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東京地方裁判所 昭和61年(ワ)4381号 判決 1993年4月23日

東京都文京区小石川五丁目二番七号

レック株式会社訴訟承継人

原告

更生会社レック株式会社管財人

小笠原敏晶

梶谷玄

右訴訟代理人弁護士

渡辺昭典

川添丈

右輔佐人弁理士

尾股行雄

東京都青梅市畑中三丁目九〇五番地の三

被告

株式会社サンアイ

右代表者代表取締役

宮原末男

右訴訟代理人弁護士

中村智廣

右輔佐人弁理士

佐々木功

川村恭子

田中雅雄

成瀬勝夫

小泉雅裕

上田章三

主文

一  被告は、原告ら各自に対し、七〇〇万三四七〇円及びこれに対する昭和六一年四月二六日から支払済みまで年五分の割合による金員を支払え。

二  原告らのその余の請求を棄却する。

三  訴訟費用は、これを三分し、その二を被告の、その一を原告らの負担とする。

事実及び理由

第一  原告らの請求

一  被告は、原告ら各自に対し、一一六七万二四五〇円及びこれに対する訴状送達の翌日から支払済みまで年五分の割合による金員を支払え。

二  この判決は、仮に執行することができる。

第二  事案の概要

本件は、被告が製造、販売していた別紙目録(一)記載の洗濯くず捕集器(商品名「クズ取りネット」。以下「被告商品(一)」という。)、別紙目録(二)記載の洗濯くず捕集器(商品名「クリーネット」。以下「被告商品(二)」という。)は、レック株式会社(レック)が有していた洗濯くず捕集器に係る意匠権(意匠登録第四七八二一六号)を侵害していたとして、共同して管財人の職務を行う原告らが被告に対し、損害賠償を求めている事案である。

一  争いのない事実

1  レックは、平成五年二月六日に存続期間が満了するまで、次の意匠権を有していた。

(一) 意匠登録第四七八二一六号(以下「本件意匠権」という、その意匠を「本件意匠」という。)

出願 昭和四八年二月一七日

登録 昭和五三年二月七日

意匠に係る物品 洗濯くず捕集器

登録意匠 別添意匠公報(第四七八二一六号。以下「本件公報」という。)記載のとおり

(二) 意匠登録第四七八二一六号の類似一

出願 昭和五三年六月一九日

登録 昭和五五年五月三〇日

意匠に係る物品 洗濯くず捕集器

登録意匠 別添意匠公報(第四七八二一六号の類似一)記載のとおり

(三) 意匠登録第四七八二一六号の類似二

出願 昭和五二年七月二五日

登録 昭和五五年五月三〇日

意匠に係る物品 洗濯くず集塵具

登録意匠 別添意匠公報(第四七八二一六号の類似二)記載のとおり

(四) 意匠登録第四七八二一六号の類似三

出願 昭和五二年七月二五日

登録 昭和五五年五月三〇日

意匠に係る物品 洗濯くず集塵具

登録意匠 別添意匠公報(第四七八二一六号の類似三)記載のとおり

(五) 意匠登録第四七八二一六号の類似四

出願 昭和五二年七月二五日

登録 昭和五五年五月三〇日

意匠に係る物品 洗濯くず集塵具

登録意匠 別添意匠公報(第四七八二一六号の類似四)記載のとおり

(六) 意匠登録第四七八二一六号の類似五

出願 昭和五二年七月二五日

登録 昭和五五年五月三〇日

意匠に係る物品 洗濯くず集塵具

登録意匠 別添意匠公報(第四七八二一六号の類似五)記載のとおり

(七) 意匠登録第四七八二一六号の類似六

出願 昭和五二年七月二五日

登録 昭和五五年五月三〇日

意匠に係る物品 洗濯くず集塵具

登録意匠 別添意匠公報(第四七八二一六号の類似六)記載のとおり

(八) 意匠登録第四七八二一六号の類似七

出願 昭和五二年七月二五日

登録 昭和五五年五月三〇日

意匠に係る物品 洗濯くず集塵具

登録意匠 別添意匠公報(第四七八二一六号の類似七)記載のとおり

(九) 意匠登録第四七八二一六号の類似八

出願 昭和五三年六月九日

登録 昭和五五年一〇月二三日

意匠に係る物品 洗濯くず捕集器

登録意匠 別添意匠公報(第四七八二一六号の類似八)記載のとおり

(一〇) 意匠登録第四七八二一六号の類似九

出願 昭和五六年四月三日

登録 昭和五九年四月五日

意匠に係る物品 洗濯くず捕集器

登録意匠 別添意匠公報(第四七八二一六号の類似九)記載のとおり

(一一) 意匠登録第四七八二一六号の類似一〇

出願 昭和五六年四月三日

登録 昭和五九年四月五日

意匠に係る物品 洗濯くず捕集器

登録意匠 別添意匠公報(第四七八二一六号の類似一〇)記載のとおり

(一二) 意匠登録第四七八二一六号の類似一一

出願 昭和五七年二月二〇日

登録 昭和五九年四月五日

意匠に係る物品 洗濯くず捕集器

登録意匠 別添意匠公報(第四七八二一六号の類似一一)記載のとおり

(一三) 意匠登録第四七八二一六号の類似一二

出願 昭和五七年二月二〇日

登録 昭和五九年四月五日

意匠に係る物品 洗濯くず捕集器

登録意匠 別添意匠公報(第四七八二一六号の類似一二)記載のとおり

(一四) 意匠登録第四七八二一六号の類似一三

出願 昭和五七年三月一八日

登録 昭和五九年四月五日

意匠に係る物品 洗濯くず捕集器

登録意匠 別添意匠公報(第四七八二一六号の類似一三)記載のとおり

(一五) 意匠登録第四七八二一六号の類似一四

出願 昭和五七年三月一八日

登録 昭和五九年四月五日

意匠に係る物品 洗濯くず捕集器

登録意匠 別添意匠公報(第四七八二一六号の類似一四)記載のとおり

(一六) 意匠登録第四七八二一六号の類似一五

出願 昭和五七年四月二八日

登録 昭和五九年四月五日

意匠に係る物品 洗濯くず捕集器

登録意匠 別添意匠公報(第四七八二一六号の類似一五)記載のとおり

(一七) 意匠登録第四七八二一六号の類似一六

出願 昭和五七年五月一二日

登録 昭和五九年四月五日

意匠に係る物品 洗濯くず捕集器

登録意匠 別添意匠公報(第四七八二一六号の類似一六)記載のとおり

2  被告は、業として、昭和五八年五月から昭和六〇年一二月までの間に、いずれも本件意匠の意匠に係る物品である洗濯くず捕集器である被告商品(一)を一三〇万五三九八個、被告商品(二)を一〇二万九〇九二個製造し、これを販売した。

