大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

東京地方裁判所 昭和50年(特わ)890号 判決 1975年11月28日

本店所在地

東京都千代田区神田神保町一丁目三番地

株式会社全国求人求職情報センター

(右代表者代表取締役添田工)

本店所在地

東京都中央区銀座八丁目一六番一〇号

株式会社全国就職調査情報センター

(右代表者代表取締役添田工)

本店所在地

東京都台東区上野六丁目九番地三号

株式会社全国就職調査協会

(右代表者代表取締役伊藤清次)

本籍

茨城県水戸市石川一丁目三、九六一番地の四

住居

東京都新宿区中井二丁目二三番八号

会社役員

添田工

昭和七年六月一七日生

右四名の者に対する各法人税法違反被告事件につき、当裁判所は検察官清水勇男、弁護人杉浦正健出席のうえ審理し、次のとおり判決する。

主文

被告法人株式会社全国求人求職情報センターを罰金二、〇〇〇万円に、同株式会社全国就職調査情報センターを罰金二、三〇〇万円に、同株式会社全国就職調査協会を罰金五〇万円に、被告人添田工を懲役一年に各処す。

被告人添田工に対し、この裁判の確定した日から三年間右刑の執行を猶予する。

理由

(罪となるべき事実)

被告法人株式会社全国求人求職情報センターは東京都千代田区神田神保町一丁目三番地に本店を置き求人求職情報の調査報告等を営業目的とする資本金一〇〇〇万円の株式会社、同株式会社全国就職調査情報センターは、同都中央区銀座八丁目一六番一〇号に本店を置き(昭和四七年四月一日同都千代田区神田須田町一丁目一六番地から同区神田小川町二丁目一二番地一九に本店移転、さらに同四八年九月一日現在地に本店移転)求人求職の調査報告等を営業目的とする資本金一、〇〇〇万円の株式会社、同株式会社全国就職調査協会は、同都台東区上野六丁目九番三号に本店を置き(同四九年四月一五日同都千代田区神田小川町二丁目一二番地から本店移転)求人企業の調査及びその実態報告等を営業目的とする資本金二〇〇万円の株式会社であり、被告人添田工は、右各被告法人の代表取締役又は取締役(株式会社全国就職調査協会の代表取締役は昭和四九年四月一五日添田工から伊藤清次に変り添田工は取締役となる)として各被告法人の業務全般を統括していたものであるが、被告人添田工は、右各被告法人の業務に関し法人税を免れようと企て、右各会社の売上の一部を除外するとともに架空の経費を計上して簿外預金を蓄積するなどの方法により所得を秘匿したうえ

第一  昭和四六年九月一日から同四七年八月三一日までの事業年度における被告法人株式会社全国求人求職情報センターの実際所得金額が二億一、七一二万三、〇〇四円あつたのにかかわらず、同四七年一〇月三一日、同都千代田区神田錦町三丁目三番地所在所轄神田税務署において、同税務署長に対し、所得金額が八四八万七、九九四円で、これに対する法人税額が二八五万六、四〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もつて不正の行為により同会社の右事業年度における正規の法人税額七、九五三万〇、二〇〇円と右申告税額との差額七、六六七万三、八〇〇円を免れ

(修正貸借対照表、税額計算書は別紙(一) (六)のとおり)

第二一、 昭和四六年九月一七日から同四七年八月三一日までの事業年度における被告法人株式会社全国就職調査情報センターの実際所得金額が九、三四七万〇、〇七六円あつたのにかかわらず、同四七年一〇月三一日、前記神田税務署において、同税務署長に対し、所得金額が三、二一九万五、六一四円で、これに対する法人税額が、一、一五六万九、一〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もつて不正の行為により同会社の右事業年度における正規の法人税額三、四〇八万七、七〇〇円と右申告税額との差額二、二五一万八、六〇〇円を免れ

(修正貸借対照表、税額計算書は(二) (七)のとおり)

二、 昭和四七年九月一日から同四八年八月三一日までの事業年度における被告法人株式会社全国就職調査情報センターの実際所得金額が一億八、一六三万二、二三八円あつたのにかかわらず、同四八年一〇月三一日、前記神田税務署において、同税務署長に対し、所得金額が四、二三五万〇、〇八七円の欠損で、これに対する法人税額が零円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もつて不正の行為により同会社の右事業年度における正規の法人税額六、六四八万七、二〇〇円を免れ

(修正貸借対照表、税額計算書は別紙(三) (七)のとおり)

