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東京地方裁判所 平成5年(特わ)2915号 判決 1994年6月10日

本店所在地

東京都杉並区大宮一丁目二一番六号

株式会社

山廣

(右代表者代表取締役 山下廣美)

本籍

東京都杉並区大宮一丁目二一番

住居

同都同区大宮一丁目二一番六号

会社役員

山下廣美

昭和二三年八月一〇日生

右の者らに対する各法人税法違反被告事件について、当裁判所は、検察官加藤昭、弁護人石井元各出席の上審理し、次のとおり判決する。

主文

被告人株式会社山廣を罰金六〇〇〇万円に、被告人山下廣美を懲役一年一〇月に処する。

被告人山下廣美に対し、この裁判の確定した日から三年間右刑の執行を猶予する。

理由

(罪となるべき事実)

被告人株式会社山廣(以下「被告会社」という)は、東京都杉並区大宮一丁目二一番六号に本店を置き、総合建築及び設計施工等を目的とする資本金五〇〇〇万円の株式会社であり、被告人山下廣美(以下「被告人」という)は、被告会社の代表取締役として、同会社の業務全般を統括しているものであるが、被告人は、被告会社の業務に関し、法人税を免れようと企て、架空外注費を計上するなどの方法により所得を秘匿した上

第一  昭和六三年九月一日から平成元年八月三一日までの事業年度における被告会社の実際所得金額が一億七四二五万五一五四円(別紙1の修正損益計算書及び修正工事原価報告書参照)であったにもかかわらず、平成元年一〇月三一日、東京都杉並区成田東四丁目一五番八号所在の所轄杉並税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が一〇四八万二八九〇円で、これに対する法人税額が三〇九万五〇〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書(平成六年押第三九二号の1)を提出し、そのまま法定納期限を徒過させ、もって不正の行為により、被告会社の右事業年度における正規の法人税額七一八七万九七〇〇円と右申告税額との差額六八七八万四七〇〇円(別紙4の1のほ脱税額計算書参照)を免れ

第二  平成元年九月一日から平成二年八月三一日までの事業年度における被告会社の実際所得金額が三億二二一五万八三八六円(別紙2の修正損益計算書及び修正工事原価報告書参照)であったにもかかわらず、平成二年一〇月三一日、前記杉並税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が五一六四万〇〇七八円で、これに対する法人税額が一九三八万六七〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書(前同押号の2)を提出し、そのまま法定納期限を徒過させ、もって不正の行為により、被告会社の右事業年度における正規の法人税額一億二七五九万三九〇〇円と右申告税額との差額一億〇八二〇万七二〇〇円(別紙4の2のほ脱税額計算書参照)を免れ

第三  平成二年九月一日から平成三年八月三一日までの事業年度における被告会社の実際所得金額が二億四七三九万六〇〇七円(別紙3の修正損益計算書及び修正工事原価報告書参照)であったにもかかわらず、平成三年一〇月三〇日、前記杉並税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が四三三四万二二六八円で、これに対する法人税額が一三六四万五五〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書(前同押号の3)を提出し、そのまま法定納期限を徒過させ、もって不正の行為により、被告会社の右事業年度における正規の法人税額九〇一六万五八〇〇円と右申告税額との差額七六五二万〇三〇〇円(別紙4の3のほ脱税額計算書参照)を免れ

たものである。

(証拠の標目)

括弧内の甲、乙を付した数字は、証拠等関係カード(検察官請求分)の番号である。

判示全部の事実について

一  被告人の当公判廷における供述

一  被告人の検察官に対する供述調書六通(乙一~五、七)

一  今井昌子(三通=甲一六~一八)、近藤公子(二通)、西山浩義、山下忠臣、丹羽義博、細井道代、山下久子及び鈴木輝男の検察官に対する各供述調書

一  大蔵事務官作成の完成工事高調査書、当期外注費調査書、期首仕掛工事費調査書、期末仕掛工事費調査書、給料手当調査書、支払手数料調査書及び事業税認定損調査書

一  検察事務官作成の捜査報告書二通(甲七、二八)

一  登記官作成の登記簿謄本

判示第二及び第三の事実について

一  被告人の検察官に対する供述調書(乙六)

一  検察事務官作成の捜査報告書(甲五)

判示第一の事実について

一  大蔵事務官作成の当期材料仕入高調査書及び雑費調査書

一  押収してある法人税確定申告書等一袋(平成六年押第三九二号の1)

判示第二の事実について

一  大蔵事務官作成の建物売却収入調査書

一  検察事務官作成の捜査報告書(甲一五)

一  押収してある法人税確定申告書等一袋(前同押号の2)

判示第三の事実について

一  大蔵事務官作成の減価償却費調査書及び雑収入調査書

一  押収してある法人税確定申告書等一袋(前同押号の3)

(法令の適用)

一  罰条

1  被告会社

判示第一ないし第三の各事実につき、法人税法一六四条一項、一五九条一項(第一及び第二の事実の罰金刑の寡額については、刑法六条、一〇条により、平成三年法律第三一号による改正前の罰金等臨時措置法二条一項による)、二項(情状による)

2  被告人

判示第一ないし第三の各所為につき、法人税法一五九条一項(罰金刑の寡額の関係は前同)

二  刑種の選択

被告人につき、懲役刑

三  併合罪の処理

1  被告会社

刑法四五条前段、四八条二項

2  被告人

刑法四五条前段、四七条本文、一〇条(犯情の最も重い第三の罪の刑に法定の加重)

四  刑の執行猶予

被告人につき、刑法二五条一項

(量刑の理由)

本件は、総合建築等を業とする被告会社の社長であった被告人が、将来の不況等に備えて資金を留保しようなどと考えて脱税を企て、架空外注費や架空支払手数料を計上したり、収益の繰下げ計上をするなどして、三事業年度にわたり、合計二億五三五〇万円余の法人税を脱税したという事案であり、ほ脱税は通算約八七・五パーセントに達している。このような脱税額の大きさ、ほ脱率の高さ、犯行の計画性、態様等のほか、この種事案については一般予防の必要性が高いことにかんがみると、被告人及び被告会社の刑事責任は相当重いといわなければならない。

他方、被告人及び被告会社関係者は、国税当局の査察を受けて以来、本件の調査及び捜査に協力し、真摯な反省の態度を示していること、被告会社は、関係当局の指導に従い、本件三事業年度分の法人税本税を完納したほか、附帯税及び地方税も分割納付中であり、完納できる見込みがあること、被告人は被告会社の組織を改革して、顧問税理士を監査役に迎えるなどして二度と同種事犯を犯さないような体制を整えていること、被告人には前科前歴がないことなど被告人及び被告会社のために有利に斟酌すべき事情も認められる。

当裁判所は、以上のほか一切の情状を考慮して、主文のとおり量刑した次第である。

よって、主文のとおり判決する。

(求刑 被告会社・罰金八〇〇〇万円、被告人・懲役二年)

(裁判官 安廣文夫)

別紙1

修正損益計算書

<省略>

修正工事原価報告書

<省略>

別紙2

修正損益計算書

<省略>

修正工事原価報告書

<省略>

別紙3

修正損益計算書

<省略>

修正工事原価報告書

<省略>

別紙4の1

ほ脱税額計算書

<省略>

別紙4の2

ほ脱税額計算書

<省略>

別紙4の3

ほ脱税額計算書

<省略>

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