3  レックは、平成四年七月二七日午後五時に、東京地方裁判所から会社更生手続開始決定を受け、原告らが管財人に選任された。

二  争点

1  被告商品(一)に係る意匠(被告意匠(一))は、本件意匠に類似するか。

(一) 原告らの主張

本件意匠の要部は、吸着盤と集塵部とが繋留杆によって連結された点にあり、本件意匠は、従来の公知意匠にみられなかった独特の審美感を与えるところ、本件意匠と被告意匠(一)とを対比すると、本件意匠と被告意匠(一)は、その基本的構成が同一であり、また、被告が指摘する差異は、意匠全体として受ける印象を全く違別のものたらしめたといえるほど顕著な影響力を及ぼしていない。

(二) 被告の主張

本件意匠の要部は、ネット本体と吸着盤を連繋するものとして、ボールチェーン(玉鎖)、クリップ、カップリングを用いた点にあるところ、本件意匠と被告意匠(一)とを対比すると、本件意匠のボールチェーン(玉鎖)、クリップ、カップリングの形状と被告意匠(一)との間には、一見して顕著な相違があって、被告意匠(一)は、本件意匠と非類似である。

2  被告商品(二)に係る意匠(被告意匠(二))は、本件意匠に類似するか。

(一) 原告らの主張

本件意匠の要部は、吸着盤と集塵部とが繋留杆によって連結された点にあり、本件意匠は、従来の公知意匠にみられなかった独特の審美感を与えるところ、本件意匠と被告意匠(二)とを対比すると、本件意匠と被告意匠(二)は、その基本的構成が同一であり、また、被告が指摘する差異は、意匠全体として受ける印象を全く違別のものたらしめたといえるほど顕著な影響力を及ぼしていない。

(二) 被告の主張

本件意匠の要部は、ネット本体と吸着盤を連繋するものとして、ボールチェーン(玉鎖)、クリップ、カップリングを用いた点にあるところ、本件意匠と被告意匠(二)とを対比すると、本件意匠のボールチェーン(玉鎖)、クリップ、カップリングの形状と被告意匠(二)との間には、一見して顕著な相違があって、被告意匠(二)は、本件意匠と非類似である。

3  先使用の抗弁(その一)

(一) 被告の主張

被告代表者宮原末男は、昭和四四年四月以降、本件公報に本件意匠の創作者として表示されている矢野嘉一と共同で太陽産業株式会社を経営していたが、昭和四七年九月頃までに、矢野と共同で、本件意匠に係る洗濯くず捕集器を新製品として完成させていたものであるから、本件意匠は宮原と矢野の共同創作である。宮原は、昭和四七年一〇月半ば頃生じた太陽産業の内紛のため同年一一月の退社の後、直ちに個人企業「サンアイ」を創業し、本件意匠の登録出願日である昭和四八年二月一七日当時、本件意匠に類似する意匠に係る洗濯くず捕集器を製造販売する事業を準備していたものであるところ、共同創作者の一方が、その共同創作にかかる意匠の実施である事業をし又はその事業の準備をしているのに、共同創作者の他方が意匠登録出願をし、登録を得た場合にも先使用制度の趣旨から先使用権が認められるべきであるから、宮原は、意匠法二九条の規定により先使用権を取得した。

宮原は、昭和四八年九月一二日に被告を設立し、前記洗濯くず捕集器を製造販売する事業と共に、右先使用権を被告に承継させた。

(二) 原告らの主張

矢野は、昭和四八年二月に入ってから、単独で、本件意匠を創作したもので共同創作ではない。また、仮に本件意匠が矢野と宮原の共同創作であるとするなら、共同創作者である以上、宮原が本件意匠を知らないで被告意匠を創作した等と言えないはずであり、被告の主張は、意匠法二九条の要件に該当せず、主張自体失当である。

4  先使用の抗弁(その二)

被告の主張

被告は、本件意匠の類似意匠一五号意匠の出願日である昭和五七年四月二八日より前に、既に、この類似意匠一五号にのみ類似し、本意匠(本件意匠)には類似しない意匠を、善意に日本国内において実施する事業を行っていた者であるから、たとえ本件意匠の登録以後にこのような事業を始めたものであっても、自己の意匠の範囲内で実施権を有するものである(大審院昭和一三年七月二七日判決、民集一七巻一五一一頁参照)。

5  登録無効事由の存在による権利の濫用の抗弁

(一) 被告の主張

本件意匠は、宮原と矢野との共同創作にかかるものであるのに、意匠登録出願は、矢野の単独の創作にかかるものとしてなされているから、創作者又は意匠登録を受ける権利の承継人でない者によってなされた出願であって、本件意匠登録には無効事由がある。このような無効事由を有する本件意匠権の侵害を理由とする原告らの請求は、権利の濫用として許されない。

(二) 原告らの主張

矢野は、昭和四八年二月に入ってから、単独で、本件意匠を創作したもので、共同創作ではない。

6  類似意匠についての権利の濫用の抗弁

(一) 被告の主張

原告は、権利の存在に藉口して、被告に不利益を課そうと企て、被告代表者宮原の出願にかかる実用新案登録出願の出願公開(昭和五七年三月二四日)によって公知となっており、かつ、被告が昭和五六年九月頃から実施していた意匠(乙第一八号証)を、自己が創作したものとして類似意匠の意匠登録出願をし、意匠登録第四七八二一六号の類似一五の意匠登録を受けたものである。また、被告が実用新案登録出願し、昭和五四年春頃から製造販売していた洗濯屑捕集具につき、レックが特許権に基づき差止の仮処分、本訴を提起中に、被告商品(一)及び(二)と同一の意匠について類似意匠登録出願をし、登録を得たのが意匠登録第四七八二一六号の類似一六の意匠である。

更に、右類似一五号意匠は、宮原の出願した実用新案登録願にかかる公開公報(乙第一八号証)に開示された図面記載の意匠に類似している点からも、本意匠である本件意匠に類似していない点からも、類似一五号意匠の意匠登録には無効事由がある。したがって、類似一五号意匠の権利範囲を認定するに当たっては、正にその図面に示されたそれ自体の意匠のみが権利範囲であると考えるべきである。

