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東京地方裁判所 昭和49年(ワ)9901号 判決 1976年1月23日

主文

一  乙事件被告(丙事件原告)仲里貞昭は甲乙事件原告(丙事件被告)内山てる子に対し金二八万九六三八円及びこれに対する昭和五〇年八月一日以降完済まで年五分の割合による金員を支払え。

二  丙事件被告鈴木章充は乙事件被告(丙事件原告)仲里貞昭に対し金四万五〇〇〇円及びこれに対する昭和四八年七月二七日以降完済まで年五分の割合による金員を支払え。

三  甲乙事件原告(丙事件被告)内山てる子の乙事件被告(丙事件原告)仲里貞昭に対するその余の請求及び甲事件被告仲里貞男、同仲里友代に対する請求を棄却する。

四  乙事件被告(丙事件原告)仲里貞昭の丙事件被告鈴木章充に対するその余の請求及び甲乙事件原告(丙事件被告)内山てる子に対する請求を棄却する。

五  訴訟費用中、甲乙事件原告(丙事件被告)内山てる子と乙事件被告(丙事件原告)仲里貞昭との間に生じたものはこれを二分しその一を甲乙事件原告(丙事件被告)内山てる子の負担としその余を乙事件被告(丙事件原告)仲里貞昭の負担とし、甲乙事件原告(丙事件被告)内山てる子と甲事件被告仲里貞男、同仲里友代との間に生じたものは甲乙事件原告(丙事件被告)内山てる子の負担とし、乙事件被告(丙事件原告)仲里貞昭と丙事件被告鈴木章充との間に生じたものはこれを四分しその三を乙事件被告(丙事件原告)仲里貞昭の負担としその余を丙事件被告鈴木章充の負担とし、参加によりて生じた部分は乙事件被告(丙事件原告)仲里貞昭の負担とする。

六  この判決は一、二項に限り仮に執行することができる。

事実

第一申立

(甲乙事件原告丙事件被告内山てる子(以下原告内山という))

一  甲事件被告仲里貞男(以下被告貞男という)、甲事件被告仲里友代(以下被告友代という)、乙事件被告丙事件原告仲里貞昭(以下被告貞昭という)は連帯して原告内山に対し五五万七三四〇円及びこれに対する訴状送達の日の翌日以降完済まで年五分の割合による金員を支払え。

二  被告貞昭の原告内山に対する丙事件請求を棄却する。

三  訴訟費用は甲乙丙事件とも被告らの負担とする。

四  第一、三項につき仮執行宣言。

(被告貞昭)

一  被告貞昭に対し、原告内山は二八万一〇〇〇円、丙事件被告鈴木章充(以下被告鈴木という)は二六万五〇〇〇円及び各金員に対する昭和四八年七月二七日以降完済まで年五分の割合による金員を支払え。

二  原告内山の被告貞昭に対する乙事件請求を棄却する。

三  訴訟費用は乙丙事件とも原告内山の負担とする。

四  第一、三項につき仮執行宣言。

(被告貞男、被告友代)

一  原告内山の甲事件請求を棄却する。

二  訴訟費用は原告内山の負担とする。

(被告鈴木)

一  被告貞昭の被告鈴木に対する丙事件請求を棄却する。

二  訴訟費用は被告貞昭の負担とする。

(丙事件被告補助参加人)

一  被告貞昭の原告内山に対する請求を棄却する。

二  訴訟費用は被告貞昭の負担とする。

第二原告内山の主張と被告鈴木の主張

(甲乙事件請求の原因)

一  事故の発生

原告内山は普通乗用自動車(練馬五五の〇〇四七、三菱ギヤランGTO、以下原告車という。)の所有者であるが、昭和四八年七月二七日午後五時五〇分頃右自動車を原告内山の知人である被告鈴木が運転して東京都杉並区梅里地内附近青梅街道路上、五日市街道入口交差点を過ぎて二〇〇メートル先を進行中、被告貞男及び被告友代の長男である被告貞昭(昭和三一年五月八日生当時一七歳)は七五〇CC自動二輪車(以下被告車という。)を運転して原告車と同一方向に進行中、被告車を原告車に衝突させ、原告車の右側面部を損傷させた。

