件土地の所有権を取得していない。

(3) 前記不動産競売事件の債権と抵当権は競売手続開始決定の時に存在した。その後右債権について弁済、相殺、更改免除、混同などの消滅原因はないし、債権の譲渡は債権を消滅させるものではないから、右競売手続には何等の瑕疵もなく、原告は競落により右土地の所有権を取得したものである。

(4) 競売機関は、抵当権の存否につき調査をなす義務を負担しているのは、手続開始の際のみであつて、開始当時に存在した抵当権がその手続進行中存続するや否やについての調査義務はない。従つて、その抵当権が消滅した場合は、利害関係人である債権者又は物件所有者は競売機関に対し、その抵当権が存続していないことを明かにし、競売手続の停止又は取消を求めるとか、競落許可決定後これが確定前であれば、抗告をもつてそれを主張し、その決定の廃棄を求めなければならない。本件の場合、競落許可決定につき、利害関係人において何の異議もなく、右決定は確定したものである。 (3)東部塗料工業協同組合は昭和三七年三月五日付で前記競売事件の根抵当権及び債権を原告に譲渡し、同月二六日受付第六三二四号をもつてその根抵当権移転登記をなしている。 しかるに、東部塗料工業協同組合はそのまま競売手続を進行させ上記競落許可決定がなされたものである。大審院判例(大正一〇年(オ)第七六五号事件民集一巻一〇号五二五頁)によれば、「競売は権利実行の方法なるをもつて実体上存在せざる抵当権によりて競売を申立て不動産が競落人の所有となるも競売は実質上無効にして所有権移転の効力を生ずるものに非ず」となしている。 しかして、競売の申立後抵当権が実体上存在しなくなつた場合にも、右判例は当然適用さるべきである。本件競売事件においては、前記申立人組合の抵当権は前記譲渡により実体上存在しなくなつたのであるから、前記競売は実体上存在せざる抵当権によりてなされたものとして、実質上無効である。従つて原告は本件土地の所有権を取得していないのである。(昭和七年一二月二〇日大民判決民集一一巻二一号二二三六頁)

二、否認。 二、訴外柳原長茂(被告柳原ハルの夫)は、昭和三三年九月一六日訴外南達庄助から本件土地を買受けて、その所有権を取得した。 被告柳原ハル同柳原孝一は右柳原長茂の承諾を得て、その頃より、同土地を占有しているものである。 (被告風戸健二の主張(答弁書))

三、否認。 仮に被告風戸がその主張のように本件土地を買受けたとしても、その登記がないから、登記を有する原告に対抗できない。 三、別紙目録(第二)記載の土地は、訴外門永政雄が昭和三五年二月二九日訴外南達庄助からこれを買受けその所有権を取得し、更に、被告風戸が同年四月七日右門永からこれを買受けその所有権を取得したものである。

独立参加人の請求の趣旨 原告の答弁

一、別紙目録(第六)記載の土地は独立参加人の所有であることを確認する。 一、独立参加人の請求を棄却する。

二、独立参加人に対し、被告風戸は別紙目録(第七)記載の板塀を除去し、同被告及び被告青山はそれぞれ第一項の土地を明渡せ。 二、訴訟費用は独立参加人の負担とする。

三、訴訟費用は原告及び被告風戸同青山の負担とする。

独立参加人の請求の原因 原告及び被告風戸同青山の答弁

一、原告と被告風戸、同青山間の本訴によると、原告は別紙目録(第六)記載の土地を所有するものであるが、被告風戸は右土地上に同目録(第七)記載の板塀を築造し、これを被告青山に占有させ、右被告両名にて同土地を占有している、との理由で、被告風戸に対しては右板塀の撤去を求め、且つ、被告両名に対し右土地の明渡を謂求している。 (原告は独立参加人の本訴参加後右請求部分を減縮した) 一、(原告)認める。 (被告風戸健二、答弁書) 別紙目録(第六)記載の土地は、売買により訴外南達庄助から訴外門永政雄に、同人から被告風戸に順次所有権移転し、現在被告風戸の所有である。 (被告青山陸朗、口頭弁論欠席)擬制自白。

二、独立参加人は昭和四〇年四月二五日原告より別紙目録(第六)記載の土地を買受けその所有権を取得し、同年五月二七日所有権移転登記手続を了した。 二、(原告)認める。 (被告青山陸朗、口頭弁論欠席)擬制自白。

三、よつて、独立参加人は原告及び被告風戸同青山に対し請求の趣旨記載の判決を求める。

別紙

目録

(第一) 東京都小金井市梶野町三丁目四二九番六

一、宅地 七八坪八合五勺の内別紙図面

(イ)の部分 宅地四〇坪七勺

(ロ)の部分 宅地三〇坪二合九勺

右宅地合計 七〇坪三合六勺

(第二) 東京都小金井市梶野町三丁目四二九番六八

一、宅地 一坪六合六勺

(第三) 東京都小金井市梶野町三丁目四二九番六

一、木造トタン葺平家建居宅一棟

建坪 六坪七合五勺

(第四) 東京都小金井市梶野町三丁目四二九番

家屋番号 同町四二九番

一、木造ルーヒング葺平家建居宅一棟

建坪 七坪七合五勺

(公簿上建坪五坪七合五勺)

(第五) 東京都小金井市梶野町三丁目四二九番六八

一、板塀長さ約四間

(第六) 東京都小金井市梶野町三丁目四二九番六五

一、宅地七三坪一合四勺のうち西側一坪四合五勺

(別紙図面(い)(ろ)(は)(い)の各点を結ぶ線により囲繞された部分)

(第七) 同所所在

一、板塀 長さ約八間半((い)(は)の線上に存するもの)

別紙

<省略>

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