したがって、原告が本件意匠権によって、本来の創作者である被告に対し、権利侵害を主張するのは権利の濫用である。

(二) 原告らの主張

被告意匠(一)及び(二)は、本件意匠に類似し、本件意匠の権利範囲に属するから、その実施は、許されないことであるし、類似意匠制度の趣旨に鑑みれば、類似意匠を創作した者を創作者とし、原告が類似意匠の意匠登録出願することは、何ら違法とされる理由がなく、また、被告主張の出願前に公知となっており、かつ、被告が実施していたという意匠と意匠登録第四七八二一六号の類似一五及び意匠登録第四七八二一六号の類似一六の類似意匠とは、同一とはいえない。

更に、類似一五号意匠が乙第一八号証に開示された意匠に類似しているならば、当然、本意匠である本件意匠に類似することになる。類似意匠の出願と、本意匠登録後、類似意匠出願前に頒布された刊行物に記載の意匠との関係については、当該刊行物記載の意匠が本意匠に類似する場合は、出願された意匠が刊行物記載の意匠に類似していても類似意匠登録を受けることができるものと解されるから、類似一五号意匠の登録に無効事由はない。

7  損害額

(一) 原告らの主張

レックは、本件意匠権と登録第一四六五五八八号実用新案権又は登録第一〇三八五六二号特許権についての通常実施権を組み合わせてダイヤ産業株式会社に許諾し、製品一個の販売につき五円の実施料を得ている。

よって、本件意匠に類似する意匠の被告商品(一)一三〇万五三九八個、被告商品(二)一〇二万九〇九二個の製造、販売に対し原告らが通常受けるべき金銭の額(一個につき五円)である一一六七万二四五〇円が、原告らの受けた損害である。

(二) 被告の主張

本件意匠権の侵害による損害算定に、本件意匠権の外特許権又は実用新案権の実施権を組み合わせて許諾した場合の許諾料を根拠とすることはできない。

第三  当裁判所の判断

一  被告意匠(一)と本件意匠との類否について

1  本件意匠の構成

(一) 本件公報(甲二)によれば、本件意匠の基本的構成態様は、逆円錐形の集塵部とほぼ半球状の吸着盤を、長い繋留部材をもって連繋してなるものであること、その具体的構成態様は、(1)集塵部は、右集塵部の円錐形の底面に当たる位置の開口部に環状フレームが設けられ、環状フレーム中央の要には平らな円板が形成されており、環状フレーム中央の要から放射状等角度に環状フレームの内側に達する細板状の三本のブリッジが環状フレームとほぼ同一面をなすように形成されており、右各ブリッジは下面に板状リブを突設し、右環状フレームに取り付けられた逆円錐形の網状の集塵袋は、その開口部の直径と深さとの比率が約一対一・七三であり、(2)吸着盤は、ほぼ半球状のお椀形であり、その頂部に丈の低い円柱形突起が設けられており、(3)繋留部材は、右吸着盤の円柱形突起に貫入した円形リングにカップリングを介して玉鎖を連結し、右玉鎖の他端は、右環状フレームの中央の要に連結し、更に、右環状フレームの中央の要から集塵袋の内部に向けてリングが吊り下げられているものであることが認められる。

(二) 本件意匠の登録出願当時、洗濯くず捕集器において、集塵部の逆円錐形の形状、開口部の環状フレーム中央から放射状等角度に三本の細板状のブリッジが設けられている形状、ほぼ半球状の吸着盤が設けられている形状は、既にありふれた形状であったのに対し、逆円錐形の集塵部とほぼ半球状の吸着盤が長い繋留部材をもって連繋されている構成は、本件意匠の登録出願当時、従来の意匠にみられない斬新なものであり、意匠全体として独特の美観を有するものと認められる(甲五の1、2、乙二ないし九、弁論の全趣旨)。

右事実と前記(一)認定の事実によれば、本件意匠の要部は、逆円錐形の集塵部とほぼ半球状の吸着盤が長い繋留部材をもって連繋されている構成にあるものと認められる。

(三) 被告は、本件意匠の要部は、ネット本体と吸着盤の連繋部材のボールチェーン(玉鎖)、クリップ、カップリングの連繋からなる形状にある旨主張する。

しかし、本件意匠の個々の部分の構成態様である集塵部の逆円錐形の形状、開口部の環状フレームの中央から三本のブリッジが環状フレームとほぼ同一の平面をなすように設けられている形状、吸着盤が設けられている形状が公知でありふれたものであったとしても、本件意匠の前記のような態様の集塵部と吸着盤を前記のような態様の長い連繋部材をもって連繋してなる構成は、全体として意匠的なまとまりを構成しているものであり、右の全体としての構成が看者の注意を引くものということができ、前記認定のとおり、本件意匠の要部は、逆円錐形の集塵袋とほぼ半球状の吸着盤が繋留部材をもって連繋されている構成にあるものと認められるから、被告の右主張は、採用することができない。

2  被告意匠(一)の構成

別紙目録(一)によれば、被告意匠(一)の基本的構成態様は、逆円錐形の集塵部とほぼ半球状の吸着盤を、長い繋留杆(繋留部材)をもって連繋してなるものであり(被告意匠(一)及び(二)の構成態様は別紙図面(一)及び(二)に記載されているものであることに争いはなく、その基本的構成態様、具体的構成態様をどうように認識し、言語で表現するかについて裁判所は自白に拘束されるものではない。)、その具体的構成態様は、(一)逆円錐形の集塵部において、右集塵部の逆円錐形の底面に当たる位置の開口部に環状フレームが設けられ、環状フレーム中央の要には厚目の円板(別紙目録(一)では「断面凸字状の円板」とあるが別紙図面(一)によれば「厚目の円板」と認めるのが相当である。)が形成されており、その要から放射状等角度に環状フレームに達する細板状の三本のブリッジが環状フレームの面より中心部がやや高く山形に突出するように形成されており、右環状フレームに取り付けられた逆円錐形の網状の集塵袋は、その開口部の直径と深さとの比率が約一対一・七二であり、(二)吸着盤は、ほぼ半球状のお椀形であり、その頂部に丈の低い円柱形突起が設けられており、(三)繋留部材は、右吸着盤の円柱形突起(別紙目録(一)では「円形突起」とあるが別紙図面(一)によれば「円柱形突起」と認めるのが相当である。)に貫入した円形リングにロッドの両端に小判形環を付けた鎖片を連結し、この鎖片の他端は、右環状フレームの中央の要に嵌着されたジョイントピンに連結されている(別紙目録(一)では「鎖片下方をブリッジ中央の要に連結した」とあるが別紙図面(一)によれば「鎖片の他端は、右環状フレームの中央の要に嵌着されたジョイントピンに連結されている」と認めるのが相当である。)ものであることが認められる。