二  責任原因

(一) 本件事故は被告貞昭の過失によるものである。被告貞昭は、友人といわゆる七半の編隊操縦をし、超高速で同一方向に通行する自動車の間をかいくぐつて走行していたものであるが、被告貞昭は被告車のハンドル操作を誤り原告車の右側面部に接触させそのまま右前部まですり抜けて追越そうとした粗暴運転により本件事故を惹起したものである。よつて被告貞昭は民法七〇九条に基づき原告車の損傷による損害を賠償すべき義務を負うものである。

(二) 被告貞男、被告友代は被告貞昭の両親であり、被告貞昭が右の如き交通事故を起すことのないように監護すべき法律上の義務を負う者であるが、本件事故は被告貞男、被告友代の右の監護義務懈怠の過失により発生したものである。被告貞男、被告友代は、私立高校に通学する生徒の被告貞昭に不必要な七半の自動二輪車(被告車)を買い与え、被告貞昭はこれを日常ドライブ、通学遊び等に使用し被告貞男、被告友代はこれを容認してきたものである。特に被告貞男は自動車販売会社に勤務し日常生活上七半自動二輪車の危険性については通常人以上に認識予見し得る立場にあつたのに被告貞昭を監督して適切な指示を与えることなく、七半の自動二輪車を買い与えたものであつて、事故の発生につき監護義務懈怠の過失があることは明白である。よつて被告貞男、被告友代は民法七〇九条による損害賠償義務を負うものである。

三  損害

原告内山は昭和四八年七月一三日千代田三菱自動車から新車として原告車を一〇四万五〇〇〇円で購入し、わずか二週間で右事故にあつたものであり、これにより次の損害を受けた。

(一) 修理費 九万二三四〇円

原告車損傷部分の板金塗装等修理代

(二) 評価落ち損害

原告車は本件事故前一〇四万五〇〇〇円の新車価格の価値を有していたところ、本件事故により修理完了後においても査定価格六八万円の価値しかないこととなり、その差額三六万五〇〇〇円の評価落ちによる損害を受けた。

(三) 弁護士費用 一〇万円

四  結び

よつて原告内山は被告貞男、被告友代、被告貞昭に対し損害賠償として五五万七三四〇円及びこれに対する訴状送達の日の翌日以降完済まで民法所定の年五分の割合による遅延損害金の支払を求める。

(被告貞昭の原告内山、被告鈴木に対する丙事件請求の原因事実に対する答弁)

一  請求の原因一(一)の本件事故の原因に関する態様は否認する。

同一(二)の原告内山が原告車の運行供用者である事実は認める。

二  同二の事実は不知。

(被告貞昭の原告内山に対する人身損害賠償請求の丙事件に対する免責ないし過失相殺)

本件事故は前記のとおり被告貞昭の一方的過失によるものであり、原告車運転者鈴木には過失はなく、原告車には構造上の欠陥又は機能の障害はないので自賠法三条但書により免責される。有責としても大幅な過失相殺が相当である。

第三被告貞男、被告友代、被告貞昭の主張

(原告内山の甲乙事件請求の原因事実に対する答弁)

一  請求の原因一の事実は認める。

二  同二(一)の事実中同一方向に進行する原告車の右側面部に被告車が接触した事実は認め、その余の事実は否認する。

同二(二)の事実中被告貞男、被告友代が被告貞昭の両親である事実は認める。被告貞男、被告友代に監護義務懈怠の過失があつた旨の主張は争う。被告貞昭は本件事故当時一七歳で自動二輪車の有免許者であり、自動二輪車を運転すること自体社会的に許容されている。被告貞昭には交通事件の前科前歴もないし運転に支障のある身心の障害もない。また本件事故は、親権者たる被告貞男、被告友代が同乗していて直接監督できる状況での事故でもない。よつて監護義務懈怠の過失があつたとすべき特別の事情は存在しない。

