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東京地方裁判所 平成6年(特わ)1777号 判決 1994年11月08日

本店所在地

東京都渋谷区代々木四丁目二六番三号

有限会社体育進学センター

(代表者取締役 西巻善三郎)

本籍

東京都世田谷区桜三丁目四一五四番地

住居

同区赤堤二丁目四七番九号

会社役員

西巻善三郎

昭和一一年七月一九日生

主文

被告人有限会社体育進学センターを罰金一六〇〇万円に、被告人西巻善三郎を懲役一〇か月に処する。

被告人西巻善三郎に対し、この裁判の確定した日から三年間刑の執行を猶予する。

理由

(犯罪事実)

被告人有限会社体育進学センター(以下「被告会社という)は、東京都渋谷区代々木四丁目二六番三号(平成五年四月五日以前は同区代々木四丁目八番一号)に本店を置き、進学予備校の経営等を目的とする資本金一〇〇〇万円(平成三年二月二四日以前は二〇〇万円)の有限会社であり、被告人西巻善三郎(以下「被告人」という)は、被告会社の取締役としてその業務全般を統括していた。被告人は、被告会社の業務に関し、その法人を免れようと考え、受講料収入や雑収入の一部を除外するなどの方法により所得を隠して、

第一  平成元年四月一日から平成二年三月三一日までの事業年度における被告会社の実際の所得金額が五八八七万三一二九円であった(別紙1修正損益計算書参照)のに、同年五月三一日、同都目黒区東山三丁目二四番一三号の所轄の渋谷税務署において、税務署長に対し、その欠損金額が三五六六万四四四五円で、納付すべき法人税額がないという虚偽の内容の法人税確定申告書を提出した。そして、そのまま法定の納期限を経過させた結果、この事業年度における正規の法人税額二二二三万二一〇〇円(別紙2脱税額計算書参照)を免れた。

第二  平成二年四月一日から平成三年三月三一日までの事業年度における被告会社の実際の所得金額が四二七三万九二五一円であった(別紙3修正損益計算書参照)のに、同年五月三一日、前記渋谷税務署において、税務署長に対し、その所得金額が一五七万七五六七円で、所得税額を控除すると納付すべき法人税額がないという虚偽の内容の法人税確定申告書を提出した。そして、そのまま法定の納期限を経過させた結果、この事業年度における正規の法人税額一四五一万〇六〇〇円(別紙4脱税額計算書参照)を免れた。

第三  平成三年四月一日から平成四年三月三一日までの事業年度における被告会社の実際の所得金額が八一〇八万六九七三円であった(別紙5修正損益計算書参照)のに、同年六月一日、同都渋谷区宇田川町一番一〇号の所轄の渋谷税務署において、税務署長に対し、その所得金額が七三七万二七九九円で、これに対する法人税額が八八万二九〇〇円であるという虚偽の内容の法人税確定申告書を提出した。そして、そのまま法定の納期限を経過させた結果、この事業年度における正規の法人税額二八九〇万三〇〇〇円と申告税額との差額二八〇二万〇一〇〇円(別紙6脱税額計算書参照)を免れた。

(証拠)

(注)括弧内の算用数字は、押収番号を除き、証拠等関係カード検察官請求分の請求番号を示す。

全事実について

1  被告人の

<1>  公判供述

<2>  検察官調書六通

2  清家美奈子の検察官調書

3  大蔵事務官作成の受講料収入調査書、受取利息調査書、雑収入調査書、支払利息割引料調査書、損金の額に算入した道府県民税利子割調査書、事業税認定損調査書

4  検察事務官作成の捜査報告書(甲25)

5  渋谷税務署長作成の証明書

6  登記官作成の商業登記簿謄本

第一の事実について

7  大蔵事務官作成の教務研究経費調査書

8  大蔵事務官作成の開発経費調査書、特別償却費調査書、申告欠損金調査書、欠損金の当期控除額調査書、前期損益修正益調査書、減価償却超過額の当期認容額調査書、前受金認容調査書、貯蔵品調査書、建物付属設備認容調査書

9  確定申告書一袋(平成六年押第一三七五号の1)

第二の事実について

10  大蔵事務官作成の減価償却費調査書

11  検察事務官作成の捜査報告書(甲2)

12  確定申告書一袋(同押号の2)

第三の事実にいて

前記7、10の証拠のほか

13  大蔵事務官作成の生徒募集費調査書、管理経費調査書

14  検察事務官作成の捜査報告書(甲16、24)

15  確定申告書一袋(同押号の3)

(法令の適用)

罰条

被告会社について いずれも法人税法一六四条一項、一五九条一項(第一の罪の刑の寡額について、更に平成三年法律第三一号による改正前の罰金等臨時措置法二条一項、刑法六条、一〇条)、法人税法一五九条二項(情状による)

被告人について いずれも同法一五九条一項(第一の罪の罰金刑の寡額について、更に前記罰金等臨時措置法二条一項、刑法六条、一〇条)

刑種の選択

被告人について 懲役刑

併合罪の処理 刑法四五条前段

被告会社について 刑法四八条二項(各罪の罰金額を合算)

被告人について 刑法四七条本文、一〇条(犯情の最も重い第三の罪の刑に加重)

刑の執行猶予

被告人について 刑法二五条一項

(出席した検察官加藤昭、辻好隆、弁護人猪俣正幸)

(裁判官 朝山芳史)

別紙1

修正損益計算書

<省略>

<省略>

別紙2

脱税額計算書

<省略>

別紙3

修正損益計算書

<省略>

<省略>

別紙4

脱税額計算書

<省略>

別紙5

修正損益計算書

<省略>

<省略>

別紙6

ほ脱税額計算書

<省略>

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