3  本件意匠と被告意匠(一)との対比

(一) 右1及び2認定の事実によれば、本件意匠と被告意匠(一)とは、逆円錐形の集塵部とほぼ半球状の吸着盤を、長い繋留部材をもって連繋してなるという基本的構成態様において同じであり、具体的構成態様においては、逆円錐形の集塵部について、集塵部の底面に当たる位置の開口部に環状フレームが設けられ、環状フレームの中央の要には円板が形成されており、その要から放射状等角度に環状フレームに達する細板状の三本のブリッジが形成されており、右環状フレームに逆円錐形の網状の集塵袋が取り付けられている点、右集塵袋の開口部の直径と深さとの比率が本件意匠においては約一対一・七三であるのに対し、被告意匠(一)においては約一・七二とほとんど同一である点、吸着盤について、ほぼ半球状のお椀形であり、その頂部に丈の低い円柱形突起が設けられている点において共通している。

(二) 他方、本件意匠と被告意匠(一)の間には、その具体的構成態様において、逆円錐形の集塵部について、(1)本件意匠は、ブリッジが環状フレームとほぼ同一面をなすように形成されているのに対し、被告意匠(一)は、ブリッジが環状フレームの面より中心部がやや高く山形に突出するように形成されている点、(2)本件意匠は、環状フレーム中央の要が平らな円板で形成されているのに対し、被告意匠(一)は、環状フレーム中央の要が厚目の円板で形成されている点、(3)本件意匠は、ブリッジの下面に板状リブを突設しているのに対し、被告意匠(一)は、そのようなリブは設けられていない点、繋留部材について、(4)本件意匠は、吸着盤の円柱形突起に貫入した円形リングにカップリングを介して玉鎖を連結し、右玉鎖の他端は、右環状フレームの中央の要に連結し、更に、右環状フレームの中央の要から集塵袋の内部に向けてリングが吊り下げられている構成であるのに対し、被告意匠(一)は、吸着盤の円柱形突起に貫入した円形リングにロッドの両端に小判形環を付けた鎖片を連結し、この鎖片の他端は、右環状フレームの中央の要に嵌着されたジョイントピンに連結されている構成である点で相異している。

(三) 右相異点について検討するに、右(二)(1)のブリッジが環状フレームの面とほぼ同一面をなしているか中心部がやや高く山形に突出しているかの点、(二)(2)の環状フレーム中央の要の形状の差、(二)(3)のブリッジ下面の板状リブの有無は、集塵部の開口部の環状フレームの中央の要に円板が形成されており、その要から放射状等角度に環状フレームに達する細板状の三本のブリッジが形成されており、右環状フレームに逆円錐形の網状の集塵袋が取り付けられているという共通の形状の中の微細な相異であって、被告意匠(一)を本件意匠と別異のものと印象づけるほど顕著なものであるとは認めがたい。また、右(二)(4)の繋留部材の相異点は、前記のような形状の集塵部と吸着盤とを長い繋留部材で連繋してなるという洗濯くず捕集器として斬新な基本的構成態様の共通性の中での比較的小さい相異点と認められ、その印象は顕著なものではなく、特に被告意匠(一)においては本件意匠のように環状フレームの中央の要から集塵袋の内部に向けてリングが吊り下げられていない点は、比較的目につきにくい部分の相異であり、看者の注意を引くものとは認められない。

(四) そうすると、本件意匠と被告意匠(一)とは、右(一)認定のとおり本件意匠の要部(前記1認定)と認められる逆円錐形の集塵部とほぼ半球状の吸着盤が長い繋留部材をもって連繋されているという基本的構成態様においても、また、右(一)認定の具体的構成態様においても共通であるところ、具体的構成態様における右(二)認定のとおりの相異点については、右(三)のとおり、いずれも看者の注意を引くものではないか、顕著なものとは認められないのであって、それらの相異点を合わせ考えても、前記の共通な構成のもたらす印象の類似性を凌駕して、看者に対し、本件意匠と被告意匠(一)を別異のものとして印象づけるものとは認められないので、被告意匠(一)は、本件意匠に類似しているものというべきである。

二  被告意匠(二)と本件意匠との類否について

1  被告意匠(二)の構成

別紙目録(二)によれば、被告意匠(二)の基本的構成態様は、逆円錐形の集塵部とほぼ半球状の吸着盤を、長い繋留杆(繋留部材)をもって連繋してなるものであり、その具体的構成態様は、(一)逆円錐形の集塵部において、右集塵部の逆円錐形の底面に当たる位置の開口部に環状フレームが設けられ、環状フレーム中央の要には断面凸字状の円板が形成されており、その要から放射状等角度に環状フレームに達する細板状の四本のブリッジが環状フレームの面より中心部がやや高く山形に突出するように形成されでおり、右ブリッジの上面には細長い水滴形凸面が形成されており、右環状フレームに取り付けられた逆円錐形の網状の集塵袋は、その開口部の直径と深さとの比率が約一対一・七二であり、(二)吸着盤は、ほぼ半球状のお椀形であり、その頂部に丈の低い円柱形突起が設けられており、(三)繋留部材は、右吸着盤の円柱形突起(別紙目録(二)では「円形突起」とあるが別紙図面(二)によれば「円柱形突起」と認めるのが相当である。)に貫入した円形リングにロッドの両端に小判形環を付けた鎖片を連結し、この鎖片の他端は、右環状フレームの中央の要に嵌着されたジョイントピン連結されている(別紙目録(二)では「鎖片下方をブリッジ中央の要に連結した」とあるが別紙図面(二)によれば「鎖片の他端は、右環状フレームの中央の要に嵌着されたジョイントピンに連結されている」と認めるのが相当である。)ものであることが認められる。

