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東京地方裁判所八王子支部 平成8年(わ)1501号 判決 1997年3月18日

主文

被告人を懲役一年六月に処する。

未決勾留日数中三〇日を右刑に算入する。

理由

(罪となるべき事実)

被告人は、法定の除外事由がないのに、平成八年八月一〇日ころ、東京都墨田区江東橋四丁目四番三号櫻井ビル五〇二号室尾崎忠志方において、尾崎が稲江愛則から回転弾倉式改造けん銃一丁及びけん銃実包一七発を譲り受けるに際し、尾崎から依頼を受け、前記日時場所において、同人に、稲江を引き合わせるなどし、もって、尾崎の右犯行を容易にさせてこれを幇助したものである。

(証拠の標目)(省略)

(法令の適用)

被告人の判示所為のうち、けん銃譲受け幇助の点は刑法六二条一項、銃砲刀剣類所持等取締法三一条の四第一項、三条の一〇に、けん銃実包譲受け幇助の点は刑法六二条一項、銃砲刀剣類所持等取締法三一条の九第一項、三条の一二にそれぞれ該当するが、右は一個の行為で二個の罪名に触れる場合であるから、刑法五四条一項前段、一〇条により一罪として重いけん銃譲受け幇助罪の刑で処断することとし、右は従犯であるから同法六三条、六八条三号により法律上の減軽をした刑期の範囲内で被告人を懲役一年六月に処し、同法二一条を適用して未決勾留日数中三〇日を右刑に算入することとする。

(量刑の理由)

本件は、けん銃及びけん銃実包の譲受けを幇助した事案である。

被告人は、所属している暴力団の幹部組員からけん銃の入手を依頼されて、知り合いの暴力団員と連絡を取り、右幹部組員に引き合わせるなどして、同人が改造けん銃一丁及びけん銃実包一七発を譲り受けるのを容易にし、これらの拡散に関与したのであり、けん銃等の取締りが急務となっている社会情勢に鑑みると、その犯情は悪質である。また、被告人は、相撲部屋に入門したがすぐに辞め、その後長年にわたり正業に就くことなく暴力団に所属し、無為徒食の生活を続けているほか、覚せい剤取締法違反罪など前科三犯を有しており、規範意識が希薄である。以上によれば、被告人の刑事責任は重いといわざるを得ない。

したがって、被告人は従犯に過ぎないこと、本件改造けん銃は撃鉄の打撃力を強めるか、打撃を繰り返さなければ弾丸を発射しないものであり、けん銃実包は手製のものであるなど、いずれも性能において劣ったものであること、被告人は、本件犯行を認め、当公判廷においても、暴力団を脱退して正業に就きたいと述べるなど反省の態度を示していること、母親が、被告人の就職先を見つけていること、父親が脳梗塞で倒れて入院していること、その他被告人のために酌むべき事情を最大限考慮しても、なお実刑に処するのが相当である。

よって、主文のとおり判決する。

(求刑 懲役二年六月)

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