三  同三の事実は不知。同三(一)の原告車の修理費は事故当日のバブリツクコーナー株式会社の見積額で四万八七二〇円であつた。同三(二)の原告車の価格一〇四万五〇〇〇円には諸費用を含むものである。また原告車の板金塗装程度で一応修理可能であつて全体的に歪みや打撃を受けていないのでいわゆる価格落ちはない。さらに新車でも一度登録されると事故の有無にかかわらず取引価格は大きく減殺され通常新車標準価格の七割三分程度の価格に評価されるにすぎない。

(被告貞昭の原告内山、被告鈴木に対する丙事件請求の原因)

一  責任原因

(一) 本件事故は、被告貞昭が被告車を運転して青梅街道上を新宿方面から田無方面に向け走行中、被告車の左側を同一方向に向け進行中の原告車が前方に駐車中の車両を避けるため急に右にハンドルをきつて被告車の前方に進出したために発生したものである。被告鈴木には進路前方の障害物を避けてその右側に進出するに当つては進路右側を並進または後続する車両との衝突を避けるため、その通過を待つて進出すべき義務に反し、これを怠り急に右側に車線変更した過失がある。よつて被告鈴木は被告貞昭に対し民法七〇九条による損害賠償義務を負うものである。

(二) 原告内山は原告車の運行供用者であるから自賠法三条により被告貞昭の人身損害の賠償義務を負うものである。

二  損害

(一) 人身損害

(1) 傷害の部位・程度

被告貞昭は本件事故により頭部打撲挫創、左肩右足右前膊打撲擦過創の傷害を受け、事故当日の昭和四八年七月二七日から同年八月二日まで七日間中尾医院に入院、同年八月三日から八月二〇日まで同医院に通院(実日数四日)した。

(2) 入院看護費 三〇〇〇円

被告貞昭の入院中、三日間は付添看護を要し、被告仲里友代(母)が付添つたので一日二〇〇〇円の割合による三日分六〇〇〇円の損害が生じたが、自賠責保険により看護料として三〇〇〇円の支払を受けたので残三〇〇〇円を請求する。

(3) 慰藉料 二七万八〇〇〇円

被告貞昭の傷害の部位・程度、治療経過を勘案すると慰藉料は三〇万円が相当であるが、自賠責保険から慰藉料として二万二〇〇〇円受領したので残二七万八〇〇〇円を請求する。

(二) 物的損害

被告貞昭は被告車を昭和四八年六月一〇日有限会社旭東モータースから四一万五〇〇〇円で購入したところ、本件事故による損傷が大きかつたので修理をあきらめ、同年八月二三日一五万円で同社に引取つてもらつた。よつてその差額二六万五〇〇〇円を請求する。

三  結び

よつて被告貞昭は損害賠償として原告内山に対し人身損害二八万一〇〇〇円、被告鈴木に対し物的損害二六万五〇〇〇円及び各金員に対する事故の日の昭和四八年七月二七日以降完済まで民法所定の年五分の割合による遅延損害金の支払を求める。

(丙事件についての原告内山の免責及び過失相殺の抗弁に対する答弁)

右抗弁事実を否認する。

(補助参加人の損害填補の抗弁に対する被告貞昭の答弁)

自賠責保険から被告貞昭が右主張の損害の填補を受けた事実は認める。

第四補助参加人の主張

被告貞昭は、自賠責保険から、自陳している(1)入院看護料三〇〇〇円、(2)慰藉料二万二〇〇〇円の他、(3)治療費五万六二〇〇円、(4)交通費七二〇円、(5)雑費二万一九一〇円、合計一〇万三八三〇円の損害の填補を受けている。総損害に計上し過失相殺後の金額からこれを控除すべきである。

第五証拠〔略〕

理由

一  事故の発生、被告貞昭・被告鈴木・原告内山の責任原因、免責、過失相殺

(一)  甲乙事件請求の原因一の事実は当事者間に争いがない。

(二)  右争いのない事実に、成立に争いのない甲第一号証の二ないし五、証人倉重一、原告内山、被告貞昭、被告鈴木の各供述を総合すると次の事実が認められる。

(1)  本件事故現場は歩車道の区別のある青梅街道上で、車道の幅員約一六・六メートル、片側二車線(往復四車線)、道路中央にセンターラインがある他、車線区分線がある。新宿方向から荻窪方向への車線は前記のとおり二車線であるが、歩道寄りの車線(以下第一車線という)はセンターライン寄りの車線(以下第二車線という)よりも広くなつている。