2  本件意匠と被告意匠(二)との対比

(一) 前記一1及び右二1認定の事実によれば、本件意匠と被告意匠(二)とは、逆円錐形の集塵部とほぼ半球状の吸着盤を、長い繋留部材をもって連繋してなるという基本的構成態様において同じであり、具体的構成態様においては、逆円錐形の集塵部について、集塵部の底面に当たる位置の開口部に環状フレームが設けられ、環状フレームの中央の要には円板が形成されており、その要から放射状等角度に環状フレームに達する細板状の複数のブリッジが形成されており、右環状フレームに逆円錐形の網状の集塵袋が取り付けられている点、右集塵袋の開口部の直径と深さとの比率が、本件意匠においては約一対一・七三であるのに対し、被告意匠(二)においては約一・七二とほとんど同一である点、吸着盤について、ほぼ半球状のお椀形であり、その頂部に丈の低い円柱形突起が設けられている点において共通している。

(二) 他方、本件意匠と被告意匠(二)の間には、その具体的構成態様において、逆円錐形の集塵部について、(1)本件意匠は、三本のブリッジが環状フレームとほぼ同一面をなすように形成されているのに対し、被告意匠(二)は、四本のブリッジが環状フレームの面より中心部がやや高く山形に突出するように形成されている点、(2)本件意匠は、環状フレーム中央の要が平らな円板で形成されているのに対し、被告意匠(二)は、環状フレーム中央の要が断面凸字状の円板で形成されている点、(3)本件意匠は、ブリッジの下面に板状リブを突設しているのに対し、被告意匠(二)は、ブリッジの上面に細長い水滴形凸面が形成されている点、繋留部材について、(4)本件意匠は、吸着盤の円柱形突起に貫入した円形リングにカップリングを介して玉鎖を連結し、右玉鎖の他端は、右環状フレームの中央の要に連結し、更に、右環状フレームの中央の要から集塵袋の内部に向けてリングが吊り下げられている構成であるのに対し、被告意匠(二)は、吸着盤の円柱形突起に貫入した円形リングにロッドの両端に小判形環を付けた鎖片を連結し、この鎖片の他端は、右環状フレームの中央の要に嵌着されたジョイントピンに連結されている構成である点で相異している。

(三) 右相異点について検討するに、右(二)(1)のブリッジが三本か四本か、ブリッジが環状フレームの面とほぼ同一面をなしているか中心部がやや高く山形に突出しているかの点、(二)(2)の環状フレーム中央の要の形状の差、(二)(3)のブリッジ下面の板状リブの有無、ブリッジ上面の水滴形凸面の有無は、集塵部の開口部の環状フレームの中央の要には円板が形成されており、その要から放射状等角度に環状フレームに達する細板状の複数のブリッジが形成されており、右環状フレームに逆円錐形の網状の集塵袋が取り付けられているという共通の形状の中での比較的細かい点についての微細な相異であって、被告意匠(二)を本件意匠と別異のものと印象づけるほど顕著なものであるとは認めがたい。また、右(二)(4)の繋留部材の相異点は、前記のような形状の集塵部と吸着盤を長い繋留部材で連繋してなるという洗濯くず捕集器として斬新な基本的構成態様の共通性の中での比較的小さい相異点と認められ、その印象は顕著なものではなく、特に被告意匠(二)においては本件意匠のように環状フレームの中央の要から集塵袋の内部に向けてリングが吊り下げられていない点は比較的目につきにくい部分の相異であり、看者の注意を引くものとは認められない。

(四) そうすると、本件意匠と被告意匠(二)とは、右(一)認定のとおり本件意匠の要部(前記一1認定)と認められる逆円錐形の集塵部とほぼ半球状の吸着盤が長い繋留部材をもって連繋されているという基本的構成態様においても、また、右(一)認定の具体的構成態様においても共通であるところ、具体的構成態様における右(二)認定のとおりの相異点については、右(三)のとおり、いずれも看者の注意を引くものではないか、顕著なものとは認められないのであって、それらの相異点を合わせ考えても、前記の共通な構成のもたらす印象の類似性を凌駕して、看者に対し、本件意匠と被告意匠(二)を別異のものとして印象づけるものとは認められないので、被告意匠(二)は、本件意匠に類似しているものというべきである。

三  先使用の抗弁(その一)について

1  乙一三(宮原末男作成の報告書)、乙一四(無効審判請求書)、乙二一の1(宮原末男作成の報告書)、乙五一(宮原末男作成の報告書)及び被告代表者尋問の結果中には、(一)宮原は、昭和四四年四月から昭和四七年一一月まで、矢野と共に、太陽産業を経営していたものであるが、宮原は、昭和四六年四月末頃、鯉のぼりが風の流れに従って口を開けて泳いでいるのを見て、本件意匠の着想を得た、(二)宮原は、昭和四七年五月頃から、矢野と共に、新しい洗濯くず捕集器の試作品を作って新製品の開発をしていたが、当初、吸着盤と集塵袋とを紐で連繋する構造であったところ、同年六月初め頃、高橋五郎から、紐より玉鎖の方がよいと助言を受け、さっそく、吸着盤と集塵袋とをリング、玉鎖、カップリングで連繋する構造の洗濯くず捕集器を試作し、更に研究を続けた、(三)宮原と矢野は、同年六月頃、太陽産業の倉庫の横の洗濯機を用いて実験を繰り返し、同年七月頃には、新製品である本件意匠に係る洗濯くず捕集器を完成させ、その後、矢野に商品化を任せた、(四)宮原は、同年一一月、太陽産業を退社した後、同年一二月から、単独で、右新製品販売の準備を始め、昭和四八年五月頃から、右新製品の販売を開始した、(五)宮原は、昭和四八年九月一二日、被告を設立し、その代表取締役に就任し、被告が、宮原の右新製品販売にかかる業務を承継した、以上の趣旨の部分があり、乙二一の2(高橋五郎作成の報告書)、証人高橋五郎の証言中には、右(二)に沿う部分が、乙二二の1(野沢常作作成の報告書)、乙二二の2(阿部三雄作成の報告書)、乙二二の3(川鍋晴旦作成の報告書)、乙二二の4(芳賀智恵子作成の報告書)、乙二二の5(杉並紙業株式会社代表取締役馬瀬口英久作成の報告書)、乙四九の1(同人作成の内容証明郵便)、証人馬瀬口英久の証言中には右(三)の趣旨に沿う部分が、乙五八(大黒工業株式会社代表取締役会長炭井三郎作成の報告書)中には右(四)の趣旨に沿う部分がそれぞれある。

