大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

東京地方裁判所 昭和43年(特わ)79号 判決 1968年8月06日

本店所在地

東京都品川区豊町四丁目三番一七号

株式会社 増山商店

右代表者代表取締役

増山勝代

本店所在地

東京都港区芝愛宕町一丁目三五番地

増山糧穀株式会社

右代表者清算人

宮下香

本籍

東京都北区東十条三丁目六番地三

住居

東京都品川区豊町四丁目三番一五号

会社顧問

増山真佐四郎

大正九年二月二九日生

右の者らに対する法人税法違反被告事件につき、当裁判所は検察官稲垣久一郎出席の上審理して、次のとおり判決する。

主文

被告会社株式会社増山商店を罰金三七〇万円に、

被告会社増山糧穀株式会社を罰金一八〇万円に、

被告人増山真佐四郎を懲役四月に各処する。

被告人増山真佐四郎に対し、本裁判確定の日から二年間右刑の執行を猶予する。

理由

(罪となるべき事実)

第一  被告会社株式会社増山商店は、東京都品川区豊町四丁目三番一七号に本店を置き農産品、飼料の加工及び販売等を営業目的とする資本金三、五〇〇万円(昭和三七年六月設立当時一、〇〇〇万円、その後同三九年三月二八日二、〇〇〇万円に、同年一〇月二二日三、五〇〇万円に順次増資したもの)の株式会社であり、被告人増山真佐四郎は、右会社設立以来同四〇年一月三〇日まで同会社の代表取締役として、同日以降は同会社の事実上の経営者として、その業務全般を統轄していたものであるが、被告人増山は、被告会社の業務に関し法人税を免れようと企て、架空仕入の計上及び貸付金手数料収入の除外等の不正な方法により所得を秘匿したうえ、

一、昭和三九年二月一日から同四〇年一月三一日までの事業年度において、右被告会社の実際の所得金額が三三、〇五一、四五七円でこれに対する法人税額が一一、九五一、七二〇円であつたのに拘らず、昭和四〇年三月三一日東京都品川区北品川三丁目二六二番地所在の所轄品川税務署において、同税務署長に対し、所得金額は一〇、四〇〇、〇五九円でこれに対する法人税額は三、三五一、〇一〇円である旨の虚偽の確定申告書を提出し、もつて同会社の右事業年度の正規の法人税額と右申告税額との差額八、六〇〇、七一〇円を免れ、

二、昭和四〇年二月一日から同四一年一月三一日までの事業年度において、右被告会社の実際所得金額が二五、八七〇、五四五円でこれに対する法人税額が九、二五七、〇二〇円であつたのに拘らず、昭和四一年三月三一日、同都品川区中延一丁目一番五号所在の所轄荏原税務署において、同税務署長に対し、所得金額は一一、五〇四、六八三円でこれに対する法人税額は三、九四一、六四〇円である旨の虚偽の確定申告書を提出し、もつて同会社の右事業年度の正規の法人税額と右申告税額との差額五、三一五、三八〇円を免れ、

第二、被告会社増山糧穀株式会社は、東京都品川区豊町四丁目三番一七号に本店を置き(その後昭和四一年九月一七日同都港区芝愛宕町一丁目三五番地に移転)農産品等の加工及び販売並びに貿易等を営業目的としていた資本金二、〇〇〇万円の株式会社で昭和四二年一月三〇日解散し現在清算中のものであり、被告人増山真佐四郎は、同会社の代表取締役としてその業務全般を統轄していたものであるが、被告人増山は右被告会社の業務に関し法人税を免れようと企て、架空仕入の計上及び貸付金手数料収入の除外等の不正な方法により所得を秘匿したうえ、昭和四〇年一月二六日から同年八月三一日までの事業年度において、右被告会社の実際所得金額が二〇、一四二、六四三円でこれに対する法人税額が七、三三二、二八〇円であつたのに拘らず、昭和四〇年一一月一日前記所轄荏原税務署において、同税務署長に対し、所得金額が二、〇一六、〇八四円でこれに対する法人税額は六二五、四四〇円である旨の虚偽の確定申告書を提出し、もつて同会社の右事業年度の正規の法人税額と右申告税額との差額六、七〇六、八四〇円を免れ

たものである。

(判示各事業年度における実際所得金額の算定については、別紙第一、第二、第三の各修正損益計算書のとおりである。)

(証拠の標目)

全事実につき

一、被告人増山の当公判廷における供述

一、同被告人の検察官に対する昭和四三年一月三一日付、同年二月一日付、同月二日付、同月五日付各供述調書

第一の各事実につき

一、株式会社増山商店の登記簿謄本二通

一、大蔵事務官小森栄作成の

イ、記録三九号架空仕入計算書

ロ、銀行預金利息計算書

ハ、借入金および支払利子明細書

一、畑中一已、梶原孝吉の検察官に対する各供述調書

一、荏原税務署長作成の証明書

一、押収にかかる次の証拠物件(当庁昭和四三年押第八二一号、以下カツコ内は符号番号)1仕入帳二冊(1の11の2)、在庫帳二冊(2の1、2の2)、伝票綴一綴(3)、決算書綴一綴(4)、増山関係帳簿綴一綴(9)、支払手数料伝票一綴(11の1)、昭和四〇年一月期の法人税確定申告書(12)、昭和四一年一月期の法人税確定申告書(13)

第二の事実につき

一、増山糧穀株式会社の登記簿謄本三通

一、大蔵事務官小森栄作成の記録四〇号架空仕入計算書

一、田中茂栄の検察官に対する供述調書二通

一、芝税務署長作成の証明書

一、押収にかかる次の証拠物件(当庁昭和四三年押第八二一号、以下カツコ内は符号番号)1売上帳一冊(5)、仕入帳一冊(6)、在庫帳一冊(7)、伝票綴一綴(8)、支払手数料伝票綴一綴(11の2)、昭和四〇年八月期の法人税確定申告書(14)

(法令の適用)

第一の一の所為につき、昭和四〇年法律第三四号法人税法附則一九条によりその改正前の法人税法四八条(被告会社株式会社増山商店につきさらに同法五一条一項)。

第一の二および第二の各所為につき、昭和四〇年法律第三四号法人税法一五九条(各被告会社につきそれぞれ同法一六四条一項)。

被告会社株式会社増山商店につき、刑法四五条前段、四八条二項。

被告人増山真佐四郎につき(各懲役刑選択の上)刑法四五条前段、四七条、一〇条、二五条一項。

よつて主文のとおり判決する。

(裁判官 小島建彦)

別紙第一

修正損益計算書

株式会社 増山商店

自昭和39年2月1日

至昭和40年1月31日

<省略>

別紙第二

修正損益計算書

株式会社 増山商店

自昭和40年2月1日

至昭和41年1月31日

<省略>

別紙第三

修正損益計算書

増山糧穀株式会社

自昭和40年1月26日

至昭和40年8月31日

<省略>

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!
©大判例