(2)  本件事故後、新宿方向から荻窪方向への事故現場には、ガラス破片等が散乱し、歩道から約三・六メートルの位置に乗用車のスリツプ痕が約六・四メートル残り、歩道から約三・九メートルの位置に自動二輪車のスリツプ痕が約六・八メートル残つていた。

(3)  原告車は右側面フエンダー、右ドアガラスが破損し、被告車はハンドルが曲損、両ステツプ、ライトが破損した。

(4)  本件事故当時、衝突現場の約一〇メートル前方、第一車線の歩道寄りに自動車が一台駐車していた。

(三)  右(一)(二)の事実と前掲証拠を総合すると次の事実が認められ、右認定を左右するに足りる証拠はない。被告鈴木は原告車を運転して第一車線上を新宿方向から荻窪方向へ本件事故現場附近に至り、左前方第一車線の歩道寄りに駐車中の自動車を発見し、これを避けるため、後方の安全を確認することなく若干ふくらむ感じで右側へ進路をとり進行したところ、おりから原告車の右後方から原告車を追抜こうとしていた被告車に原告車の右側面を接触させた。被告貞昭は被告車を運転して第一車線上を同方向へ本件事故現場に至り、前方第一車線上に原告車とさらに前方の前記駐車車両を発見し、第二車線へ車線変更して原告車を追抜こうと考え、加速し徐々に第二車線へ進入しながら後方を確認し前方への注意を欠く間、原告車が駐車車両を避けるため若干ふくらむのを見落し、被告車のハンドル部分を原告車の右側面に接触させた。

(四)  右事実によると、本件事故は被告車の前方不注意と原告車の後方不注意が競合して発生したものと判断できる。

(五)  原告内山が原告車の運行供用者である事実は当事者間に争いがない。そして原告内山の免責も、被告鈴木に過失があるので理由がない。

(六)  してみると被告貞昭は原告内山に対し、被告鈴木は被告貞昭に対し、それぞれ民法七〇九条に基づき本件事故による損害を賠償すべき義務を負うものであり、原告内山は被告貞昭に対し自賠法三条に基づき本件事故による損害を賠償すべき義務を負うものである。そして右事故態様によると損害賠償額の算定に当り、被告貞昭の過失を七割、被告鈴木の過失を三割程度斟酌するのが相当である。

二  被告貞男、被告友代の責任原因

原告内山は、本件事故は被告貞男、被告友代の監護義務懈怠によるものである旨主張するので判断する。被告貞昭は昭和三一年五月八日生、事故当時一七歳二月の未成年者であり、被告貞男、被告友代が被告貞昭の親権者である事実は当事者間に争いがない。右事実と被告貞昭本人尋問の結果により成立を認める乙第二号証及び右供述によると次の事実が認められる。被告貞昭は昭和四八年一月三一日東京都公安委員会から自助二輪車の運転免許を受けた者であり、本件事故当時は国学院久我山高校生であつた。被告貞男、被告友代は被告貞昭の通学の用に供するため昭和四八年六月一〇日被告車(七五〇CC)を買い与え、被告貞昭は通学や遊びのために被告車を利用していた。本件事故当日は夏休みで、被告貞昭は、遊びのため被告車を運転していた。被告貞昭は自動二輪車の運転免許取得以来交通事件の前科前歴はない。右事実によると通学の用途にしては七五〇CC自動二輪車は過ぎたるものとの判断をする余地はあるが、いまだ被告貞男、被告友代に監護義務懈怠による損害賠償義務を問うに足りる証拠はない。よつて原告内山の被告貞男、被告友代に対する請求は理由がない。他の当事者の関係で判断を進める。