2  しかしながら、証拠によれば、次の事実を認めることができる。

(一) 宮原と矢野は、昭和四四年初め頃から、洗濯くず捕集器の製造販売の共同事業を行うことになり、共同で新製品開発をし、その成果として昭和四四年三月二四日、洗濯くず集塵袋支持具との名称の考案について共同で実用新案登録出願をすると共に、クリーネットの商品名で販売することにした。両名は、同年四月八日、太陽産業を設立すると共に、同日付で、弁護士に依頼して作成した「太陽産業株式会社共同経営に関する契約書」と題する書面により、同社への出資や、同社の経営について契約をしたが、その中には前記クリーネットにかかる考案について実用新案登録を経たときには、その権利は、矢野と宮原に各二分の一あてで帰属するものとする、右実用新案権は同社に無償で使用させるが、矢野、宮原の一方又は双方が退社した場合には、一定の使用料を受けるなどと実用新案登録出願中の権利について両者間の権利関係を予め明確にしておくための合意が含まれていた(甲一七、乙一一、乙一二、証人矢野、被告代表者)。

(二) 宮原は、昭和四七年一一月、太陽産業を退社したが、その際、同月五日付で、矢野と宮原との間の協定書により、矢野は、宮原が所有する太陽産業の株式二〇〇〇株と引換えに一〇〇万円を支払う、太陽産業は、宮原の退職金に代えて、宮原に対し一二〇万円相当の洗濯ネット及び宮原の使用していた同社の自動車を引き渡す、太陽産業は、これとは別に九〇万円相当の洗濯ネットを無償で引き渡す旨の権利関係の清算に関する合意をしたが、その際に、宮原のいう本件意匠に係る新製品の権利関係については、話し合われたこともなく、右協定書では右新製品の権利関係について全く触れられていなった(乙二四、証人矢野、被告代表者)。

(三) 宮原は、太陽産業に在職中、同人のいう本件意匠に係る新製品についての実用新案登録出願あるいは意匠登録出願について矢野と話し合ったこともなく、宮原の在職中にはそのような出願はされなかった(被告代表者)。

(四) 矢野は、昭和四八年二月一七日本件意匠の登録出願をし、太陽産業は、昭和四八年三月頃から昭和四九年七月頃に倒産するまで本件意匠の実施品を販売しており、矢野が昭和五〇年九月六日、本件意匠についての意匠登録を受ける権利をレックに譲渡してからは、レックが本件意匠の実施品を販売していたものであるところ、宮原は、太陽産業を退社後、当初は個人事業として、昭和四八年九月に被告を設立してからは同社の事業として、他社の製造した洗濯くず捕集具や前記(二)の合意で引渡しを受けた洗濯ネットを販売するなど、太陽産業、レックと同種の営業をしていたが、矢野や太陽産業に本件意匠の登録出願の有無を問い合わせたり、共同出願の申込みをしたこともなかった(甲二、乙一の1、2、乙二五、証人矢野、証人前島、弁論の全趣旨)。

(五) 太陽産業は、昭和四七年一一月中旬頃、笹沼喜美賀から、従来、太陽産業がクリーネットの商品名で販売していた洗濯くず捕集器が同人の洗濯機の糸屑除去装置にかかる発明の仮保護の権利を侵害しているとして製造販売禁止の仮処分申請を受け、申請が認容される可能性もあったことから、クリーネットの代替となる新しい洗濯くず捕集器を開発する必要に迫られ、矢野が自宅で実験を重ねて、本件意匠を創作した(甲八、甲一八、甲二三、乙七、証人矢野)。

3  右2(一)ないし(四)の事実によれば、矢野と宮原の共同事業である太陽産業は、クリーネットという洗濯くず捕集具の共同開発に端を発したもので、矢野、宮原両名は、開発した考案について実用新案登録出願をすると共に、共同経営に関する契約書で、登録出願中の考案が登録された場合の両名の権利関係についてかなり詳細な合意をするなど、知的財産権にも関心を持ち、知的財産権関係を含めて、共同経営をめぐる両名の権利関係を書面上明確にしており、宮原の太陽産業退社に当たっても協定書により、権利関係の清算をしたのに、その中では本件意匠の登録を受ける権利については何ら触れられておらず、宮原の太陽産業退社の前後を通じて両名の間に本件意匠に係る新製品について意匠登録出願や実用新案登録出願について話し合われたことはなかったというのであり、もし宮原が太陽産業を退社するまでに両名が共同で本件意匠を創作していたとしたら、その意匠の登録を受ける権利について前記協定中で触れられていないこと、両者間で本件意匠の登録出願等について話し合われたことのないことは、不自然である。これに対し、右2(五)の事実によれば、太陽産業は、昭和四七年一一月中旬頃、他からクリーネットの製造販売禁止の仮処分申請を受け、代替商品の開発の必要性に迫られて矢野が自宅で実験をして本件意匠を創作したというのであり、前記のように宮原の退社に当たっての協定書に本件意匠の登録を受ける権利について触れられていないこと、宮原と矢野の間で、本件意匠の登録出願等について話し合われたことがないことは、極めて自然である。

これらの事実に、昭和四八年二月までに宮原が本件意匠を実施していたこと又はその準備をしていたことを示す客観的証拠のないことを併せ考えると、前記1の各証拠中、宮原が矢野と共同で、昭和四七年七月頃までに、本件意匠の創作を完成した旨の部分及び宮原が昭和四八年一二月頃から本件意匠に係る新製品の販売の準備をしていた旨の部分並びにそれらに沿う部分は信用できず、他に被告主張の先使用権成立を認めるに足りる証拠はない。

四  先使用の抗弁(その二)について

本件請求は、本件意匠権の侵害を理由とする請求であり、被告主張の類似一五及び一六の意匠の侵害を理由とする請求ではないから、被告の主張はそれ自体失当である。

五  登録無効事由の存在による権利の濫用の抗弁について

前記三に判断したとおり、本件意匠が宮原と矢野との共同創作にかかるものと認めることはできないから、被告の右主張は、採用することができない。

六  類似意匠についての権利濫用の抗弁について

一、二に判断したとおり、被告意匠(一)及び(二)は、本件意匠の権利範囲に属するものであって、仮に被告主張の右各類似意匠に登録無効の事由があったとしても、本件意匠権の消長及び権利範囲に何らの変動が生ずるものでもないから、被告の右主張は失当である。

七  損害額について

被告は、業として、昭和五八年五月から昭和六〇年一二月までの間に、被告商品(一)を一三〇万五三九八個、被告商品(二)を一〇二万九〇九二個製造し、これを販売した。その合計は、二三三万四四九〇個である。

