大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

東京地方裁判所 昭和61年(行ウ)50号〔2〕 判決 1986年8月28日

東京都世田谷区深沢一丁目一八番一二号

原告

鈴木輝夫

東京都千代田区霞が関一丁目一番一号

被告

右代表者法務大臣

鈴木省吾

右指定代理人

岩崎輝弥

萩野譲

主文

1  原告の請求を棄却する。

2  訴訟費用は原告の負担とする。

事実

第一当事者の求めた裁判

一  請求の趣旨

1  被告は原告に対し金二〇〇万円及びこれに対する昭和六一年五月一六日から完済に至るまで年金の割合による金員を支払え。

2  訴訟費用は被告の負担とする。

3  1につき仮執行宣言

二  請求の趣旨に対する答弁

1  主文同旨

2  担保を条件とする仮執行免脱宣言

第二当事者の主張

一  請求原因

1  原処分及び不作為

(一) 訴外鈴木堅二(以下「訴外堅二」という。)名義で昭和五七年三月一五日に同人の同五六年分、いずれも原告名義で同五八年三月一五日に原告の同五七年分及び同五九年三月一五日に原告の同五八年分の各所得税の確定申告が訴外世田谷税務署長(以下「訴外税務署長」という。)に提出されたが、そのころ、訴外堅二及び原告は盗難にあつた。

(二) 訴外税務署長は、原告の行訴法三七条に基づく申請に対し、「不作為」に及んだ。

2  不服申立てに対する不作為

原告は訴外税務署長による右(一)の行政処分及び1の不作為に関し、いずれも訴外国税庁長官(以下「訴外長官」という。)に対して、昭和六〇年四月五日付けで異義申立て及び同年一一月一六日付けで審査請求をしたが、訴外長官はこれに対し、相当の期間が経過したのになんら決定及び裁決をしない。

3  損害

原告は、訴外長官の右2の不作為によつて精神的損害をこうむつたが、これを金銭に見積もれば金二〇〇万円をもつて相当とする。

4  総括

よつて、原告は被告に対し、国家賠償法一条一項に基づく損害賠償として金二〇〇万円及びこれに対する訴状送達の翌日である昭和六一年五月一六日から完済に至るまで民法所定の年五分の割合による遅延損害金の支払いを求める。

二  請求原因に対する認否

争う。

理由

およそ行政不服審査法上、異義申立て又は審査請求は、行政庁の処分その他公権力の行使に当たる事実行為(以下「処分」という。)の存在を適法要件とするものであり(同法一条一項、二条一項、四条一項)、また不作為についての不服申立ては「法令に基づく申請」の存在を適法要件とするものである(同法二条二項、七条)。

ところで、原告が請求原因1(一)で主張する各確定申告や盗難の事実はいずれも処分には該当しない。また行訴法三七条は不作為の違法確認の訴えの原告適格を定めた規定であつて、申請について法令上の根拠を定めたものではなく、他に右根拠につき主張がない。

そうすると、原告は、利益侵害につき、それが違法である旨の主張をしていないから、原告の請求はその余の点につき判断するまでもなく失当であつて、棄却を免れない。

よつて、訴訟費用の負担につき民訴法八九条を適用し、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 鈴木康之 裁判官 太田幸夫 裁判官 加藤就一)

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!
©大判例