第三一、 昭和四六年四月一日から同四七年三月三一日までの事業年度における被告法人株式会社全国就職調査協会の実際所得金額が七三五万六、〇九八円あつたのにかかわらず、同四七年五月三一日、前記神田税務署において、同税務署長に対し、所得金額が五九一万一、九四六円で、これに対する法人税額が一九〇万九、七〇〇円である旨の法人税確定申告書を提出し、もつて不正の行為により同会社の右事業年度における正規の法人税額二四四万〇、八〇〇円と右申告税額との差額五三万一、一〇〇円を免れ

(修正貸借対照表、税額計算書は別紙(四) (八)のとおり)

二、昭和四七年四月一日から同四八年三月三一日までの事業年度における被告法人株式会社全国就職調査協会の実際所得金額が一、〇一八万八、四七〇円あつたのにかかわらず、同四八年五月三一日、東京都中央区新富二丁目六番一号所在所轄京橋税務署において、同税務署長に対し、所得金額が六〇一万二、五〇八円で、これに対する法人税額が一九四万六、九〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もつて不正の行為により同会社の右事業年度における正規の法人税額三四八万一、五〇〇円と右申告税額との差額一五三万四、六〇〇円を免れ

(修正貸借対照表および税額計算書は別紙(五) (八)のとおり)

たものである。

(証拠の標目)

判示全般の事実につき

一、岸田明、小原宣雄、木暮易子、仲吉繁の各検察官に対する供述調書

一、大蔵事務官作成の預金の帰属調査書

一、大題事務官作成の株式取引の入出金調査書

一、被告人添田工の検察官に対する各供述調書(三通)

一、登記官斉藤政司、同帯谷政治作成の登記簿謄本(三通)

一、押収してある法人税確定申告書七袋(当庁昭和五〇年押第一、七九四号の一、二、五ないし九)

判示第一の事実および第二の一、の事実につき

一、大蔵事務官作成の簿外預金の人出金調査書(別紙(一)の番号<2>普通預金、番号<3>当座預金につき)

一、大蔵事務官作成の預金利息期末残高調査書(公表預金)(別紙(一)の番号<3>当座預金につき)

一、大蔵事務官の簿外預金利息期末残高調査書(別紙(一)の番号<4>定期預金につき)

一、大蔵事務官作成の昭和四九年九月三〇日付法人間貸借および法人と添田工との間の貸借関係調査書(別紙(一)の番号<7>仮払金、番号<8>貸付金、番号<15>借入金、番号<17>仮受金、別紙(二) (三)の各番号<25>仮受金)

一、大蔵事務官作成の売上額調査書(別紙(一)の番号<7>仮払金、番号<17>仮受金、別紙(二) (三)各番号<25>仮受金につき)

一、大蔵事務官松本守正作成の経費調査書(別紙(一)の番号<7>仮払金、別紙(二)(三)の各番号<25>仮受金に

つき)

一、大蔵事務官作成の株式取引調査書(別紙(一)の番号<10>株式、番号<11>預け金につき)

一、岸田明作成の上申書(別紙(一)の番号<12>未払金につき)

一、大蔵事務官作成の銀行借入残高、支払利息調査書(別紙(一)番号<13>銀行借入金につき)

一、大蔵事務官作成の未払金(買掛金)調査書(別紙(一)の番号<16>買掛金につき)

一、大蔵事務官長山清作成の経費調査書(別紙(一)の番号17仮受金につき)

一、大蔵事務官作成の未納事業税額計算書(別紙(一)の番号<25>未納事業税につき)

一、大蔵事務官作成の添田工の個人収支調査書(別紙(一)の番号<26>代表者勘定につき)

判示第二の一、二、の事実につき

一、大蔵事務官作成の簿外預金の入出金調査書(別紙(二)の番号<2>当座預金につき)

一、大蔵事務官作成の簿外預金利息期末残高調査書(別紙(二)の番号<2>当座預金、番号<12>普通預金、番号<13>定期預金、別紙(三)の番号<2>当座預金、番号<3>普通預金、番号<4>定期預金につき)

一、大蔵事務官作成の預金利息期末残高調査書(公表預金)(別紙(二)の番号<2>当座預金につき)

一、大蔵事務官作成の公表計上資産負債調査書(別紙(二)の番号<4>建物付属設備、番号<9>保証金、番号<16>仮払金、番号<21>未払金、番号<23>預り金、別紙(三)の番号<10>建物付属設備、番号<24>預り金につき)

一、大蔵事務官作成の株式取引調査書(別紙(二)の番号<14>株式、番号<15>預け金、別紙(三)の番号<5>株式、番号<6>預け金につき)

一  大蔵事務官作成の売上額調査書(別紙(二)の番号<16>仮払金につき)

一、大蔵事務官長山清作成の経費調査書(別紙(二)の番号<16>仮払金につき)

