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東京地方裁判所 昭和44年(ワ)4322号 判決 1970年2月26日

被告 東京産業信用金庫

理由

一、請求原因事実は、当事者間に争いがない。

二、《証拠》を考えあわせれば、被告は訴外会社からの委託に基づき別紙約束手形目録記載(一)の約束手形については昭和四三年一一月八日に、同目録記載(二)の約束手形については同年一二月九日に、各金三一万〇二八八円を異議申立提供金として社団法人東京銀行協会に交付し、それぞれ異議申立をしたことが認められる。

ところで、手形義務者が手形の支払銀行に預託するいわゆる預託金は、手形義務者が支払銀行に手形交換所に対し異議申立をする事務を委任し、その委任事務を処理するについて必要な費用の前払として手形義務者から支払銀行に交付されるものと解されるから、支払銀行が委任に基づき手形交換所に異議申立提供金を提供交付して異議申立をした場合は、その後異議申立提供金が返還事由の発生により手形交換所から、支払銀行に返還されるにいたつた時点において、さきに委任事務処理費用として支払銀行に前払されたいわゆる預託金はもはや委任事務処理に必要でなくなつたものとなり、支払銀行はこれを手形義務者に返還しなければならないことになるものと解される。

従つて、被告は、返還事由の発生により、前記異議申立提供金の返還を社団法人東京銀行協会から受けるにいたつた時は、本件預託金を返還すべき義務があるというべきであるが、被告が返還事由の発生により前記異議申立提供金の返還を右協会から受けるにいたつたことについては、なんら主張立証がない。

三  よつて、その余の点について判断するまでもなく、原告の本訴請求は全て理由がないというべきであるから、これを棄却

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