レックは、ダイヤ産業に対し、本件意匠権及び洗濯屑捕捉器に関する実用新案権(登録実用新案第一四六五五八八号)について合わせて通常実施権を許諾した対価として、昭和五九年八月二一日以降、同社の販売する右権利の実施品一個当たり五円、同六一年五月二一日以降、同社の販売する右権利の実施品一個当たり六円を得ていたこと(甲六の1、2)、レックは、シルバー樹脂工業株式会社に対し、本件意匠権及び水流対向式洗濯くず捕集器に関する特許権(特許第一〇三八五六二号)について合わせて昭和六二年三月二一日通常実施権を許諾した対価として、また、キクロン株式会社に対し右と同じ権利について合わせて同年一〇月二一日通常実施権を許諾した対価として、各社の販売する右権利の実施品一個当たりそれぞれ六円の支払いを受ける旨合意していたこと(甲七、甲八、甲一〇の1、2)によれば、本件意匠の実施に対し通常受けるべき金銭に相当する額は、被告商品(一)及び(二)各一個当たり三円と認めるのが相当である。そうすると、共同して管財人の職務を行う原告らが被告に対し損害賠償を請求することができる額は、右損害金七〇〇万三四七〇円(二三三万四四九〇個×三円)及びこれに対する不法行為の日より後で、本件訴状が被告に送達された日の翌日である昭和六一年四月二六日から支払済みまで民法所定の年五分の割合の遅延損害金である。

八  仮執行宣言は相当ではない。

(裁判長裁判官 西田美昭 裁判官 宍戸充 裁判官 櫻林正己)

目録(一)

一 洗濯くずを捕集するための洗濯くず捕集器。

その意匠は、別紙図面(一)のとおりである。

二1 別紙図面(一)に記載された物件の意匠の基本的構成態様は、下部を集塵部、上部を繋留部とし、集塵部には開口部に環状フレームを嵌合した逆円錐形ネットの集塵袋を表わし、環状フレーム中央から放射状等角度で派生する数本のブリッジを表わし、このブリッジ中央の要のところから上方に繋留杆を突設して、先端にほぼ半球状の吸着盤を付けている。

2 各部の具体的構成態様

(一) 集塵部においては、開口部の直径と深さの比率を約一対一・七二とした逆円錐形の集塵袋である。

(二) 開口部の環状フレームは、三本のブリッジが山形に突出しており、ブリッジが集中する中央の要には断面凸字状の円板が表わされている。

(三) 繋留部については、上端の吸着盤は、ほぼ半球状のお椀形とし、その頭部に丈の低い円柱形突起を設けた態様である。

(四) 繋留杆については、吸着盤の円形突起に貫入した円形リングにロッドの両端に小判形環を付けた鎖片を連結し、この鎖片下方をブリッジ中央の要に連結した態様である。

図面(一)

<省略>

目録(二)

一 洗濯くずを捕集するための洗濯くず捕集器。

その意匠は、別紙図面(二)のとおりである。

二1 別紙図面(二)に記載された物件の意匠の基本的構成態様は、下部を集塵部、上部を繋留部とし、集塵部には開口部に環状フレームを嵌合した逆円錐形ネットの集塵袋を表わし、環状フレーム中央から放射状等角度で派生する数本のブリッジを表わし、このブリッジ中央の要のところから上方に繋留杆を突設して、先端にほぼ半球状の吸着盤を付けている。

2 各部の具体的構成態様

(一) 集塵部においては、開口部の直径と深さの比率を約一対一・七一とした逆円錐形の集塵袋である。

(二) 開口部の環状フレームは、四本のブリッジが山形に突出しており、各ブリッジ上面に細長い水滴形凸面が表わされ、また、ブリッジが集中する中央の要には断面凸字状の円板が表わされている。

(三) 繋留部については、上端の吸着盤は、ほぼ半球状のお椀形とし、その頭部に丈の低い円柱形突起を設けた態様である。

(四) 繋留杆については、吸着盤の円形突起に貫入した円形リングにロッドの両端に小判形環を付けた鎖片を連結し、この鎖片下方をブリッジ中央の要に連結した態様である。

図面(二)