一、大蔵事務官作成の昭和四九年九月三〇日付法人間貸借および法人と添田工との間の貸借関係調査書(別紙(二)の番号<17>貸付金、番号<18>立替金、番号<22>借入金につき)

一、大蔵事務官作成の添田工の個人収支調査書(別紙(二)の番号<19>代表者勘定、別紙(三)の番号20代表者勘定につき)

一、大蔵事務官作成の銀行借入残高支払利息調査書(別紙(二)の番号<22>借入金につき)

一、大蔵事務官作成の未払金(買掛金)調査書(別紙(二)の番号<24>買掛金、別紙(三)の番号<26>買掛金につき)

一、大蔵事務官作成の昭和五〇年六月六日付法人間貸借および法人と添田工との間の貸借関係調査書(別紙<9>貸付金、番号<23>借入金につき)

一、大蔵事務官作成の保証金、敷金調査書(別紙(三)の番号<16>保証金、番号<17>敷金につき)

一、大蔵事務官作成の未納事業税額計算書(別紙(三)の番号<32>未納事業税につき)

一、大蔵事務官作成の交際費限度超過額調査書(別紙(三)の番号<35>交際費限度超過額につき)

一、大蔵事務官作成の寄付金限度額調査書(別紙(三)の番号<36>寄付金損金不算入額につき)

判示第三の一、二、の事実につき

一、検察事務官作成の報告書(別紙(四)の番号<2>当座預金につき)

一、大蔵事務官作成の昭和四九年九月三〇日付法人間貸借および法人と添田工との間の貸借関係調査書(別紙(四)の番号<5>貸付金、番号<9>未収入金、番号<11>借入金、別紙(五)の番号<4>貸付金、番号<8>未収入金、番号<10>借入金につき)

一、大蔵事務官作成の未納事業税額計算書(別紙(四)の番号<18>未納事業税、別紙(五)の番号<17>未納事業税につき)

(法令の適用)

被告人株式会社全国求人求職情報センター(以下求人センターという)の判示第一の所為、被告法人株式会社全国就職調査情法センターという)の判示第二の一、二の各所為、被告法人株式会社全国就職調査協会(以下調査協会という)の判示第三の一、二の各所為はいずれも法人税法一六四条一項、一五九条に、被告人添田工の判示第一、第二の一、二、第三の一、二の各所為は同法一五九条に各該当するところ、就職センターの判示第二の一、二および調査協会の判示第三の一、二の各所為は各法人ごとに刑法四五条前段の併合罪であるから、同法四八条二項により所定の罰金額を合算した範囲内で、また被告人添田工の各罪の所定刑中いずれも懲役刑を選択し、判示第一、第二の一、二、第三の一、二の各罪は被告人添田工につき刑法四五条前段の併合罪であるから、同法四七条本文、一〇条により最も犯情の重い判示第一の罪の刑に法定の加重をした刑期の範囲内で、求人センターを罰金二、〇〇〇万円に、求職センターを罰金二、三〇〇万円に、調査協会を罰金五〇万円に、被告人添田工を懲役一年に各処し、なお被告人添田工の本件ほ脱行為は、その金額が多く、その手段、方法も必ずしも単純とはいえないものがあるが、現在では深く反省し、自宅等を担保に提供して納税の意思を示していることなど諸般の情状を考慮して刑法二五条一項を適用して、この裁判の確定した日から三年間右刑の執行を猶予することとする。

よつて主文のとおり判決する。

(裁判官 安原浩)

別紙(一)

修正貸借対照表

(株) 全国求久求職情報センター

昭和47年8月31日

<省略>

別紙(二)

修正貸借対照表

(株) 全国就職調査情報センター

昭和47年8月31日

<省略>

<省略>

別紙(三)

修正貸借対照表

(株) 全国就職調査情報センター

昭和48年8月31日

<省略>

<省略>

別紙(四)

修正貸借対照表

(株) 全国就職調査協会

昭和47年3月31日

<省略>

別紙(五)

修正貸借対照表

(株) 全国就職調査協会

昭和48年3月31日

<省略>

<省略>

別紙(六)

法人税額計算書

(株) 全国求人求職情報センター 昭和46.9.1~47.8.31事業年度

<省略>

別紙(七)

法人税額計算書

(株) 全国就職調査情報センター 昭和46年9月17~47年8月31日事業年度

<省略>

別紙(七)

法人税額計算書

(株) 全国就職調査情報センター昭和47.9.1~48.8.31事業年度

<省略>

別紙(八)

法人税額計算書

(株) 全国就職調査協会 昭和46.4.1~47.3.31事業年度

<省略>

法人税額計算書

(株) 全国就職調査協会 昭和47.4.1~48.3.31事業年度

<省略>

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!
©大判例