三  原告内山の損害

(一)  原告車修理費 九万二三四〇円

原告内山本人尋問の結果により成立を認める甲第五号証の一、二及び右供述によると原告内山は原告車の修理費として九万二三四〇円を支出し損害を受けたと認められる。

(二)  評価落損

原告内山本人尋問の結果により成立を認める甲第三号証、第四号証の一、二及び右供述によると、原告内山は千代田三菱自動車販売株式会社から昭和四八年七月一三日納車(新規登録昭和四八年七月四日)で原告車(三菱ギヤランA52HSクーペ)を、車両代金九一万円、クーラーの設置によると推認できる特別仕様一三万五〇〇〇円、合計一〇四万五〇〇〇円で購入し、納車後二週間で本件事故にあい、前記修理後の同会社の査定で六八万円と評価されている事実が認められる。そして右事実と新規模登録により生ずると推認できる評価落ち及び償却による評価落ち等をも勘案すると本件事故による原告車の評価落ちによる損害は二五万円程度と認定するのが相当である。

(三)  以上原告内山の損害は三四万二三四〇円であるが、被告鈴木の前記過失を被害者側の過失として三割斟酌すると二三万九六三八円となる。

(四)  弁護士費用

弁論の全趣旨によると原告内山は原告内山訴訟代理人に本件取立を委任し報酬の支払の約束をして損害を受けた事実が認められる。諸般の事情を斟酌し本件事故と因果関係のある弁護士費用の損害は五万円と認める。

四  被告貞昭の損害

(一)  人身損害

(1)  傷害の部位・程度

原本の存在につき争いがなく被告貞昭本人尋問の結果によつて成立を認める乙第三、四、五号証及び右供述によると丙事件請求の原因二(一)(1)(傷害の部位・程度)の事実が認められる。

(2)  入院看護費 六〇〇〇円

前判示乙第三、五号証及び被告貞昭本人尋問の結果によると、被告貞昭は昭和四八年七月二七日から七月二九日までの三日間付添を要したので同人の母である被告友代が付添をした事実が認められるので一日二〇〇〇円として六〇〇〇円の損害を受けたと認めるのが相当である。

(3)  慰藉料

前判示被告貞昭の傷害の部位・程度その他の事情を勘案すると慰藉料は二五万円が相当である。

(4)  以上の損害は二五万六〇〇〇円となり、被告貞昭は右損害の他、治療費五万六二〇〇円、交通費七二〇円、雑費二万一九一〇円の損害を受けた事実は当事者間に争いがないので、これらの総損害は三四万四八三〇円となるが、被告貞昭の前記過失を七割斟酌すると一〇万三四四九円となる。そして被告貞昭が自賠責保険からこれを超える損害の填補を受けた事実は当事者間に争いがない。

(二)  物損

被告貞昭本人尋問の結果により成立を認める乙第一、二号証及び右供述によると被告貞昭は昭和四八年六月一〇日有限会社旭東モータースから被告車を四一万五〇〇〇円で購入し通学等の用途に使用し、約五〇日後に本件事故にあい、昭和四八年八月二三日、修理することなく、一五万円で同社に売却した事実が認められる。右事実と登録落ち、償却落ち等の事実を勘案すると本件事故による被告車の損害は一五万円と認めるのが相当である。そして被告貞昭の前記過失を七割斟酌すると四万五〇〇〇円となる。

五  結論

以上説示のとおりであるから本件甲乙丙事件は、原告内山の被告貞昭に対する二八万九六三八円及びこれに対する訴状送達の日の翌日であること記録上明らかな昭和五〇年八月一日以降完済まで民法所定の年五分の割合による遅延損害金の支払を求める請求、被告貞昭の被告鈴木に対する四万五〇〇〇円及びこれに対する本件事故の日の昭和四八年七月二七日以降完済まで民法所定の年五分の割合による遅延損害金の支払を求める請求の限度で理由があるので認容し、その余の請求はいずれも理由がないので棄却することとし、訴訟費用の負担につき民訴法八九条、九二条、九三条、九四条を、仮執行の宣言につき同法一九六条を適用して主文のとおり判決する。

(裁判官 宮良允通)

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