<省略>

日本国特許庁

昭和53.6.20発行 意匠公報 10

478216 出願 昭 48.2.17 意願 昭 48-7127 登録 昭 53.2.7

創作者 矢野嘉一 東京都練馬区関町4の564

意匠権者 レツク株式会社 東京都文京区小石川5の2の7

代理人弁理士 積田輝正

意匠に係る物品 洗濯くず捕集器

説明 左側面図は右側面図と対称にあらわれる

<省略>

日本国特許庁

昭和55.8.14発行 意匠公報 (S) 10-55類似

478216の類似1 出願 昭 53.6.19 意願 昭 53-25184 登録 昭 55.5.30

創作者 吉沢伸 横浜市戸塚区上郷町1230番地の401

意匠権者 レツク株式会社 東京都文京区小石川5丁目2番7号

代理人弁理士 安達信安

意匠に係る物品 洗濯くず捕集器

説明 背面図は正面図と同一にあらわれる

<省略>

日本国特許庁

昭和55.8.14発行 意匠公報 (S) 10-55類似

478216の類似2 出願 昭 52.7.25(手続補正書提出の日) 意願 昭 53-47809

登録 昭 55.5.30

創作者 吉沢伸 横浜市金沢区六浦町4138番地ローズマンシヨン・アネツクス1003号

意匠権者 レツク株式会社 東京都文京区小石川5丁目2番7号

代理人弁理士 安達信安

意匠に係る物品 洗濯くず集塵具

<省略>

日本国特許庁

昭和55.8.14発行 意匠公報 (S) 10-55類似

478216の類似3 出願 昭 52.7.25(手続補正書提出の日) 意願 昭 53-47810

登録 昭 55.5.30

創作者 吉沢伸 横浜市金沢区六浦町4138番地ローズマンシヨン・アネツクス1003号

意匠権者 レツク株式会社 東京都文京区小石川5丁目2番7号

代理人弁理士 安達信安

意匠に係る物品 洗濯くず集塵具

<省略>

日本国特許庁

昭和55.8.14発行 意匠公報 (S) 10-55類似

478216の類似4 出願 昭 52.7.25(手続補正書提出の日) 意願 昭 53-47811

登録 昭 55.5.30

創作者 吉沢伸 横浜市金沢区六浦町4138番地ローズマンシヨン・アネツクス1003号

意匠権者 レツク株式会社 東京都文京区小石川5丁目2番7号

代理人弁理士 安達信安

意匠に係る物品 洗濯くず集塵具

<省略>

日本国特許庁

昭和55.8.14発行 意匠公報 (S) 10-55類似

478216の類似5 出願 昭 52.7.25(手続補正書提出の日) 意願 昭 53-47812

登録 昭 55.5.30

創作者 吉沢伸 横浜市金沢区六浦町4138番地ローズマンシヨン・アネツクス1003号

意匠権者 レツク株式会社 東京都文京区小石川5丁目2番7号

代理人弁理士 安達信安

意匠に係る物品 洗濯くず集塵具

<省略>

日本国特許庁

昭和55.8.14発行 意匠公報 (S) 10-55類似

478216の類似6 出願 昭 52.7.25(手続補正書提出の日) 意願 昭 53-47813

登録 昭 55.5.30

創作者 吉沢伸 横浜市金沢区六浦町4138番地ローズマンシヨン・アネツクス1003号

意匠権者 レツク株式会社 東京都文京区小石川5丁目2番7号

代理人弁理士 安達信安

意匠に係る物品 洗濯くず集塵具

<省略>

日本国特許庁

昭和55.8.14発行 意匠公報 (S) 10-55類似

478216の類似7 出願 昭 52.7.25(手続補正書提出の日) 意願 昭 53-47814

登録 昭 55.5.30

創作者 吉沢伸 横浜市金沢区六浦町4138番地ローズマンシヨン・アネツクス1003号

意匠権者 レツク株式会社 東京都文京区小石川5丁目2番7号

代理人弁理士 安達信安

意匠に係る物品 洗濯くず集塵具

<省略>

日本国特許庁

昭和55.12.18発行 意匠公報 (S) 10-55類似

478216の類似8 出願 昭 53.6.9 意願 昭 53-23859 登録 昭 55.10.23

創作者 吉沢伸 横浜市戸塚区上郷町1230番地の401

意匠権者 レツク株式会社 東京都文京区小石川5丁目2番7号

代理人弁理士 安達信安

意匠に係る物品 洗濯くず捕集器

説明 左側面図は右側面図と対称にあらわれる

<省略>

日本国特許庁

昭和59年(1984)7月12日発行 意匠公報 (S) C3-529類似

478216の類似9 意願 昭56-14113 出願 昭56(1981)4月3日

登録 昭 59(1984)4月5日

創作者 吉沢伸 横浜市戸塚区上郷町1230-401

意匠権者 レツク株式会社 東京都文京区小石川5丁目2番7号

意匠に係る物品 洗濯くず捕集器

説明 左側面図は右側面図と対称にあらわれる。

<省略>

日本国特許庁

昭和59年(1984)7月12日発行 意匠公報 (S) C3-529類似

478216の類似10 意願 昭 56-14114 出願 昭56(1981)4月3日

登録 昭59(1984)4月5日

創作者 吉沢伸 横浜市戸塚区上郷町1230-401

意匠権者 レツク株式会社 東京都文京区小石川5丁目2番7号

意匠に係る物品 洗濯くず捕集器

説明 左側面図は右側面図と対称にあらわれる。

<省略>

日本国特許庁

昭和59年(1984)7月12日発行 意匠公報 (S) C3-529類似

478216の類似11 意願 昭57-7021 出願 昭57(1982)2月20日

登録 昭59(1984)4月5日

創作者 吉沢伸 横浜布戸塚区上郷町1230-401

意匠権者 レツク株式会社 東京都文京区小石川5丁目2番7号

意匠に係る物品 洗濯くず捕集器

説明 左側面図は右側面図と対称にあらわれる。

<省略>

日本国特許庁

昭和59年(1984)7月12日発行 意匠公報 (S) C3-529類似

478216の類似12 意願 昭57-7022 出願 昭57(1982)2月20日

登録 昭59(1984)4月5日

創作者 吉沢伸 横浜市戸塚区上郷町1230-401

意匠権者 レツク株式会社 東京都文京区小石川5丁目2番7号

意匠に係る物品 洗濯くず捕集器

説明 左側面図は右側面図と対称にあらわれる。

<省略>

日本国特許庁

昭和59年(1984)7月12日発行 意匠公報 (S) C3-529類似

478216の類似13 意願 昭57-11188 出願 昭57(1982)3月18日

登録 昭59(1984)4月5日

創作者 吉沢伸 横浜市戸塚区上郷町1230-401

意匠権者 レツク株式会社 東京都文京区小石川5丁目2番7号

意匠に係る物品 洗濯くず捕集器

説明 左側面図は右側面図と対称にあらわれる。

<省略>

日本国特許庁

昭和59年(1984)7月12日発行 意匠公報 (S) C3-529類似

478216の類似14 意願 昭57-11189 出願 昭57(1982)3月18日

登録 昭59(1984)4月5日

創作者 吉沢伸 横浜市戸塚区上郷町1230-401

意匠権者 レツク株式会社 東京都文京区小石川5丁目2番7号

意匠に係る物品 洗濯くず捕集器

説明 左側面図は右側面図と対称にあらわれる。

<省略>

日本国特許庁

昭和59年(1984)7月12日発行 意匠公報 (S) C3-529類似

478216の類似15 意願 昭57-18720 出願 昭57(1982)4月28日

登録 昭59(1984)4月5日

創作者 吉沢伸 横浜市戸塚区上郷町1230-401

意匠権者 レツク株式会社 東京都文京区小石川5丁目2番7号

意匠に係る物品 洗濯くず捕集器

説明 左側面図は右側面図と対称にあらわれる。

<省略>

日本国特許庁

昭和59年(1984)7月12日発行 意匠公報 (S) C3-529類似

478216の類似16 意願 昭57-20432 出願 昭57(1982)5月12日

登録 昭59(1984)4月5日

創作者 吉沢伸 横浜市戸塚区上郷町1230-401

意匠権者 レツク株式会社 東京都文京区小石川5丁目2番7号

意匠に係る物品 洗濯くず捕集器

<省略>

意匠公報

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意匠公報

<省略>

意匠公報

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意匠公報

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意匠公報

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意匠公報

<省略>

意匠公報

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意匠公報

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意匠公報

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意匠公報

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意匠公報

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意匠公報

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意匠公報

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意匠公報

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意匠公報

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意匠公報

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意匠公報

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