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東京地方裁判所 昭和63年(特わ)2416号 判決 1989年8月30日

国籍

韓国

住居

東京都文京区西片二丁目二四番一一号

会社役員

小島博こと

金鍾學

一九二九年三月三日生

右の者に対する所得税法違反被告事件について、当裁判所は、検察官渡辺咲子出席の上審理し、次のとおり判決する。

主文

被告人を懲役一〇月及び罰金一八〇〇万円に処する。

右罰金を完納することができないときは、金一〇万円を一日に換算した期間、被告人を労役場に留置する。

この裁判確定の日から三年間、右懲役刑の執行を猶予する。

理由

(罪となるべき事実)

被告人は、東京都台東区上野五丁目一三番一号所在の「ハピネス御徒町」五〇一号(昭和五八年六月以前は同都千代田区神田松永町一番地河本ビル、同五九年一〇月以前は同都台東区東上野一丁目二〇番五号サスガビル)において、貸金業を営んでいたものであるが、自己の所得税を免れようと企て、収入の一部を除外し、仮名の預金を設定するなどの方法により所得を秘匿した上、

第一  昭和五八年分の被告人の実際総所得金額が四三二四万一八七六円で、分離課税による土地の譲渡等にかかる事業所得金額が一五三万五一五八円あった(別紙一の(1)修正損益計算書参照)のにかかわらず、同五九年三月一二日、東京都文京区本郷四丁目一五番一一号所在の所轄本郷税務署において、同税務署長に対し、同五八年分の総所得金額が二八七万円で、分離課税による短期譲渡所得金額が一三万八七八八円であり、これに対する所得税額が二一万一七〇〇円である旨の虚偽の所得税確定申告書(平成元年押第二八八号の1)を提出し、そのまま法定納期限を徒過させ、もって不正の行為により、同年分の正規の所得税額二〇九九万五〇〇〇円と右申告税額との差額二〇七八万三三〇〇円(別紙一の(2)脱税額計算書参照)を免れ、

第二  同五九年分の被告人の実際総所得金額が五六五七万四五四〇円あった(別紙二の(1)修正損益計算書参照)のにかかわらず、同六〇年三月一一日、前記本郷税務署において、同税務署長に対し、同五九年分の総所得金額が一五一万六二一四円でこれに対する所得税額はない旨の虚偽の所得税確定申告書(同押号の2)を提出し、そのまま法定納期限を徒過させ、もって不正の行為により、同年分の正規の所得税額二七八一万九四〇〇円(別紙二の(2)脱税額計算書参照)を免れ、

第三  同六〇年分の被告人の実際総所得金額が四三七一万一四八六円で、分離課税による土地の譲渡等にかかる事業所得金額が一九五万八五五五円あった(別紙三の(1)修正損益計算書参照)のにかかわらず、同六一年三月七日、前記本郷税務署において、同税務署長に対し、同六〇年分の総所得金額が二四四万七二九四円でこれに対する所得税額が一〇万五三〇〇円である旨の虚偽の所得税確定申告書(同押号の4)を提出し、そのまま法定納期限を徒過させ、もって不正の行為により、同年分の正規の所得税額二一一七万九三〇〇円と右申告税額との差額二一〇七万四〇〇〇円(別紙三の(2)脱税額計算書参照)を免れ

たものである。

(証拠の標目)

判示全部の事実につき

一  被告人の当公判廷における供述

一  被告人の検察官に対する供述調書三通

一  渡部茂子の検察官に対する供述調書

一  収税官吏作成の領置てん末書

一  収税官吏作成の次の各調査書

1  貸付金利息収入調査書

2  期首商品棚卸高調査書

3  仕入調査書

4  期末商品棚卸高調査書

5  給料調査書

6  管理費調査書

7  水道光熱費調査書

8  燃料費調査書

9  通信費調査書

10  減価償却費調査書

11  接待交際費調査書

12  福利厚生費調査書

13  旅費交通費調査書

14  租税公課調査書

15  弁護士等報酬調査書

16  登記関係費用調査書

17  雑費調査書

18  貸倒損失調査書

19  調査費調査書

判示第一、第二の事実につき

一  収税官吏作成の支払家賃調査書

判示第一、第三の事実につき

一  収税官吏作成の次の各調査書

1  不動産売却収入調査書

2  絵画売上調査書

3  不動産仲介手数料調査書

4  支払手数料調査書

5  申告事業所得調査書

6  土地譲渡事業所得調査書

判示第一の事実につき

一  収税官吏作成の短期譲渡所得調査書

一  押収してある所得税の確定申告書(昭和五八年分)一袋(平成元年押第二八八号の1)

判示第二、第三の事実につき

一  収税官吏作成の次の各調査書

1  雑収入調査書

2  貸駐車場収入(不動産所得関係)調査書

3  雑費(不動産所得関係)調査書

4  減価償却費(不動産所得関係)調査書

判示第二の事実につき

一  収税官吏作成の次の各調査書

1  消耗品費調査書

2  欠損代調査書

一  押収してある所得税の確定申告書(昭和五九年分)一袋(平成元年押第二八八号の2)及び五九年分収支内訳書(同押号の3)

判示第三の事実につき

一  検察事務官作成の捜査報告書

一  収税官吏作成の次の各調査書

1  租税公課(不動産所得関係)調査書

2  支払手数料(不動産所得関係)調査書

一  押収してある所得税の確定申告書(昭和六〇年分)一袋(平成元年押第二八八号の4)

(法令の適用)

一  罰条

判示各所為につき、いずれも所得税法二三八条一、二項

二  刑種の選択

いずれも懲役刑と罰金刑の併科

三  併合罪の処理

刑法四五条前段、懲役刑につき同法四七条本文、一〇条(犯情の最も重い判示第二の罪の刑に加重)、罰金刑につき同法四八条二項

四  労役場留置

刑法一八条

五  懲役刑の執行猶予

刑法二五条一項

(求刑 懲役一〇月及び罰金二〇〇〇万円)

よって、主文のとおり判決する。

(裁判官 中村俊夫)

別紙一の(1)

修正損益計算書

小島博こと金鍾學

自 昭和58年1月1日

至 昭和58年12月31日

<省略>

別紙一の(2)

脱税額計算書

昭和58年分 小島博こと金鍾學

<省略>

別紙二の(1)

修正損益計算書

小島博こと金鍾學

自 昭和59年1月1日

至 昭和59年12月31日

<省略>

別紙二の(2)

脱税額計算書

昭和59年分 小島博こと金鍾學

<省略>

別紙三の(1)

修正損益計算書

小島博こと金鍾學

自 昭和60年1月1日

至 昭和60年12月31日

<省略>

別紙三の(2)

脱税額計算書

昭和60年分 小島博こと金鍾學

<省略>

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